とあるルビコンのジャンカートリオ   作:清狼光牙

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 ……いい訳も何もできないです。
ほんっきで遅くなって申し訳ございませんでしたッ!(土下座




36話

 

 

 

 

 

 

 「――これは……」

 『……リブラ、これ……』

 『出力相当絞ったハズ、なんだけどなぁ……』

 《ボス。下手なプラズマ兵装の数倍は威力があるが、あの大音声は……》

 『そうさねチャティ。これは中々に笑えるプラズマライフルじゃあないかい』

 

 ――グリッド086。

その構内のアクリ達が以前の定修にて拡張した増設部。

そこにある、シンダー・カーラの秘密工廠……通称、"灰被り達の穴倉(シンダーズ・ケイヴ)"。

その一角の、ジャンク置き場兼試作武器の試験場ともなっている場所にて。

己が乗機のコックピット内にて唖然とした感で呻くような言葉を漏らすアクリに、

通信越しから彼女と同じ感想を持った一同と、愉し気な色を多大に含んだ反応を漏らすカーラである。

 

 ――グランファからの依頼を達成し。

617(ムイナ)620(ロニーゼ)には通常の報酬を渡した上で、ほぼ同額の追加報酬を支払う事として。

それだけの現物を手に入れられたのが大きいのだが、少し奮発し過ぎではないのだろうか?

兎角、そのお陰か。強化人間娘達の借金返済額まで溜まったらしく。

Sheep Hornの隠れ家へと帰還したその時、借金分をRaDer’s(こちら)に渡して来たので、

毎度、とか商人的なお約束の返しをほざきつつもこの後、

アリエス達に礼と別れを告げてからウォルターの元へと帰るのであろうその二人に、

餞別代りにと、先の借金額よりも高額になりそうなリペア・改造武器やパーツ類に、

使い捨て補給シェルパ等を、輸送用に設えたらしい大型のコンテナを背負った無人ジャンクMT一機込みで進呈すると、

二人の遠慮の言葉を思い切りよく無視して蹴り出した(比喩表現)のであった。

 

 何だかんだと露悪的な事を口にしまくっているが、気に入った相手にはとことん甘い連中である。

 

 それはそれとして。

その別れののち、手元に残ったコーラル関連の機器や、それに準じたジャンク品を一番の買い手となるであろう、

RaDの首魁へとブン投げる気でグリッド086(お膝元)に戻って来た一行である。

 

 そろそろ封鎖機構の大型武装ヘリの解析とリバースエンジニアリングが完了しそうであったシンダー・カーラは、

アクリ達が持ち込んだお土産に、目を盛大に輝かせて反応して一同全員を己が工廠(縄張り)に引っ張り込んで。

そしてあれよあれよの内に、RaD製の四脚MTを二機無理やり接合し設えた土台をささっと造ると、

ソレに、先の研究所に捨て置かれていたやたらと重いプラズマ銃砲を設置して、

その辺りに転がっていたジェネレータを無理くりエネルギーチューブを繋げポン付けし。

アクリ機を狙撃手としてキメラBASHOが手にしていた射撃武器の試射を始めてみた訳であるが。

 

 ……中々にやべー代物であったらしい。

アクリのACのほぼ真下。コンテナを改装したらしい簡易オペレート設備にて、

RaDer’sの非戦闘員組とRaDの重鎮達が計器や端末と睨めっこしつつ結果を確認しており。

 

 『……リブラ、も一回確認、大丈夫ー?』

 『もうやってる。……うーん、今の試射の出力は、間違いなく低出力だよ』

 「あれで、かぁ。まさかほぼジャンクになってるとは云え、トイボックスの外部装甲板をあっさり貫通するとは……」

 

 そんなやり取りをしている一同に、アクリも口を挟んでみて。

……どうやら、試射の的はスクラップと化している重MTのトイボックスであるらしい。

先の出力を絞った試射では、別口に設置していたソレの装甲板を抜いた様だ。

 

 「――一発一発で少々溜めが要るみたいだから、連射は出来ないみたいだけど……マジでどうするよ、これ?」

 『……とりあえず最大出力も試してみな。……グリッドの壁板が貫通しそうな予感がしないでもないけどねぇ』

 「了解」

 

 ピーピーピー……と高い音がけたたましく鳴り響き、チャージを開始。

……これだけで、確実に狙撃には向かない、と云っても良い程度の音量である。

――その音が最高潮にまで達したその時。狙いを絞っていたアクリ機は引鉄を引いた。

 

 チャージ音よりも更に甲高い独特な発射音が聞こえたとほぼ同時。

銃口から吐き出された赫いプラズマ光が、

先に試射で中てたトイボックスの装甲板の隣に同じく的として設置していたであろう、

格納状態のボロボロのトイボックスに突き刺さり――

 

 ボッ、と云う何かが瞬時に燃え尽きたかのような音を立て、当たった箇所を貫通し、

そのMTの奥にあったグリッドの壁板にまで届き、大きな傷を残した。

 

 「格納状態のトイボックスを貫通とか。……うん、これは幾らなんでも酷い」

 『……通常のプラズマ兵器は着弾点で広範囲にプラズマをばら撒くタイプなんだが。

それとは違って、収束率とそれが高いが為の貫通力が段違いだねぇ。

あのやかましくも独特なチャージ音や発射音は、相当プラズマを高圧縮しているが為の様だ』

 

 範囲爆裂しない代わりに攻撃力と貫通力そのものが強化されている様で。

呆れを滲ませながらその武器を見上げ、呟きを漏らし。

 

 『――で、その砲身に刻まれている……多分、この武器の型番、なんだろうが……

"WG-1:Re KARASAWA-Repliica"、か。

……まさか、その名をルビコンで、(まみ)える事になるとはねぇ……』

 「知っているの、雷で……もとい、カーラ?」

 『誰の名を云おうとしてたのかは突っ込まないよ?

……まだ人類が地球圏で生きていた頃、とある企業が生産していたプラズマライフルのひとつさね。

多分、ソレを開発した系列企業か、関連する人間がその施設に居たんだろうねぇ。

私も技術屋として、伝説級の武器の噂を多少聞きかじった程度でしかなかったが……

レプリカとは云え、実際に目の当たりに出来るとは思わなかったよ』

 

 そんな言葉を耳聡くスピーカーが拾ったか。

アクリからそんなボケも交えた問い掛けが届くが、

見事にさらっと受け流され、そのまま説明に走るカーラである。

 

 「まあこの高威力だったら、伝説級になっててもおかしくはないか。……クッソ重いけど」

 『その大本も重かったと云うのは聞いていたが、一応ACでも片手で保持出来た筈なんだけどねぇ。

所詮はレプリカって所か。だけど……ここまで重くなると、重二脚でも間違いなく使用不可。

両手保持での四脚でギリギリで、タンクタイプなら戦術機動で使用が出来るかどうか、って所だね。

あのキメラBASHOも、コレを保持する為にあんな変態改造をされたんだろう。

……いっそ、どこかの拠点防衛用に据え置きするのが簡単だろうが……それじゃあ笑える要素が全くない』

 『何でもかんでも笑える要素を詰め込むのはちょっとどうかと思うんですけどー?』

 《諦めろ。こういう時のボスは誰の言葉も聞かん》

 

 そんな解説を聞いてボヤくアクリに、何に使えるかを考え込むカーラである。

それに乗っかり、わちゃわちゃとしたやり取りを始める一同だ。

とりあえず、この後のカーラは解析とリバースエンジニアリング再び、となるであろうが。

技術屋としては嬉しい悲鳴なのかも知れない。

 

 『あ、あはは……。そ、それは置いといて、さ。

他に手に入れれた、旧時代のBASHOやガードメカの方は、重逆脚のバージョンアップの基礎に使えそうだし、

特殊型のドローンのスクラップは、支援兵装の参考に出来るとは思うけど……

最後に残る一つ。……こっちは、僕達の方では重量的にも、出力的にも持て余しちゃう代物なんだよね』

 『機動兵器群は兎も角、あのコーラル動力の大型ジェネか。確か、相当高出力だって云う話なんだね?』

 『うん。普通に丸っと一つ分の施設の動力ぐらいなら賄えるぐらいの高出力』

 『フム。……どう料理してやろうかねぇ?』

 「あれか。そのKARASAWA? を据え置き砲台にした上で直結でぶん回してみるとか」

 『それはちょっとばかり心惹かれるが、

AC用でもない大型のコーラルジェネレータ直結のコーラル砲とか、間違いなく厄ネタだよ?』

 

 心底酷い提案をしてみると微妙に食い付いて来るRaDのボス。

だが人災が広りそうな状況下になり得るので何とか自制はして突っ込みを返した様で。

そんな彼女の反応を茶化す様にユミコとチャティからも突っ込みの言葉が飛び出した。

 

 『コーラル兵器にコーラル動力だし、何かの拍子で暴走したら役満になり過ぎで、勘弁して欲しいかなー?』

 《流石にそれは笑えないから自重しろ、ボス》

 『アクリが提案したってえのに私に飛び火するのは何でなんだい!?』

 

 あとチャティ、私を何だと思っているんだ!? とも続け。

いや多分それは日頃の行いの所為かと思われるのですが。

 

 まあそれはそれとして。

話題はそれから微妙に逸れまして、少し心を落ち着かせた時にふと脳裏を過ぎったか。

カーラは一つの懸念を口にする。

 

 『……まあ、その辺りは解析諸々が完了してから考えるさ。

大型武装ヘリの解析に比べれば、はるかに簡単だろうしね。

――しかし。少なくとも動力と一部EN武装系統は開発が出来ていたその研究所跡。

星外企業に勘付かれたら、拙いんじゃないのかい?』

 「あぁ。それは私達も感じていたんですよ。

実際コーラルの爆発らしきものがあの地域であったのはバレてる筈ですから、

企業が本腰入れて探ったら一日と待たず特定できるでしょうし。

……何であんな状況があったのに、その特定班が私達が探索する前に動いていないのかは疑問が残りますが。

それは兎も角として、それで侵攻でもされたら、個人程度じゃなすすべも無いですからねぇ。

んで、お義爺さんに研究所跡(ソレ)をどうするかを相談をしようとしたら、

あの人の方から"この地を星外企業に獲られるのも拙そうですし、持って行けれる物を総てを手に入れたら爆破解体しましょう"、って、

研究所跡破壊依頼を追加で提示して来てくれまして。報酬も上乗せして貰えました」

 

 そんな彼女の心配もご無用とばかりに、アクリは先の件であった後始末の顛末を口にし。

グランファ、と名乗っていたあのご老人は、中々にアグレッシブであったらしい。

そんな彼の判断に納得の言葉を吐き出すカーラである。

 

 『――あの人がそう云う程なら、破壊した方が良いと云ってしまう程度には施設設備が整っていたんだろうねぇ』

 『因みにー。内部に残留していた気化コーラルを火付け用に撒いたのちに着火して爆破しましたー。

アクリがリブラのお義爺さんから買い取ったコーラル収集器を師弟二人で対コーラルのファイアスターターに改造して――

瓦礫の山ごと、ボンッ、なのですよー。……そのお陰でその山が、丘ぐらいの標高になっちゃいましたけど……気にしたら負けかな、と』

 「そのお陰で私だけ大赤字。……まあ、あんな厄ネタ満載のデータが残っている上に、

最低水準は越えているコーラル関連の開発力がある場所なんて、星外企業にパクられたら業腹だから構わないんだけどさ」

 

 恐ろしい事を平然とのたまう幼馴染ーズの発言に思い切りよく戦慄してしまう。

必要な事とは云え、地形を変えるのを躊躇わないのは中々に豪の者である。

 

 『また豪快なやり口を……』

 『"花火大会"を頻繁に開催しているカーラに云われたくは無いですけどねー?』

 

 そんな感じに緩い感じで漫談を始めた一同である。

 

 

 

 「――そう云えばさ、アクリ。これから時間、あるかい?」

 

 それから暫し。試射と漫談を終え、一息ついた頃。

ACを降りたアクリは解析を行っている技術屋組+αと合流し。

乗り手としての提案も併せながら、ディスカッションを続けていた様で。

大まかな話が付いたそんな時、カーラはアクリ達のこの件を終えた後の話を聞いて来る。

 

 「……戦利品は粗方カーラに売り渡しましたし、

少しの間、ゆっくりしてから何時もの突発侵入訓練も熟したあとで、

次のお仕事を探そうか、とは思っていたんですけど……どうしたんですか?」

 「あぁ。侵入訓練が終わった後でも良いから、ちょっとばかり手を貸してくれないかい?」

 「――物凄く嫌な予感しかしないんですが?」

 

 思わずジト目でそんな事をほざくアクリに、まあそう云いなさんな、と言葉を返すと話を続けるカーラで。

 

 「……私の"アレ"の完成の目途がやっと付いてね。模擬戦の相手をアンタに頼みたい。

――現物はまだ組み上がってないから、データ上の……シミュレータでの対戦になるけどね」

 「あ、基本部は完成したんだ、カーラさん。あとは生産したパーツの品質を選定して、組み上げかな?」

 「だいぶ前にAC名だけは聞いてましたけど……"フルコース"、でしたっけ。

先日、リブラから機体コンセプトは聞いたりもしましたが……」

 「重量二脚のミサイラーって話ですが……中々に嫌がらせな構成ですよねー?」

 

 リブラは楽し気に聞いているのを傍目に、ユミコもジト目である。さもありなん。

重装甲で敵機からの攻撃を受け止め、時間差のミサイルで中・遠距離、

それを厭うて近接をすれば重量級の脚で蹴り飛ばされるなぞ、厄介な事この上ない。

 

 「あぁ、あと……」

 《悪いが、俺も参加させて貰う。

俺も、もう少し慣らしをしておきたい。ボスとの連携強化訓練にもなるしな》

 

 カーラはついでだ、と云ったばかりに言葉を続けようとすると、

チャティ――今回はSD探査フレームに入ってるらしい――が一声上げて。

そんな二人の言葉に、渋面を前面に押し出したままに口を開くアクリ。

 

 「……さっくりとお断りしますね? カーラに加えてチャティまでもなんて。

ぼっこぼこに蹂躙される未来しか見えないですし」

 「まあまあ。報酬に色付けるから、頼まれて欲しいんだけどね?」

 「二対一の時点でこっちの負け確なんで。多分、データ取りまともに出来ませんよ?」

 

 アクリのごもっともな返答に被さる様にもう一人の男の声。

視線を転ずると、仮設のオペレーター用端末からその声が聞こえている様で。

 

 《――なれば、俺も参加しよう。二対二であれば、多少は耐えれるだろう》

 「あれ、レティ? ……あー。そう云えば、貴方のACもまだ試作段階だったね」

 《あぁ。リブラからも稼働データがまだ欲しいと頼まれていたからな。渡りに船だ。

――俺も戦闘経験はさほどないからな。胸を借りるぞ、カーラ、兄者》

 「ふむ。レティも良い様に育って来てるみたいだねぇ。分かった、軽くもんでやるさ。なぁチャティ」

 《そうだな、ボス》

 「それじゃ、私とリブラで解析はお任せですよー」

 「皆、頑張ってね!」

 「見事に拒否権が潰されたし。……しゃーない。負け戦、頑張んべー」

 

 そんな感じで、突発的にシミュレータでの模擬戦をする事になった様だ。

 

 

 

 

 

 その後、相変わらずのグリッド086侵入訓練を熟し(相変わらずラミーは参加して死んで(比喩。いい加減懲りろよ)いたが)、

戻って来たらカーラに連絡後、直ぐに秘密工廠近くの一区画に設置されていた機動兵器シミュレータ躯体に直行し、乗り込む。

躯体を起動させたのち、己がACデータをソレに読み込ませて暫し待っていたのだが。

相対する筈の相手が一向に入室して来ず。

 

 因みに、今回のアクリ機のアセンはと云うと。

頭をRENKON(BASHO弐式)改、コア部を同じくBASHO弐式。腕はMELANDER(ベイラム腕)

脚を軽量化と関節周りの強化、可動域を更に広げると云う改良を重ねたSPRING CHICKEN(重逆脚)改弐。

……と、多少のリブラの改造はあれども、先日の探索と変わらずの機体構成である。

武装の方は両腕にLUDLOW(マシンガン)。右肩にREN-DAN(ガトリング砲)

左肩にSAN-DAN(二連装ショットガン)、となっている様だ。

完全に迎撃の為の弾幕用武装×3と散弾銃と云う、対ミサイラーの対策武装である。

 

 「――あれ? カーラ? ……何かトラブったかな?」

 《もう少し待っても来ない様なら、連絡をしてみるか?》

 

 アクリはそうぼやきつつ、今回の相方となるレティの機体にカメラアイを移す。

 

 ――モニタに映る彼のボディは、頭をアクリ機のお下がりになるFINDER EYE改弐(片短耳RaD探索頭)

グリッド135近郊の汚染都市にて見つけていた、再使用出来そうにもなかった大破NACHTREIHER/40E(シュナイダーコア)を、

時間を掛け、内装の代替えやリブラの腕で何とか使えるレベルまでに引き上げた上で、更に改造を重ねて施しているモノ。

腕を同じく汚染都市で手に入れたG7の遺品であるTIAN-QIANG(大豊腕)のリペアカスタム品、

脚をこれまたアクリ機のお下がりとなるCRAWLER(RaD探索脚)、と云ったアセンブルにしており。

武装は右手にATTACHE(重機関砲)

左腕に以前にG1:ミシガンから購入権を貰い手に入れていたTAI-YANG-SHOU(炸裂弾投射機)

右肩にP20MLT-04(4連ミサイル)で、

左肩には多目的ラックに丈を切り詰めたクレーンアームを装着した上で、

ハサミ部にCHANG-CHEN(大豊マシンガン)を握っていた。

 

 見た目はバランスが悪そうだが、手持ちにあるジャンクリペア品やパーツを使うという縛りがあった上でのアセンである。

彼の機体は、そこそこに機動力と命中率がある火力支援機としてはアリな性能にはなっていた。

……オールマインドの諸々にあまり貢献ができていないので、傭兵プログラムの方から購入できるパーツがあまり増えていないのだ。

ミシガンの厚意で購入可能になった大豊系統のパーツは兎も角として、全く世知辛い。

 

 あと、レティは独立傭兵ではない所為か。オールマインドの報酬であるOS強化でしか扱う事が出来ない事になっている、

ウェポンハンガーシステムが使えないので、特殊な改造を施したクレーンアームでの装備と云う方向でソレの代用にしているらしい。

……まぁ密かな話、OS強化のシステムそのものは、そのシステムデータが残っているジャンクコアをリペアするか、

システムを引っこ抜いて別のコアに乗せ換えれば使用可能になるザルが過ぎる使用対策ではあるのだが。

 

 それで良いのかオールマインド。

 

 まあそんな話は兎も角として。

少々このアセンブルに不満があるのか、レティはぼやきの言葉を口にして。

 

 《――これはこれで、ある程度軽快に動けて良いんだが。

CRAWLERは二脚でも積載量が低い部類になるから、装備が限定され過ぎる》

 「その辺りは要調整かなぁ。……いっその事、四脚か軽タンクを試してみる? 積載量の上限大分上がるよ?」

 《四脚やタンクは咄嗟の時に反応し切れなさそうなのがな……》

 「そっか。そんな所までRaDer’s(私達)に合わせんでも、とは思っちゃうけど……っと、おや?」

 

 そんなやり取りをしていると、アクリ達の入室からかなり遅れて現れたACが二機。

 

 『――あぁ、済まない。遅くなったよ。こっち機体のデータをシミュレータに読み込んだ時、

何者かがここのシステムにハッキングをしていた形跡を見かけてねぇ。

そっちの対応をしてたのさ。……どうせコヨーテスの馬鹿野郎共か、頭の緩い阿呆共かのどちらかだろうが。

ま、だからカウンタープログラム仕掛けて、奴さん等のデータ類を相応に奪い盗ったから暫くは手出しはしてこないだろうさ』

 

 中々に非道な事を云うカーラが操っているらしき重量級AC。

全てのパーツが初見……いや、頭パーツだけは、最初期に行った突発侵入訓練の時に貸して貰った代物の様だ。

それに鋼鉄の翼の様な見た目の肩装備が一対。両手にハンドミサイルランチャーらしきものが同じく一対。

両肩の装備が初見で、よく分からないからアレなのだが、先の話の通りに、完全なミサイラーの様である。

 

 《ボスが酷く愉しそうなのは良い事だ》

 

 そんな彼女のACの傍らに居る、BASHO頭にRaD系のコア腕と、

タンクレース時に頼まれてRaDer’s(ウチ)が頻繁に改造を施していた、BASHOにキャタピラを取り付けたカスタム脚。

両手にそれぞれメリニットのIRIDIUM(小グレ)LITTEL GEM(小バズ)

両肩にDELIVERY BOY(クラスターミサイル)を装備している、と云ったアセンのAC。

思い切りよく火力支援機であるが、こちらはチャティが乗っている様だ。

 

 しかし、やはりこっちが認知していなかった魔改造BASHO脚はRaD製だったか。

なぞとかあまり意味のない思考がアクリの頭を過ぎって。

 

 「――チャティの脚って……」

 『ん? ……あぁ、とりあえずの応急さね。折を見てちゃんとしたタンクをでっち上げるか、

エルカノ辺りと交渉して軽タンクを手に入れるかするつもりだよ』

 

 彼女の言葉に何を聞きたいのか察したか。

カーラはそんな返すと共に、更に言葉を続け。

 

 『それじゃ、まあ……。こっちの面倒事のお陰で時間が押しちまってるし、とっとと始めるかね』

 「シミュレーターだからって、大量のミサイルとかぶち込んで処理落ちとかってギャグは無しでお願いしますよ?」

 『流石にそこまで脆弱なデータサーバは使ってないよ、全く』

 《……さて。それではやるか、兄者》

 《ボスとの協同だ。負ける気は無いぞ、弟者(おとじゃ)

 

 そんな感じで漫談をしつつも、双方出揃ったので、はっけよい、なのである。

 

 

 

 

 『先手は貰うよッ!』

 

 そんな事をのたまい、両手両肩の武装を起動させるは、カーラ。

鋼鉄の翼の様な背中の左右装備が展開し、翼の一部に見えていた部分が全て砲口となり、アクリ達のACへと向けられ。

両手に構えた、銃の様なハンドミサイルランチャーであろうそれの引き金を引く。

 

 すると、その両手の武装の砲身に設えられている鱗の様な部位が開かれ、その鱗の数の分だけ何かが射出され、その場へ滞空し。

そんな敵機の攻撃の姿に、アクリは眉をしかめながら呟きを漏らす。

 

 「浮遊機雷? ――じゃないッ! レティ、後退ッ!!」

 《――機雷部の付け根に、ロケット部があるか。了解だ》

 

 モニタを睨み付け、その機雷らしきものを観察をしていると、

レティの台詞の通りに機動する代物だったと分かると同時にバックブーストにて距離を取ると。

浮遊していたその機雷――ではなくミサイルが、時間差でアクリ機へと殺到する。

 

 「――チィッ!!」

 

 アクリは大きく舌打ちしながら、両手のマシンガンを掃射。

その銃撃に接触したか。アクリへと飛来したミサイル群の悉くが火球となり。

そして、迎撃の間を縫って次の一手が更に飛来して来ていて。

 

 ――爆発!

 

 「――ッ、クラスターミサイルッ!? チャティかッ!」

 

 頭上から降り落ちて来る爆撃の雨を、ほぼ真横に逆脚での低空跳躍でやり過ごしつつ、

まだ焼き付いていない肩のガトリングガンを起動し――

 

 《アクリ、避けろ》

 「――ッ、っとぉッ!」

 

 ――ようとしたその時。

レティからのそんな台詞がスピーカーから聞こえたと同時に、

移動していた方向に、更にそのままのクイックブースト。

彼女のその機動直後にその場を重機関砲の弾丸が通り抜け、

小型のミサイルをばら撒いていた中継器のコンテナに突き刺さる。

 

 それも、爆破。

 

 「さんきゅ、レティッ! ……反撃は――やっぱ無理かッ!!」

 

 一応の難は逃れれたので、反撃と行きたい所であったが、今一度のミサイルの雨霰。

先のハンドミサイルランチャーに比べ、大型になっている大量のミサイル群を目の当たりにする。

こちらが本命の様であり、あの方の翼の様な武装から吐き出された代物でもある様で。

今一度の回避行動を起こそうとするが……至近での爆発!

 

 《左腕部、小破判定。継戦に問題無し》

 「そら、回避行動直後を狙って来るよねッ!」

 

 ACデータを読み込んだ際に一緒に入れ込んだアクリ機のCOMデータがそんな判定を下し。

カメラアイを一瞬だけ攻撃された方向へと向けると、

やはりと云うか、膝立ちの姿で脛側にあるキャタピラを全速力で使い、疾走している一機のACの姿。

その機体の保持しているグレネードから、砲煙が上がっている辺り、それを撃ち込まれた様である。

 

 ……まあ、野生(おサル)の勘で地味にその攻撃すら、ある程度の回避行動が出来ていたのは気にしないでおこう。

 

 《アクリ、次だ》

 「――もう、忙しないレベルの弾幕……いやさ、ミサイルばっかだからミサイル幕……? ま、まあそんな感じッ!!!」

 《適当か》

 「うっさいよレティッ」

 

 そんな感じに漫才を交えつつも、迎撃と回避行動を続けるRaDer’s共である。

 

 『……何であんなコントモドキをしつつも迎撃と回避が出来るのかねぇ?』

 《本人曰く、野生の勘と云う話だが……》

 『それだけで私達の攻撃を紙一重……とは云わないか。致命傷にならない程度の被弾はしているんだし。

だが、反撃は出来ないまでも被害を最小限にしてる辺り、生存能力が高いと云うかなんというか』

 

 そんなRaD側の幹部達のしみじみとした物言いを尻目(だが攻撃の手を緩める気は全くない)に、

いまだに回避行動を続けるRaDer’s側の連中で。

 

 「浮遊ミサイルでタイミングがズラされて、鋼鉄の翼からのミサイルの雨が降りかかって、

そのタイミングで追撃のクラスターミサイルの雨で、回避しきれない状況下での緊急クイックブーストなんぞを打ったら、

使用後の間でバズーカかグレネードで撃ち落されちゃう……。真面目にジリ貧なんだけどッ!?」

 《こっちも重機関砲と機雷散布での周辺爆破でなんとかしているが……

撃ち落す毎に別口で新しいミサイルが湧いてくるのは些か面倒だ》

 「このままだったら本当に何も出来ずに被弾が重なって行動不能(スタッガー)って、即アボン、かな」

 《だろうな》

 

 冷静だが凄い軽い口調で分析をしている二人。

が、そんな状況下でも迎撃と回避を続けている辺り、こいつ等は本当に何なのだろうか。

まあそれはそれとして。再度のミサイル迎撃を熟したアクリは、少しだけ真面目な声音で呟きを漏らす。

 

 「奇策を弄すか……?」

 《フム? 今の状況を変える一手があるなら乗るが?》

 「とは云っても、まだ何も思い付いてないけどね――っとぉッ!!」

 

 更に会話を続けつつ、今一度の迎撃。

レティの方も、真正面のミサイル群の迎撃の他に、ノールックで肩のクレーンアームに握られているマシンガンを、

その状態のまま(・・・・・・・)後背に向けて撃ち、弧を描く様に飛んでいたクラスターミサイルの中継器をまたも撃墜。

そんな姿に感心しながらも、アクリはボヤキを漏らして。

 

 「……その迎撃、私も出来ないかなぁ?」

 《背中にも(カメラアイ)を付ければ出来るぞ?》

 「いや私の目は正面側に一対分しかないの。んでモニタを同時に複数見た上で、

その二つの視点への同時迎撃なんて器用な事は基本はできないの」

 《――不便だな?》

 「心底可哀そうな声音で突っ込んで来ないでくれるぅッ!?」

 

 そして相も変わらずのやり取りである。

それは兎も角、気を取り直しまして。

 

 「――とりま、意表を突くと云う方向でやるんで、サポよろ」

 《何か思いついたか。任せろ》

 

 そんなこんなでじりじりと削られて行っている中。

何かを思いついたか、アクリはそんな風にレティへと言葉を向けると、

食い気味に了承の意が返って来る。

 

 いや早ぇよ。

そんな風に突っ込みを入れると、お前が突飛な行動を起こすのは何時もの事だろう、と更に返され。

良く理解していらっしゃる。

そんなこんなで、一言二言言葉を交わすと、直ぐに行動を開始。

 

 『何か悪巧みを思い付いたようだけどね。今のこのミサイルの雨霰に抗し切れるのかい?』

 「やれるだけはやらせて頂きますってばよ」

 

 アクリ達のやり取りを、攻撃をしながらも注視していたらしきカーラが突っ込み。

その言葉に反応を返すが、それを煽りと受け取ったか。荒々しい声音で更に言葉を放つ。

 

 『それじゃあ……気張ってみなよッ!』

 

 そう云うと共に、再度のハンドミサイルの片方を撃ちつつ、更に肩のミサイルも時間差で起動。

それだけで一人時間差ミサイルパーティが開催できるのであるから、反則気味な気がしないでもない。

 

 迎撃・回避を続け、時に被弾し。アクリ機とレティ機は徐々に押し込まれ、一カ所に纏められそうになり――

 

 『――おいおい、もう後は無いよ?』

 

 そんな言葉がカーラから掛かる程度には追い詰められている――かの様に見えた。

実際一纏まりにされ、ミサイルが相当数、アクリ機とレティ機を取り囲む様に撃ち出されており。

万事休す、かと思われたその時に。

 

 「――レティッ!」

 《了解だ、アクリ》

 

 アクリは短くレティへと声を掛けると、彼の方も承知していたか。

左腕に取り付けている炸裂弾投射機をアクリ機側に向け。

 

 ソレをアクリ機が一瞬のアサルトブーストからのカエルキックにて蹴り入れたと同時。

その盾めいた外観の投射機と左腕。それと両脚の関節から重々しくも異様な不協和音をかき鳴らすが――

 

 《――跳べッ!》

 「いゃっふーぅッ!!」

 

 そんな事は知ったこっちゃねぇ、とばかりにレティ機は投射機を持つ左腕を振り抜くと同時。

アクリ機はタイミングを揃え、反動をも生かし、大跳躍!

 

 その跳躍により、想像以上の高速にて天井付近までたどり着き――

 

 『相変わらずアクロバティックなッ! だけど、それは悪手だ――何ッ?!』

 

 その彼女の跳躍が苦し紛れの一手か、と断じ、カーラはそう言葉を吐くのだが……。

アクリ機の足元――爪先と、レティ機の周辺に、複数の黒い物体が見え――閃光!

 

 その小規模ではあるが多段の爆発により、RaDer’sの連中を捉えていたミサイル群の半数以上が撃ち落された様であり。

 

 《自爆覚悟で、炸裂弾も一緒に投擲していたのか? だが迎撃を――《やらす訳にはいかないな、兄者》――しまった、アクリは囮か?!》

 

 チャティのそんな言葉を遮り、彼の死角となっていた爆発の中から接近していた、

全身が爆破痕塗れでヒビも所々に入っているレティ機が、彼の目前にてチャージした機雷を投擲。

激しい爆発がチャティの周辺を蹂躙する!

 

 『――チャティッ!「おあいにく様。どっちも本命だよッ!!」――なッ!?』

 

 レティのほぼ自爆同然に近い近接でのチャージ爆撃にて壁に激突する様に吹っ飛んだチャティへ声を掛けるカーラであるが。

半宙返りをして天井を蹴ったアクリ機が、墜落するが如く、カーラ機の頭上へと逆脚のブーストキックを叩き込んだ!

――どうやらアクリはあの大跳躍の中、レティの炸裂弾の爆発にてその身を隠し、

気付かれない様にほぼ真下にカーラが居る様に調整して天井を逆脚で蹴ると同時、

アサルトブーストを起動し更に加速した上で真下へと突っ込み、

激突ギリギリまで溜め込んだ運動エネルギーと共に、カエルキックをお見舞いした様である。

 

 幾ら重量級の二脚ACとは云え、そのパワーは抗えるものでもなかった様で。

見事にカーラ機は踏み潰され、COMからの撃破判定が下る。

 

 《両脚、中破判定。……が、敵両機、撃破。――戦闘シミュレーター、終了します》

 

 シミュレーターが終了したと同時。全モニタがダウンすると、終わった終わったとばかりにその躯体から這い出るアクリであるが。

這い出た途端に撃破された所為か。先にシミュレーター躯体から出て来ていたらしいカーラとチャティ。

そして端末の前であーでもないこーでもないとしているユミコとリブラの姿があり。

 

 アクリの登場に気付いたか、カーラは視線を彼女へと向けると、苦笑を漏らしながら言葉を発し。

 

 「――ほんっとうに無茶苦茶やってくれたねぇ。まあでも良い戦闘データが取れたよ。……使い道があるかは分からないが」

 《――ボス。やはり早急にタンク脚を設えて貰った方が良さそうだ。

俺の脚がタンクであったら、あの場面で耐え切り、反撃も出来ていただろうしな》

 「そうだねぇ。さっさと何とかするとしよう。……ま、とりあえずは一旦は休憩と解析だね」

 「――云っときますが、カーラも大概無茶苦茶してますからね? 息つく暇がないと云うかなんと云うか。

それはそれとしてリブラ、そっち側の解析はどう?」

 「カーラさんとチャティのは粗方終わったよー」

 「流石、早いねー?」

 《リブラ。とりあえず、もう少し機動力と装甲を両立できないものか》

 「レティ……。んー、アクリさんと同じく重逆脚、使ってみる? 積載量は相当上がるし、硬いし。

水平跳躍も使い熟せれば機動力もある程度は担保できるようになると思うケド」

 《……悩ましいな》

 「はいはい。こんな所で話し合うもんじゃないさね。腰を落ち着けてからデブリーフィングと洒落込もうじゃないか」

 「あいさー」

 

 そんな感じでわちゃわちゃとしつつ、このシミュレーター躯体のある部屋の最寄りにある休憩所へと足を運ぶ一行なのである。

 

 

 

 その後。休憩を挟み何度かシミュレーターでの模擬戦を行ったのであるが。

奇策を使い、運よく勝てた一度目以降は、延々とぼっこぼこにやられて続けてしまった様で。

奇策(ソレ)を警戒されたら、RaDer’sの勝ち筋は全く見えなくなるのはまあ残当であり。

良い感じの動く的を使ったミサイル攻撃訓練になったよ、とはカーラの弁だ。

 

 でもやはり、負け続けるのは精神的にクるものがあった様で、

最終的には不貞腐れてしまったアクリを宥める為に、

カーラも悪いと思ったか、報酬をかなり弾んだらしく。

それで多少は精神的に持ち直した様だ。現金か。

 

 








 前回、何となく探査イベ書いてて初代ACの燃料庫襲撃のミッションに似てね?
と何故か思ってしまったのが運の尽き(ちょ
その話が膨らみ過ぎてこんなオチになりましたよ奥様(誰

 因みに前話で消し損じがあって、
カラサワさんの名前が半日ほど残ってた事もあったりしましたが(修正済み)。
その辺りの突っ込みは無しでお願いします(目逸らし
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