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ただ息抜き場、練習場にするつもりです。
「おい、おっさ…教官!なにすんだよ!!」
「走れー!!」
鍛えるといっても唯依姉と同じメニューだ。
ただ、シミュレーターの時も走らせるのは勘弁。
なんなら実機訓練も体力系になりそうだ。
しかも南洲は知ればいいか教えてくれない。
「最後だ!力を振り絞れ!!」
最後の1周だそうだ。
絞りだす力なんてないがね。
「凪雲のせいで追加が出そうだぞー」
唯依姉がこっちを振り返る。
唯依姉、わかったから!今すぐ本気で死ぬ気で走ります!
冬なので息が白い。
僕は呼吸を変えた。
ずっと白い息が渦巻いている。
最後の直線はさらに白い空気が増した。
「終わったー!!」
僕は倒れこんだ。
校庭ってこんなに…きたねえな
気分がいい、眠くなってきたので寝ようとすると
水が落ちてきた。
大量の。
「あばばっばばばばば!」
「よかった、生きてるわね?いさな」
「助かった?唯依姉!!?」
バケツを持っていたのは僕の姉の唯依。
バケツっていうのがちょっと悲しいけどそれでも助かった。
「偉いね、3か月でついてこれるようになるなんて」
「ついていけてないけどね。全然。もうそろそろ唯依姉は実機だね」
手をつかんで起き上がる。
「いさなはもう衛士だもんね」
あぁ落ち着く。
唯依姉は落ち着かせることがうまい人だ。
僕にだけ。
「ほかのみんなは?」
「もうシャワー行ってるわよ。一緒に入る?」
汗でぐしゃぐしゃの頭をなでられながら聞かれる。
「子供じゃないんだから!」
「でもねぇ?」
「嫌だよ!男のほうはいる!」
でも断っちゃうのもなぁ。
「行ってらっしゃい」
「やっぱり…一緒に入る」
その瞬間、笑顔になった可愛い唯依姉がいた。
服を脱いでお風呂に入る。
「もうみんな行っちゃったね」
シャンプーで頭を泡立ててくれている僕にそう話しかけてくる。
「目はつぶってて」
眼を開けようとしても泡をさらに増やされて開けられなくなった。
「体もしまってきたね…お姉ちゃんはうれしいよ」
でも声は少し悲しそうだ。
「それにしては悲しそうだよ」
「やっぱわかっちゃう?」
「弟ですから!」
自分の胸を叩く。
トンという音が聞こえてくる。
するとなんか柔らかい、背中が…
「私はね、いさなを守りたかった。でもいさなは行っちゃうの。守りたいのに!!大切な弟だから」
「お姉ちゃん?」
「お姉ちゃんだからこそ、守りたかった。だから強くなりたい。でもいさなのほうがきっと強い」
お姉ちゃんは泣き始めた。
泣きながらシャンプーを洗い流してくれた。
それでも抱き着かれたままだった。
「いつか隣で戦おうよ。お姉ちゃん」
「約束ね!!」
「うん!約束する」
回れ右されて正面から抱き着かれる。
僕はどうすることもできなかった。
そのまま立ち尽くすだけだった。
唯依姉!生きててね。そして一緒に行こう。
戦場に。
あと1か月で離れるけど…満喫するよ。
1998 3