とあるルビコンのジャンカートリオ   作:清狼光牙

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 時間が掛かりましt(n度目
今回も息抜きに近しいですが、どうぞ(吐血






34話

 

 ウォルターの元へと使い捨て補給シェルパの配送と、

レイヴンのACの強化で盛り上がった日から暫し。

RaDer’sは、先日ウォルターが617や620を気にしているのを目の当たりにして、

自分達もちょっとばかり気になったから、と云う緩い理由で、時間に余裕が出来たその時。

直ぐ様にグリッド087直下、廃墟都市の一区画にあるグリッドの一部であったのであろう超巨大な崩落物、

その内側にあるSheep Hornの隠れ家へと遊びに来ていた。

まあ他にも作物生産の進捗も気になっていたので、丁度良いかなとも思っていたが。

 

 それは兎も角。以前やった、アクリとアリエスや青の連中の模擬戦と云う名の習熟訓練終了後に、

RaDer’s、Sheep Horn、青の四連星の三組は、依頼者(アクリ)の提案の元、

Sheep Hornの隠れ家に大幅に手を入れ改装し、

住居となる避難部屋(シェルター)の捜索からの発見・改装……

まだ直し切れていなかった通信施設の復旧や、シェルター内のろ過装置以下水回りの整備等々の他、

シェルターそのものも水平に整えなければならず、そちらも中々に大変な作業になり得たが、

ACやMTが沢山集まっていたので、一部を切り貼りした上で調整して強引に水平を取ったりもしたり。

電源をジャンクからリペアしたジェネレータ数基で補ってみたり。

大型輸送ヘリでも隠れ家の内部へと乗り入れれる様に安地を造りったりした様で。

 

 中々に無茶苦茶をしている様だが形にはなったし、使ってみて問題はなさそうなので、ヨシと云う事にしておこう。

なんか猫がヘルメットを被って指差し確認している姿が幻視されそうだが、大丈夫だと思いたい。

 

 まあそれはそれとして。

 

 乗り入れた場所に造られた待機場兼物置(作物での収入はまだ無いので、ジャンク拾いも偶にしている様だ)にヘリを停めると、

ACやMTを駐機出来るハンガーを数基無理くりに設えた場所の脇を通り抜け。

これまた復旧した人間用のエレベーター――とは云っても、この崩落物(建物)そのものが傾いているので、

箱内に一枚金属板を敷いて無理やり水平にしているのだが――を使い、最下層に当たる所へと一同は降って行く。

電源を復旧し、通り道の残骸を取り除いたら普通に傾いていても問題無くエレベーターが使える様になった辺り、

相変わらずルビコンの建築物の丈夫さは酷いレベルである。良くもまあそんな代物が崩落して来たなとも思ってしまうが。

 

 「――お久しぶり、と云うべきかな、アリエス」

 「うん、久しぶり、だよ。RaDer’sの皆。

……まぁ、事前に通信越しにこっちに来訪するって話は聞いたから数時間ぶり、って感じはあるけど」

 「まあその辺りははい」「お久しぶりなのですー」「こんにちはー」

 

 そんな感じなんともかんともし難い思考を回している内に目的地にまで着くと連絡を入れていたお陰か、

来るのを待っていたらしいアリエスに茶々を入れられつつ、

三者三様の挨拶を返しがてらに、アクリは辺りを見回して。

――適度にさも廃墟ですよ、と見て取れる様な不自然にならない程度の破壊痕と云う名の採光穴から通された日差しが、

床板を砕き、露わになった地肌(無論、DOUBLE TROUBLE改(チェーンソー型農耕機)耕耘(こううん)は済んでいる)へと降り注ぎ、

弱々しく痩せ細ってはあるが、揺れている植物(・・)の姿を照らしている。

 

 「――根付いたんだね?」

 「何とか、って所かな? ……とりあえず、

根付き易いと思われる作物を片っ端からやってこれだけなんだけど」

 

 その今にも枯れてしまいそうな程儚く感じるその作物の区画にへと、

視線をやりつつ呟くアクリに苦笑を漏らしながらアリエスがそう返し。

 

 「そっかー。……あれ、そう云えばカプリは?」

 

 そんなやり取りをしているといつもならアリエスとの会話に、

毎度毎度に合いの手や突っ込みを入れて来る旦那(カプリ)の姿が見当たらず。

あまり気にしていなかったが、

ハンガーに駐機していたのはアリエスのACだけだった様な? とも今更に思い出し。

ユミコのその台詞に、ああ、と云った感で言葉を返して来て。

 

 「カプリは、ムイナちゃんとロニーゼちゃんに付き合って傭兵稼業中。

一応今回の依頼は終わったみたいで、もう直ぐ帰るって連絡がちょっと前にあったかな」

 「……えっと。話しの流れ的に予測は付くんだけど一応聞くよ。……誰?」

 

 聞き覚えのない名に、首を傾げて少々ばかり疑問を短く呟くと、

ああ、そうだった、とばかりにアリエスは言葉を続け。

 

 「――ああ、うん。そりゃそうだよね。

ウチの子達が、617ちゃんと620ちゃんの事、呼び辛そうだったから、

渾名みたいな感じであの子達、そういう風に呼ぶようになったんだ。

名前が英字と数字の羅列って云うのと、義肢は付けてはいたけど、腕や足が人のそれとは違うように見えるその姿から、

あまり宜しくない事情があるんだって理解したんでしょうね。

あの()達も、その呼び方を悪くはないと思ってくれたみたいで、

そのまま定着しちゃったんだよ」

 

 彼女のそんな説明ののち、あー、と云った感で、納得感がある溜息を吐く皆様である。

存外に子供とは聡いらしい。

 

 「ま、語呂合わせも良い所なんだけどね。617だから6・1・7(ム・イ(チ)・ナ(ナ))

620はちょっと捻ったみたいで6・2・0(ロ(ク)・ニー・ゼ(ロ))、って感じで」

 「まあ子供ってシンプルなの好きだし。……しかし。良い子だよね、あの子達」

 

 続けざまの説明に、薄く笑みを湛えたままに呟き洩らすアクリ。

そして、子供達が褒められた事が余程嬉しかったか。

アリエスは自慢気にそりゃあウチの子達ですから、とかほざいてみたりして。

 

 「――先の名前もそうだし、見た目の状態も、感情の希薄さもあったからな。

ウチの連中、妙に617と620(コイツ等)に絡みだして、そのまま懐いちまってな」

 「あ、カプリ。お帰りなさい。ムイナちゃんもロニーゼちゃんも大丈夫?」

 

 そんな中。どうやらアリエスが先に云っていた様に、カプリもアクリ達に少々遅れて帰って来た様であり。

視線を彼の方に移せば一人の男性と、少々後方にて車椅子に座っている女子とそれを押している女性が居て。

 

 カプリと617、620の三名である。

お帰り、と云う言葉はそこそこに、先ずは強化人間娘達の心配をするアリエス。

 

 相変わらず(元)独立傭兵らしからぬ善人っぷりが酷い。

 

 「おう。……で、こいつ等(ムイナとロニーゼ)も、ガキ達に懐かれて満更でもなさそうでな。

アリエスが自分よりも早く懐かれてる、と微妙に不機嫌になっていたりしてる」

 「カープーリー。それ云っちゃダメだよ」

 「お母さん的には少し不満らしい」

 「だから云っちゃダメだって……ッ」

 「あー、はいはい、ご馳走様。お腹いっぱいだから惚気話は他所でやってね?」

 「惚気話じゃ……ッ! あ、いや。そうなのかな?」

 「ォィそこな羊さん?」

 

 からかい混じりにそんな風に云い放つカプリの言に、イチャイチャしながら抗議をするアリエス。

 

 こいつ等ラブラブか。らぶらぶだったな、ウム。

 

 兎も角、アクリがジト目で突っ込みを敢行すると、

あはは、と誤魔化し笑いを返して来て。どうやら無自覚に色ボケているらしい。

 

 「――ひ、さしぶり。元、気だった?」

 「61な……えーっと。ムイナの方が良い?」

 「ど、ちらで、も」

 

 夫婦の犬も食わぬやり取りを尻目に、挨拶をして来る617(ムイナ)

そんな彼女に挨拶を返しがてらに呼称をどうするかを聞いてみるアクリであり。

先の二人に全く動じてないのは感情が希薄だからなのか慣れてしまったからなのか、判断に困る現状である。

 

 「じゃあムイナで。ロニーゼもお疲れ様。お邪魔してるねー?」

 「うん」

 「……とりあえずはさ。ロニーゼ?」

 

 話は決まったとばかりにアクリはさっさかと呼び方を変えると、

視線をずらし、ロニーゼへと移しながら問いを掛け。

 

 「うん?」

 「義足は?」

 「――くるまいすの、うしろの、しゅうのうに、しまってる。

つけはずしするの、じかんが、かかるから、ACに、のってるときは、だいたいはずしてる」

 「へー、そうなんだ?」

 「うん。まえ、ドクターからも、いわれてたけど、ACとの、しんけいせつぞくを、

はずしても、ぎし、しばらくは、うごかせれない、みたいだから。

……それなら、けっきょく、ACにのったじょうきょうでは、あってもなくても、かんけいないし。

……ぼくも、いちおう、ためしたけど、うごけるようになるの、じかんかかりすぎで、

きたいをすてて、だっしゅつなんてのは、ふかのうだったよ」

 

 試してみていたらしい。と云うか、ロニーゼは僕っ娘だった様だ。

傷アリ・呂律弱し・僕っ娘の白髪美少女と中々に属性を詰め込んでいる娘っ子である。

あと、地道にリハビリをしていたか。たどたどしくはあるが、長文の台詞も問題なく発せる様になっていた。

 

 ……この娘、地味に努力家では?

 

 挨拶しながらアクリはそんな風に内心思いつつ、ロニーゼとの交流を始めるのを横目に、

ムイナはアリエスに向き直ると、乏しい表情のままに再び口を開き。

 

 「――独、立傭兵"フギン":ムイ、ナ。並び、に"ムニン":ロ、ニーゼ。帰、還しまし、た」

 「――ぁ。きかん、しました」

 

 彼女の言葉に忘れてた、とばかりにロニーゼも追従し。

その二人のガッチガチに硬すぎる言葉に苦笑をしながら返答をするアリエスである。

 

 「そこまでお堅くしなくても良いんだけどね。……まぁ兎に角。

お疲れ様、ムイナちゃん、ロニーゼちゃん」

 

 そんな二人の独立傭兵とアリエスとのやり取りを聞いていたユミコは感心した感で言葉を漏らした。

 

 「……へぇ。地球の神話でのカラスの神性の名前をコールサインにしたんですねー?」

 「良く知ってるね、ユミコ。そう。ハンドラー・ウォルターのトコの新人さんが、

ワタリガラス(レイヴン)のコールサインを名乗ってるみたいだから、

ムイナちゃん達もあの人達の同僚になるんだし、関連してそうなコールサインの方が良いかと思ったらしくて。

カプリに頼んで、カラスの曰くがある名を探して貰ったら、ちゃちゃっと探し出してくれてね」

 

 アリエス達にはこの娘っ子達がハンドラー・ウォルターの子飼いであるとかその辺りの事情は話していたのだが。

その時の彼女の反応は、あぁ、あの人のトコの子なんだ、と物凄く優しい声音で呟いていたのが印象深く残っている。

 

 ……優しい目もしていたのであろうが、

バイザー装備のお陰で色々ぶち壊しな気分がしないでもないがそれはそれとして。

 

 彼女は普通にウォルターとも知り合いだったらしい。

兎にも角にも、世間は酷く狭い話である。

 

 まあその狭い世間のお陰で交流が生まれ仲良くなり、

コールサインの相談事も受けたりもしているのだから、

何が起こるか分かったものでもない話ではあるのだが。

 

 「ハンドラーをとある神話の主神に見立てて、ソレに付き従う二羽のカラス……。

確か、あの二羽のカラス(フギンとムニン)もワタリガラスでしたよね?

その話も掛けてるのですかねー?」

 「そうみたい。でも本当によく知ってるね?」

 「……色々と、地球のデータログを読み漁ってた時期がありまして―」

 

 ユミコはそんな風に言葉を濁しつつも答えて。

あまり触れられたくないらしい。

 

 まあそれならば、と話題を別方向に持って行く事にしたアクリは、

視線をずらし、ムイナへとそれを向けると口を開いて。

 

 「――ええと。ムイナ、近況はどう? そろそろ借金返せそう?」

 「あと、少し。……安全、策を取、るなら、8から、10、ぐら、いは依、頼熟し、た方が、無、難?」

 

 とりあえずはアクリはお金の話をする事にしたらしく。

確かに返済が終われば、ムイナ達は念願のウォルターの元へと帰還できるのであるからして、

やる気がうなぎ上りになっているであろう話を振るのは間違いではなさそうであるが。

 

 「……でも、ムイナ。AC(あのこ)の、しゅうじゅく、いいかんじに、なってるから、

もうすこし、おおきいいらい、やっても、だいじょうぶ、なんじゃ?」

 「そ、うは云って、も。高額、な報酬の依、頼なん、て、そうそ、うあるも、のでも無、いし、

そもそ、も、今、の私達、にはリ、スクが高、過ぎるでしょ、う?」

 「それは……」

 

 意見の衝突があるのは感情が育っている証であろうから喜ばしい事ではある……のだが。

ギスギスするのも頂けないので、助け舟を出す事にして。

 

 「――それじゃあさ。……私達からの依頼、やってみる?」

 「依、頼?」

 「リブラ、キミが持って来たちょっと前のメールの件、まだ他に流してはないよね?」

 「――えっと……。あぁ、お義爺ちゃんからの件?」

 

 ムイナの疑問の声に軽く頷くと、己が後方に居たリブラへと視線を投げつつ問いを掛け。

その言葉に何の話だっけ、と一瞬考え込んだのちに思い当たったか、聞き返してみて。

 

 彼の言葉に今一度頷き、これは危険な依頼になるかもしれないから、

ムイナとしては物申したいかもしれないけど、と前置きをしてから説明を始めるアクリである。

 

 「……少し前、リブラの育ての親である義理のお爺ちゃんが、地震なのかコーラルが爆発したのか。

その辺りは不明だけど、とある地域の瓦礫の山の一角が崩れ落ちてて、そこに謎の遺構の入り口あるのを見つけたらしくて。

何があるかもわからないから、ってRaDer’s(こっち)に先行調査の依頼を持って来てね」

 「メールを読む限り、少々は踏み入ってみたんだけど、その辺りで転がっていた残骸を調べたら、

旧時代の……それも、コーラル関連の「何か」を取り扱っていた可能性がある施設かも知れない、

って判断をしたらしくて。まあまず間違いなく枯れてるんだろうけども、

もしも、遺構内施設が生きていたら自分一人では危険だから、

一旦しっかりと封印をしてこっちに依頼を投げて来た、って話みたいー」

 

 その説明に継いでそんな事を話すユミコ。

そんな彼女の言葉に軽く頷きつつ、再度アクリは口を開いて。

 

 「……この際だからぶっちゃけるけどさ。

その施設、生きてたらRaDer’s(私達)だけじゃ確実に手に余る可能性が高いんで保留にして貰っていたんだ。

余裕が出来たら、RaDの皆の方に話を投げて共同で調査しようかって話にはなってたんだけどね。

カーラはまだ武装ヘリ(オモチャ)の解析とリバースエンジニアリングの方で大忙しみたいだし、

目途は経ってなかったんだけど……私より確実に実力が上な二人が参加するなら、何かあっても大丈夫かな、って」

 

 そう云うと、ニヤリとした笑みを浮かべる。

女子がそんな邪悪な笑みを浮かべるんじゃないとツッコミを入れたいが。

 

 「とりあえず依頼内容としては、内部施設の状態と、

無人ガードメカ類が生きているかどうかの確認。

……その上で、安全が担保されたと判断されたら、機械類や残骸、ジャンクの確保、って所かな?」

 

 そんなアクリの台詞を継ぎ、ユミコが依頼内容を告げて。

 

 「――で、報酬だけど……。危険があったとしたら相当なリスクが予測される依頼だからねー。

危険手当込みで基本報酬は一人頭50万。んで、先に云っていた、

機械やジャンクの中でなにか有用な物があって、それを買い取らせて貰えるんだったら、

そっちはそっちで別途報酬を出す、って所でどう?」

 「あ、そうだ。……武装がまだ揃えきれてないんだったら、武器もいくらか融通するよ。

工具改造品や僕が趣味で造った武器だったら、追加報酬代わりに進呈できるし?」

 

 お義爺ちゃんのメールを見る限り相応の危険はありそうだし、これも報酬って事で。

そんな事をユミコの説明ののちにリブラがそんな事を被せる様に云う。

彼の言葉にちょっとばかり顔をしかめつつも何も云わない辺り、

危険手当(だが普通は独立傭兵の依頼に危険手当なんぞある訳がない)として追加しても妥当なのかも知れない。

……もしもその施設が完全に死んでいたとしたら、単なる探索になる筈なので破格過ぎる報酬になるが。

 

 「まった、ひっでぇ依頼料を。基本依頼人って依頼料を何とか値切ろうと躍起になる筈なんだが、

RaDer’s(コイツ等)逆に割増ししてやがる……」

 「こんな依頼なら私もやりたかったよー……」

 

 実際、元独立傭兵夫婦が羨望の視線でそんな言葉を零し合っていて。

 

 「……何なら、アリエスも参加する?」

 「えっ。……あぁ、でも子供達も居るし、遠出する事になりそうだし。

そうするとメインのお仕事(農業)を疎かにしちゃうから。

……それに、アクリは忘れる気満々なのは分かってるけどね。私、傭兵引退してるんだよ?」

 

 二人のそんな反応に視線を移し、アクリはそんな言葉を返す。

思わず驚きの声を上げてしまうアリエスではあるが、苦笑しながら断った。

 

 「そっかー、残念。もしもヤバいのが現存するって仮定したら、

それに対応も出来る人が多い方が、有難いんだけどねー」

 「巻き込む気満々だった!?」

 

 思い切りツッコミを入れるアリエスに、

断られたから流石に強要はしないよ、とアクリは返し。

単独でも危険領域と思われる場所の探索が可能な実力のある乗り手は多いに越した事はない。

 

 コストを度外視するのであれば。

事前の準備を出来うる限りやっておきたいと云う考えが透けて見える。

まあ、今回は勧誘を失敗してしまっているが。

 

 「――まあとりあえず、そんな感じかな。

依頼受けてくれるなら、他にも色々と便宜は図らせて貰うけど、どうかな?」

 「……ムイナ」

 

 アクリの問い掛けに、ロニーゼはムイナへと視線を向けて小さく言葉を漏らし。

判断はムイナの方に委ねる気らしい。それから、暫しの逡巡であろう沈黙。

 

 「――分か、った。その依、頼。受け、る」

 「ありがとう、ムイナ。ロニーゼも」

 「こちらこそ、はかくの、ほうしゅうの、いらいを、もってきてくれて、ありがと」

 「気にしないで。こっちとしては、もしもの為の戦力が増えたんだから、凄く助かる」

 

 そんな感じで、次のお仕事は他の独立傭兵(ハウンズ)との協同依頼となったようである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな協同依頼のやり取りを終えて暫し。

流石に帰還して直ぐに依頼の場所へ行くほど非道では無かったので、

一息入れる為にSheep Hornの隠れ家へと招かれ、少ないながらも採れた作物を使い、

簡易的な料理をアクリとアリエスの共同で作り上げ、それを食べた後。

 

 食休みをしているアクリに声を掛ける一人の女子の姿があり。

 

 「――アク、リ?」

 「ん……? どしたん、ムイナ?」

 

 その女子――ムイナに声を掛けられ。首を傾げながら視線を彼女へと向けると、

義肢である左手に握っていた何かを差し出されて。

 

 「――これは?」

 「こんな、モノしか、ないけ、ど。これま、で色々、と、手助、けしてく、れた、お礼」

 

 受け取ったその代物――メモリーチップを見やりながら疑問符を張り付けるアクリ。

そんな彼女へと、たどたどしい言葉遣いで言葉を紡ぐムイナである。

 

 「――これ、ハウンズ(先達)から、受け継いで、来た、集大成の、戦闘、ログ。

普段は、私達(ハウンズ)の脳内の、デバイスに、保存、されているそれ、を纏め上、げてチップ、に落として、来た。

コ、レと、同じも、のを、休眠、モードに落ち、る前に、620が、マスターに渡し、てい、る。

――それを62、1に、擦り込んだだ、けで、あそこ、まで戦闘能力が、開花する、とは、思わなかった、けれど」

 「……流石に、それは受け取れないよ。戦闘ログ(ソレ)、貴女達の命の次に重い記録……いや、記憶じゃないの」

 「いい。受け、取って。あなたの、リブラの、お陰で、このログ、を後輩(621)、に、繋げる事が、出来た、から。

それ、を参こ、うにして、開発、とか、の、ぎ、術向、上に役だ、てて」

 

 何、このとっても良い()

見た目的には同世代か、ちょっと上ぐらいに見えるんだけど。

 

  ――だが、621(レイヴン)が再稼働して間もない筈なのに戦闘能力が隔絶している理由は分かった。

本人の資質もさることながら、猟犬達(ハウンズ)の先達が遺して逝った膨大な戦闘ログを取り込んでいたからか。

 

 それにしても、あの戦闘力は酷過ぎるとは思うのだが。

 

 ……それから少々の間、受け取れない。受け取って、ロニーゼも承知してるから、等と押し問答が繰り広げられていたが、

結局根負けしたか。アクリは渋々と云った感で受け取って。

 

 「――ありがとう。大事に使わせて貰うね?」

 「う、ん。こち、ら、こそ。ありが、とう」

 

 そんな小さな感謝の述べ合い、その日は暮れていくのであった。

 

 

 

 

 







 次回は、戦闘回になるのか、探査だけで終わるのか……それはサイコロが以下略(ちょ
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