とあるルビコンのジャンカートリオ   作:清狼光牙

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 ……とりあえず、申し訳ございませんでしたとしか言えねぇです……(吐血
そして、相変わらず戦闘描写が入ると一気に文字数がががg

 ……自分、精進出来てるんかなぁ?(ぁぁ


40話

 

 

 

 

 

 「――うし、これはまだ生きてそうだね」

 「側面の外付け大型ジェネだね。……あの爆発の中、良く誘爆しなかったなぁ」

 《……切り離すか?》

 「んー……。出来れば、電送コードやエネルギーチューブ毎、ごっそりと引き抜きたい所だけど……」

 

 全長が数kmもありそうな巨大な建造物の一角にて、

二機のACがその身よりも縦横共に大きい、タービン状の物を内蔵している機械……

所謂、ジェネレータの前でそんなやり取りをしており。

 

 この建造物……解放戦線所有の武装採掘艦、"ストライダー"が半日ほど前に、謎の襲撃を受けて轟沈し。

そんな中、轟沈にかこつけて解放戦線の救援部隊が来る前に、火事場泥棒的な形でジャンクパーツを漁りに来たらしい。

 

 相変わらず逞しい奴らである。

 

 まあしかし、アクリ達と一緒に来たRaDの解体屋や回収屋の面々の他にも、いつの間に情報を仕入れて来たのか。

RaDに友好的な者や、友好的とは云わないまでも敵対はしていない野良のジャンカーまでもが集まって来ており。

流石に人手が足りない事を理解しているか。

先に漁っていたRaDの面々も軽く口約束を結んだのちに受け入れ、一緒になってこの採掘艦を漁り始めている様だ。

 

 ――RaDのお膝元であるグリッド086からほど近い所で沈んだのが、ある意味運の尽きであったのだろう。

死骸に群がるハゲタカの如く、RaD所属のACや戦闘型・作業型MTが、

グリッド086(我等が根城)から湧き出て機体問わずにその巨大な船体に張り付き……

哀れストライダーは鳥葬に遭ったかの様に、解体(バラ)し易い外装部位や、

内部から爆発し大穴が開いた(あと)から、解体とジャンクの回収と云う喰い荒らしが始まっていた。

 

 「――しかし。本当に何が、ストライダーをこんなにしたんだろうね?」

 

 そのハゲタカの一人であるアクリは、カメラアイをぐるっと回しながら横倒しに倒れている、

ストライダーの巨体周辺をモニタにて確認しつつそんな呟きを漏らす。

すると、そんな彼女の傍らにて男の子の声がそうだね、と追従し。

 

 「ブラックボックスを手に入れれれば、粗方の話は分かると思うんだけどねー?」

 

 視線を後方に移すと、そこにはサブシートに座り込み、端末を操っているリブラの姿。

今回も救急キットが入っていた箇所をサブシートに取り換え、相乗りの体にしている様である。

この子、整備や解体、修理と云ったメカニックのお仕事系が絡めば大体相乗りしているな。

 

 そして、アクリのACと共に解体作業を行っているもう一機のACが、

己が左手に装着されたDOUBLE TROUBLE(チェーンソー)を起動させると、そのまま通信を投げて来て。

 

 《……とりあえず大きめに切り出して、引き抜けばいいだろう?》

 「うーん。そうしよっか? ……レティ、そっちに詳細データを送るから、それに沿って切って行ってくれるかな?」

 《了解だ、リブラ》

 

 そのAC――レティは、リブラの台詞と共に送られて来たデータを確認後、

頭を縦に振るとチェーンソーを操り、ギャインギャインと火花を散らしながら解体を始め。

 

 「――とりあえずは、こっちはレティに任せて、と」

 「内部か、もしくは重要区画の探索、かな? ……ユミコ?」

 

 次のタスクを呟きつつ、進捗がどうなっているのかと通信越しの相手へと問い掛けるアクリ。

 

 『一応、一通りは確認を終えてて、侵入部隊からは生存者はいなかった、と云う報告があったみたいだけどー』

 

 ソレに応えたのは、今回はRaDへのオペレート(とは云っても、アクリを含めた数グループだけだが)を熟しているらしいユミコで。

そんな返しにううむ、と考え込む仕草をするアクリ。

 

 「……どの程度だったの?」

 『まあ、お察しかなー。メインジェネレータに直結された主砲……アイボールの誘爆のお陰で内部はズタボロ。

ブリッジ辺りは爆裂の衝撃で圧壊している上に、爆炎で長い時間炙られたっぽい感じだし』

 「うへぇ……」

 

 そんな焼きサンドは嫌だなぁ、なぞとか内心ぼやく。

とりあえず至近にリブラが居るので、R18G的なそれは口に出す気はないが。

 

 「……じゃあ、別の場所を解体しに……」

 『――む? RaDear’s、か?』

 『矢張り、こんな状況だと当然の居ようとは思っていたが、ここまであっさりと遭遇するとは』

 『然り、然り』

 

 気を取り直して、次の作業へと移行しようかと呟き洩らしたその時。

久々に聞いた気がする相手の声が通信越しに聞こえ。

 

 そちらの方へとカメラアイを向けると、ストライダーの甲板部に取り付いていた、

複数機の全身を青に染めたACやMTの集団がこちらに同じくカメラアイを向けており。

視線をズラしてエンブレムを見やると、予想通りの相手だったので、気安く言葉を返すアクリである。

 

 「ん? ……あぁ、青の連中か。アンタ等もストライダー(ここ)に来てたんだね。バイト?」

 『懇意にしているジャンク回収業者からの頼みでな。COAM()になりそうなジャンクを引っこ抜きに来た』

 『だが、RaDear’sが居るのであればあまり出番はなさそうではあるが……』

 『違いない』

 

 苦笑交じりにそんなやり取りを行う青の連中――独立傭兵団、"青き四連星"に、

今現在、彼等を見ていてちょっと気になった事を聞いてみる事にする。

 

 「――それはそれとして。とりあえずは、さ?」

 『どうした、RaDear’s』

 「そっち、青いACやMTが3機ほど増えてない?」

 

 そんな風に突っ込みつつ、(マニピュレータ)を指し示す方向に、

全身MELANDERフレームで、左腕にBAWSの新作であるKIZAN(レーザーブレード)を装備し、

右手にはそこらの装甲を引っぺがす為であろう。合金製の熊手の様なモノを甲側に装着し、

背にコンテナを背負っているACが一機。

右腕にレーザートーチを装備し、左腕がRaDの四脚MTが内蔵している小型のチェーンソーになっており、

通常は追加兵装などを乗せる頭部(?)に、先のACと同じくコンテナを固定している改造MTが一機。

破壊されていたのを無理やり補修した痕が散見される随分くたびれた姿形で、突貫でペイントしたか。

雑に青に塗られた、珍しくBAWS製のMTではなさそうな機体が一機の合計三機が居て。

 

 『流石に気付くか』

 『我等が青に導かれたか。仲間になりたいと申し出て来た、同志達だ』

 『"青き四連星"改め、"青き北斗七星"が今のこの傭兵団の通称である』

 「そんなに簡単に団の名称変えても良いのッ!? ……つうか、どうあっても青縛りなんだッ!?」

 『当たり前だろう。"(これ)"は我等がアイデンティティなのだからな』

 『因みにエンブレムは鋭意制作中だ。刮目して待てッ!』

 

 無意味に暑苦しくて元気だのぅ、だとか内心思いながら突っ込みを入れ続けるアクリは、

話を変える様な感でちょっとばかし気になった、この辺りでは見かけた記憶がないMTへと視線を向け。

 

 「――で、そっちのBAWS製じゃなさそうなMTさんは……」

 「……アクリさん。あのMT、多分封鎖機構の機体だよ?」

 

 ボロい上に、更に青きペイントをそのボディに上塗りしているMTの出所を聞こうと言葉を掛け様としたその折、

傍らのリブラが驚きの色を多大に含んだ声音でそんな事を云って来る。

 

 「……マジ?」

 「マジ。昔、お義爺(じい)ちゃんに機体データを見せて貰った事があったから。

……あっちのは、随分くたびれた姿をしてるけど、さ」

 

 そんなリブラの言葉が聞こえていたか。

ブルー・ワンがその台詞に応える様に説明を始め。

 

 『……あぁ、彼女か。何かのトラブルでもあったのか……

少々前に機体が中破し、擱座して身動きが取れなくなっていたのを拾ってな。

機体の補修やら怪我の手当やら、衣食の面倒を見ていたら何故か懐かれてなぁ』

 『ブルー・ワンも大概お人好しであると思うぞ?』

 『だまらっしゃい、ブルー・フォー』

 「しかも、彼女? パイロットは女性なんだ?

……ブルー・ワン。アンタ、アリエスみたいに、娯楽作品の主人公の様な事してるねぇ」

 『云うな。……で、どうやら統括AI()からKIA扱いにされた様でな。封鎖機構から席が抹消されていたらしい』

 「不憫に思って保護したと」

 『その際に、ヒカリゲンズ計画? とかって云うのを誰ぞがほざいていたが……』

 『その人が何でソレを知っていたのかは不明ですけれど、

光源氏計画とかひっどいネタを持って来ないで欲しいですねー?』

 「知っているの、ユミコ?」

 『知ってるけど下衆過ぎて説明したくありません―』

 「あっ(察し)」

 

 そんな感じでド阿呆なやり取りをしていると、またもや別方向から声が掛けられて。

 

 『――あぁ、RaD主導の大型のジャンク漁りにお前等が来てない訳ないよなぁ、当然の話』

 『そうだよねぇ。ここはRaDのお膝元なんだし。……で、なんか私の話してる様な気がしたんだけれど』

 

 視線を再度声を掛けられた方へと向けると、一機のACと普通の作業用のMTの二機が居て。

そのまたもや知己である、青空の色合いのACへと言葉を返すアクリである。

 

 「ををぅ、千客万来。アリエスにカプリじゃない。

……青の連中も、貴女みたいに物語の主人公染みた事をしてるなぁって話だったんだけど」

 『私、主人公属性なんて無いよ?』

 『『『『「嘘を吐くな」』』』』

 『なんか皆にフルボコられるッ?!』

 

 そんな感じで軽いジャブを打つと反論して来た聖女(ガチ)……アリエスの言葉に、知り合い全員からの突っ込みが行われ。

んでもって、アクリは今一度突っ込む為に、ニヤリとした笑みを浮かべながらからかいの台詞をブン投げた。

 

 「――んで、アンタ等はデート中かな?」

 『……流石にこんな状況で、デートは気が引けるかなぁ』

 

 そんな言葉に少々沈痛な声音ではあるが、満更でもなさそうな反応を返して来るアリエス。

その姿を見てグギギ、とかなんとか軋んでいる様に見える青きACが数機。

怨念めいたその代物が、カプリの搭乗しているMTへと放たれている様に空目してしまうが、気にしたら負けなのでスルー一択である。

 

 『ゴホン。……オレ達は先程までシンダー・カーラに頼み込んで、侵入部隊の方に組み込んで貰っていたんだよ。

……アリエスが一人でも救助できるなら、って感じで。ま、何時もの発作だな』

 『発作云わないで欲しいかな?』

 「……うわぁ、それはお疲れ様なんだよ。……そんじゃあ、寝れてないんじゃないの? 大丈夫?」

 『まあ、その辺りは強化されてるから』

 『……オレ等は一日二日休まん程度でパフォーマンスが低下する様なやわな調整はされてねぇよ』

 「強化人間すげぇ」

 

 話を逸らすかの様な咳払いののちに、自分達がここに居る理由を話すカプリで。

だが直ぐ様に話が脱線するのはいかがなものか。

 

 まあそれはそれとして。

 

 いつの間にやら、2(レティは今だギャインギャイン云わせているが)+7+2(11機)の機動兵器群に加え、

この目立つ集団に気付き、その中心であったRaDear’sと知己になっているジャンカーや、

リブラ謹製のリペアパーツや武器を購入した独立傭兵等が集まって来たらしく、

なかなかにえげつない団体様になってしまった状況のアクリ達であるが。

それでもなお全く問題も無く身動き取れる状況である辺り、ストライダーの巨大さが再確認も出来てしまう。

 

 『――アクリ、リブラ。ちょっと良いかい?』

 「……ん? シンダー・カーラ? どうしたんですか?」

 「??」

 

 そんな感じで団体様でわちゃわちゃとしていたその時。

ひとつの通信がアクリ達の元に届き。 

 

 『……ストライダー(そっち)の解体はRaD(ウチ)のボンクラ共に任せて、

地上に降りて来てくれないかい?』

 「……? そりゃ、構わないですけど。……今、知り合いが一杯居るので、

ちょっと断りを入れて『――あぁ、アンタの独立傭兵仲間かい。なら丁度良い。

別途に報酬を払うから、ある程度以上に戦闘も熟せそうなのを何名かこっちに連れて来てくれないかい?』……はぃ??」

 

 何やら不穏な雰囲気を感じつつもそんな話になった様である。

 

 

 

 

 

 

 

 『――済まないねぇ、ジャンク漁りの時間を奪っちまって』

 「まあそれは。……んで、いったい何の用なんですか、シンダー・カーラ?」

 

 ボナ・デア砂丘の一角……轟沈したストライダーから少々離れた場所にて。

先に出会った青の連中―青き四連星改め、青き北斗七星―のAC組であるワン、トゥー、

新規参入の青きMELANDERの乗り手であるファイヴに、重四脚MTのスリー。

"Sheep Horn"のアリエスと云った、

アクリを含めると総勢7名の一定水準以上の戦闘力を保持する独立傭兵と元独立傭兵の一行は、会しており。

他は少々知己を得ていた野良傭兵が数名程、それぞれの乗機であるACやMTを駆り、

興味本位で同行して来た様であるが、割愛する。

……因みに、荒事になりそうな予感しかしないので、リブラにはこの件に参加させずに解体を続行している、

レティ機のコックピットの方(一応の緊急避難用にコックピットは残しているらしい)に避難して貰う事にした様だ。

 

 そしてシンダー・カーラ側には軽タンク型と四脚のACが二機。

側近と云っても過言ではないチャティと、アクリの馴染みであるタウラが傍らに居る様で。

オッスオッス、等とACの手を挙げてみると、同じように手を挙げ返される。

 

 『とりあえずは、だ。コイツ等(・・・・)の回収を頼みたい。

……どうやら、コイツ等がストライダーを襲撃し、堕とした張本人共みたいなんだが……

その直後に何者かが撃破した様で、相当数がこの辺りに転がっているみたいなんだよ』

 

 そんな事を云うと、カーラの乗機――フルコースは、傍らにある己が重ACよりも二回り以上大きい……

何と云えばいいか。元は尖った歯を持つ歯車を複数同士を継ぎ合わせている様な姿形であったのであろうが、

その刃部分は歪に切り取られ爆砕され、側面には何かの発射口らしきモノが疎らに見え、

そこに、銃創や爆発痕が相当数穿たれ破壊されたらしき歪な機械をゴンゴン、と殴る。

 

 その異様な姿形の壊されている機械を一見、

驚きと恐れの声を上げるアクリを含めた数名の機動兵器乗り共が居て。

 

 「へッ……? え、ま、殺戮歯車(マーダーギア)がストライダーを襲撃したってのッ!? うっそでしょッ?!」

 『何ッ、マーダーギアがだとッ!? 奴等め……また要らぬ殺戮を……ッ!!』

 『ど、どうしたと云うのだ、ブルー・スリーッ!?』

 『アクリも、何をそんなに驚き慄いてるの?』

 

 驚きと共に怒りを顕わにしている一部の連中に、目を白黒させ狼狽するその他の奴らである。

そんな彼ら彼女らの反応に察しがついたカーラはそいやそうだった、と呟き洩らし。

 

 『あー……。そう云えば、一般的な現地人(ルビコニアン)には、

コイツ……通称:殺戮歯車……正式名称、"IE-09 HELIANTHUS"は悪夢の象徴だったねぇ……』

 『へりあんさす? ……こひまわり??』

 

 正式名称にものっそい疑いの目を向ける一行に、

カーラのAC(フルコース)は、人が肩を竦めたかの様な姿を器用に見せながら言葉を続け。

 

 『名称は兎も角。コレは元は技研の無人掘削機械として作られていた筈だったんだけどね。

アイビスの火を生き残っていた奴が何かの拍子に勝手に起動して、

その辺りの総てを轢き潰して行くって事案が数年に一度程度の割合であるんだよ。

その見た目から現地人には全てを蹂躙して行く歪な歯車……マーダーギアなんて通称で呼ばれていたりする。

……大体はどこかしこが壊れていて動きが鈍い事が多いから、討伐は出来ん事は無いんだが……

破壊するまでに相応の被害が出る事を覚悟しなきゃあいけない』

 「んでもって、コイツに身内友人知人をヤられた人も多くて。

現地人に取っちゃあ星外企業よりも更に旧くから居る怨敵だから長年の鬱憤が溜まりに溜まり、

さっきのブルー・スリーみたいにソレを見ただけで感情的になる人も居る訳で」

 『――と云う事さね』

 

 カーラの言葉に乗っかってそんな解説をするアクリに、星外産の独立傭兵達は納得の声を上げ。

 

 「……でもカーラ。何でコレの回収にここまでの戦力を……?」

 『コレがC兵器……技研の遺産の一つである事は知っているね?』

 「まあ状況証拠考えれば、それしかなさそうですが」

 『C兵器は色々としぶとくてね。一旦撃破しても、他の兵器に比べて再起動する可能性が高いんだよ』

 『……なら完膚なきまでに完全破壊すればいいのでは?』

 『生きている部位を取れるなら取りたいのがジャンカーってもんさ、高く売れるからね。

あと、完全破壊したら、護衛用のヘリアンサスなら兎も角、

物資回収用のヘリアンサスがあれば、勿体ないが過ぎるんだよねぇ』

 「ふむ?」

 『そもそもがコレの使用目的は、全自動で地中を掘削し、資源をその腹にため込んで輸送する、ってのが本筋なんだよ。

自衛の為のミサイルランチャーと火炎放射器は装備しているけどね?』

 「火力過多と云う資源採掘用とは」

 

 その説明に思わずジト目で突っ込んでしまうアクリ。

……が、そんな彼女の言葉は完全にスルーされ、更に説明を続けるカーラである。

強い(戦慄)。

 

 『――もしも回収用のアレが居たら、その腹の中にレアメタルがたんまり入ってる可能性があるんでね。

そっちも期待したいのさ。……ま、それは兎も角。

ソレが無くとも、メイン動力のコーラルジェネレータは最低限回収したい。

あれはリペアが上手く出来れば色々と有用な使い方が出来るからねぇ』

 

 なぞと話を締めて。

……何でこの人、そんな事を知っているんですかねぇ? とか内心で転がすアクリである。

まあ、身内以外が居るこの場でそのツッコミを入れる気は毛頭ないので思うだけで留めるのだが。

 

 『あぁ、それと、だ。参加してくれた機動兵器乗り達には、とりあえずの前金代わりにコレら(・・・)を譲るよ』

 「――何を?」

 

 アクリの突っ込みの言葉を聞き流し、そう云うと軽くACの手を挙げ。

すると、後ろに居たチャティとタウラの二機のACがコンテナを担いで持って来て、ソレを地べたに降ろした。

 

 どれどれ、と覗き込むアクリ機に追従する様に、他のAC群も恐る恐ると云った体で覗き始め。

 

 『――私のAC(フルコース)に合いそうな武装を試行錯誤していた時に色々と出来た試作兵器さね。

……まあ数がそこまでないからね。一人一つまで、だ』

 

 そんな彼女の説明混じりの言葉を聞き流しつつ覗き込んだ先には、

様々な手持ちの兵器が、十数個ほどコンテナ内に転がっていて。

 

 「――良いので?」

 『あぁ。私にゃ、完成品のAPERITIF(包囲型ハンドミサイルランチャー)SOUP(肩ミサイルランチャー)があるからね。

使い所が無くて死蔵していた兵器の放出もしたいのさ』

 「あぁ、体の良い在庫整理ですね?」

 『そうとも云う。……あぁ、あとでその兵器を使用したレポートとかを提出してくれれば、

更にいくばくかの追加報酬も出すよ』

 『それでは有難く頂こう』

 

 カーラとそんな感じにやり取りしつつ、

許可が出たのでコンテナの中の武器を漁りだしたアクリ他数名の独立傭兵共。

 

 「あ、この魂がHEAT(熱く)なりそうな、ミサイルが連続射出されるガトリングランチャーは私が貰うね?」

 『RaDear’s。それは聞き捨てならぬな。それは我等、青き北斗七星に譲れ。

女子にソレの浪漫は完全には理解出来ぬであろう!』

 「ヤだよ。先に手に取ったのはわーたーしーですぅ」

 『汝のACでは重量過多になり兼ねん。そうなると、取り回しも出来んのではないか?

なれば、こちらにある様な、超高誘導垂直12連ミサイルなどはどうだ?』

 「それバグじゃない! いーやーでーすーぅ! 今は修理中だけど、

作業用の重逆脚の改造品持ってるから、重量過多は大丈夫なのッ!」

 『その改造脚、詳しく話を聞きたいのだが? ……我が重四脚MT(愛機)の為の新たな脚を探していてな』

 「なんかすげぇ魔改造しようとしてる人が居るッ?!」

 

 なぞとか云った感でカーラ謹製の厳選落ちした特殊兵器の奪い合いと、

その兵器群をネタにした漫才が始まってしまったのは云うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 「――フッ、勝利。

んで、何で鉛玉では無くミサイルを連続射出する様に改造したのかよく分からないけど、

ロマンあふれ過ぎて燃えるよねぇ、これ。……取説的には一応の仮称は、"W-0000 MEAT CHOPPER"?」

 『……ひき肉製造機て。カーラの造ったパーツとか武器の名称、料理そのものとかアイテムの縛りが多いけど……

これ絶対見た目だけで決めてるよねー?』

 「それな」

 

 それから暫し。

カーラからの前金代わりの武器を、立候補した連中を張り倒し(比喩表現)、

勝ち取り奪い獲ったアクリはBAWSの移動型砲台にも使われている中型のガトリングガンを、

小型ミサイル射出機に改造した代物をその手にしており(元が移動型砲台の砲身なので、ACには少々重いのはアレだが)。

 

 名称付けが調理器具にまで回ってる辺り、ネタが尽きて来てるのかなー?

本当にそれな、 等とか緩く漫才をしている通信越しの幼馴染ーズは、更に話を進め。

 

 『しかしさ、アクリ。何でそんな改造武器に熱くなるのかなー……全く』

 「まあ、武器を扱う輩とかでもないと、このアレコレの魅力は理解できないだろうから仕方ない」

 『……とりあえず、サクサク片付けよ? 他の所も回らなきゃ、なんだし』

 

 そんな二人のやり取りに割り込み、先に仕事へと促すはアリエスの様で。

……カーラの云う様に、もしもの事を考えると単機でのC兵器の残骸の回収は危険が過ぎるので、

ツーマンセルの状況にて行動を共にする事にした様である。

 

 「アリエスが貰った武装()は、案外真面目な武器になってるよね」

 『大口径の、長柄のリニアライフル。HRRIS(火力型リニアライフル)よりも更に大口径で、砲身も長いとか……

危なくないのかな、コレ。仮称、"W-00000 FORK"、と貰った取り扱い説明書めいたデータ内にはあったけど……』

 「そっちのはカトラリーかぁ……。まあそれは兎も角。

完全に両手持ち専用だよねこれ。……それに、反動でブレる可能性も高そう」

 『物凄く心配になって来た』

 『カーラの作品だから、最低限の安全は確保してるハズだよー?』

 『その最低限、って単語に不安が増すんだけど……』

 

 宥める様にアクリと通信越しのユミコが擁護をしてみるが、余計に心配になった様で。

カーラの日頃の所業を顧みれば不安になるのも分からん話ではないが。

 

 そんな感じにて緩いやり取りをしつつ、

一つ二つと、大破しているヘリアンサスの生死(?)を確認しつつ、

回収(とは云っても完全な形であったらACよりも大きいので大方はワイヤーを掛けて引き摺って行くのだが)するアクリ達で。

 

 「――うわぁ。これ、ひょっとしなくとも特攻戦機(アサルトタンク)……?」

 『……これもC兵器、なの?』

 

 そして、三つ目のそれらしきものを回収しようとしたその時。

アクリはその残骸の姿を見て、引きつった声音でそんな言葉を吐き出し。

その言葉に反応し、アリエスが警戒感を露わにそう聞き返して来る。

 

 彼女等の視線の先には、爆発のお陰か半ばからへし折れてしまっている二連のガトリング砲と、

大型のミサイル射出機を備えた、ACよりも一回り程大きい機動兵器が横たわっていて。

所々がエネルギー系の武器で斬られ融解していたり、

ショットガンであろうか、小さな弾痕が無数に装甲部に穿たれている様子で、

所々が今だに放電している辺り、まだ一部機能は生きているらしい。

 

 「――私自身は、こいつが実際に稼働している姿はまだ見た事はないんだけどね。

地元民からの依頼を熟していると、こいつ等と遭遇したらしい噂話を聞いたり、破壊された残骸とか見せて貰ったりもする訳で。

……先の殺戮歯車と同じく、コレも無人兵器なんだけど、アレとは違ってこっちは完全に戦闘用で、

主武装がガトリング砲。んでサブに大口径のカノン砲か榴弾砲や、

装填数がやべーレベルの大火力ミサイルランチャー持ちの個体が確認されてるって話。

コイツはミサイルランチャー持ちみたいだねー。

……まぁ、カーラが先に説明していた通りに、以前の戦闘とかその他で使い切ってしまったのか、

弾倉の中がすっからかんになってたり、機体そのものが欠損してたり小破中破してたりって事が多いから、

比較的壊れてるのが少なめの殺戮歯車よりは討伐は楽……ではあるんだけれど。

武装が無くとも、超高速での質量がデカい体当たりや蹴りを放って来たりするから、危険なのは変わりないんだけどね。

……実際の話、武装が全部使えなくなった状況でも、機動力が生きていたら……

解放戦線とか独立傭兵団の一部隊ぐらいは犠牲にしないと堕とせない位には硬いし重いしヤバいって話みたいだし」

 『……C兵器って危険過ぎない?』

 「それは私も思う」

 『一体何を想定して、こんな危険すぎる機動兵器を造ったのかが分からないよねー』

 「本ッ当に、ね。……しかし。現地人(ルビコニアン)に対して使う気はなかった、って思いたいけど……」

 『結局アイビスの火なんつう大災害を起こしちまうんだから、技研の連中が人道的な思考しているかどうかは……』

 「だよねぇ?」

 

 そんな感じにシリアスな話の割りに、口調が緩めでありつつ姦しいやり取りをしつつも近づいて行くアクリ。

……その時。彼女が特攻戦機と呼んでいた機体(のちにカーラから聞いたが、正式名称はIA-05 WEEVILと云うらしい)が、

ガタリと揺れると、至る所が破壊され、その壊れた箇所から普通の肉眼で見える程の高濃度のコーラルを流出させつつも、

機体を軋ませ、小刻みに振動しながらゆっくりと起き上がって来て。

 

 「コイツ……動くッ!?」

 『アクリッ!!』

 

 いきなりの再起動に驚き、反応が遅れたアクリに、

アリエスは鋭い声を上げると共に、両手で保持していた武器を構え、撃つ!

以前アクリがシミュレータ内で扱っていた大豊の試作兵器と遜色無い程の、大音声の銃声が辺りに響き。

その射撃はまごう事なく、スパークしていた胸部の壊れた箇所へと吸い込まれ――

 

 ドゴガッ、と云う酷く鈍い音を立てると、特攻戦機(ウィーヴィル)を軽く吹っ飛ばし。

あの質量を多少でも吹き飛ばすってなんつう衝撃力だよ、それを目の当たりにして思わず内心で舌を巻く。

……が、相手もよろよろと更に動きを鈍らせながらも、体勢を立て直そうとする様子が見られ……。

 

 『――外さない、よ?』

 

 そうなると予測していたか。事前にリロードを終えていたリニアライフルの銃口を向け、今一度引き金を引く。

 

 再度、辺りに響き渡る剛砲音。

 ……その銃弾は、先程中てた所とほぼ変わらぬ箇所を撃ち抜き。

ソレは厚い装甲を貫通し、基部へと直撃したか。その直後に力が抜けたかの様にくずおれて。

 

 『……思った以上に使いやすい。これは、拾い物かも?』

 

 敵を堕としたと云うのに、普段と変わらぬ穏やかな声音でそんな事を呟くアリエスに、

慄いていたアクリは何とか、と云った感で反応を返し。

 

 「――び、ビビったぁ……。援護ありがと、アリエス」

 『ちょっと不用意過ぎじゃないかな? ……でも、何ともなくて良かったよ』

 「……勘が鈍ったのかなぁ。今までこんな事、無かったんだけど……」

 『完全に無機物だったから、気配みたいなのとかが分からなかった、とかー?』

 

 うーむ、と眉間に皴を寄せながらそんな事をぼやくアクリに、ユミコが軽い調子で言葉を返し。

余り気負い過ぎるな、と言外に云われている状況である。

 

 『――でも、コレが動くとなると……』

 「他も、危なそうだよね?」

 『とりあえず、他の傭兵連中にも注意喚起はしとくー』

 

 こんな状況が自分達だけ、と云う甘い予測は自然と排除しているのか。

そんな確信めいた予測を呟くアリエスの言葉に、アクリは頷き。

ユミコは他で行動している傭兵達に連絡をしようとしたその時。

 

 『……って、遅かったかー』

 

 ユミコのボヤキと共に、とある一方から、炎の柱が吹き上がるのを見つけてしまい。

 

 『――救援に行こうッ!』

 「はいよーッ! ユミコ、カーラの方にも連絡して、援軍要請ッ!」

 『もうやってるーッ!』

 

 声音に真剣な色を帯びたアリエスの言葉に、

軽い口調ながらも気を引き締めて頷きを返すアクリはユミコにそう云い捨てると、

フットペダルを踏み込むのである。

 

 

 

 『ひ、ひぃいぃッ!?』

 

 ギャリギャリギャリギャリ、と云った金属と金属を擦り合わせた耳障りな不協和音が辺りに響き、

一機のAC―BASHO壱式の様である―が、殺戮歯車(ヘリアンサス)のその歪な破砕機部位に抉られねじ切られ。

 

 ひぎゃああああ、と云う断末魔を残し、縦に破断され直後、爆発するBASHO。

そして、爆炎の中からヘリアンサスの影が浮かび上がり――

 

 『こんな……こんなぁッ?!』

 

 顔見知り程度の間柄だったとは云え(見知っていたからこそチームを組んだのだが)、

その相手の呆気ない終わりに、取り乱すもう一方の独立傭兵が駆るBASHOとMELANDERの混合AC。

余りにもあまりな光景に、叫ぶだけで棒立ちになってしまっているその姿を見逃す訳もなく、

ヘリアンサスの刃がゆっくりと回転を始め――

 

 「――チッ、一歩遅かったッ! でも……アリエスッ! さっきの精密射撃、出来るッ!?」

 『アレだけ不規則な高速機動をされてると、撃破するにはちょっと厳しいかなッ!』

 「撃破は考えなくても良いからバランスを崩すだけでッ! あとはこっちで何とかするッ!」

 『その程度ならッ! ――中てるッ!!』

 

 そんな切羽詰まった声音でのやり取りが、()のACの通信に届き。

ガオン、と云う砲撃音と共に目前にまで迫って来ていた歪な刃が揺らぐ。

 

 「――だっしゃオラァッ!!!」

 

 そんな歯車モドキの一瞬の怯みを見逃さず。

アクリはアサルトブーストで突っ込みつつブースタの調整で体勢を入れ替えると、

逆脚ブーストキック張りのドロップキックをお見舞いする!

……つうか、その男らしい掛け声は何なのか。

 

 まあそれは兎も角として。

その攻撃により、ヘリアンサスは暫くアクリに踏まれた状況のままに暫く砂煙を上げて滑って行き。

勢いが衰える前に追撃を掛けようとその手に持つミサイルガトリングを構えたその時。

 

 突然、口を連想させるような側面の穴から、炎が噴き出して来る!

 

 「うわッちゃぁッ!? ――これが カーラの云っていた火炎放射かッ!! クッソ熱いってッ!!!」

 

 その炎を厭うてバックブーストをして退避し、EN消費など知った事かと空調を最大出力に変更するアクリである。

握った操縦桿のパイロットスーツ越しですら熱を感じている辺り、本当にやべーレベルの危険な高火力らしい。

 

 悪態を吐きつつも、再度その手にした武器を構えると、引鉄を引き絞る。

すると極小のミサイルが断続的に吐き出され、ヘリアンサスの横っ腹にこれでもかと突き刺さり、小爆発を何度も起こす。

それでもまだ動力が生きているのか破砕部が空転していたが、暫くして動かなくなった。

 

 「――不意打ち気味にやったってのに、カウンターまで貰っちまうとは……アチチ……」

 

 撃破し、横たわっているヘリアンサスをげしげしと何度か蹴ってみて反応が無いのを確認してから、

アクリはぼやきつつ操縦桿から手を放し、何とはなしに己が掌を見やってみると。

うわ、スーツの掌部分が溶け掛けてる、と小さく呟きながら戦慄する。

 

 『大丈夫ッ、生きてるッ!?』

 『ア、アァ……アフ……』

 「……アリエス、ソイツ、大丈夫なのッ!?」

 

 それはそれとして、支援射撃ののちに襲われていた傭兵を救助に向かっていたらしいアリエスの声が通信から聞こえ。

カメラアイをそちらに向けつつ救助者の安否を聞くのだが。

 

 『――受け答えがまともに出来てない。……精神をヤられたのかも』

 「相方を目の前で寸断されて、その上で自分も、って事になると……か」

 

 恐怖心からの呻き声らしきモノが通信越しから聞こえ、まともな状況には思えず。

 

 落ち着かせようとしているのか。アリエスは幼子をあやすような声音でその錯乱しているらしき傭兵へと声を掛けているのを尻目に、

視線を移し。先にヘリアンサスに断ち切られ爆散したACへとそのカメラアイを向けるアクリで。

 

 爆発しながらもなんだかんだで残っている部位(流石のBASHOである。頑丈だ)の状態を軽く調べると、

ふと脳裏に以前に見た、とある件が過ぎる。

 

 (――抉り切り取られているけど、この切り口……。六文銭のACの胸部に刻まれていた傷と似てる……?)

 

 まさかそんな事無いよね、なぞとか思いもするのだが。

世間一般的にそれはフラグなのでは? と疑う自分も居て。

 

 「……どっちにせよ、栓無き話ではあるか。

六文銭(アレ)に、多分話したくないであろう件を根掘り葉掘り聞いた所でねぇ……」

 

 そんな言葉を小さく独り言ち。

流石にアレ呼ばわりは酷いと思うのだが。

 

 『――ぐおぉぉッ?!』

 

 そんな内心は兎も角に、今現在はこの場は鉄火場なのである。

自分達が来た方向とはまた違う方向から知り合いの焦りの色が混じった叫びを通信越しに聞き。

思わずにそちらへとカメラアイを向けると先程一瞬だけ対峙した特攻戦機(ウィーヴィル)とブルー・ワンのACが、

アクリ機の目の前を結構な速度で通り抜けていく。

 

 どうやら、ウィーヴィルのブーストキックに巻き込まれた様だ。

一瞬の驚きののちの沈黙を経て、慌てて彼の者へと通信を投げるアクリである。

 

 「――ッ、ブルー・ワンッ!?」

 『少々いいのを貰っただけだ、まだいけるッ!!』

 「さっすがッ!」

 

 あの勢いのぶちかましを耐えるとは。

まあ、肩パーツを使ったタックルを多用するブルー・ワン()だからこそ、

似たような状況で反応し往なせたのかも知れないが。

感心したかの様な声音で称賛の声を上げるアクリ。

 

 『ブルー・ワンッ!』

 『加勢するッ!!』

 『頼む、ブルー・トゥー、ブルー・ファイヴッ!!』

 

 近くに居たのであろう。青の他の連中も合流して来て、

己が手にある獲物にて支援攻撃を行うが……

 

 『くッ、流石にLUDLOW(マシンガン)では……ッ』

 『だが、牽制程度にはなるッ! それに――』

 

 カンカンカン、と乾いた音を立てながらマシンガンの弾丸はウィーヴィルの装甲を叩くだけにとどまり。

その攻撃が脅威ではないまでも鬱陶しいと思ったか。

彼の相手は、もつれ合っていたブルー・ワンのACを一瞬のブースタの稼働の反動で弾き飛ばすと、

牽制を撃って来た青の二機のACへと向き直り、片方のみ無事であったガトリング砲の砲口をそちらへと向け―――

 

 『――我を忘れて貰っては困るな?』

 

 ――が、その直後。

そんな台詞と共に、グレネード弾が彼の相手に着弾し、爆発と衝撃を盛大に辺りに撒き散らす。

……その砲撃を撃ったであろう大本を確認すると、メリニットのEARSHOT(グレネードキャノン)よりも大口径で、

砲身が下手なACの全長の倍近い長さの巨大なグレネードキャノンを背負った青い重四脚MTの姿があり、

その砲口から、砲撃後の煙が立ち上っていた。

 

 「ブルー・スリー、ナイッスゥッ! 相変わらずの連携力ッ!」

 

 その威力が相当高い爆風で装甲の一部が弾け剥がれ飛び、更に大きくバランスを崩されたか。

ウィーヴィルがたたらを踏んでいるその時に、アクリは傾いていた足元を払う回し蹴りを叩き込む!

 

 それにより、彼の機体は完全にバランスを崩し、倒れ込んだ。

 

 「――ッしゃッ!!」

 『――お膳立てをしてくれて有り難いな、RaDear’sッ!』

 

 アクリがそんなやってやったぜ、的な言葉を小さく上げると、

ウィーヴィルに吹っ飛ばされ、そのまま一旦退場していたブルー・ワンの吠え声が響き。

上空から己のACをショルダータックルの構えのままに急降下させウィーヴィルへとぶち当てる!

その威力を示すかの様に、轟音とそれに追従した振動が辺りを大きく揺らした。

……どうやら体勢を立て直し、今の戦況を把握したのちに止めを刺す為、ブースタも使い大きく跳躍すると、

ウィーヴィル(目標)を定め、自由落下からの加速とブースタの駆動で己がACの全重量を叩きつけた様だ。

 

 『――そして、これで仕舞いだッ!!』

 

 己が機体の左肩のアーマーパーツを大きく歪ませながらも、その衝撃でひび割れた敵機の装甲部に、

右手に装備している――以前、RaDear’sから購入していたパルストンファーを最大出力で振り下ろす!

鈍い音と共に完全に割れた装甲内部に、激しいパルスの奔流が叩き込まれ―――内部から爆ぜた!

 

 その爆風によりまたもや弾き飛ばされたブルー・ワンのACは、ブースタの調整により中空で姿勢を立て直し、着地。

しかもその姿はどっかのヒーロー染みた見事な三点着地であった。

 

 「――あッ、狡すっからいよ、ブルー・ワンッ!?」

 『ラストアタックをえり好みできる程、楽な相手ではなかったであろう?』

 「ぐッ。それはそうなんだけどさぁ……。それでも、やっぱさぁ!?」

 

 アクリはそんな彼に見せ場を奪われたので食って掛かるのだが正論を返され、

思わず言葉が詰まってしまうが、それでもなおも文句をギャーギャー云っていた。

 

 クソガキ様かな?

 

 ――そんな彼女の憤慨にやれやれと云った感で、

先のカーラの如く器用にACの肩を竦ませてみせるブルー・ワンである。

 

 『――味方側以外の機体反応が全消失。オペレーター(こっち)側ではまだ警戒しておくけど、

とりま戦闘終了だよー。お疲れーい』

 

 そんな中。ユミコから参加者全員へと、戦闘終了の通信が投げ掛けられ。

ぎゃいぎゃいとやり取りしていたその時でも、周囲を警戒はしていたのであろう。

何だかんだと張り詰めていた空気がふっと緩む。

 

 ……すると、一つ溜息を吐いたブルー・ワンが、苦笑が混じった声音でアクリへと謝罪代わりの言葉を返し。

要警戒の状況が緩和された為か、適度にあしらっていたアクリの相手をする事にした様である。

 

 『――仕方あるまい。なれば、我の秘蔵の酒の一杯でも奢ろう。それで手打ちにして貰えんか?』

 「流石にそれは罪悪感が酷いのでいいよ。秘蔵ってんなら、星外(そと)から持って来たんでしょ?

もう手に入らないかもしれないのを(たか)るのは……ねぇ?

それに……。今はそんな気分にもなれないし」

 

 そう言葉を返しつつ、アクリはカメラアイをアリエス達の居る方へと向けると、

どうやら要警戒が解けたのを幸いにコックピットから抜け出し、

精神が壊れている風に感ぜられた、相方を撃破されたACパイロットの機体内に潜り込んで行く姿を見つけ。

ブルー・ワンも彼女の視線の先を追って気付いたか少しばかり硬めの声で呟き洩らし。

 

 『――まあ、あのACパイロットは我等が聖母(マドンナ)に任せようか』

 「だーね。――んで、それはそれとしてさ。

そっちの秘蔵の品を貰うって代わりに、って云っちゃなんだけど……えっと、元封鎖機構の()……」

 『ブルー・セヴンの事か?』

 「うん、そのブルー・セヴン。

あの娘の機体……封鎖機構のMTの機体の整備とデータ取り、させて欲しいかな?

あの子が相当興味持ってたみたいだから、ね?」

 

 そんな彼の台詞に同意しつつ、

先に顔合わせをした一人のMT乗りの件で、頼み事をするアクリである。

 

 『――整備においては我々や我々に近しいメカニック周りでは手に負えんかったので、

それはこちらとしても願ったりだが……。相変わらず(リブラ)に甘いな、貴公は』

 「うるさいやい」

 

 それが誰の為なのか、と云うのをあっさりと察したブルー・ワンは、

彼女からの頼み事に軽く承諾の意を返し。

 

 ……そんな感じで戦後の緩いやり取りをしつつも、

被害やお宝の状況などを確認する為、慎重に依頼を再開する一行である。

 

 

 

 

 

 その少々のち、全ての回収は終わり。

独立傭兵数名の犠牲と、多大な技研製の無人機の中々に状態の良い残骸を手に入れたと云う結果となった。

 

 カーラから依頼完了の言が伝えられると、それぞれに相応の高額の報酬を貰い、

その後にストライダーそのものからも、ある程度のジャンクを引っこ抜いて。

多少の後味の悪さを残しつつも、お開きとなった様である。

 

 






 という感じで「ストライダー防衛」、後話的な感じでした。
とりあえず、ヘリアンサスとウィーヴィルのあの物量を捌き切ったぼくらのいれぎゅらーがやべーだけで、
この程度の犠牲は当たり前に出る筈……むしろこれでも絶対少ないまでありそうな悪寒も(ぁ
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