「部外者にこの話をするとはな。まぁ結構、公表されているからな」
ユーコン基地のあるどこにでもありそうな普通の部屋
XFJ又はフェニックス構想といわれた、その概要を衛士達がいるなか関係者ではないと思われているこの凪雲いさな少佐が聞いていた。
「ありがとう、とりあえずわかったよ。こんな小さな子にまでわかる丁寧な説明だったよ」
そして説明していたイブラヒム・ドゥール…アルゴス試験小隊を指揮する人はまた話し始める。
今度はみんなへの戒めだ。
特にさっきのはやっちゃったな。
結構こってり怒られた後は自己紹介
イタリア軍のヴィレリオ・ジアコーザ少尉
スウェーデン軍のステラ・ブレーメル少尉
ネパール軍のタリサ・マナンダル少尉
そしてトルコ軍のイブラヒム中尉
「早速だが親交を深めてもらおう。CASE:47を明日のカリキュラムとする」
汎用対人戦闘だっけか。
まぁ楽しそうだなぁ。
設定は
170KMの市街地
光線級がいる
勝利条件はリーダーの撃墜
CPは壊滅
データリンクは僚機だけ
Aチーム
リーダーがタリサ
そしてヴィレリオ
Bチーム
リーダーがユウヤ
そしてステラ
「アメリカ軍は対人演習が通常でも組み込まれているらしいな。トップガン仕込みのテクニックをたっぷり見せてもらおう」
タリサはリーダーがユウヤだったり文句があるのだろう。
でも我慢している。
僕が後ろからにらんでいることがわかってるのかな?
「っぷぷ」
ヴィレリオが少し吹き出す。
あぁ、トップガンって海軍じゃん
「では明日、演習をする。仲を深めておくように」
「了解です」
みんながそれぞれ返事をして解散になった。
僕はヴィンセントとユウヤについていくことにした
「実はアメリカ軍嫌いなんだよね」
「なんでだ?俺はちゃんと日本嫌いにも理由がある。話さなくていいが理由はあるんだよな?」
「G弾、ヨコハマ。知らないとは言わせないよ」
タリサのように知らないとは言わせない。
アメリカ軍なら当然しておくべきことのはずだ。
「知ってるぞ。それのおかげで作戦が成功したんだから仕方なかっただろ?」
そんなことない、僕たちがやり遂げかけたものを踏みにじったんだ。
それを抑え込むには僕が持っている手段では通用しなかった。
気づけばユウヤがが屈みこみ僕の顔を覗き込み驚いた表情をしていた。
少しぼやけているのは涙のせいだろう。
「わかったわかった、すまなかったよイサナ。ちょっと大人げなかった。日本が大嫌いでも子供相手にそれを押し付けるのはなって少し感じちまったんだ」
僕が国連軍に顔を出していた時と似ている
夕呼先生に会うときとかに話していて国が悪くて人は悪くないって感じてからアメリカ人は話せるようになった。人というものは話せば意外と心変わりする。
断固な心を持っていても崩せる要因があるなら。
「ありがと、ユウヤ。アメリカは嫌いだけどアメリカの人は…嫌いじゃないよ」
少し落ち着いて涙も引っ込んだころふと用事を思い出した。
「会えなかった。そういえばまぁ明日会えるしいっか」
「そうだ、おいイサナ…ここ一応軍の基地だぞ。明日って言ったって」
ヴィンセントが少し寂しそうな大人の目をして言った。
そうか、所属くらいは言っておこう。
「今更だけど」
ユウヤに向き合って敬礼をする。
「日本帝国斯衛軍、第4中隊所属のイサナ・ナギクモだ」
その瞬間ユウヤの顔が強張った。
「ヨコハマで動けなくなった父に代わって僕が働き始めたんだよ」
それを聞いてまた強張った。
「そうか、それはアメリカも嫌いになるかもな」
「今度戦術機の戦闘データ見せてあげる。対BETA演習もあるだろうしそのあとだね」
「楽しみにしておくよ」
そうそう、さっきストライクイーグルにユウヤが乗れるって言ってたからデータ合わせに行くんだった。
だから僕の戦術機もついでに見せられるかもな
「斯衛ってもしかしてあの時の戦術機は?」
「うちの部隊で運用してるよ」
ヴィレリオが興味津々に聞いてくる。
いろいろと答えるものは制約があるけどそれでも話せることは話しておこう。
「機密もあるけれど結構前から運用されていて当時では先人的な技術を取り入れたんだよ」
廊下に鳴り響く靴の音は好きだ。
突然かもしれないけどなんか落ち着く。
音は人によって違う。
だからこの靴の音を聞いたときは落ち着いていられなかった。
格納庫につく直前に響いたこの足音。
僕はどれくらい聞きたかったか。
2人を置いて格納庫に押し入りそこで指揮を執っていた人物を見て声を上げる。
「唯依姉!」
ふらっと振り返った唯依姉は嬉しそうに手を挙げた。
横浜があってからは前のようにいっぱい笑顔は見せなくなったし
自分で苦しい訓練をいっぱいしてきたのを覚えている。
だからこそ得たこの場所。
アラスカに来ているこの唯依姉は努力してここまで来た。
武御雷の衛士であることもその証拠だ。
「元気そうで何よりだね、唯依姉」
「そうだな、いさな。そちらがあの」
「そうそう、お世話になる人たちね」
そうやって振り返るとヴィンセントがユウヤと肩を組んで機体のほうへ向かっていった。
捨て台詞は
「お邪魔しちゃ悪いもんな」
だってよ
「ヴィンセントはいい奴だな、ところで唯依姉。計画のほうは?」
「やっと吹雪が来たんだ。ただ不知火のほうはあのごたごたがあって少し手間取っているようだ」
「ごめんなさい。やべ!まだ巌谷さんに言ってない…お願い!伝えておいて」
すると少しあきれたようないつもの感じを味わっているような
そんな感じでため息をついて
「わかったよ。私から言っておく」
あたまをなでながら囁いてくれた。
そしてついでにメモリーを唯依姉にこっそり渡しておく。
具合が悪い父の言葉だ。
唯依姉は頑張ってた。
それはいいんだけど篁家当主として立派になれるようにと頑張りすぎてる。
そう、多分あの士官学校の分隊の人たちとかもなんかあったんだろうね。
報告を見る限りあの人たちは戦死してる。
如何にも会話などのデータがないから何とも言えない。
「じゃね!僕も天津風で忙しくなるかもだから」
僕は先に来ていた斯衛の整備兵に挨拶して一番最初にいた疾風計画の格納庫に車で戻った。
もちろん隠れて僕が運転した。
「XFJね。我々はなるべくアメリカの技術を吸収しつつ不知火をグレードアップさせる。不知火壱型丙はあまりにピーキーすぎたからね。不知火・弐型はどんなかんじになるんだろうね。杉下さんはどうおもう?」
「あのハイネマン氏が加わるみたいなので失敗はないかと。なるべくなら我々の新型にもその技術が少しでもほしい」
「あの子ね。あとは無人機とかここのデータをいっぱい食べて育ってほしいな」
「だからこそ天津風…いや我々は生きて帰らなければ」
わかってる。
天津風、そして計画のみんなに武御雷。そして唯依姉。
守って帰る。
そしてデータに入れて無人機を
いつか京都を取り返すために
いや…自分の家に帰るが正しいかもね
「明日は大変だから早く寝る、おやすみ」
せつなさんと一緒に寝泊まりする場所まで行って初日が終わった。