あの後ずっと寝てしまった。
久しぶりにいつもの服に着替えられた。
といっても今は夏。
セーラー服みたいなシャツに半ズボンである。
京都なんて久しぶりだな。
そう思いながら基地の建物の外に出る。
でも、かわってしまった。
前に来た時よりももっと物騒というか殺伐としている。
歩いたってなにもわからない。
いやわかりたくもない。
僕は空き時間に寝るか、整備するか。
それだけになってしまった。
僕の仕事はした。
前線はさすがにまだ耐えるだろう。
損害を少なくしながらじりじりと京都に近づいているのは明白だが。
損害が少ない。
これは大きいと思っている。
やっぱり76ミリのおかげ!?
アメリカ軍の支援も結構大きいみたいだし。
僕の予想ではもっと少なかったんだけどね。
そしてその理由ははっきりとすることになる。
小波。
あいつのせいだ。
確信した。
「本当に核地雷?」
司令部…というかせつなさんと電話で聞いてみる。
「はい。事前に京都までの道に核地雷を仕掛けていたみたいです」
聞いた時は信じられなかった。
核地雷を仕掛けているという話。
…やっぱりアメリカ軍、いや小波は嫌いだ。
これで国民がどれだけ嫌悪感抱くのと反発をするか。
でも現場はどれほど喜びそして悲しむか。
楽になるのは事実かもしれない。
でも悔しいし悲しい。
この感情を奴らは考えたのだろうか。
いや考えていないだろうな
あいつらはいつも自分中心だ。
「唯依姉、行ってらっしゃい」
そんな思いを隠しながら唯依姉を見送る。
少し用事があって家に戻るらしい。
僕はもう戻りたくない。
思い出してしまうから。
今までの平和な日々。
思い出。
「やっぱり寝るか」
そういってまたベッドに横になって寝始めた。
こうなってしまっては戦況は突然はもう動かない。
もうそろそろ本当の京都防衛線が始まるがそこまではなにもしない。
起きると唯依姉がいた。
そして話しかけてくる
「改めて戦闘ログ見させてもらったけどすさまじいね」
2時間ぐらいの連続戦闘。
それも疑似孤立で。
2時間、たった2時間かもしれない。
例えばの話だが防衛線だったら?
どれほど戦闘をすればいいのだろうか。
少しでも休息をとれる時間があるといいが。
それはそれとしてスコア。
これも記録されていてダントツだった。
要塞級の被害が特に大きく脅威度だけで戦っていた感じはある。
目の前の膨大な敵をすべてを相手にしながら脅威度の高いものは先につぶす。
そしてすべてを相手にしていてもすべては倒しきれない。
それは単機というのもあるしBETA戦において重要だと教わっている。
レーザー級の進出が遅い。
それもまたこの戦いで得た情報だ。
そして戦闘ログは映像としても残っている。
いさなのを見ると怖さすら感じるほど。
この機体もそうだしいさな自身も
唯依姉の目が少し変なかんじだ。
「やっぱりいさなはすごいね」
「なんかもっということあったのに丸め込んだ感じだねー」
「別にいいでしょっ!」
唯依姉はきっと小隊のみんなにはもっとお姉さんとしてるんだろうなぁ。
僕と一緒の時だけ幼く見える。
かわいい。
「唯依姉は可愛いよね」
しまった。
心の声が出ちゃった!
「えっ!?ふぁぁ?」
声になっていない声をだしながら赤くなった顔を見てちょっとなんかこっちも恥ずかしくなった。
でも僕の姉だ。
誇らしいよ。
「唯依姉、生きて。そしておいで。僕の家に」
そういって起き上がる。
「そういえば安芸さんとかと話してないな」
「彼女らは今は不安定だからね」
ふむん
やはり学生が衛士をするなんて難しいものだな。
「唯依姉、天津風に乗ってみる?あっ!乗るってコックピッド入るだけだけど」
「いいの?入ってみたいけど」
戦闘ログは整備兵さんから見せてもらった。
だから入ったことはないし見たこともない。
「だいじょぶだよ。唯依姉、ばらしたら父上の責任だよー」
僕は冗談半分で言っておく。
唯依姉は笑いながら頭をなでてくれた。
僕は鼻歌を歌えるほどリラックスをしていた。
初陣で生き残ったんだ。
ずっと生き残ってやる。
「この子は第3世代だよ。もはや第3.5世代かもしれないけど」
天津風のコックピッドにワイヤーで一緒に登りながら囁く。
だってワイヤーに一緒に上がっているのだから抱き合っているので距離が近い。
「意外と広いでしょ!」
コックピッドに招かれた唯依姉の反応を見ていう。
別に特別広いわけじゃない。
特筆すべきは丸い形という事。
「確かに広いね」
僕はいつもの感じで席に座る。
「これね、ヘッドセット」
網膜表示には欠かさないものだ。
一応、この機体はディスプレイが3台ぐらいあるし常に使っているが。
唯依姉はヘッドセットをつける。
丸形の管制ユニットの中央に座席は位置する。
補助席は一応あるが空中に浮く形になるしそもそも僕の席の真上にバンドで固定する。
なので唯依姉は今僕の真上にいる。
準備するの大変だけど練習もしないとね。
実は僕は磁石によって席に固定されている。
リニア式ってやつらしい。
「天津風、システム起動。違う違う!」
システムを起動したら巡行モードまでいれている。
どんだけ戦いたいんだよ。
「やめやめ!戦闘ログを表示」
真ん中のディスプレイが足元から上がってくる。
タッチパネルなので戦闘ログからまずは命中率を表示する。
「って感じで操作できるからしていいよ。僕はシステムチェックする」
こっちは網膜投射でシステムを確認していく。
システムはすべてOK!
そして順調に天津風も育っている。
木更津に帰ったら新型の方にもデータ移しておこ。
唯依姉は難しい顔をしながらいろいろとみている。
「戦闘映像は少しは残っているだろうけど見る?」
「いや。大丈夫よ。これだけで十分すごいことがわかった」
しばらくいろいろな説明をしてそれから降りた。
しばらくは寝る生活かな。
っていうことで
「唯依姉!寝よ!」
「え!?あ、えーっと」
顔を赤くしてあたふたしている。
「いいじゃんいいじゃん」
「いくら仲が良くたって!」
「早く寝ないと、備えないとダヨ」
すぐに唯依姉は納得したような顔でこういった
「また寝ようか。なんかたるんでいる気がするけどね…」
「また会ったね!唯依ちゃん」
「時雨さん」
「なに?」
「いさなは、私の弟のいさなは何者ですか?」
「それ前にも言ったけど、確かにあんな戦績はおかしいと思うよね」
時雨さんはぶんぶんと頭を縦に振りながら微笑んでいる。
「いさ君は魔法が使えてね?魔導が使えてね?剣術も使える」
「まっ、魔法!?」
「今までの世界でずっと学んできたんだよ。一緒に、彼の頑張りだよ」
また髪飾りを触り始めた。
でも、懐かしむ顔は初めて見た。
「でも1つだけ、今までの世界ではやらなかったことがあるの」
「それって?」
「それはね唯依ちゃん、戦術機を使った戦いだよ。つまりBETA戦」
そして虚無空間は変わって何か囲われている場所に来る
レンガのドッグ。
浦賀ドッグだ。
階段を彼女は登っていく。それを私はついていく。
そしてドッグの壁の縁までくるとそこに座り始める。
「僕といさ君は4歳差。会ったのは横須賀。ここは私の祖父の勤め先で偶に見に来てたよ」
私も隣に座らせてもらう。
「どこまで話したらいいのかわからないけど、結局僕たち、いや僕は死んじゃうんだよね」
私は何も言えない
何も
「気づいたら2人とも知らない世界にいたの。平和な世界からいつのまにかBETAがいる世界に」
「それって、ありえるのですか?」
髪飾りを触っていた手は胸に置いていた。
まるで夢を見ているように
「僕はBETAに攫われた。そして多分人体実験の検体だったのだろうね。それが彼の記憶」
「いさな…そして時雨さん」
「いさ君はそこからいろいろあって、それで死んじゃうの。そこで仲良くなった人を庇って」
時雨さんは空を見上げている。
私も見上げるけれど何も見えない。
時雨さんは何を見ているのだろう。
「そこからいさ君は…いや僕がBETAと関わりたくないからそして誰からも…そうだね。
神さえもだますために女の子のいさちゃんになってもらってずっとBETAから逃げてたの」
私は想像を超える発言をされて困惑している。
それが果たして真実か、嘘か。
そんなものはもはやどうでもよかった。
なぜならそこには、空にいろいろないさながいろいろなせかいで人と、怪物と戦っていたのだから。
まるでそれは映画館のようだった。
「僕は、ずっと見守ってきたよ。もはや過干渉してたけどね」
ふふふと笑う時雨さんを見て私は何があったのか気になってきた。
「そしていろいろな技術を獲得したいさちゃんはどんどん強くなっていたよ。そう、こんなスコアを出すまでにね」
スコア、それは残酷だ。
彼がどれほど化け物かを自覚していないなら尚更に。
「いさ君がいさちゃんに変わるときってね?戦うときでしょ。それが答えだよ」
いさちゃんといさ君。
多分、毎回記憶が消されているのだと思う。
技術だけを
でもいさ君がもつ技術は戦術機だけ。
だから2人で合わせてるんだ。
「いさなは、どうなるの?」
「このままだろうね。きっと僕がどこかにいない限り永遠に数々の世界を回り続けるよ」
そしてそのたとえは的確に彼を指した。
「僕がいたとしても、もうきっとまたあの関係になれない。だからせめて、生きててほしい」
それは切望
悲しい願望
いつの間にか隣で少女は泣いていた。
「お願いだから、僕以外の子とくっついていいから、BETAにだけは食べられないでね。
唯依ちゃんもいさ君も」
そして涙をハンカチで拭いてこっちを向いて凛々しい顔で宣言する
「そのお手伝いを僕はするよ」
「時雨さん」
「陰ながら守り続けるよ、彼を。君は生きててね…そしたらきっといさ君が守ってくれる」
髪飾りが、時雨さんの髪飾りがなびいている。
風なんて吹いているはずないのに。
「また会ったら、なんでBETAに向き合う覚悟ができたか教えてあげるよ。でもしばらくは会えないかもね。忙しくなるよ。唯依ちゃん」
立ち上がって胸を張りながら答える。
彼女を見上げると、歴戦の戦士に見える。
そして手を差し出してくれる。
私はそれを掴もうと
私が掴んでいたのはいさなの胸の宝石だった。
不思議と私には髪飾りに見えてしまう。
きっと時雨さんはそこにいるのだろう。
彼を支え続けるために
ユニコーンガンダムのコックピッドっていうかガンダム系のコックピッドっていいよね
8月14