muv luv black witch   作:ひっがしら

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実は京都いったことない


崩壊の日

起きると唯依姉が抱き着いていた。

そして泣いてもいたし多分、笑ってもいたのだろう。

 

「唯依姉、苦しいよ」

 

「あっ、起きたんだ」

 

目の前に唯依姉がいる。

可愛い。

 

自慢の姉だ。

 

「多分、もうそろそろだよ。予想では明後日ぐらいかな…。唯依姉は出撃するのは。

損耗が予想よりも早いからね。そもそも瀬戸内海の海軍が無理な時点で南側の防衛もたかが知れてるしね。ただ最悪の想定よりは全然ましだよ。ほんとならもっと大変なことになっていたけど…

核っ!いや!アメリカ軍の予想より大幅な支援。やっぱり最悪よりの順調だね」

 

危ない…。核地雷なんて聞かれたら唯依姉…どうなるか。

 

 

「いさなは?」

 

「もうそろそろ偵察に出撃、補給をして戦闘に加わるかな」

 

偵察に出て帰ってくる。

そして補給を受けて遅滞戦闘。

いや、死守だろうか。

 

 

「唯依姉とはすれ違うだろうね。嵐山は比較的安全地帯…なはずだよ」

 

今夏は本当の偵察だ。

手を出さずにロケットだけ撃って後退。

 

さすがに邪魔をするわけにはいかない。

前線を張ってくれている帝国陸軍

そしてさらに加勢するであろう精鋭、斯衛軍

 

「もうそろそろ地獄の始まりだよ。でも超えられるよ。生きてさえいればこっちの勝ちだ」

 

僕はみんなが逃げるための時間稼ぎだ

そう思っている。

でも唯依姉たちは自分の家を守りたいとかいろいろ思っているのだろう。

 

そういう意味では東京に住んでいたおかげで京都への愛着が唯依姉よりも少なかった。

 

「もうそろそろ着替えに行かなきゃ」

 

歩みだそうすると手を唯依姉に掴まれた。

 

「まって、いさな!」

 

「死なないから、また会えるから…今はお預けにして?」

 

手を振り払って大股で歩きする。

もう、怖くしたくない。

抑えが聞かなくなる。

唯依姉、泣かないで。

 

鼻をすする音がすごい聞こえてるよ。

やめて、唯依姉。

後で会えるって信じさせて。

日常だから。

日常はそんなにすぐにはなくならないはずだから!!

だから静かにして…

お願い。

 

 

もう振り返りたくないから!!!

 

 

「今の状況はこうなっている」

 

巌谷さんが無線で言ってくる。

巌谷さんはもともと日本の軍の中でももともとすごい人だ。

そのため、司令部に臨時的に入っているらしい。

 

 

「偵察任務だ。本当のな」

 

威力偵察(敵陣を割く)みたいなことを指令しておいて…そっちがくぎを刺すんだ。

お願いしたのはこっちだけどね…

行かせてくれたのは信じてくれていたからだよね。

 

「余裕があれば手を出しても構わないが今回はなるべくださないように」

 

「「「了解!!」」」

 

「早く出撃して早く帰って備えろよ。帝都防衛線に」

 

京都…帝都

防衛線か。

 

「今すぐに行くよ。ブーメラン隊!緊急出撃!」

 

 

 

多分この戦い最後の偵察。

 

天津風に乗り込んでステータスチェック。

オールグリーン。

 

「エンジン始動」

 

エンジンを始動してすぐに飛ぶ。

 

「いきなりだねー、なんかあったのかな」

 

「知らね」

 

すぐに出撃してルートを受信する。

このルートデータ!!

 

「核地雷の場所が入ってる!!でもこの感じ…今前線にいる人たちが補給できなくなってる!」

 

補給ができない、それは前線を見捨てたということ。

いや、設置する前に退避させたか…いや、時限式でもあってくれ!

 

 

ある場所まで飛んだ時にBETAを感知した。

その場所は西ヶ嶽。

感知範囲は広いからまだまだ遠いけど思ったより…相当近い。

なんで!こんなに来ているんだ!

おかしい。

 

まさか、情報統制とか!?

言えない立場だからわざと行かせた!?

でも…巌谷さんがそんなに勝てない人が今、軍にいるのだろうか。

なんでなんで!?

 

五摂家、多分。五摂家か

五摂家がくれたから。

その情報を。

さらっと流せなかったのかな?

まぁいいや

 

「すぐに帰投して補給を受けるよ!そしてせめて唯依姉達にも…教えよう!」

 

「いさな!ブーメランリーダー!さっさと逃げるよ!」

 

伊歩姐が背中を押してくれる。

 

「わかってるよ、離脱しよう」

 

最大推力。

今までの道を帰るだけ。

 

「レーダー級!?」

 

耳に聞こえる警告音、そして目に映る警告表示。

それは照射警報。

 

「高度を下げて!!」

 

2人ともベテランだからすぐに高度を下げる。

ここまでもうレーザー級が来てるなんて。

本当にどうかしている。

 

すると後ろで黄色い雲が見えた。

青い空に昇る黒くなっていく雲。

 

「核地雷っ!!」

 

アメリカ軍が設置した核地雷!

そんなのに助けられる!

日本を汚された。

 

またっ!!

 

自分の力が足らないから!?

 

「とにかく!行くよ!」

 

全速力、音速に行かないぐらい。

この機体だけは不知火改と違って、いや戦術機と違って。

速度も重視されている。

それはこのフェニックスエンジンが優秀すぎるが故。

 

「ごめん!先行くよ!」

 

不知火改は天津風には追い付けない。

 

マップには嵐山が見え始めてきた。

 

「嵐山CP、今情報を送るので至急お知らせ願います」

 

データを送信する。

だれか、どこかの戦術機が、CPに送れれば

 

「こちら嵐山CP、なにがありましたか?第2試験小隊」

 

「それはついてからです。もうつくので」

 

ハンガーの前でバックブースト。

急停止させてハンガーに戻す。

コックピッドから出た僕は急いで唯依姉達の元へ行く。

 

通路を曲がりすぐに指令室みたいなところに行く。

その時ちょうど定時報告だったみたいだ。

 

「はぁはぁ、データ見ましたか?」

 

僕はそこにいる誰かに言った。

 

「見たが、司令部と同じだ」

 

だけどそこにいた学徒兵。

その人はそのデータを見てすぐに敬礼をして部屋を出ていった。

 

その人の後を追う。

 

今頃、観測した場所…西ヶ嶽をとっくに過ぎてこっちに向かっているだろう。

もう戦場だ。

ここは

 

「唯依姉!!」

 

その人が入った部屋に入ると正体が全員そろっていた。

しかし何か気が立っている。

 

「唯依姉!」

 

何を言えばいいのかわからない。

言葉に詰まってしまう。

 

「なにがあったのっ!!」

 

「BETAが西ヶ嶽まで前進している!」

 

その人が小隊にその情報を知らせる。

 

「ごめん、今聞くことじゃないけど名前聞いてもいい?」

 

僕はそのお姉さんに名前を聞くことにした。

 

「そんな状況っていうのもわかってるのになぜ聞かれこたえなければならない」

 

まっとうな意見だ。

でもいつかのために

 

 

「山城よ」

 

「ありがとう山城さん、ここからすぐに出撃になると思うけどどんな命令を下されるの?」

 

「これだから試験のお坊ちゃまは」

 

否定はしない。

皆と違い座学はフィーリングで埋めているしそもそもなにをやっていたのか知らないだろうし。

 

「待って山城さん、今のは聞き捨てらないわ!いさなのこと知らないくせに!」

 

「篁さん、最近この子と一緒にいたみたいですけどどのようなご関係なのですか?」

 

めんどくさい。

 

「うるさい、話をしようよ!で、どうなるの?」

 

「しばらくはここの防衛でしょう。野戦補給所を活用した」

 

「わかった、そのあとは?」

 

「そんなことは想像もつかないわ」

 

なら僕もすぐに補給を終えて!

 

「緊急出撃命令!」

 

僕は見えないけどみんなは網膜投影で見えているのであろう。

 

「僕も続くから!唯依姉!」

 

僕のほうを向いてうなずく。

それを見て笑顔になる。

 

「行ってらっしゃい」

 

それを言い終わると僕のほうに通知が来る。

ブーメラン2・3が無事にここについた。

 

「無線はあるね?伊歩姐、セシル。どうだった?」

 

「想像以上に迫っていますよ!いまから瑞鶴ででてぎりぎりです!」

 

そこまで来てるかっ!

 

唯依姉達はもう部屋にはいない。

しばらくは天津風の中で休んでぎりぎりまで補給を受けよう。

 

「まっ!ゆったり行きますか」

 

さっき来た道をゆったり歩きながら鼻歌を歌おう。

そう!

余裕を見せなきゃ。

 

「ふんふふーん、ふふんはぁーーふぁーん」

 

歩いているとセシルと伊歩姐がやってきた。

 

「鼻歌歌ってるとか余裕だねぇ」

 

「してないとなんか耐えられなそう」

 

ぽろっとでたその言葉は自分でも信じられなかった。

そんなのはうそだって信じたかったのだろうか。

 

「人間難しいからな。いさながそうやって余裕出して救われる人とむかつく人とかいるからな」

 

「え?」

 

「まだおこちゃまにははやいってもんよ!」

 

頭をわしわしなでながらがははと笑う伊歩姐とくすくす笑うセシル

それをみて、少し泣きそうになった。

 

「よーしよしよし、泣いちゃうのか?ん?おこちゃまだからね」

 

「背伸びするよりもリラックスしましょ、いさな君」

 

伊歩姐にセシルは僕をなだめてくれる。

いや、片方はけんかを売ってきたけど。

 

 

「わかってるよ、2人とも。さぁ行こう」

 

天津風にはいってぎりぎりまで補給。

それまで寝てよう。

 

 

 

 

 

「さな!いさな!出番だぞ」

 

思ったより粘ってくれたみたいだ。

補給は完了

 

 

 

「CP、今までありがとう。そして行ってきます」

 

「第2試験中隊所属第1小隊、健闘を祈ります」

 

定位置につきカタパルトによって天津風は打ち出された。

 

「ファング1、援護は必要か?」

 

「ブーメランの補給は完了したか!」

 

「はい。今のところどんな命令が?」

 

「ここの死守です。砲陣があり援護を受けているので今のところは脱落者2」

 

「了解」

 

相手の声音だけやはり戦場だと認識させられる。

それだけ強い口調で強い声だった。

 

「とにかく援護は?」

 

「必要ですがここにいるほどあなたたちは弱くないかと。ほかにまわってほしいものです」

 

確かにだけど…

 

「セシル、センサーは?」

 

「ここは一応、大丈夫そうです。ただ後ろからのが怖いです」

 

「援護を少ししたら移動かな。ファング1、援護する」

 

黄色の瑞鶴の周りの敵を一気に撃ち殺す。

 

「ブーメラン1、オフェンシブエンゲージ」

 

少し前に出て積極的に戦闘機動で翻弄する。

燃料は無限ではないけどデータによって空力も前より良くなっているし燃費がすごく上がっている。

さらにBETAに真っ向から戦うのは第3世代のおいて死だ。

瑞鶴は1.5世代に位置する。

 

「さくっと終わらせるよ」

 

突撃級、戦車級、そんなもの関係なく目の前にいる敵を撃つだけ。

リロードするときはセシルに少し前に出てもらう。

 

言わなくても前に出てくれるだけやはり彼女も一流の衛士だ。

要塞級がいないだけまぁ僕にとってはぬるく少し感じる。

 

「なにっ!!それは本当か司令部!ブーメランリーダー、そちらにもつなぐぞ」

 

「え!?なにを?」

 

いきなりファング1の衛士が知らない人との通信をつなげた。

 

「そんな子供が衛士をやっているだなんてなんて雅やかじゃないな」

 

「そんな難しい言葉知らない、なに?」

 

こいつの羽織っている服は青。

五摂家!

 

「すまないね、戦況はこうなっているよ」

 

送られてきたデータが僕を絶望させる。

もっと耐えれると思っていた自分が甘い。

 

大阪が陥落している。

多分、もう西日本は無理だ。

防衛線は絶対防衛線に、そしてそれは京都以外すべてなくなっているということ。

 

「てめぇか!情報統制していたのは!」

 

「決めつけはよくないよ、少年…いや少女」

 

「わかってる!!」

 

カーボンエッジ装甲がないためになるべくいつもよりは突っ込まずにだけど前で守る感じで戦うのはつらい。

でもまだいろいろなことを抑える場面だ。

まだ序盤だから。

 

「厄介なことに八幡が落ちたら戦術核を使うらしい」

 

「帝都にまで!!なるほど、そこに戦力を割いたの?」

 

「最悪な事態は避けるために内閣が交渉をしている」

 

内閣が勝てるのだろうか…、小波に。

多分勝てないかもしれない。

せめて時間を稼いでアメリカ軍を撤退させれば!!

 

「小波を止める力が今の斯衛に!内閣にはない!」

 

「小波批判とは、貴官も相当腹を立てているな。私と同じだな」

 

最後に残った戦車級を踏みつぶす。

 

「いつかあんたと一緒に戦いたいもんだね!」

 

「私も間もなく出陣する。君と一緒に戦えるといいね」

 

子供だからってバカにしやがって!

そう感じるのは子供特有かもだけど…

 

補給コンテナから補給を開始する。

他のみんなもだ。

 

「ファング1、ここは少し下がって基地防衛をすべきかと」

 

「わかっている!ファング1より中隊各機!!」

 

あの人が指示だししている間にこっちも3人で話す。

 

「どうすればいいと思う?」

 

「私も後退がいいと思います」

 

セシルはアメリカ軍だったから結構命大事系だよね。

そのおかげでいろんなときにカバーしてもらえるのほんとありがたいね。

 

「伊歩姐は?」

 

「全容がわからないからちょっと考え中、ただ南にセシルの言うとおりにするなら後退がいいかも。そのあと彼女らが生き残っていたら(・・・・・・・・)合流、情報共有だね」

 

なるほど。

 

「南は確かにわからないね。そして多分大阪のやつらも来ててつらいかもだからそうしよう」

 

京都に戻りそこから南側へ行く。

それで決定。

 

「ファング1、終わった?」

 

「ちょうど終わったぞ、貴隊はどうするんだ?」

 

「京都の南に行く。それで援護する。京都で落ち合おうね、ファング2。じゃ!!」

 

 

 

 

 

 

唯依姉の機体がどんどん遠ざかっていく。

 

「多分ですがさすがに瓦解していないといいですけど。戦線が」

 

「それよりルートだよ、レーザー照射受けるよ?山越えなんてしたら」

 

 

確かに、それはそうだ。

でもほかにルートはない。

…いやある。

 

トンネルに突っ込ませればいい。

不知火ならいける。

天津風はフル装備なうえそもそもちょっと大型化しているので無理だ。

 

 

「トンネルがある!この先にトンネルがあるからそこから来て。僕は全力で山越えするっ!!」

 

僕は一気にスロットルを上げる。

それでも足りない。

速度が足りない。

 

3秒程度稼げればいい。

地図で一番山を越えるのがいい場所は見つけている。

 

「結局また負担をかけなきゃだね。全リミッター解除。緊急出力」

 

こんなんで壊れるほどフェニックス(不死鳥)は弱くない!!

ロケットとアフターバーナー、そしてカーボニックアクチュエーター

装備選択を月光に

山の斜面にぶつかるように突進

 

そして着地した時点でGを受け流しながら一気に斜面に沿って加速する。

 

「夕凪剣術応用、返し葉」

 

レーザー照射警告。

山を越える直前で背面飛行する

 

そして山を越えた。

 

 

「こっからだっ!!はああああぁ!!!」

 

背面から一回転して着地。

でもちょっと違和感を感じる。

 

「ステータスチェック」

 

緑の点が点検項目に並ぶ中赤い点が1つ見つかった。

 

「左肩の拡張ユニットが被弾…中までは被害は来てないけど…仕方ない、資源をできる限り移してパージするしかないな」

 

拡張ユニットが地面に落ちる。

 

「特殊装備は持ってこなくて正解だったね」

 

合流地点へと向かうためにここを後にする。

 

「ブーメランリーダーより2・3、生きてるか?」

 

「ともに無事です」

 

 

 

それじゃ行きますか。

合流できた後再び、京都の南を目指して僕たちは進みだす。

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