ドラゴンボール超 ビールを飲んだおっさんがダラダラと全王様になった話   作:北村 貴之

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全王様とミスターサタンの真夜中の散歩(FF7パロディ)

ミスターサタンの屋敷内で行われた酒盛り。

全王様になった俺、善応寺冬彦と、農家である戦闘力5の親父、そして大神官は真っ昼間から酒をダラダラと大量に飲み、歌を歌い屋敷内で過ごしていた。

俺たちは何杯飲んだのか覚えていない。

全王様が酒を飲む姿はドラゴンボール作中で一切ないが、中身が酒好きのおっさんのため、酒は普通に飲み干していた。

ミスターサタンの屋敷には様々な種類の酒が所狭しと置かれていた。

俺たちはそこにあったお酒をとりあえず全部出し、飲めるだけ飲んだ。

戦闘力5の農夫の親父はかなりの酒豪だった。

洋酒やビール、果てには焼酎とあらゆる酒を豪快に飲んでいた。

原作では数コマの活躍だった彼も、ここばかりは大活躍だった。

大神官も俺たちほどではないがかなり飲んでいた。

イケメンの神族が酒を飲む姿は想像できないが、ここはあまり気にしてはならないだろう。

俺たちの宴は夜まで続いた。

我ながら、かなり酒を飲んでしまったようだ。

俺は途中急激な眠気に襲われ、床の上に寝込んでしまった。

 

 

「全王様…、全王様。おーい」

俺を呼ぶ声が聞こえる。

俺はその声に反応し、ゆっくり目を開けた。

そこにはミスターサタンの姿がそこにはあった。

アフロにもっさりと生やした髭がそこにはあった。

顔はアルコールが抜けていないのかまだ真っ赤だ。

顔だけ見れば新橋で飲んでるリーマンのおっさんにしか見えない。

「あっ!起きたぁ」

俺の目覚めを嬉しそうに喜ぶサタン。

一瞬俺はキモがったが、酒で頭があまり回らなかったのでそこは気にならなかった。

「どうした?」

俺は眠そうな目を擦りながらサタンに質問した。

「全王様、実はご一緒に散歩でもしないかと思って…」

サタンは酒で真っ赤になった顔で答えた。

まるで恋する乙女のような表情だ。

酒のせいだろうか。

「はぁ…」

俺は生半可な返事で返す。

「散歩か…。2人でか?」

「別にいいじゃないですか!さっ、四の五の言わず、行きましょう」

サタンは俺とふたりきりになるのを待っていたようだ。

嬉しいような嬉しくないような…。

大神官と親父はというと…。

親父は完全にソファの上で仰向けになりうるさいイビキをかいて爆睡している。

口から汚くよだれをたらし、ガーッ、ガーッと獣の鳴き声のようなイビキを発して夢の中にいるようだ。

大神官はというと…。

部屋の近くで何やらヴォエエッという奇声が聞こえている。

どうやらトイレから聞こえているようだ。

飲み過ぎたせいか、トイレで致しているらしい…。

神族も致すようだ。

「さぁ、行きましょう!」

サタンは俺を連れて屋敷を出た。

 

俺はサタンに導かれるまま、彼の後ろを歩く。

俺たちは2人で屋敷を出て歩き出した。

辺りはすっかり暗くなっており、もう夜になっていた。

夜空にはいくつか星がチラホラと見えてきた。

「どこへ行くんだ?」

俺は呟いた。

「秘密です」

サタンはウインクして答えた。

俺はお前の彼女じゃないぞ…。

若干気持ち悪さを感じながら、俺はサタンの後ろを歩いていた。

 

 

サタンに連れられて来た場所はなんと遊園地だった。

真夜中にやっている遊園地があるとは…。

屋敷の近くにあったので、歩いて数分のところだ。

俺たちは遊園地に向かい歩き出した。

「サタン…、どうしてこんなところに?」

「いえ…、少しスリルを味わいたくて…」

サタンは辺りを見渡したあと答えた。

「そうか…。まぁいいや」

俺は軽く返事をした後、歩き始めた。

2人きりで夜の遊園地にいるのは何とも奇妙な感覚である。

女1人と男2人で来るのはよくある話だが、相手がおっさんなら話は別だ! いや…、相手は神なのだが…。

「ちょっと静かに話ができる場所…。そうだな、観覧車でも行くか」

俺はサタンにそう言って、観覧車へと行くことにした。

それを聞いたサタンは嬉しそうに頭を縦に振った。

 

(おいおい、男2人で乗るのかよ…。まぁ仕方がないか)

俺はサタンを観覧車に誘ったことを少し後悔していた。

しかし、言ったのは俺だったので、もうあとには引けなかった。

サタンはこんなにもワクワクしながら俺の後ろに付いてきていた。

おっさんのこんな姿なんて誰が得をするんだろうか…。

俺はひとまず、従業員に声をかける。

「おい。2人だ」

「はい、お2人様ですね」

従業員は俺たち2人の姿を見て、何やら意味深な視線を送ってきたようだ。

しかし俺は気にしないでおいた。

従業員に案内され俺たちは観覧車に2人きりで乗った。

2人っきりで乗ったのは間違いだったことを、俺は知ることとなる…。

 

 

「うわぁー!たかぁ〜い!」

サタンは初めて観覧車に乗ったのだろうか。子供のように大はしゃぎだ。

そのはしゃぎっぷりを見て、俺は真顔で眺めていた。

これが子供だったら微笑ましい気持ちになってくるが、俺の正面にいるのはアフロのおっさんだ。

残念ながら可愛げは一切ない。

顔が表情に出たのをサタンに見られてしまった。

俺はまずいと思い、とりあえず次に何を言うかを考えた。

「全王様…。こんな私と2人きりで夜景を見て楽しいですか?」

サタンが俺にそんなことを聞いてきた。

「…楽しいと思うか?」

俺はサタンの質問に正直に答えた。

俺の声には若干苛立ちがこもっていた。

まだ酒は抜けていないようだ。

「だったらこんなのに乗るなら女の子を誘えばよかったじゃないですか!」

サタンはいきなり大きな声をあげた。

(変なおっさんだな…)

俺は怪訝な表情でサタンを見ていた。

そんな俺は答えてやることにした。

「例えば、誰?」

「決まっているでしょう!」

サタンが夜景に酔いしれた様子で言った。

「ブルマ様、チチ殿」

サタンが大声で答えた。

それを聞いた俺は心の中で突っ込んだ。

(おい。両者とも既婚者じゃないか…)

俺はやれやれと両手を上にあげた。

サタンが急に叫ぶので、観覧車の室内にうるさい大声が響きわたる。

「声がでかいぞ…」

俺はそう言ってサタンを注意した。

しかし、そんな言葉を無視するかのように、

「おっ、ランチ殿か?」

サタンは目を光らせて俺の顔を見る。

おい、なんであのくしゃみすると人格の変わる女性を知ってるんだよ…。

俺はそう思い、とりあえず観覧車の窓から見える景色を眺めることにした。

観覧車におっさん1人と異形の存在…。

何とも不思議な状況だ。

 

「まっ、まさか、あなた。孫のパンを…!?」

ふといきなり思い出したかのように、サタンは驚愕の表情で俺を見た。

パンといえば、サタンの娘のビーデルと、孫悟空の息子の悟飯の間に生まれた女の子だ。

俺があんな小さい女の子と観覧車に乗ろうとしていると思っているようだ。

サタンは俺がパンに好意を抱いていると誤解しているのかもしれない。

言っておくが俺はロリコンではないぞ。

(もうこのおっさんは放っておこう…)

俺はサタンの誤解を解くのも面倒だと思い、視線を景色に向けた。

「いかん!断じてならんっ!」

俺がサタンから目を背けていると、サタンは勝手に叫んでいた。

目を血走らせ、俺の顔を肉に飢えたライオンのような顔で見つめている。

「全王様といえど、私のパンをやるわけにはいかん!」

「ん?」

サタンは興奮気味に鼻息を荒くしながら俺を睨む。

いきなり声を出しはじめたサタンを俺は見ていた。

彼は何が引き金となりそんなに興奮したのかがわからなかったが、とりあえず彼の話に耳を傾けることにした。

「パンは…、私の孫で、私の癒しなのだ!」

「はぁ…」

俺は生返事を返す。

(娘と孫がいるのは知ってるけどここまで熱くなるなんて…)

俺は漫画とアニメは見ていたのでサタンに家族がいるのは知っていた。

サタンの意味不明な叫びにただただ狼狽えそうになる。

なんなんだこのおっさんは?

そんな俺の疑問に答えることなくサタンは続ける。

「全王様といえど…。パンを狙うことは許さん!」

そう言うと、サタンは観覧車から見える夜空を眺めた。

 

ドーン、ドーン、パーン、と花火が上がっている。

まるで墨田川の花火大会を彷彿とさせる状況だ。

サタンは夜空を眺めながら言った。

「パンに見せたかったですよ…、この花火」

サタンはそう言って、目をさらに血走らせていた。

顔は青ざめているが、目は血走っているという何とも不気味な表情だ。

「どうしてあなたなんかと…」

悔しげな声が漏れている。

俺はドン引きしていた。

そんな俺にお構いなく花火に夢中のサタンは語り続ける。

「くそっ、なんだか腹が立ってきたぞ」

(おいおいおい…)

俺はこれ以上関わりたくないと思い、観覧車から降りようとしたができなかった。

俺たちを乗せた観覧車のゴンドラの位置は一番上にあり、ゴンドラの窓から地上がとても遠くに見えている。

俺は観覧車から降りることは諦めて、サタンの話をただ聞くことにした。

「うるさい花火だ」

サタンは地上に目を向けていた俺を一瞬睨みつけ、そして打ち上がっている花火を悲しげかつ腹立たしそうに見ていた。

「…」

(あー、うるせー)

俺は適当に相槌を打った後、再び景色に目をやった。

そんな俺の態度を見て、サタンは突然絶叫した。

「うるせーっ!!」

我慢が限界になったであろうサタンはゴンドラの中で耳がキーンとなるほどのボリュームで叫んだ。

「なっ、なんだ!?」

俺は驚いた。

鼓膜が破れるかと思ったのだ。

サタンは目を血走らせて夜空を見つめていた。

(面倒なやつだな…)

俺は心の中でそう呟き、興奮しているサタンを見ていた。

 

 

その後、自宅に帰宅したサタンは自室に戻り、鍵をかけて寝てしまった。

俺は酔いと疲れのせいかヘナヘナとソファに倒れ込んだ。

神族といえど中身が人間なので、疲れも普通に溜まる。

俺はソファに寝転びながら、腕を組んで目を開けたまま瞑想していた。

…サタンの自室から、サタンがすすり泣くような声が聞こえてくる。

サタンの思い込みは相当なものだったようだ。

あの絶叫の後、サタンは号泣しながら部屋に閉じこもったようだ。

(勘弁してくれ……)

俺は心の中でそう呟き、ソファに寝転びながら目を閉じた。

深夜帯だが俺はソファの上で仰向けになっていた。

 

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