muv luv black witch   作:ひっがしら

70 / 76
がんばってる??


初乗り

「吹雪はアメリカ人には手ごわいはず。いったいどれくらい振り回されるんだろうね」

 

ヴィンセントに問いかける。

僕たちは今、ユウヤが初めて吹雪に乗っているのを指令室でモニタリングしていた。

 

「でもユウヤ自身がコツを掴まないと意味がないからな」

 

「ヒントはあげてね」

 

そういって僕は立ち去る。

あとは唯依姉に任せる。

 

ユウヤとかならさ、唯依姉の凝った心をほぐしてくれねえかな。

多分しないとこの人たち失敗するよ?

 

疾風計画はいろいろな役目を持ってここにきている。

その1つにXFJを手助けするというのも結構中心に入っている。

そのため見放しては置けない。

 

 

とりあえず不知火になってからだね。

不知火改しかもっていないのにさらに不知火より推力の低い吹雪と一緒に練習はさすがに無理だ。

 

天津風なんて言語道断

敵うわけもない。

 

アメリカ最強の戦術機だろうとひねりつぶす。

それぐらいの機体を持ってこないと勝負にならないだろう。

 

 

「我々も少しづつ活動を始めよう。疾風計画はただの計画じゃない。でしょ、父上」

 

空はいつもつながっている。

例えBETAに奪われたとしても

 

 

だからいつも空に問いかける。

そういう癖がついた。

 

「感心しないな。その癖はすぐにやめたほうがいいぞ」

 

「唯依姉、わかってるよ。もう父上は…僕たちは巣立ったんだもんね?」

 

「父上はもう難しい。ぎりぎり延命措置をしているだけだ。それがこんなに長くなっているだけだ。だから頼るなら、私を頼れ。いさな」

 

 

頭をなでられながらまた唯依姉も空を見て寂しそうにした。

 

 

「唯依姉、ユウヤとはうまくやれそう?」

 

「彼がこっちを振り返り手を差し出すまでは無理だろうな。こちらも誉はある」

 

 

明星作戦、その傷は日本人の中でも軍人になるとさらに重くのしかかる。

そしてその重荷は傷を深く広げる。

 

唯依姉だってその1人だろう。

 

「でもあの兵器を使わせないためにも戦術機を強くしなきゃね。それが生き残った者が感じたこと、残されたものが望んでいるもの。だから疾風はXFJはここにきた」

 

「わかってるよ。いさなと同じくらい。私は少し少尉の話を聞いてくる」

 

「いってらっしゃい」

 

そういって唯依姉は僕が歩いてきた道を少し早歩きで歩いていった。

ユウヤがもうそろそろ帰ってくると見込んで先回りをしたいのだろう。

 

「今日はどこの格納庫にお邪魔しよう」

 

そう思いながらせつなさんとの合流地点に向かって歩く。

やはり僕が注目するのはグリペン。

 

今の日本には個人的にはもう少し継戦能力が欲しいと思う程度だ。

 

 

しかし形はまるで日本が助けたのかと感じるような見た目の似てる感じはどうも引っかかった。

吹雪とかに似てるようなないような。

 

そしてもう1個、ホーネットだ。

 

そこから新しい装備やアイデアをもらう。

そして我々が装備するというような感じだ。

 

 

「あとはミラージュとファルコンね。トーネードはいいや」

 

あともう1つあるがあいつは横浜の時少し見たのでよし。

 

「せつなさんといれば行ける。機密なら話すだけでいい。整備士と」

 

じつはせつなさんめっちゃ外国語うまい。

練習したのかな。

 

 

「他の国のアイデアを盗むとともにアメリカやソ連以外ならば装備の議論をしてもよし」

 

XFJを除く。

 

そういう命令が出ている。

巌谷さんから。

 

「あの新型、そしてナイトシステムを乗せる機体のために」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

演習の日がきた。

 

 

「演習装置を使うとか実戦経験ある身からすれば生ぬるいかも」

 

「ただ担当区画があるから機動戦は無理だね。精々いさなが無理やり荒らしてそれをカバーする」

 

 

「でも今回は燃料装備満載のなるべく消費を抑える戦い方をしろって指令が来てるし」

 

 

我がブーメラン隊はブリーフィングでどう戦えばいいかを話し合っていた。

 

「あとはユウヤたちというか他の部隊のカバーとかいろいろあるし」

 

「長刀は使えないよね。燃料消費が激しい。ならやっぱり銃撃戦。拠点を守る感じで展開しよ」

 

 

あとは丁寧に撃つ。

ばら撒かない。

 

「命中率を集計して下限を設定しよう、それでいい?」

 

「了解!!」

 

セシルは元気のいい返事をする。

 

「伊歩姐もいいね?」

 

「いいさ。どうせ100発100中だからな!」

 

「急所にどれくらい入れるかも大事だからね!じゃぁ解散。各自準備して時間になったら機体にてスタンバイ」

 

そういってみんなは着替えたりするために散った。

そして後ろで話を聞いていた杉下さんは少し早歩きで格納庫に向かっていった。

 

 

 

「天津風、初陣だよ。新天地のね」

 

 

コックピッドに収まった僕は彼女に話しかける以外に落ち着くための行動はわからなかった。

音声ガイドシステムはある。

 

それでも戦闘時以外はなるべく切ってタッチパネルに出てくる彼女の文を読む。

英語の時と日本語の時がある不思議なこの子は返してくれる。

 

《戦闘ログに残さなければ》

 

「面白い冗談だね。いつも撮っているくせに」

 

きっと彼女も節目を迎えたと感じているのだろう。

 

《正確には初陣はもう済ませている》

 

 

「そうだね。あの時は死ぬかと思ったよ。1%ね」

 

99%はみんなを、天津風を信頼していたから。

 

 

タイマーが鳴る。

もうそろそろか。

 

「天津風、システム起動。巡行モード 装備とステータスチェック。はじめて」

 

チェックリスト項目が並びそれが緑色に点灯するパネルを見ながら僕も整え始める。

 

シートにちゃんと座り強化装備を確認する。

二番目に遠くに離れているボタンに触れる。

 

すると僕の体はシートにぴったりと張り付いた。

 

「チェックリストコンプ、僕の方も確認して」

 

僕の身体情報、今の状況がすべて情報として抽出されパネルに出される。

 

「装備と燃料もよし」

 

 

ハッチの近くにやってきた杉下さんに報告をする。

それを納得した杉下さんにいつもの日課をやってもらう。

 

「必ず帰ってこい。篁勇凪少佐。いつでも我々はお待ちしております」

 

「了解!」

 

敬礼を双方して発進準備に入る。

 

「人はいないね?エンジン起動」

 

少しだけ振動と音が聞こえ始める。

 

「ではカタパルトに行こうか」

 

天津風は枷を外され歩き始める。

エンジンは温まり回転数も申し分ない。

カタパルトに接続、各部のチェック。

 

ちゃんと動くことを確認。

最終確認もよし。

 

 

「久しぶりだ!!ブラストオフ!!」

 

 

速度計が僕の目の中で急速に回りだす。

高度計も少しだけ回っている。

 

本気の射出は久しぶりだ。

戦闘訓練以外で禁止されてるからね。

 

演習区域に進路をとる。

2・3も後ろからついてきている。

編隊を組んでそのまま天津風に操縦は任せる。

 

 

「演習は何だっけあのシステム。いまだに覚えれねえ。まぁいいや。

バックドア仕込まれてないよねぇ!!!」

 

チェック済みという回答。

 

「まいっか。指示はCP、上総の言うこと聞いておけばいいし―」

 

「私に振らないでくださる?」

 

「やだね!!」

 

 

あの時からリハビリして今ではこの通りCPだ。

そして天津風の衛士の影武者になってもらっている。

会話はなるべく僕がするけど。

 

「演習区域に到達、時間ぴったり」

 

「JIVES起動。演習はじめ」

 

そこらへんにちらほらBETAが出てきた。

そうちらほら程度。

 

「これさ、倒しても意味ないのでは?」

 

「隊長が言わない!ほら!迎撃!」

 

楽だ。

戦闘にこんな感情は初めてだ。

ぬるい。

 

 

そしてもはや恐怖を抱いた。

手は震えフットペダルを踏む足は力が入らず視線は安定しない。

なにかが来る。

そう身構えてしまう。

 

こんな静けさ実戦ならそう感じる。

 

ここまで精巧に作られているのか。

 

 

「気分が悪い、なんか音楽流して。ほらライブラリにある」

 

 

陽気な音楽が流れ始めた。

アメリカンなジャズ。

 

落ち着く。

 

 

「ユウヤたちが心配だね」

 

「ここまで温いと人の心配さえできますね」

 

照準を合わせてひきがねをひく。

周囲を警戒するまでもないくらい密度が低いし要塞級だって出てこない。

すっごくぬるい。

なんかやることもないし少し手を抜いて楽にやろう。

 

そう決めてからは無心で寝てるぐらいの感覚で過ごした。

長刀も使わないでただ突撃砲だけですべてをぎりぎりでさばききった。

 

結局スコアなんて気にせずゆったりと演習を過ごした。

データリンクではソ連のイーダル試験小隊、それもその中の1機が驚異的なスコアを出したと書いてある。

スカーレットツインとかいうやつ

いつか戦うのかな?

ワクワクしてくるよ!!

 

そんな感情を抑え込む理由をすぐに思い出した。

ユウヤが心配だ。

 

「作戦終了、RTB」

 

 

 

何事もなく終わった。

かえって唯依姉にいろいろ聞こう。

 

 

 

 

 

 

「データは本国に送っておいて。燃料とか消費はあまりないね。やっぱフェニックスエンジンがおかしいぐらいに性能いいからね。戦闘速度を300から400にするだけでこんなに

燃費良くなるんだ」

 

 

 

杉下さんたちはそれをいろいろ聞いてから作業が始まった。

ほんと感謝しなきゃね。

 

そして僕は唯依姉の元へと向かった。

 

 

 

「率直に!!感想は?」

 

「蓄積データが足りないという理由もあるかもしれないけど振り回されていたな」

 

「陣形は多分他の3人でカバーしてたんだろね。スコアは低いのは仕方ない」

 

観戦していた指令室から僕は唯依姉を連れて出ていた。

 

格納庫に向かうために。

ユウヤは伸びる。

だから今は耐えて。

 

そして唯依姉を頼むよ。

 

 

僕は少し重い足取りで唯依姉と一緒に歩いていった。

 

 

「唯依姉、ユウヤは頼んだよ。僕はヴィンセントと機体のデータを確認するから」

 

そういって僕はコックピッドのほうへ歩いていった。

唯依姉は降りてきたユウヤに

 

 

 

しかしヴィンセントは僕を見つけ次第こういった。

 

「あいつらを信用するなよ、なにするかわからないぞ!」

 

そういってまた物陰で会話を聞くことにした。

唯依姉はいろいろなことを言っていた。

ユウヤは言い返せていない。

 

 

話はしているけど筋は通っていない。

 

「貴様は鋭角ターンを行えば姿勢が乱れると知っているのにもかかわらずそれを続けた。

結局はアメリカ式を押し通したのだ。そしてこの吹雪は我が国の速成カリキュラムを受けた者たちよりも未熟だ。ただ一ついいことは早々に未熟ということに気づいたということだ」

 

まとめれば唯依姉はこういっていた。

そして多分あっている。正論だ

ユウヤは拳を握りわなわなしていた。

 

ユウヤの口答えの中に少しだけ引っかかったものもあった。

F22を操縦したことがあると。

ヴィンセントも触ったことがあるのだろう。

 

その話も是非聞かなければ。

どれほどパワーアップしているのだろうか。

あの後に付与されたステルスとか

 

 

新型は君たちを吸って育ってもらうからね。

吸収できるものはすべてする。

 

技術実証機としてね。

 

 

 

 

少しだけ浸っているとヴィンセントが間に入った。

 

「もうそろそろ整備をしたいのでデブリーフィングでお話していただければなと、お願いします」

 

「あぁ、すまないなローウェル軍曹」

 

「いやぁ、ほんっとうにありがとうございます」

 

ペコペコしながらも2人を鎮めた。

やはりヴィンセントすごいな。

 

 

そうして2人が去り整備が始まった。

僕も行かなきゃ。

 

「僕も行かなきゃだけど1つだけ言わせてもらうよ。F22を触ってたらしいからね」

 

「ラプターか?それがどうかしたか?」

 

「不知火、あいつはラプターを殺せるポテンシャルがあると思わないか?」

 

僕は整備しているヴィンセントの背中に向けて投げかけた。

ヴィンセントは少し驚いたように後ろを振り返ってくれた。

 

「どういう意味だ」

 

「慣れれば熟練すればF22さえ堕とせる。それユウヤにも教えてあげたいの。

どうすればいいと思う?」

 

 

「自分で考えてみな、少年(ボーイ)」




5月前半
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。