F2の試作機カラー好き
週末。
僕がいない間に作業は進んでいたようで在学中に天津風が完成。
地下格納庫に行くと塗装もされて黒に白が少し入った美しい機体が僕の目に入った。
曲線が多く、それでいて威圧感がある。バランスが取れている容姿。
しばらく感動して動けなかった。
ただすぐに動かなきゃいけなかった。
「こっからデータ取り、急がないとね」
「限界機動試験に空力。あとは当初のシミュレーターデータとの誤差。新型関節のデータ、担架装置もか」
「忙しくなるよ、杉下さん」
「ところでこの基地ではデータ抽出に向いていませんよ?」
「岐阜に行くんだよ。そこならちょうど武御雷とも一緒にできる」
「そういえば新型関節の情報を渡しましたね。結局は違うのを採用したらしいですが」
「それとの比較もだよ」
腕を組みながら机に座って居る杉下さん。
頭の中でスケジュールを組み立てているようだ。
結局隼計画は元メンバーと一緒に歩むことになりそうだ。
そして岐阜ということは
「父上、しばらくあの家に住み続けれそうです。寒地試験もしなきゃですが」
「乾燥地帯もだ。まぁ日本にそんな場所がないから困っているがな。そもそもしなくていい気がしてきたがな」
「しなくていいと思うよ。寒地は季節だね。ちょっと遅かったかも」
そして地べたに座っている父上。こっちはわくわくしてそうだ。
あと3人いる。
「あんた、OSを全部任せてなんなのよ!!忙しいのに」
一番偉そうに椅子に座っていて腕を組んでいる夕呼先生。
こっちは結構怒ってそうだけど。
「でもオルタネイティブだっけ?仕事進んでなさそう…」
「うるさいわね!!」
地雷をしっかり踏みこんでしまった。
やっちまったわ。
結構顔を赤くして怒っている。
「いさな?女心を学ぶんだ。礼儀よりも先に学ぶべきだ。急務だな」
「巌谷さん?」
後ろから抱きかかえられてたかいたかいをされる僕。
そして抱きかかえているのは巌谷さん。
「でも先生、女なの?まりもちゃんのほうがよっぽど女性だよ」
「…黙ってくれ、頼むから」
ひそひそ声で言われるがあっちは勘づいたようだ。
「ならまりもの狂犬モードを見せてあげるわ!!今日、あんたの家に連れていくから!!」
「せつなさん?」
せつなさんをちらりとみる。
僕に会えない時間が多いからってこういう日は結構べたべたしてくる。
今は巌谷さんに取られてにらんでいるけど。
「あーーあーー、大丈夫ですけど。香月博士?仕事は?」
話をところどころ聞かないほどにはイライラしているのかも
「私だって休みたいわよ。じゃぁお酒を用意しておいてね」
「わかり…ました」
先生、結構ニコニコだね。
「まりもちゃんの都合は?」
「無理やり合わせるわよ。それよりもきどう試験ときどう試験どうするの?」
「えーっと?」
「起動と機動、電源の方と戦闘の動き」
顔を傾げた僕たちにしっかりと教えてくれた。
「今日済ませるよ、武装は降ろして」
僕は足早に強化装備を着る。
「これもわざわざ新しく作ったんだよ。いやー、試験の奴無理やり借りてきてよかったー」
いつものものよりこう、ごつごつしている。
僕のはなぜか男女共用のものだ。
っていうかわかれているのが普通だ。
きっと成長するからだろう。
黒い部分と白いパーツで構成されている強化装備を着る。
階段を下りてまた管理室に入る。
杉下さんだけここにいる。
「行ってくるよ」
コックピッドにつながる通路を歩く。
いつものバッグと矢矧だけは持っている。
でもいつもと違うのはハッチの開き方だ。
いつもはスライドして開くが天津風は上に開くタイプだ。
その上に開いている部分にワイヤーがついている。
でも一応セッティングを合わせなきゃなので杉下さんも来れるように通路を歩いていく。
天津風の格納場所は不知火用とは違って少しだけ広く作られている。
不知火のだと管制ユニットに届かないからだ。
「よいしょっと、じゃぁ一応初期設定はしちゃうね」
身体情報登録、生体認証システムの設定。あとはなんだっけ。
「あとなにすればいいのー?」
外から見ていた杉下さんに聞く。
「感度調整とかはデータ入れたし心の準備ですかね」
覚悟なんてできてる。
ハッチを閉める。
「綿月いさな!覚悟ができているとしてもそれは何の覚悟だ!」
そんなのはきまってる。
敵を殺すこと。
「ならば貴様にとっての敵とはなんだ!」
知らないよ。
僕の仲間に敵対するすべて。
「仲間が裏切ったら?選ぶのか!お前は自分の選択で
なにを?
「銃口、剣先…なんでもいいさ!君が殺せるのなら」
知らないよ。
「覚悟が決まっていないのに敵を殺しに行くのか?」
それ言うの遅くない?
「このタイミングでいいんだよ」
そう、きっと僕の敵だろうね。僕が殺すのは。
「戦場は生半可な場所じゃない。敵じゃなくても偶然殺すかもしれない!」
うるさい!!覚悟なんてしてない!!!
「ならなんで戦う!!」
守るため。大切な人を。
「それが敵でもか???」
引き戻してやるよ。
あんたはできなかったのか?
「できなかったさ。その証拠に…君の周りにいるだろ??」
「なにがだ!!!!!!」
「気づいていないならまだいい。覚悟はしておけよ??」
救済してやる。
味方だったものなら。
「自分を信じろ。それならばな」
君の名前は?
「
見守っていろよ。
「いさなちゃん…おっといさな君。エンジン回してください」
フェニックスエンジンのJFSを起動する。
「対爆シャッターをもう過ぎてたんだ」
もうカタパルトの前だった。
なにからなんまで新開発していろんな企業に手伝ってもらったんだ。
フェニックスエンジンの両方の回転数が上がっていった。
管制ユニットの一番左側には基本エンジン出力のスロットルレバーがある。
それを前側に押すとエンジンの気高い、勇ましい高い音が大きく聞こえる。
跳躍ユニットを動かす。
「問題なさそうです。ではいってらっしゃい」
「ブラッドウィング、離陸を許可」
「BW、離陸どうぞ!」
カタパルトに乗ってフットペダル押す感覚で踏みこむ。
いつもとは違う重い感じ。
言葉にできない心の重み。
それとは裏腹に軽く感じるほどの出力。
体が軽い。
カタパルトから離れるとすぐに加速しだした。
これが巡行モードだと思うと戦闘はゾッとする。
時速500KMぐらいを出したところで加速をやめる。
「なんもすることがない。さらっといっちゃったし」
「それでいいよ、いさな。おめでとう」
「いやこれはみんなのおかげだよ」
そうか、感謝しなきゃ。
今日みんなこれを見るために地上にいる。
「システム、戦闘モード。気合入れるよ!天津風」
レバーをただガシャガシャしていればいいわけではない。
でも僕は無意識に動かす。
手前にブースト、さらに上にブースト。
急降下しているときにさらに上に向けて噴射。
そのまま機首を上げるように、
旧世代の急降下爆撃機のように地面ギリギリで引き起こした。
接地警戒音がうるさかったが…楽しい。
プルアップ??そんなことするかよばーか。
背面で滑走路を爆走したり…うん??
よくよく考えたら怒られる奴じゃ…
はしゃいじゃったけど…\(^o^)/オワタ。
我に返ったのでRTB。
最後はゆっくりと降りる。
コックピッドを開けて誘導用の板に乗せてからワイヤーを使わずに五点着地法で一気に飛び降りて逃げる。
結局なんか歩いていた伊歩さんにつかまった…
きょーはさいあくのひだ!!
そのあと、ものすごく怒られたけど基地の人に僕のことがばれたら嫌なのでうちの伊歩が謝りました。
ありがとね。
夜、宣言通りまりもちゃんを連れた先生がきた。
その時にこそっと父上に逃げてくださいと言っていたのを聞いた。
おい、なにをされるんだ!?
「せつなさん、伊歩さん。地獄みたいな顔ですね」
きっと何か言われたのだろう。
顔が真っ青だ。
「お酒あるわね?かんぱーい」
僕はジュースを少しずつ飲む。
そしていつも通りご飯を食べていると3人が消えていた。
3人というのは、せつなさん・伊歩さん・先生。
つまりまりも先生と二人っきりである。
うれしがるべきか恐れるべきか。
「いさなくーん?おさけちょうだーい」
なんかお酒の用のお皿?を出してくるので両手でお酒を注ぐ。
こういうのやると大人になった気分だよね。
「いさなくーん」
なんかべたべたしてきた。
「おねえさんといいことしない??」
「いいことって?」
すると真っ赤の顔をしたまりもちゃんが服を脱がせようとしてくる。
それを頑張って阻止していると顔を近づけてきた。
「ねぇ、うけいれてよぉー」
「せんせい?ちょっとこわいよ?」
そういいながら片手でヤマカガシをだしかける。
だけどすぐに気づかれてこんどはその右手を腕で抱きかかえられた。
まぁ、うん。やわらかい。
「落ち着いてよっ!!!」
手を放そうとするとさらに力を強めてくる。
「なに?なんでこんなに強いの?お酒でも飲めば強くなるの?なら…飲んでやる!!」
お酒の瓶をさかさまにして頭からかける。
「いさなくん!!だめだよ!!なんか中毒になったりで」
時雨、頼んだ…
なんかやっておいて
頭がくらくらする。
気持ち悪い。
「先生、お酒なくなったから一緒に寝ましょ」
そのまままりもちゃんに寄りかかって寝た。
記憶がまばらだから多分…だけど。
1998 4
エンジンの始動方法、戦闘機と同じなのかな…