「いやぁサンダークもやるときはやるね。あのおじさんの顔!!見た??」
「勘弁してくれ少佐。私はやるべきことをやったまでだ」
「少佐なんて呼ばないでくれよぉサンダーク」
少し前
いろいろな競技を通し親睦そして広報活動をするといったふうになりボートで海に出るのが
イーニァだったのを広報官にサンダークが強気に推してクリスカになった。
ちなみに名前はサンダークに教えてもらった。
海に出ているボートには唯依姉とクリスカが乗っている。
あれ??クリスカが見えない。
さっきまで2人がボートに乗っているのが見えたのに今は1人しかいない
唯依姉だけがいる。
なんかあったようだ。
いさなはそう思い確認に行こうとする。
「サンダーク、ごめんちょっとボートまで泳いでくる。唯依姉が心配だ。それとも替えのボート
とかってある?借りれる?」
指をさしたためサンダークも気づいたようだ。
「それは少佐のほうが権限があるでしょう」
「じゃ無理だね。いってくる。変なことしないでよ」
サンダークは少し困惑しているようだがいさなはそんな視線を振り切るように海岸に走っていった
そしてそんないさなを不安そうに見つめているユウヤと目が合う。
「ヘイ!ユウヤ!!」
いさなの心境と同じように気づいていたであろうユウヤもそれにこたえる。
「なんだイサナも気づいたか」
ユウヤは少し安堵したかのようにヴィンセントを見る。
いさなはヴィンセントも気づいていることがわかりヴィンセントにも命令を出す。
「僕は泳ぐ。ヴィンセントはお偉いさんに言ってきて」
ここまでくれば阿吽の呼吸だ。
ユウヤといさなはヴィンセントを待たずに海に入っていった。
「お迎えは任せたよ!!」
「グッドラック!」
刀が泳ぐときに邪魔になる。
バッグはヴィンセントが浜辺で拾ってくれるだろう。
無意識のうちに外していたみたいだ。
少し離れている程度。
これなら泳ぎ切れる。
しかしいさなはユウヤよりも体格的に小さい。
ユウヤが先に到着した。
「唯依姉、大丈夫?」
いさなはついてそうそう唯依に質問を投げかけると同時にボートに上がる。
矢矧はちゃんと手に持っている。
上裸なので泳いだ時に鞘を支えるバンドが食い込んで少し気になるがそれどころではない。
上がったボートにクリスカが苦しそうにしている。
「クリスカ!大丈夫!?」
「沖に出た後から気分が悪そうだったが大丈夫しか言わないくて」
驚いているいさな達に軽く説明する唯依。
「引き返したほうがいいといったが自分の小隊を勝たせたいといってかたくなに辞めずに」
「わかった。ユウヤ、オールで漕いで戻ろう。方角はさすがに覚えてるだろ」
いさなとユウヤはまたすぐに動いた。
「すまないが態勢を少し変えるぞ」
唯依はクリスカの体制を少し変え全員が動こうとしたその雨が降ってきた。
ここにくるまで空を見上げてなかった。
空が雲に覆われ太陽のあのまぶしい光を感じれない。真っ黒だ。
気づけよ!
と心のなかで叫びながらも懸命に漕ごうとするいさなをとめる唯依。
「闇雲に漕がないほうがいい。どこかに上陸するほうがいいだろう」
あたりを見回す唯依といさなは近場の島が目に入る。
「あの島しかないな。よしいくぞ」
いさなたちはオールで精いっぱい漕ぎながら島を目指した。
その道中、雨が降り出してきた。勉強したことある。
これはスコールって奴だろう。
いさなは記憶をたどりながら割とまずいという自覚をもって気を引き締める。
漕ぎながらも状況を整理していた。
持っている装備や人の把握。
考えながら漕ぐこと2秒。
すぐに悟った。
人は4人で考える必要ないしファーストエイドキットが見えるけどソ連独自?のやつっぽい。
装備は僕の刀とあとは信号弾が入ってればいいんだけど。
最悪あれすればいいか。あれがわかんないけど頭に浮かんだいさなは無視することなく再度頭に入れておく。
あとは雨だから体温か。
雨をしのげる場所を探さないとか。
「唯依姉、僕が今から降りていや、団体行動のほうがいいか」
「言ってみていさな」
顔だけ向けてきた唯依にちょっとだけかしこまった様子でいさなは答える。
「僕が先に泳いで雨をしのげる場所を探すべきかなって」
「はぐれる可能性が高いから却下したいわね」
いさなは考えずにすぐにものを言ってことを後悔しながらも少しだけ押してみることにした。
「矢矧で道を切り開くからたどればいいよ」
「ユウヤは聞いてるわけないか。日本語で話していたからね。いさな、私が説明するから先に行け。いいかおぼれるないで?信じてるからないさな」
いさなは雨の降る波紋が広がっている海にその身を落とした。
海のほうがもはや温かいと感じるほど外は寒かったと今感じたいさなはクリスカの身を案じつつも目の前の島に向かって泳ぎ始めた。
矢矧が邪魔に感じないと言えばそれは嘘だ。
でも矢矧は絶対に手放さない。
たどり着いた島は少しのがけ、そして奥に森があった。
ぼんやりとしか見えなかった島はいさなが思っていたより大きかった。
いさなは矢矧を迷わずちょっとの高さの崖を昇ってから抜き木を切り払いながら林の中へ進んでいく。
崖みたいなところを見つけてからはそこに一直線に進んでいく。
靴を履いてきたままでよかったといさなは過去の自分に賞賛を送りつつ崖の下部分にたどり着いた。
洞窟みたいなものが目に入る。
中に入るのはやめておき砂浜にすぐさまに戻る。
砂浜に戻るとボートから降りた3人が見えた。
手を振るとこちらに気づいた。
今はボートを引っ張り少しだけ砂浜に乗せようとしているようだ。
いさなはすぐさまにユウヤと唯依を手伝う。
「この先に雨が凌げそうな洞窟があるよ。2人でクリスカを運んで。僕が先導する」
「わかった、頼むぞいさな」
唯依の同意の言葉と同時にいさなにユウヤは頷いた。
ボートを少しだけ引き上げまたすぐにクリスカを運ぼうとするユウヤと唯依の前を歩こうとする。
しかしいさなはすぐにある異常を察知する。
「ユウヤ、止まって。ねぇ唯依姉。足、怪我してるでしょ」
「ボートから降りるときに足をもたつかせて転んでしまったんだ」
いさなはその言葉を聞きユウヤと顔を合わせる。
ユウヤは考えるような顔をする。
「イサナどうする?」
「私を置いていけ!!」
その言葉にいさなはイラっとした。
確かに客観的に見ればクリスカを雨が凌げる場所に早く連れていくべきだ。
「唯依姉を置いていけない。僕がクリスカを担ぐのを手伝う。だけど唯依姉にもついてきてもらおうか?」
そういっていさなは唯依の足のそばにしゃがむ。
「なにをしているんだ?イサナ」
「ごめん唯依姉。ちょっと無理する前提だけど」
ユウヤはいさなが首にかけている宝石が髪飾りを呼んだように見えた。
そしてすぐに光が目に刺さった。
「クリスカ、すまないね」
そういって唯依から肩を受け取ると
「ユウヤ、体力がきついのはわかってる、一番楽な姿勢を指示してくれ」
「わかった。行くぞ」
そういって担ぐポジションと姿勢を変えて歩き始めた。
「すまんな。いさな、そして時雨さん」
森を抜け洞窟にたどり着いたころにはいさなもユウヤもへとへとだった。
「さて、ユウヤ。もう一仕事だよ。唯依姉にクリスカは任せてボートを見に行かなきゃ」
「装備だな?」
ボートにあった装備を持ってきてないといさなは思っていたが唯依が手を上げるとそこにボートに入っていた装備があった。
ファーストエイドキットとGPS?みたいなものだ。
「僕はそっち系の知識がないから任せようかな。木でも切ってくる。」
同意もなしに洞窟から出ていったいさなをユウヤと唯依は心配そうな目で見ていた。
「2人きりにさせてこれを機に仲良くなってほしいことわかってほしいもんだね」
木をすこしばかりもって洞窟に入った僕を冷たい空気で出迎えてくれたのは嫌だがそれはそうと深刻な状況みたいだ。
「GPSは壊れてるサバイバルキットは基準のものではない。これで納得してくれイサナ」
「納得??」
「まだイサナには早い、そういうことだ。ユイにも」
何かを諭すような声と悲しい顔。
唯依姉に何かを求めたユウヤは年上のように感じた。
しかし唯依姉はそれを拒んだ
「私をあまり舐めるな。ユウヤブリッジス。言いたいことはわかった」
「とりあえず雨が止むまでここで待っておこう」
「それが一番よさそうだな」
そういいまた二人して黙り込んだ。
僕は耐えられずに寒そうなクリスカの隣に横たわり寝ることにした。
遠くからエンジン音がした。
それで起きた。
少しまだ雨が降っていた。それで聞こえたのだろうか。
いや、こちらに近づいてくる。
いさなは3人が起きているか確認した。
3人は起きていない。
いさなは唯依姉とユウヤを起こさずに浜辺に走った。
遠くに青い光が見えた。
こちらに真っ直ぐ向かってくる。
なにも、どこにも振り向かずにただ真っ直ぐに。
そして目の前に降りてきた。
機体はF15が2機
そしてSU!?
スホーイ、チェルミナートルだった。
3機だけがここに来た。
やがて衛士達が下りてくる。
いさなは混乱していた。
「なぜここがわかったの」
いさなは歩み寄ってきた伊歩とセシルに聞く。
「あのソ連のおっさんが座標を教えてくれた」
伊歩が少し曇った顔で伝えてきた。
「おい、あと3人は何処だ。着き次第急いで引き上げろっておっさんに言われたんだ」
「わかった。案内する」
そういって洞窟に案内する。
「あといさな。拳銃だ」
USPを渡してくる。
「これもサンダークが?」
「そうだ」
3人は起きていてその場にいた。
事情を話しながらクリスカを運ぶ。
伊歩が担いで。
浜辺で待っていたイーニァを見ると自ら立ち駆け寄っていった。
「なんでクリスカ、元気じゃないか。さて撤収だ」
チェルミナートルにはクリスカ。
ユウヤと僕はセシル機。唯依は伊歩機に乗る。
3機は巡航速度ぎりぎりで基地に帰投した。
その後広報官を叱責し日本とソ連が正式に怒るぞって脅し穏便に済んだ。
そして拳銃を振り回しながら唯依とユウヤに何かあったとからかう人を殺そうとする元気ないさな
も確認された。
こうして出張は終わった。
いさなは戦術機で帰った後に疲れすぎたのと政治的に忙しくあまり隊のみんなと絡んでいません。