私はそのつもりでした
私が忘れているので復習がてら登場人物の確認
・小鳥遊ツキノ
・早瀬アヤカ
・早瀬ユウカ
・ユウカの夫
小さい頃、私は外の世界で過ごしていた。今と同じように家族三人で生活していたけれど中学一年生の時に事件が起きたんだ。私の通っていた中学校は女の子しか通っていない珍しい? 学校でね。そして中学生ともなると思春期真っ只中じゃん? えっちな事に興味を持つ子達がちょくちょく居たんだよ。私は親が年中盛ってる様なものだからそこまでだったんだけど……ある日クラスメイトから屋上に呼び出されてね。
「私と付き合ってください!!」
って言われたんだ。好意を持たれるのは嬉しいよ。その子の事は確かに好きではあったんだけど……それはあくまで友達としてだったんだ。だから申し訳ないけど断ったの。そうしたらさ……
「じゃあセフレでいいから!!」
いやぁそうはならんでしょ。飛躍しすぎにも程があるよね。怖かったもんあの眼。獲物を捉えた獣かのように必死だったもんね。血が激ってるってああいう状態のことを言うんだろうね。だから理由を聞いてみたの。どうしてそこまで必死なのかって? その時の回答は今でも鮮明に覚えてるの。
「ツキノちゃん……生えてるんだよね?」
………………
は?
「だから……あれ、生えてるんでしょ?
普通は男の人に生えてるやつ」
「生えてないけど……というか何が?」
「お※※※※に決まってるでしょ!?」
「えぇ……」
そう、私は何故かふたなり人間として発情期のクラスメイトに襲われかけていたみたい。いつ誰がそんな噂を言いふらしたか分からないけど……同性に襲われるのはちょっと、いやかなり抵抗があったし……家でその事について親と話したらさ……
「成程。ではその学校を駆除しましょうか」
「お父さんストップ」
「そうだよ。ここは噂を流した組織を潰すくらいにしておかないとね〜久しぶりにショットガンを担ぐ事になるなんて思わなかったよ」
「銃刀法違反になるよお母さん」
「ツキノにあらぬ噂が降りかかるのを黙って見ていられるほど私は出来た親ではありません。大丈夫です、命を奪う程度ですので」
「アウト! 一発KOだよ! 捕まりたいの!?」
「大丈夫、覆面を被ればバレないバレない」
「バレバレだよ!! もっと安全な方法で考えようよ!! どうしてそんな過激なの!?」
「ホシノが過ごしてきたキヴォトスは治安が終わっていると言っても過言ではないので」
「なんなのその世紀末!?」
……その後も色々あって『ツキノの貞操が〜』って毎日話されて鬱陶しくなってきたから安全な場所に引っ越そうって結論を出したの。んで外の世界からこっちに来たって感じ。そこからアビドス中学校に転校してそのままここに進級したんだ。
「こんな感じかな。変な勘違いをされたのは少しショックだったけど過ぎた事だか……」
「ツキノちゃん!!」
「うわっ!? アヤカのお母さん!?」
「その気持ち、よ〜〜く分かるわ!! 私も昔『生やせユウカ』とか『イシヘンジン』とか『冷酷な算術使い』とか『体重100kg』ってあらゆる誤解や差別を受けていたから!」
「後半二つは事実だろ」
「何か言いました?」
「ゴメンナサイ」
「なんでまた部屋に来たのよ! 出て行って!」
「俺を押したところで親子太ももサンドてえてえと叫ぶだけだが?」
「五月蝿い!! さっさと戻る!!」
「ハイ」
友達の家の力関係を見せつけられつつまた平穏な時間がやってきたよ。基本的にお父さんは雑に扱われがちだよね……
「……話をまとめるとツキノは同性にモテるって事?」
「あんまり嬉しくはないけどそうなのかも知れない。アオバに好かれたのもそういう体質だからなのかも」
「アオバさんは……何なのかしらね」
「さあ……」
「……一旦話を戻しましょう。結局ツキノは何処の部活に入るか決まった?」
「正直言うと全部碌な目に遭わない気がするからまだ迷ってるんだよね……なんなのあの魑魅魍魎」
「個性的ではあるものね……まあもう暫くは考えてもいいと思うわ。すぐに部活動を決めろって言われてる訳でもないしね」
「そうだね。……あ、そろそろ帰らないとお母さんに連れ戻される時間だ」
「もうそんな時間なのね……駅まで見送るわ」
「ありがとう」
その後駅までアヤカが見送ってくれたんだ。「またこうして来てくれると嬉しい」って夜のお店みたいな事を言われたのは引っ掛かるけど……とりあえず電車に揺られながら今後の事を考えないとなぁ……
「これからどうしよう……」
「ん、私と百合園部に入るべき」
「いつも何処から湧いてくるの?」
「GPSを着けてるからすぐに分かる」
「怖」
「ん、もうすぐ終電だね」
「全然電車あるよ」
「少し休憩していかない?」
「しないよ」
「じゃあ強引に襲うね」
「そうしてもいいけど絶縁するからね」
「ごめん」
怒ったらやめてくれる辺りアオバはまだ良心的……じゃないわ危ない危ない。ヤンキーがちょっと良い事をしたら凄く褒められる現象みたいな事になるところだった。ただの百合だもんこの子。
「……アオバは本当に百合園部に入るの?」
「入らない」
「えっ入らないの? その性格で?」
「私が欲しいのはツキノの心だけ」
「絶対に手に入らないものを狙うよりも確実なものを狙った方がいいと思うよ。ワンチャンもないから。0%だから」
「愛があれば解決……」
「しないよ」
その後特に何事もなく家に着いたんだけど……帰って来た時にリビングで嫌な声が聞こえたから夕飯は後回しにしてお風呂に入ったんだ。今日一日を振り返ってみると濃かったな……
「正気じゃない仮入部、当然のように襲ってくるアオバ、個性的なアヤカの家族……どうしよう、私が普通の青春を満喫出来るビジョンが何も見えない……! そもそも父親が人外の時点でダメなのかもしれない……ううん、私は必ず自分の青春を手に入れるんだ!」
変な誓いをしちゃうくらいテンションがおかしくなってるけど私は今日も無事に一日を終えられた。明日の事は明日の私に任せよう……
この後の展開ですが殆ど覚えていません。放置しすぎた弊害ですね