状況は悪かった。
強いて言うなら九州や中国地方の避難民の非難が終わりそうだったという事。
拒否した人たちは残されてはいるが他の人は避難できた。
「我々は京都に行くことになる」
「了解です」
父上からの伝達を計画チームのみんなで確認して準備を終わらせる。
「それにしても遅かった気がする。もっと早くこれたのに」
何もかもが都合がよすぎる。
それがうれしいのだがそれでも遅すぎる。
「では全体状況の確認ですが、光州作戦の痛手を完全には回復していないものの順調に戦線を構築しています」
上陸されたのは九州と下関。
なんか引っ掛かる。
「四国が大事だね。四国の状況次第でここから先が変わると思うよ」
ただ民間人が少ないので艦隊をフルで迎撃に使えそうなのは機体ができる。
民間人を砲撃に巻き込むわけにはいかないからね。
「それよりもアメリカ軍と国連軍の動きも重要だね」
徹底的に戦ってくれるだろうがアメリカは自国民が傷つくのを極点に嫌う。
それはそうなのかもしれないけどアメリカは特に。
日本で戦っていたとしても安全第一。
核を持ち出すかもしれない。
日本は断るだろうけど。
「小波、あいつらなら」
僕は考え事を少し口に出してしまった。
こういうことあるよね。
みんなには聞こえなかったようだけど。
「それでだ、京都で最終防衛ラインの防衛と…威力偵察が主任務になるだろう」
駒、それぐらいにしかならないほど部隊規模は小さい。
でも規模は小さくても戦力はある。
「我々の見通しだとそんな時間はないだろうがな」
威力偵察をするほど相手は待ってくれない。
となるとそれに似た奇襲とかか。
「とにかく武装はたくさん持っていくぞ。可能限り」
京都に展開か、
「ところで京都のどこらへんなの?父上」
「それはまだ知らない、それは参謀本部からくるだろう」
将軍からねぇ。
「ただあっちにいったら仲間と連携をとりながら独断での行動をしろと言われたよ」
「結構なことだね」
そういうと父上は離れていった。
もう1人の男の人に僕は話しかけた。
「巌谷さん、生きていますよね。姉上」
父上には言いにくい唯依姉の事。
とにかく心配だった。
「想像以上に強くなっているんじゃない?我々がつくころまで生きているよ」
頭をなでられながらそう言われた。
「それにしても父上は出撃しそうな勢いだけど、余っている機体はないよ?」
「我々が開発した…瑞鶴ぐらい分捕れると思うよ」
これには苦笑ってやつをしてしまった。
乗るのは伊歩姐とセシル、僕の3機。
不知火改・拡張ユニット付き2機と天津風・拡張ユニット付き1機。
これが今の404部隊だ。
「あと言い忘れていたけど部隊名が変わるよ。さすがに日の目を浴びるときが来たみたいだね」
「なになに?部隊名」
僕はちょっと期待してい聞いてみる。
「斯衛軍第4試験中隊所属第2小隊」
「編入?」
「新設」
ただ巌谷さんの顔を見ているとそれだけじゃない気がする。
「連隊というのはまぁ建前だ。第1小隊はない。いつかできるかもな」
僕は顔が名一杯に?担っているに違いない。
「とりあえずそう名乗るように。凪雲隊長」
「はっ!了解しました!」
背筋を伸ばし敬礼をする。
「第4試験中隊隊長は私だ。よろしくな」
巌谷さんが言い放つ。
それも厳格な顔で。
それがおかしくて吹き出しそうになった。
「今は笑えるうちに笑いなさい」
なんとも意味深なことを言われた。
「いさな君!今から行くところができたよ!」
せつなさんが後ろから声をかけてきた。
「わかった!巌谷さん、準備よろしくっ!」
そう言って連れていかれたのは武器屋さん。
「注文のヴェレスクにリボルバー、あとラプアマグナムね」
前に武器を送り付けてそのあとも送り付けたので満足らしい。
郵送でよかったものではなかったと反省はしている。
「ヴェレスクを鞄に入れて、リボルバーはジャッジメントとパニッシュメント」
「コルトジャッジメントとコルトパニッシュメントね」
「あとミョルニル、MK18をラプアマグナム化した奴な」
一気に銃を目の前に置かれる。
それをバッグに詰めたり分解する方法を教えてもらったりしてさっさとしまった。
「ミョルニルは家に置いていくよ。でかすぎるし使わないはず」
「せっかく急いだのに」
「ごめんなさい」
謝ると店長はバツが悪そうにし始めた。
受け渡しが済んだ。
「セシル…武器…やべっ!店長!何かすぐ使えるアメリカ系の拳銃」
「おらよ!ベレッタだ」
銃を放り投げる銃を持つものとしてあるまじき行為をされたが受け取れた。
そしてマガジンやらをもらって帰ることにした。
忙しいのでね。
「死ぬなよ?嬢ちゃん」
「簡単に…いや死ぬもんか」
そういって立ち去った。
これが本心だから、死ねないっていうことが。
絶対に生きてやる。
そしてできるならBETAをっ!
「セシルには忙しい日になりそうだね」
「セシルは少尉として着任することにしました」
斯衛に海外の人は珍しいというかいないだろう。
だから養子とかにして無理やりっていう意味だろう。
「セシルねぇー」
セシルの力は知っている。
「不知火がもう1機いたらせつなさんが乗れるのに」
「私はなるべく戦場にはいきたくないですけどね」
少し困った笑顔をしながら返してくる。
「そんな余裕はないはずだよ。だから…逃げるときは先に逃げておいて。父上たちを連れて」
「わかりました。力尽くで皆さんを連れて逃げます」
悪い言い方をすると足手まとい。
いい言い方をすると心残り。
だから東京に逃げていてほしい。
生きていてほしいから。
「いさな君、行きましょうか」
トレーラーに積まれた天津風を見送ってからいったん家に戻ることにした。
ここで死ぬわけにはいかない。
きっとあとがまだある。
「そういえばお墓ってどうなっているんだろうね」
本物の両親のいた寝室に正座をして虚無に問いかける。
帰ってくるはずのない返答を待たずに立ち上がる。
この一言を言って部屋を立ち去る。
何も置いてはいかない。
「いってきます」
そして家を出て京都に行くことになった。
こんなことで行きたくはないけど。
「現在の情報です」
結局我々はトレーラーを追うように出発した。
ただ夜中だ。
なので眠い。
「今のところ九州は善戦。山口などが手一杯ということです。海軍は九州に支援をしようとしても中国地方側からの救援が多すぎて九州は孤立しかけています。そこで帝国陸軍は九州からの撤退をして四国に回すという考えが有力です。そのために京都からの一部部隊を山口に回す案が多分決定でしょう」
「山口はもはや完全に上陸されたね」
「はい。九州は板挟みですが以外にも戦線を維持しています。そのまま大分から四国に脱出とか」
「海軍は忙しそうだね。多分途中で輸送船とか置いて無理やりにでも四国に逃がしたいだろうね」
「四国から回って神戸あたりに配備かと」
山口…中国地方の西側は結構ちゃんとBETAに取られているものの膠着状態。
これは海軍のおかげ。
九州は山口に分散したことで予想よりも少ないから…かな?
「とにかく!我々は一応前線にはいかず後方で待機。近づいてきそうなら拡張ユニットをどこかに1個隠して威力偵察だな」
「意外と崩れてないね。戦線」
せつなさんが詳細を書き入れた地図を見ながら僕は言った。
「それにしても拡張ユニットがギリギリから採用されるなんてね」
ギリギリというかアウトラインではある。
ただ増産はうれしい。
行きが重い分耐えれる、そして逃げるときにも十分な燃料と弾薬がある…というのを目指したので
理想的に使えればいいが。
76ミリの配備も比較的早く全体にいき渡ったこともいい点なのかもしれない。
「76ミリ速射機関砲の戦果がいいですね」
ベテランを前に出しながら火力支援を後方でする。
そしてそれを学んで前に出れるようにする。
懸念点はおかしくなって味方を撃つこと。
ただそれはIFFのせいでできないはず。
比較的若い衛士でも戦果を出しやすい兵装に作ったから戦果を出していて理想になっているのはうれしい。
「特に遠距離からのレーザー級撃破を多数確認しているのは特に目立ちますね」
多分それは…前線指揮官が76ミリの使い方を熟知しているからだろう。
ギリギリの場所を選んでいるのだろう。
「57ミリはどうなの?」
「57ミリも戦果としては76ミリには劣りますが、それでも戦果は出しています」
苦い顔をというか微妙な顔をしたせつなさんをみて何か感じる。
「ただ、ベテランが前に出るのに若い衛士向けの兵装はマッチしにくくて…中堅が使うらしいですが」
やっぱりか。
威力強くて取り回しはいいけど弾の消費とかなによりレートが反動を抑えるために遅いっていうのもあるかな。
「とりあえず今は休みましょう。休めるうちに」
その次の日の昼に京都についた。
京都は、もはや何が何だかわからないくらい人がいろいろなところで焦っていた。
1998
8月入り