とあるルビコンのジャンカートリオ   作:清狼光牙

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 遅く……心底遅くなりまして……ッ!(またかよ

 いらんネタが頭を占拠したお陰で話の追加と手直しが相応に発生しました(吐血

 こういう癖、矯正しないといかん気がしてきました……(ぁぁ


35話

 

 

 

 

 

 RaDer’sと617(ムイナ)620(ロニーゼ)の協同依頼の締結から数日。

アクリ達は、べリウス大陸中部の西端から中央部寄りの山中へと足を伸ばしていた。

 

 ウォッチポイント・デルタ、と封鎖機構が呼称している彼の者らが保有する建造物から東側へ暫し行った所。

そこの頭上のグリッドは、アイビスの火にて壊滅的な打撃を受けて崩壊したらしく。

その残骸が動植物ことごとく焼き尽くし、単なる土の塊となった山へと降り注ぎ積層し、

以前のそれよりも二回り近く巨大な瓦礫の山と化しており。

 

 幾ら頑丈が過ぎるルビコンの建築物でも何らかの要因があれば、たやすく崩壊すると云う見本ではある。

 

 まあそんな話はさておいて。

……その瓦礫の山の一角が、彼女達の目的の場所である様で。

指定された位置情報を元に、RaDer’s(アクリ達)と同行しているフギン(ムイナ)ムニン(ロニーゼ)

その三機と無人機諸々を載せた大型輸送ヘリ(自宅)を付近に降下させようとしたその時、一つの通信がヘリへと届き。

 

 『――RaDer’sの皆さんですね? 依頼を受けてありがとうございます』

 「何奴ッ!?」

 

 そんな唐突な通信に、そろそろACに乗り込んどこうか、

と操縦室の座席でグダグダしていたアクリがノリでそんな事をほざくと共に、

同じく寛いでいたらしいリブラが己が知っている声に反応していた。

 

 「あ、お義爺(じい)ちゃん? ……まさか、ずっとここで野営してたの?

RaDer’s(こっち側)はこの件の事、

戦力が足りない可能性があるから保留にするって話し、したでしょ?」

 『――ハハハ』

 「――お義爺ちゃん? 危ない事はしないって云ってたよね?」

 『――スミマセン』

 

 どうやら通信元の人こそが、

リブラとのやり取りでしばしば話題になっていた義理のお爺さんらしく。

そして、流れる様に突っ込みを入れる彼と、

笑って誤魔化そうとするお義爺さんにドスが効いた声音で更に突っ込む。

そんなやり取りを目の当たりにしたアクリ達は仲良いなぁ、とか微笑ましく思ってしまう。

 

 そんな空気を通信越しに感じ取ったのか。

お義爺さんは気を取り直す様に小さく咳払いをすると、話を切り出して来て。

 

 『――コホン。初めまして、と云った方が良いですかね。リブラの義爺です。

とりあえず、安地に誘導をしますので、そちらに着陸して頂ければ。仔細はその後に』

 「了解です。――レティ?」

 《――発見した。あの誘導灯へと向かえばいいんだな?》

 「お願いー」

 

 そんな感じでとりあえずは合流する事となった様だ。

 

 

 

 

 

 

 

 誘導に従い、着陸させた輸送ヘリのカーゴを扉を大きく開け放つと、

そこに一機の巨大なMT……MT?

……と、兎に角。そんな代物が開けた入口の端へと乗り入れて来て。

 

 ――そのMTは、元がBAWS製の重四脚MTであったのであろうが……

脚を更に二脚追加し、六脚として安定性と積載量を高め、

その増えた余裕で装甲を厚くして後背部に簡易的な住居を取り付け、

ソレにも装甲を重ねて強度を保つと云う改造を施した、

云わば、"重装甲六脚"MTとなったらしきものであり。

装備としては、右手に色々と改造を施しているらしき大型のレーザートーチを持ち、

左腕のマニピュレータは、大型のペンチ型のハサミに交換していて。

そして頭部には有用な機材やジャンク等を積み込める様にであろう、

そこそこの大きさの蓋付きコンテナと、

折り畳んで格納が出来る二基の小型のクレーンが設えられている、と云った風情である。

 

 因みにその重装甲六脚MTは、

装備を含めた外観からカニ――"キャンサー"、と名付けられていた。

懐かしいなー、と乗り入れて来た機体を見ながらリブラはそう呟いていて。

 

 ――その話をのちに軽く話題としてリブラから聞いた時。

ソレはリブラがお義爺さんと一緒に修理屋として放浪していた頃から使っていて、

多少の改装・改造・オーバーホール等を経てこの外観へとなった様だ。

 

 とりあえず、魔改造し過ぎな感は否定しない。

 

 そんな中。脚を折り込み駐機状態にした後、

ハッチを開いてタラップを降りて来るは、優し気な雰囲気を持つ一人のご老人で。

目前へと歩んで来たその人へとアクリ達は軽く会釈をすると、言葉を紡ぎ。

 

 「――改めて初めまして。

貴方の話はリブラから常々聞かされていますから、

そんなに初めまして、って気がしないですが。

独立傭兵"RaDer’s"、AC乗りのアクリと云います」

 「同じく、オペレーター、ユミコです」

 「僚、機とし、て随伴する、独立傭、兵"フギン"」

 「おなじく、"ムニン"」

 「これはどうもご丁寧に。

私も貴女方の話はリブラとのやり取りで承知していますので、他人とは思えないですね。

――ああ、済みません。訳あって名は捨てたので、

私の事は――そうですね。グランファ、とでも呼んで頂ければ」

 

 そんなアクリ達の自己紹介に穏やかな声音で返して来る老人――グランファである。

見た目も相まって、子供好きな優し気なお爺ちゃんにしか見えないが、

このルビコン3で老人が生き残っていると云う事は、

この人も色々と長じている人ではあるのだろう。

リブラの育ての親であり、その技術力と見識の高さからして、

コーラル関連に携わっていた技術屋であったのは確実であるが。

――あと、フギン(ムイナ)ムニン(ロニーゼ)に視線を移すと、

一瞬だけ悲しげな眼をしていたのが印象に残る。

 

 「お義爺ちゃーん! 久しぶりーッ!」

 「おおっと。久しぶりだね、リブラ。うん、以前よりも大きくなった」

 「えへへ……。うん、それだったら嬉しいな」

 

 そんな彼の元へと飛び込む様に抱き着くリブラ。

義孫ちゃんの突撃を上手く往なし、踏ん張るお義爺ちゃんの図である。

先の悲しい色とは裏腹に和やかに笑い合うその姿は、

見る者に自然と笑みを零れさせる程に温かであり。

 

 うん、尊い。

 

 そんな内心の言葉をとりあえず殴りつけ。

依頼の話をするべきと考え、アクリは質問を掛けてみる。

 

 「――それで、内部はどうなっているので?」

 「封印を施す直前で確認した限りでは外観は瓦礫に埋まった施設めいたモノ、という程度ですか。

瓦礫をある程度退けてから少々内部に踏み入り、本格的に調査をしようとしたら……

どうやら、その内部は強力なジャミングが掛かっている様でして。

レーダーや、ロックオン等の機器類が全く反応しなくなったのですよ。その上で暗い通路の中。

遠目に時々火花が散っている箇所が見え隠れしていたので、

かの施設は、確実に生きてはいるのでしょう。

……だからこそ、周辺にあった壊れた機器やジャンクを拾った後、

それ以上踏み込まずに封印したのですが」

 「賢明でしょうねー。貴方の機体は大本が重四脚MTですから、

戦闘に十分に耐えれますし、更に色々と改造を施してはいる様ですが……

何が居るやも分からないですしねー」

 「そうなのですよ。私自身、戦闘は得意とは云い難いので、

複数機に寄って来られると、危険すぎますから」

 

 とりあえずの説明にでしょうねぇ、としか云いようがない。

と云うかそんな状況下での依頼はRaDer’s(私等)も、ピンだったらまず間違いなく請けない。

スッラの時の件は見通しの甘さとカーラからの依頼だと云う状況の所為であるからして、私悪くない(自己弁護)。

 

 まあそんな話はさておき。

僚機として参加をする、協同の独立傭兵の方から問いを発せられて。

 

 「……質、問。アク、リ達か、らは粗方の依、頼内容は、聞かさ、れたけど、もう一、度、確認。

依頼、は、施設内、部の防衛兵、力が残っ、ていれば、それの排、除。

安、全が確保、出来、たら、施設内にあ、るデータロ、グや、機器、ス、クラップ、ジャ、ンク品を手、に入れる。

それ、は別、途、報酬、があ、る。間、違い、ない?」

 「ええ。こういう施設では私が欲しいと思えるものはデータログ関連です。

そのデータも、コピーさえ取らせて頂ければそれで十分ですので、他は報酬として進呈します」

 「――で、その報酬をRaDer’s(こっち)が預かって、

伝手を使ってそれらを売り払い、別途フギン・ムニン(そっち)の追加報酬に充てる、と云う形ですねー。

なので、頑張って色々とイイモノを見つけ出して下さいねー?

……あ、因みにその拾ったなにかしかの中に欲しいものがあったら、追加報酬は現物に変更でも可ですよー」

 

 そんなムイナの問いに答える大本の依頼主であるグランファに、

依頼を受けた側のユミコが頷きながら後に続き。

 

 依頼内容の再度の確認は、齟齬を埋める為とも云えるし、後出しで依頼内容を変更されない為の予防線としても機能する。

堅実な傭兵稼業を熟しているのが窺い知れる。カプリの指導が良かったのであろう。

 

 そんな事を考えながら、グランファやユミコと猟犬達のやり取りを微笑ましく眺めるアクリである。

 

 

 

 

 

 

 

 「よーし、それじゃあ、ダンジョン探索、はっじめっるよー!」

 『ダンジョンじゃないけどねー』

 

 それから、粗方の話を完了したのち。

己が乗機に乗り込んだアクリは、軽いノリでそんな宣言をする。

通信機越しに呆れた声音で突っ込みを入れるユミコのやり取りを皮切りに、瓦礫山中施設の探索は始まって。

 

 その宣言した本人の乗機はと云うと……

頭をRENKON改(索敵強化型BASHOⅡ)、コアをBASHO(弐式)

腕をMELANDER、脚をSPRING CHICKEN改(重逆脚)

武装は左手にBOKU-SATHU(メイス)

右手は無手で腰部裏の小ラックにいつものお供、鋲打ち機改造ニードルガンを懸架しており。

右肩にリブラが事前に造っていたらしい、ごく短距離なら通信が可能となる対ジャミング兼通信センサー。

左肩にクレーンアーム改と云う、戦闘よりも支援方面に重きを置いているアセンブルで。

 

 次いで、ムイナ、ロニーゼ機はACそのものは共にバージョンアップしたRaD探査フレームのままなのだが。

塗装と武装がそれぞれ変化しており、ムイナ機は灰色に近い白の色合いの装甲に、フレーム部を血の様な赤にしていて、

右手にリブラの新作の一つ、実体シールド。

――外観はサーフボード然とした姿形で、それの厚みは中々に太く重厚である。

ソレの重量を誤魔化す為なのか、その盾の両脇部に可動域を相当に広げているBST-G1/P10(ファーロン最初期ブースタ)を取り付け、

装備している腕が振り回され辛くしつつも強引に機動力の担保にしている、云わばブースタシールドと云う代物らしい。

AC自体に扱うには少々心許ないG1/P10の推力を大重量の武装の取り回しに使うと云う中々のトンデモコンセプトである。

左腕にLITTLE GEM(小型バズーカ)

右肩に偶にアクリも使っている、多目的ラックからの三段積みMTミサイルランチャー。

左肩にSI-24:SU-Q5(パルスシールド)を装備して二枚の盾で防御を張りつつ、

ブースタシールドと己がACのブースタで機動力も確保した上で、

ある程度は火力も出せる様にしたアセン。

重量とEN容量は大丈夫なのだろうかと心配になってしまうぐらい重そうではある。

ロニーゼ機は装甲部を橙色、

フレーム部をムイナ機と同じく血赤にしており(フレーム部の色合いは統一しているらしい)、

右手にアクリと持っているのと同じ、鋲打ち機改造ニードルガン。

左手もう一つのリブラの新作、動力用の細めのパイプを切り出して数枚重ねて持ち手を取りつけ、それをショットガンへと改造した、パイプ式ショットガン。

右肩にP20MLT-04(4連ミサイル)、左肩のウェポンハンガーにVP-67LD(レーザーダガー)を懸架して。

武装を軽量にして回避機動と手数で翻弄するアセンである様だ。

 

 『――まえのいらいで、AC(このこ)を、手に入れてから、ずっとつかってた、

RaDのショットガンと、ちゅうこひんのBAWSのバーストマシンガン、こわれちゃって。

かわりが、ほしかったから、むりょうで、しんていしてくれた、これ、ちょうどよかった。ありがと』

 『RaD製ショットガンってクセ強いのに、良く選んだね、ロニー……もとい。ムニンさん?』

 『てにいれやすくて、あんかで、しゅんかんかりょくが、だせるから。

……まあ、クロスレンジの、きょりじゃないと、あまりこうかは、ないけど』

 

 やはり見た事もない機器類などが見つかるかもしれないと云う好奇心に負けたか。

グランファの駆る重装甲六脚MT(キャンサー)に相乗りしているリブラが、

ロニーゼが珍しい武器を使っていたらしいその理由を聞いてみたら、物凄くシンプルな答えが返って来る。

やはりどこも初めは資金難か。世知辛い。

 

 『あぁ、そうだ。パイプ式ショットガン(ソレ)、ベイラムのHALDEMAN(軽ショットガン)を参考にして造ってるけど、

耐久性と安全性はやっぱり正規品には劣るから、

ちょっと強引な使い方をすると暴発の可能性も出て来るんで、そこだけは気を付けてね?』

 『りょうかい』

 

 でも、リブラのじさくぶき、そこそこには、がんじょうで、あんかみたいだから、

そうびになやむときは、こうにゅうさせてもらうね。

そんな事を云ってくれて。毎度ありがとうございます。

 

 『――じゃあ、通信が届くまでは情報支援するけど、ジャミング強度が高そうなら、

直ぐに通信できなくなるんで、後はお任せするよ、アクリ。その為に通信強化装備をリブラに造って貰って装備させたんだし』

 「はいな、任された。……ユミコも大型輸送ヘリの護り、お願いね?」

 『まあいざと云う時は、レティと無人MT隊に出て貰うから、大丈夫だよー』

 

 とりあえず、居残り組となったユミコとそのお守りのレティを大型輸送ヘリに残し。

グランファの乗るキャンサーは、封印されていた扉のロックを外すと、

あらかじめ扉に溶接していたらしいU字の持ち手に己がハサミ部を差し込んで握り、

力任せに横へ引いて、強引に解放した。……脳筋が過ぎやしませんかね?

 

 『システム復旧が出来ていない施設であって、パワーがある機体が手持ちにあるのであれば、

これが一番シンプルな方法なのですけどね』

 

 そんなアクリの内心の突っ込みを見透かしていたか。

グランファはそんな言葉を発して。

 

 確かにその通りではあるのだが。

 

 『――アクリさん?』

 「おおっと、了解。先に軽く潜ってみるね」

 

 そんなやり取りの中、好奇心が刺激されまくっているリブラが、ちょっと焦れた様に云うと、

ああそうだった、とばかりに応えつつ施設内へと足を踏み入れて。

 

 「COM、カメラアイの暗視モードへの切り替えと、戦闘モードも起動で」

 《了解。カメラアイ、暗視変更。並びにメインシステム:戦闘モード起動》

 

 周りが暗いままなので暗視モードへと切り替え、念の為に戦闘モードに設定してから少し歩くと――

 

 『い――り、通-状態-悪くなっ――、うん、ダメ―こりゃ。ア―リ、後はお―いねー?』

 「はいよーっと。んじゃ、皆。私のACからのチャンネル送るから、そっちに切り替えてねー?」

 『了解』

 

 入り口から100mも入っていない状況下で、ユミコからの通信にノイズが相当に混じり始め。

ならさっさか対応をお願いして、直ぐに通信を切る事にした様で。

そんな彼女の迷いのない行動にやれやれと内心思いつつも、己がACの右肩に備え付けられた通信機器を起動。

一同をジャミングが強く掛かっているらしい施設へと招き入れる寸前に声を掛ける。

 

 「テステス。ちゃんと通信は大丈夫そう?」

 『問、題ない』『だいじょうぶ』

 『大まかな通信可能範囲は半径500mと云った所ですか。中々の通信感度ですね。――リブラ、腕を上げましたね?』

 『ありがと、お義爺ちゃん』

 

 そんな感じでそれぞれが好き勝手に話している感に微苦笑を漏らしながらも先に進む事にする。

 

 

 

 

 

 「――ムニンッ!」

 『りょうかい、はかいする』

 

 それから暫し。数カ所の部屋の探索を終え、

その終了した区画の復旧を完了させてから次の区画へと脚を向けた一行は、

度々、この施設の洗礼を受けている様で。

 

 アクリ機は囮になる様に前に出て逆脚の跳躍力を生かし、

通路と壁を縦横無尽に蹴り跳んで機動しながら赫い射線をかく乱する。

その間を縫って、ムニン(ロニーゼ)機が軽くブースタを吹かせ、

飛び上がると同時にショットガンを撃ち放ち、その射線の元を破壊して。

 

 ――絶妙に近距離射撃を弾く嫌らしい高さの天井に、稀にガトリングポッドが隠れているらしく。

突如としてそれがせり出して来て、赫い(・・)レーザーをばら撒いて来るのだ。

 

 「――コーラル転用兵装の侵入者迎撃システムとか……。なんつー代物を……ッ!?」

 

 悪態を吐きながら更に回避をしつつ、余裕があれば拳かメイスで、

迎撃システムの一つであろうEN兵装を内蔵し、天井や壁に突如現れるガトリングと同じ様な、

赫いレーザーを発射しながら飛来して来る無人ドローンを殴り飛ばしたりするアクリ機。

――どうやらその無人機群もアイビスの火の中、無事では済んでいなかったらしく、

幾らかのドローンは小破、又は半壊している個体もあり。

その為か、回避行動を取れないような機体も多々あったので、撃墜しやすいのだけは救いか。

 

 『"キャンサー"はEN耐性がそこまで高くないのですけどね……!』

 『じゃ、あ。こっち、で護る、ね』

 『助かりますッ』

 

 対EN防御を疎かにしてしまっていたグランファがそんな言葉を口にして。

そんな彼の台詞に危険を感じたか、フギン(ムイナ)がパルスシールドを前面に発振し、シールドも同時に構え。

キャンサーをかばうとほぼ同時、赫い光が周囲に散る。

どうやら、普通のレーザー兵器にコーラルが混ざっている、と云った実態の様で。

通常のそれよりは攻撃力や衝撃力が高いらしく、ガリガリとパルスの光と実体盾の装甲が抉られて行っている。

 

 『――重、い……ッ!?』

 『フギンッ』

 

 小さく驚きの声を上げるムイナの言葉に、少し焦りの色を乗せたロニーゼの声。

それと同時、その圧が幾分か和らいで。

ムニンが両手の銃を発砲し、撃ち込んで来ていたドローン数機を落としてくれた様だ。

 

 『感、謝』

 

 ムイナが礼の言葉を云う頃には、アクリも援護に参加し敵機を薙ぎ払い、湧き出て来ていた敵性体の殲滅を完了。

片手で改造ショットガンのリロードをしつつ、警戒を続けるロニーゼである。

 

 ――こんな感じで敵性体達は、物陰や何も無かったはずの壁や天井から突然飛び出して来て、

突発的な小戦闘が度々起こっているのである。

先に見かけた様な、小破~中破しているドローン等はEN兵装を展開する速度もお察しレベルで遅いお陰か、

対応はそう難しくは無いのだが、中々に忙しない。

そんな中、ひとまず状況が落ち着いたか。グランファが呟く様に小さく言葉を発し。

 

 『――コーラル兵装の割りに、攻撃が直線的過ぎる……? ここは、最初期のC兵器の生産工廠だったのかも知れませんね』

 「直線的? 耐EN処置もしている装甲が焼け溶ける程度には威力やべーんですけど……ッ」

 

 その彼の言葉に抗議の様に突っ込みを入れるアクリである。

実際、所々掠めたか、彼女のACの装甲の一部が焼き爛れたかの様な跡が刻まれており。

 

 『レーザー兵装の威力強化だけしか出来ていない辺り、まだまだ発展途上の研究所だったのか……

それとも、技研の技術を盗んで開発をしていた企業でも居たのか……。

それは兎に角、技研製の最後期のコーラル兵器は、不規則かつ不条理な軌道を描くレーザーやパルス兵器が主流になっていましたから。

真っ直ぐ直進するレーザーなんて分かり易い武器は内臓兵器類ぐらいで、外付けの兵器にはあまり無かった筈ですが』

 「なにそれこわい」

 

 グランファのごく当たり前、と云った感の言葉に、戦慄するしかないアクリである。

いやそもそも光線がグネグネ曲がったらおかしいだろう常考。

 

 ……しかし、これだけコーラル兵器に精通している辺り、

この人は、元技研の技術者であるのは確定か。

 

 だがあんな良い子なリブラの育ての親なのだし、

悪人があんな素直な子を育てられるとも思えないので、要らない詮索はしない方が無難であろう。

脛に瑕がある人なぞ、ルビコン3(ここ)にはごまんと居る話ではあるし。

あと、強化人間の二人に相対した時の視線が、一瞬だけだが物悲し気だったのも悪人では無い可能性の後押しをしている。

 

 『……まあ、無人ACやMTの様なスタンドアロンで扱える機体類とは違い、

最後発辺りの兵器類はある程度の頻度で精密メンテナンスをしないと直ぐに使えなくなるのですが』

 

 そんな事を云いつつ、キャンサーのマニピュレータでその破壊されたドローンを持ち上げて。

 

 『――やはり。無人ドローン(これ)は、動力そのものが内蔵されていなく、

ENが尽きそうになったら自動的にEN供給源に舞い戻ってENの補充と共に休止、

充填が終わったら再度出撃、と云ったプロセスを熟すと云うシンプルなタイプの様です。

そんな簡便なドローンだからこそ頑強に造れ、半世紀もの長い期間、半壊しつつも稼働し続けれていたのでしょう』

 

 稀に生活圏辺りにコーラル兵器が現れたりする事もありますが、大体どこかしか壊れている事が多いですしね、等と締め。

……確かに何年かに一度の割合で、そんなコーラル式自立機動兵器がどこからともなく湧いて来て、

甚大な被害を齎しつつも撃破していると云う噂は、傭兵稼業で行った先の方々で聞いた記憶がある。

 

 まだお目に掛かった事はないし、今後ともお目に掛かりたいと思えないがな!

 

 そんな風に思うアクリである。

どこかで旗が立った気がしないでもないが、それは気にしては駄目である。

 

 『――とり、あえず。目視圏、内には、敵、影無し』

 

 そんなやり取りをしている時も、ムイナの方も警戒をしてくれていたのであろう。

レーダーがまともに機能せず、更に辺りは暗闇に覆われているこの状況下。

強化人間ならではの機械越しではあるが暗視付きの肉眼と変わらぬ目視にて、

お代わりが無い事を確認してくれていた。

 

 「ありがとう、フギン、ムニン」

 『内、部調査、も依頼、の内』

 『そだよ、きにしないで』

 

 短く感謝を送るアクリにこれも仕事の内だ、と返してくる二人である。

仕事人ですねぇ。

 

 そんな一同のやり取りを横に、グランファはフム、と小さく呟くと、

少々の間ののち、アクリ達に言葉を投げて来て。

 

 『……きっと大丈夫ですよ。これは推論になりますが、

これで大部分の敵性機体はスクラップに変えれたのではないかと思われます。

……以降の探索は大分、楽になるかと』

 「その心は?」

 『施設内の状況を見るに、相当長い年数誰も立ち入ってない様子であるにもかかわらず、

迎撃の為に半壊やスクラップ寸前のドローンが侵入者対応として現れた時点で……』

 「自動制御の生産施設も修理施設も無いか、それらは稼働していない状況下、って事ですか……」

 『そう云う事です。その上で沈静化して、お代わりが来ない今の状況を鑑みれば、と云う話ですね』

 『じゃあ今の内にメインのシステム端末を見つけ出して、

ハッキングからの復旧や管理者権限掌握をして、残っているトラップ類も黙らせるのが良いかな?』

 『うん、そうですね。そうした方がここの施設がどんな代物であれ、融通が利きますし』

 

 彼の台詞に考え込みながら返すリブラの言葉に頷きそういう方針で行く事となった様だ。

 

 

 

 

 

 

 

 それから暫し。

グランファの予測の通りに、その後は据え置きのガトリングポッド以外の敵性体は現れず。

サクサクと探査は進み、残す所は最奥の区画を残すのみとなり。

その区画への道すがらにキャンサーに相乗り中のリブラが、操縦者へと声を掛ける。

 

 『――お義爺ちゃん。拾ったログの解析、終わったよ?』

 『あぁ、ありがとう。――フム?』

 

 別の区画の端末で電源を復旧したのちにそこに残っていたデータログをコピーし、それの解析を進めていたらしく。

ロックが掛かっていたらしいそのデータもさっと解析しお義爺ちゃんの端末へと転送するリブラと、

MTを操縦しつつもそれを受け取ると確認を始め。

おい、余所見運転事故の元。

 

 「――何か分かったので?」

 『えぇ。どうやらこの施設は、技研――ルビコン3調査技術研究所の対抗組織……

とは云っても、技研に比べれば規模は相当小さかったようですが。

まあ、技研に入る事が叶わずにあぶれた研究者達が中小規模の企業の後ろ盾を得て、

細々とコーラル関連の研究をしていた所の様ですね』

 

 それはそれとして。

何か小さく思案するかの様な呟きを漏らす彼の人にアクリは問い掛けると、そんな答えが返って来る。

 

 二匹目のドジョウ狙いの(こす)い研究機関の施設だったらしい。

その割には、コーラル兵装の威力は怖いものがあったが。

 

 そんな完全下位互換組織だったとしても、

今のルビコンの技術力を凌駕していそうな予感は……考えたくない、うむ。

 

 『メインの研究はコーラル動力の効率化と出力向上。そこからのEN兵器への転用と云った所ですか』

 「コーラル動力……技研とやってる事は同じかな」

 『そうですね。……ですが、こちらでは基礎技術がかなり低かったようで。

先ずは大型機器で使うコーラル動力機関の開発をしていたみたいですね』

 『そ、れから、段、々と小型、化?』

 『はい。一応最終的には、重四脚MT程の大きさの機動兵器が保持できる程の武器の開発まではこぎつけていた様ですが。

……それが実用化の前にアイビスの火が起こったみたいですね』

 

 どうにも、技研と比べると周回遅れ感が否めない話である。

……と、何かがピンと来たか。アクリは戦慄の色を含めつつ口を開き。

 

 「……あれ? って事は……」

 『はい。その武器が、この最奥の区画に眠っている可能性があります』

 「まーじーかー……」

 

 彼女の予測を肯定するグランファの返しに、お宝の匂いを予感するのだが……嫌な予感がするのぅ。

そんなアクリの考えと同じ事を思い至ったか、他の一行も沈黙してしまい。

 

 『……と、兎に角。下手の考え休むに似たり、って云うしさ。

この施設の全域の確認を終えてからその辺りは考えれば良いんじゃないかな?』

 「……ん、そだね。リブラの云う通り、探査を完了させてからにしよう。

――そのグランファが云っている代物、アイビスの火が起こる前に回収されてるとか、

燃え尽きて遺失してる可能性も無きにしも非ずなんだし」

 

 そんな沈黙を払うかのような建設的な提案がリブラから成され。

彼の言葉に乗っかり、アクリはそんな事を云うと探査の続きを促して。

またもやなんか旗が立った気がするが。

 

 それはそれとして(現実逃避)。

 

 気を取り直し、最後の区画へ続く扉の前に到着した一行。

毎度の如く、ハッキングからのロック解除をし、扉を開こうとした矢先。

計器の確認をしていたか、真剣味を帯びた声音でグランファが言葉を発し。

 

 『……拙いかも知れません。この防衛扉の向こう側。気化したコーラルが残留しているみたいです。

運が悪ければ、引火する可能性がありそうですね……』

 「やべぇマジか。……アイビスの火の衝撃でここの動力が壊れたとか……は、無いよね。

それだったらもっと昔にこの地域壊滅してたろうし」

 『この、やまだって、へいちに、なってたんじゃ、ないかな?』

 「山程度の規模ならあっさりと消し飛ばせると思えるコーラルへの熱い信頼感。

……兎に角、グランファがここを見つけた時に起こった地震だか爆発だかの影響で、

機器が壊れて漏れ出したってトコか」

 

 彼の言葉に、より緊張感が強まる一同で。

 

 『――装甲が焼けるのを覚悟するのであれば、そこそこの量を回収は出来そうですが……』

 「気化したコーラルとか、集めれるんですか?」

 『以前造った回収機が手持ちに何基かありますので』

 「その回収機とコーラル、買い取らせて頂いても?」

 『構いませんが……』

 

 ――強まりはしたが、再びのグランファの言葉へ食い気味にアクリが反応したお陰で一気にしぼんで。

何やってんの貴女。

 

 『アクリさん……』

 『()、り過、ぎは、身体、に毒だ、よ?』

 『のうみそパチパチする、よっぱらいは、ダメにんげん、いっちょくせん、なんだから、ね?』

 

 物凄く己が欲望に素直な彼女の言動に、醒めた声音の突っ込みが入りまくり。

その突っ込んで来ている一同は、確実にジト目であろう。

 

 私そんなに信用ないッ?! 等と吼えてみるアクリであるが、あーはいはい、的な反応しか返って来ず。

べ、別にコーラルをキメたいから欲しいって訳じゃあないんだからねッ、等と再度声高に主張したが、

まともに取り合って貰えず。悲しいね。

 

 それはそれとして。

キャンサーの頭頂部のコンテナから取り出されたコーラル収集器(気化吸引型)をアクリ機はささっと受け取ると、

薄く開いて貰った扉に掃除機の吸入口の如くなソレを差し込み、全力稼働をさせる。

それの本体に取り付けられたジェネレータが唸りを上げ、ソレよりも一回り程大きい本体の箱へと赫い大気が吸い込まれ。

そして少々の間。観測用の計器と睨めっこをしていたらしいリブラからの言葉が。

 

 『――入り口付近のコーラル濃度、危険水準を下回ったよ。

もう普通に開いても大丈夫じゃないかな?』

 『そうですか。……では、開きますよ。各々用心をお願いします』

 『スキャン……は、まだきかない、かな』

 『こん、な所に、までジャミ、ング、が成さ、れてい、るんだね?』

 「最奥だし、一番の機密があるだろうし?」

 

 そんな感じで先の連戦からの脱却により、微妙に力が抜けているらしい姦し娘どもの緩めの会話である。

まあだからと云って警戒を怠っている訳では無いのだが。

 

 恐る恐る、と云った風情でゆっくりと扉を解放して行く中、

何かの動きがないかをモニタと睨めっこしつつ観察していたが。

モニタ越しのカメラアイの先に見えたは、動きを止めているそこそこの大きさのナニカが複数。

 

 「――装甲が焼き溶けてるハコアシがそこそこの量……か。多分、高濃度のコーラルにヤられたんだろうね」

 『ここは、MT-T-026(ハコアシ)の待機場だったのでしょうか……?』

 『ぜんぶ、こわれてそう?』

 『一、応警戒、を』

 「そだね」

 

 さらに詳細に確認したアクリの呟く様な言葉に一行は、彼女が示している方へとカメラアイを向けて確認をすると、

確かに、十体程のハコアシ――旧時代の代物であろう、BAWS製のガードメカらしきモノが駐機――

いや。その体のまま、外装内装をコーラルに浸食されて床面と溶け混ざり、固まっている様子で。

 

 だが今だ原型を留めている辺り、ガードメカとは云えやはり旧時代の建造物は頑丈であるらしい。

 

 ガッションガッションと、ゆっくりと注意深く周囲を警戒しながらそのガードメカ群へと歩みを進める一行。

データログを収奪できる程に近付くと、キャンサーはその機体の見分を始め。

 

 『……うん、やっぱり装甲とか素体部とか。今のBAWSの作りじゃないね?

前、解体(バラ)した旧時代BASHOのフレーム部の脚周りとそっくりだ』

 『一目で見抜きますか。リブラ、研鑽は怠ってはいない様ですね?』

 『当然。……でも、これだけの頑丈な支えがあるんなら、

BAWSでもAC用の逆脚造っててもおかしくないと思うんだけどなぁ』

 『あの時代、逆脚の技術がほぼ無い状況だった様で。

逆脚に最初期のMTのコア部を載せて、やっとその逆脚がまともに機能したらしいと噂で聞いた事があります。

それからアイビスの火でため込んでいたその辺りのノウハウも灰になった様子で、製造はそのまま立ち消えた様ですね』

 『へー……』

 

 何か、旧時代のMT・AC談義が始まったキャンサー内のメカニック師弟のあれそれはもうスルーする事として。

他にも何か目ぼしい物が無いかと辺りの探査を始めるアクリ達である。

 

 「とりま、あの二人が講義を始めれる程度には安全そうだし、私等は私等で適当に細々と物色しましょうか。

もしも何かがあったら直ぐに全体連絡をお願いね?」

 『賛、成』『りょうかい』

 

 とは云っても、三機もACが居る時点でそこまで時間は掛からないであろうが。

そんな感じでそれぞれが方々へと散る事となって。

 

 散開した後、アクリが目指したのは最奥の区画の一番奥にあった大きな扉。

周辺のコーラル残量の確認して問題はなさそうなので、クレーンアーム改の大本である、

WEECKER(RaD土木)腕のパワーを用いて無理やりその奥にあった扉をこじ開けて。

グランファには突っ込みを入れていた筈なのに、自分はそれを平気でやる。中々に最悪な娘っ子である。

 

 それはそれとして。

こじ開けた扉の隙間にRENKONの新規増設されているセンサー部の先端を突っ込み、

周辺状況の確認。稼働しているナニカが居ない事が分かると直ぐにその扉を全開に開いて、内部へと侵入した。

 

 辺りを見回すと、相当広くスペースを取っている部屋である。

入り口扉は焼け爛れてはいたが、その内部までには気化コーラルは流れ込んでいなかったらしい。

 

 「――地下演習場……いや、試作武器の試験場だったのかな?」

 

 アクリはこの部屋の状況を鑑み、己の予想を一人呟きながらゆっくりと歩みを進める。

 

 「しかし。なーんかこの景色、どっかで見た……あぁ。

オールマインドのトレーニングとACテストのシミュレータ、か」

 

 何もないだだっ広い空間に既視感を覚え、その思い当たる節を考えてみると直ぐ様に答えが思い起こされて。

 

 「よくよく考えてみたら、この施設の通路もトレーニングで通った路に似てたかも。

ひょっとしてこの施設の内観を参考にしてたりして」

 

 まあそんな訳はないと思うけどねー、等と独り言ちたりしつつも、何かないかな、と更に探してみる。

 

 ……と、その演習試験場の角端に、何か大きな塊を見つけ。

近付いてそれの確認をする事にするアクリである。

 

 「――旧時代のBASHO? ――に、しては……」

 

 近付かぬともある程度の距離を見ればその大きな塊が何物なのかは分かるのだが、

そこにはルビコンではごくありふれたACが、脚を投げ出した感で部屋の角にもたれ掛かる様に倒れており。

 

 ……が、その身姿は異形、と云って差し支えなかった。

 

 ――頭部とコア部は見た目的にはほぼ現状のBASHOと変わらぬ旧時代BASHOであるのだが。

腕部は太く大きくなっており、やたらゴツゴツしく、目算で大体腕の太さ周りが通常のBASHOの二倍近くに見え、

動力チューブやら伝送コードが剝き出しで所々に繋がっている。

そして、更に異彩を放つのは脚部で、見てくれそのものは通常のBASHOの二脚ではあるのだが、

投げ出されたその本体の下敷きになっているが、尻の方からもう一脚、BASHOを改造したのであろう太めの脚が一つ生えていた。

 

 「なにこのキメラAC。――まあいいや。COM、内部スキャンとデータログハック」

 《了解。内部スキャン開始。――――内部、反応なし。データログハッキング――》

 

 自分のACが偶に装備するキメラ腕を完全に棚上げしつつも、

とりあえずはと云った感でCOMに命じて一通りの確認を熟す事にしながら、

カメラアイはそのキメラBASHOが握っている"武器"に注がれており。

 

 「イカツいゴツさの……多分見た目から鑑みて、Vvc-760PR(プラズマライフル)系、かな?」

 

 所々黒錆が浮いてはいるが、欠損らしき欠損が見当たらない、

見た目だけで云うとVCPLのプラズマライフルに近しい形状ではあるが、

大きさがソレの2倍以上になっており、所々にエネルギーチューブやコードが設えられ、

キメラBASHOのジェネレータや、太くなっている腕に直接繋がっている様子である。

 

 とりあえず、その武器の詳細を確認しようかと思い、

そのキメラACのマニピュレータから武器を外し、自機に持たせようとしたら――

 

 「……クッソ重いんですけどッ?!」

 

 全く持ち上がらず、寧ろ想像以上の重さによりMELANDERのマニピュレータが少々異常をきたしたか。

その持ち手を外れ落下して、ドゴン、と云う異様に重い音を立てて床部に傷を付ける。

ソレに一瞬遅れ、モニタに「腕部積載超過」の真っ赤な文字と、アラートが鳴り響いた。

 

 つうか、腕部積載量そこそこ高いMELANDERですらもこれってどんだけ重いんだコイツッ?!

 

 思わずそんな叫び声をコックピット内で上げてしまうアクリであるが。

――そんなコントの様な事をしている間に、COMの解析は終了したらしい。

気を取り直しまして。

 

 《――データログハッキング完了》

 「――と、とりあえずこのライフルは後回し。ログの確認を優先かな。

……ふむぅ。この施設の動力や兵器の開発史と、旧時代BASHOの改造案の録音データ。

あとはこの改造BASHOの稼働データもか。まあ後でデータ洗ってみないとあれだけど、有用なのはあるのかなーっと」

 『――ア―リ? そっ―は、どう?』

 

 そんな中、ノイズ混じりの通信がムニン(ロニーゼ)からアクリ機に届き。

 

 「あ、ムニン。うん、多分お宝、見つかったよ。そっちは?」

 『フ―ンも、こ――に、―るん―けど。お―がたの、

コーラ―ジ――レータ、らしき―のが、み―かった』

 「……なんですと?」

 

 ノイズで聞こえない部分が多々あるが、何とも不穏な単語が聞こえた気がしないでもない。

まあ、先のデータ解析で動力類が手に入る可能性は考慮してはいたが……

本気でここの施設って残しておくとヤバくね? とまたもや戦慄してしまうアクリである。

 

 「ん、了解。とりあえずは、そっちに行くね」

 『まっ―る』

 

 そんな感じの安い調子で通信が切れ。

とりあえず、無理くりにでもBASHOとその武器(コイツ)も引き摺ってでも持って行く事として。

少々傷が入ろうとも中身と試作らしき武器が問題ないなら大丈夫なハズ。

 

 そんなメカニックが聞いたら怒られそうな事を考えつつ。

アクリは両手を空け(こう云う時の為に、ACの至る所に一時的に簡単な懸架が出来る出っ張り等を取り付けていたらしい)、

クレーンアームと己がACの腕を使い無理やりに目の前のキメラBASHOを抱え込んで。

 

 総積載量超過の字面とアラート音が再度鳴り響くが、直ぐ様にCOMに指示してアラームを切り、

四苦八苦しながら合流すべく行動を始めるのである。

 

 

 

 

 

 

 ――その後。アクリ達はコーラル関連の有用になりそうなデータログや、

生きている機器や質のいいジャンク等の諸々を相当数手に入れて。

その影響か、僚機として参加してくれた強化人間娘達にも上乗せで相当お高い成功報酬を払える事となり。

依頼としても仲介者としても大成功を収めたのであった。

 

 

 







 コロッたら、無難で楽な目が出てた筈なのに、ドウシテコウナッタ(吐血
お義爺ちゃんも出す気無かった筈なのに……本当にドウシテコウナッタ(2回目

 あと相変わらず捏造してますが、技研の対抗組織(対抗できるとは言ってない)、
そんなもんも、あの広いルビコン3、
あってもおかしくはなかったんじゃないかなとか妄想してしまいました。
……普通に技研の研究所の一つだった筈だったんですが。
ドウシテコウナッタ?(3回目
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