ドラゴンボール超 ビールを飲んだおっさんがダラダラと全王様になった話 作:北村 貴之
俺は全王様になった名古屋市在住のビール好きのおじさんの善応寺冬彦だ。
俺はビールを飲んで寝落ちをしていたらなぜか全王様になっていた。
なぜかは不明だが、俺はドラゴンボール最強のキャラクターへと姿を変えていたようだ。
俺の近くには大神官がおり、側近もいた。
最強の存在になった俺は、ドラゴンボールの世界を満喫することを決意した。
ドラゴンボールで有名なキャラクター。
それは誰かというと、あの戦闘力5と言われた、農家の親父だろう。
でっぷりと太った体格に、麦わら帽子とオーバーオール、そしてイカしたショットガン。
まあ、あっけなくラディッツに瞬殺されてしまったので、出番は全くなかったが…。
だが、その1シーンが有名で、瞬く間にあの親父は有名人となった。
ドラゴンボールにわかの人でも彼の存在は熟知していることだろう。
殺されはしたが、ドラゴンボールで蘇生はしているはず。
全王たる俺は、そんな戦闘力5の親父に、会いに行くことにした。
俺が来ていたのは、広々とした草原だった。
のどかな雰囲気で、都会とは違う空気を感じることができる。
俺は大神官を連れて、あの戦闘力5の親父がいるとされる農場へと向かっていた。
どうやってその親父の居場所を嗅ぎつけたのかというと、下界に飛び降りてあらゆる人々から聞き込みを行ったからだ。
俺は大神官と二手に分かれてその場所を調べた。
俺はドラゴンボールを実際に見ているし、Wikiも見たことがある。
俺の中の知識を存分に使って、親父の居場所を突き止めた。
だが、その居場所は当然ながら田舎だった。
あの戦闘力5の親父がいるという農場はなんと、バス停から歩いて約25分ほどの場所にあったのだ。
「なぜこんな辺鄙な場所に住んでいるのだろうか…?」
俺はそう呟きながら、そのおじさんが住んでいる場所を探っていた。
大神官は聞き込みで用いたメモを見つめている。
「全王様。もうすぐですね」
「え?もうそこか?」
俺は彼に聞いた。
「ここから柵みたいなものが見えますよね?」
大神官が指をさした。
彼の指さす方を俺は見た。確かに、木でできた柵のようなものが見える。
そして、そちらをよ~く見てみると、何やら鳥のようなものが歩いているのが確認できた。
確かWikiに乗っていた情報によるとその親父、鶏と駝鳥を足した鳥のような生き物を飼っているそうだ。
俺は初見でその情報を見たとき、チョコボしか浮かばなかった。
まさかとは思うがあの親父はチョコボを飼っているのか…。
しかし真相は確かめなければならない。
俺はそう思っていた。
「大神官よ。あの柵の方へと行ってみよう。あの親父がいるかもしれん」
「ええ」
俺たちは早速、あの柵と鳥の方へと歩いて向かって行った。
「クエッ、クエッ」
鳥の鳴き声が聞こえてくる。
1羽だけでなく、それも数羽だ。
俺たちは柵の近くに来ていた。
そして、その柵の中には大型の駝鳥のような鳥が数羽闊歩している。
かなり大柄で、見事なおみ足をお持ちだった。
あの脚で蹴られたら無事では済まなそうだ。
そんな鳥をあのおっさんは飼っているのか…。
残念ながらその鳥はチョコボではなかった。
確かに鶏の要素がある。赤いとさかに、白い羽毛。
白いチョコボもいるんですけどね。
「全王様、あちらに人の住処が見えますよ」
大神官が、親父が住んでいると思われる住居を見つけたようだ。
築数十年は経っていそうな木造の家だった。
農家らしく、かなり大きめの住居だった。
「よし、インターホンを探すぞ」
俺たちはその住居へと近づいた。
そして、インターホンのようなものがあった。
「空気読めるじゃん…」
俺はインターホンを押した。
ピンポーンと音がして、そして応答があった。
「はーい」
おっさんの野太い声だ。
「すいません!全王です。よろしいですか?」
俺は快活な声で言った。
「ああ、はいはい」
そんな軽い返事と共に扉が開き、そこからおっさんが出てきた。
ちょっと背が低く、でっぷりとした体格をしており、もっさりと口元と顎に髭を生やしていた。
ちゃんと原作通りに麦わら帽子とオーバーオールを着ている。
いや、ちょっと太りすぎではないだろうか…。
「はいお待たせ…。ってええっ!?」
親父は俺たちを見て開幕、腰を抜かして驚いていた。
それもそうだろう。神々である俺たちはある意味彼からすれば化け物のような存在だからだ。
「だ、誰だお前ら!?」
「誰って…。全王様だよ」
俺は適当に自己紹介をした。
しかし、それを聞いても親父はどこかおびえた様子を見せている。
歯ぎしりをしており、目も泳いでいる。
「ぜっ、ぜっ、ぜ、全王!?こんなボールみたいな面のガキがかあ!?」
親父は依然パニック状態であわあわしている。
いかん、何とかして彼を落ち着かせないと…。
そこで大神官が前へと出た。
「いきなりの訪問で申し訳ございません。我々、この農場を見学しにまいったのです」
「け、見学とな!?」
「ええ、是非とも見学させていただければと…」
大神官は頭を下げた。俺も頭を下げる。
親父は訝しげな目つきでこちらを見ていた。
まあ、無理もないが…。
「しっ、仕方ねえなあ…。まあゆっくり見てくんな」
親父はそうぶっきらぼうに言うと、俺たちを中へと案内した。
その割にはなかなか丁寧な応対だったと思う。
そんな様子を見て大神官が俺に耳打ちしてきた。
「…あまり刺激しない方がよろしいかと」
「わかってるって」
俺は彼にそう言った。
俺と大神官は案内されて、親父の家の中に入ることとした。
中は意外ときれいに整頓されており、清潔感のある部屋だった。
「今お茶出すからよ…」
親父はそう言うと台所へと歩いて行った。
そして、棚や冷蔵庫を開けるとお茶を探してそれを取り出してコップに注いでくれた。
「どっこいしょっと…」
彼はそう言うと俺と大神官の前にコップを置いた。
注がれたお茶はウーロン茶のようだ。
ウーロンねえ。あの豚さんにも会いたいな。
「かたじけない」
俺は礼を言った。
親父は俺たちの前へと座った。
「ところで…。どうやってこの場所へ?」
親父が俺たちに質問をした。
「ええと…。ネットですね」
俺はあいまいに答えた。
しかしこの世界には日本のようにネット環境はばっちりなのだろうか。
俺たちはアナログで聞きだしていたが、この世界のネット事情はわからない。
銃社会なのは確かなのだが…。
「ネット…。熱湯?」
親父は困惑気味に言った。
あ、ネットは通じなかったか。
「ええとね、本で読んできたんですよ。ネットというのは我々が崇拝しているアイドルグループなんです」
大神官がすかさずフォローした。
「そ、そうかい」
親父が言った。
「ところで…。ご主人はここでどういうお仕事を?」
俺は本題に入った。
あの鳥のことと、このおっさんの仕事の事…。
少なくともニートではなさそうだ。
「あの鳥は何なのか聞きたいんですけど」
「ああ、あれか。あれはこの農場で飼っている『キングドードー』っていう生き物だ」
親父は誇らしげに言った。
「へえ、名前もそのままですね…」
俺は関心して言った。
「んだなあ…。こいつらは俺の一族が代々飼いならしてきた大事な家畜さ」
親父は言った。どうやらここの主はおっさんだけのようだ。
奥さんはおらず、子供もいない。
それもそのはず、家族写真が見当たらないからだ。
女性用の服は見当たらなかったし、子供用のおもちゃや服も確認できなかった。
しかし、あの鳥の名前が『キングドードー』と呼ばれているとは…。
原作ではそんな名前は確認できなかったぞ。なぜなんだろう?
まあいい。そんなことにいちいち突っ込んでいたらきりがない。
「ところでご主人。今は暇か?」
俺は親父に質問する。
別に俺たちはここに遊びに来たわけではない。
というのも…。
「はぁ、鳥の世話してるとき以外は暇でんなぁ」
訛りが混じった言葉で返してきた。
ドラゴンボールの世界にも訛りはあるようだ。
「じゃあ話は早い。今から、ミスターサタンのいる館へと行かないか」
「ミスターサタンというと、あの世界一の格闘家の?」
「うむ」
なんとこの親父、ミスターサタンを存じていたようだ。
サタンはかなり有名人のようである。
俺はあらかじめ、事前にビルスからミスターサタンの居場所を聞き出しているので、サタンが住んでいる場所は把握している。
「一度生で会ってみないか?退屈はさせないからさ」
俺は親父に提案する。
「まあいいが…」
親父は乗り気でいるようだ。
よし、交渉成立だ。
親父は立ち上がり、身支度をはじめるために部屋を移動した。
俺たちは早速、ミスターサタンの館へと向かうこととなった。