ドラゴンボール超 ビールを飲んだおっさんがダラダラと全王様になった話 作:北村 貴之
俺は善応寺冬彦。
ビールをダラダラを飲んで寝落ちしていたらある日突然全王様になっていた30超えのおじさんだ。
そんな俺はある日、破壊神ビルスを呼びつけていた。
紫色の肌を持つ、ウサギのように長い耳を持つ破壊神だ。
「そそ、それで、今日はなんの御用で…?」
全王様たる俺を目にして、ビルスが震えている。
何かあったら消されるのが怖いからだろうか。
まあ、俺はそんなことはしないが。
「お前はベジータと知り合いだったな。サイヤ人の王子と知り合いだなんてすごいじゃないか」
俺はまずはビルスを褒めてやることにした。
当の本人はうれしがるどころかむしろ困惑していた。
「は、はぁ…。ありがとうございます」
随分と適当な返事だが、まあ仕方ない。
俺を恐れているのか不明だが、返す言葉がうまくでないのはある意味正解だ。
「それでは本題に入ろう。奴がカプセルコーポレーションの令嬢を嫁にしているのは本当なのか」
「それは本当です…」
ベジータには、ブルマという、カプセルコーポレーションのお嬢様を妻にしている。
サイヤ人の王子たる人が、地球人の女性を嫁にするとは、なんともラッキーだ。
カプセルコーポレーションとは、ホイポイカプセルをはじめとする数多くの技術品を商品として製造・販売している株式会社のことだ。
ドラゴンボールの世界では有名な企業のようだが、さすがに年収や売り上げなどは公表されていない。
当然ながら、ストリートファイターやバイオハザード、モンスターハンターで有名なあの会社は無関係。
なぜ俺がビルスを呼んだのかというと、ブルマを妻にしているベジータと知り合いというなら、カプセルコーポレーションの電話番号を知っているのではないかと思ったからだ。
王子を通してビルスに連絡先を教えてもらおうという魂胆だった。
なぜ俺が会社の電話番号を知りたいんだって?まあまあ、そう焦らないで。
ここから本番だ。
「それなら話は早い。奴から、カプセルコーポレーションの電話番号を聞き出してほしいんだ」
「電話番号…。ですか?」
俺はビルスを経由して、カプセルコーポレーションの電話番号を入手しようとしていた。
会社の関係者を知り合いに持つ破壊神から連作先を聞きだそうなんて、とんだ神様だな、俺は。
しかし、そうしなければやりたいことができないのでこうしてビルスに頼み込んでいる。
当然、こいつは困惑していた。
「期限はそうだな…。今日から2日間だ。それまでにベジータから会社の番号を教えてもらってくれ。できるな?」
この「できるな?」は、俺が仕事をしているときに部下に言っているときの口癖のようなものだ。
これを言う事で、本人には否定できない責任感を芽生えさせる効果がある。
やる事を行える能力があるかどうかの確認も兼ねているため、割と効果がある。
「はい。必ずや、全王様の元に、カプセルコーポレーションの電話番号を届けさせていただきます」
ビルスの顔を見るとすごい汗だ。目も泳いでいる。
だから、そんなに日和らなくてもいいよ…。
「無理を言って申し訳ないな。それなら、頼んだぞ」
俺はビルスの肩を叩き、にこりとほほ笑んでそう言った。
ビルスはウイスを連れ、そそくさに俺たちの元へと去っていった。
それから2日後。約束の期限となった。
俺の宣言したとおり、ビルスの顔を見る限り会社の番号を聞きだすことに成功したようだ。
彼の手には番号が書かれたと思われるメモがある。
「お待たせしました全王様…。約束通りカプセルコーポレーションの電話番号を聞きだしてきました。お願いします」
ビルスはそう言って、俺にメモを手渡した。
メモを手渡す手がプルプルと震えている。まるでスマホのバイブレーションのように小刻みに震えていた。
「ありがとう。どうも」
俺はお礼を言いながら受け取った。
「ところでさ、ビルス。お前も一緒に来るか」
「な…。どこへ行くというんですか?」
ビルスは目を泳がせながらそう言った。
「何がって…。決まってるだろ?カプセルコーポレーションだよ」
「ええっ!?」
ビルスは驚愕の声を上げた。
これから何が起きるのか。次に説明しよう…。
プルルルルル…。電話をかける音が聞こえる。
俺、全王がスマホでカプセルコーポレーションに電話をかけているのだ。
なんでスマホを持ってるかって?それは企業秘密で教えられないなあ。
話を戻そう…。
「お電話ありがとうございます、カプセルコーポレーションでございます」
女性の声が電話から聞こえてきた。どうやらビルスの教えた番号は本当だったようだ。
「あ、すみません。ブルマさんは現在社内にいらっしゃいますでしょうか」
俺は営業で得たスキルを駆使して、ブルマを呼び出してもらう。
「あ…。少々お待ちください」
そう言うと、電話の奥から慌ただしい物音が聞こえ始めた。
あれ?電話を保留にしないんだな。
こちらの世界では保留にはしないのか…。
数秒後、別の女性の声が聞こえてきた。
「はい、お待たせいたしました。社長令嬢のブルマという者です」
明るくて声の高い女性の声が聞こえてきた。聞き覚えのある声だ。
紛れもなく、ブルマだった。
「あ、ブルマさん。お忙しい中申し訳ございません。ひとつお聞きしたいことがあるのですが、会社見学会はやっておりますでしょうか?」
俺がやりたかったこと。それは、カプセルコーポレーションの見学だった。
どのようにしてホイポイカプセルが製造されているのか。どのようにして会社の機器が製造されているのか興味があったからだ。
会社の視察はそうだが、世界を楽しむ一環でもあった。
堅苦しくせず気楽にいきたいところだ。
「ええ。現在も行っていますが…」
「いつ開催されるのですか?」
「10月15日ですが」
俺はそれを聞いてガッツポーズをした。ちょうど今月じゃないか。
これは運命に違いない…。
「あ、はい!ぜひ参加させていただきたいのですが、大丈夫でしょうか?」
俺は興奮した声でブルマに尋ねた。
「ええ、大丈夫ですよ。申し訳ありませんが、お名前を頂戴してもよろしいでしょうか?」
とうとう俺の名前を出す時が来た。おっと、本名の「善応寺冬彦」が出ないようにしなくては…。
「ええと…。全王と申します」
「ぜん…。おう様、ですね。かしこまりました。そうしましたら、10月15日の午前10時半に本社で現地集合と致しますので、その時間帯までにお越しください」
なんとか全王で通すことができた。
しかし、ブルマは全王の存在を知らないようだ…。
王子は知ってると思うが。
「ありがとうございます、無理を言って。あ、後、すみません。私のほかにも3人ほど連れが来ますがよろしいですか」
「もちろん、大歓迎ですよ。楽しみにお待ちしております」
ブルマの優し気な声が電話越しに聞こえてくる。
いざ聞いてみると耳の保養にいい。
ベジータはこんな女性を嫁にしたのか。しかもイケメンな息子とかわいい娘まで設けるとは…。
大した奴だ。
「ありがとうございます。それでは15日。来させていただきますね」
「はい。お待ちしております」
「すみません失礼いたします」
「はいどうも。失礼します」
俺がお礼を言い終えると、ブルマは電話を切った。
電話を終えた俺は、大神官に顔を向ける。
「というわけだ。お前もビルスもウイスも、会社に来てもらうぞ」
「はあ…」
大神官は呆れているように見えた。
下界の会社を見るのがそんなに嫌か?
まあ俺が全王になったことは知らないし、性格が激変したことを未だに受け入れてないのがあるので無理はないだろう。
まあ、とりあえず説明会に行かせてもらうのは変わらない。
どんな会社なのかわくわくするな。
数日後の10月15日。午前10時半…。
このカプセルコーポレーションを舞台に、何が起きるやら…。