蘇りし神皇帝竜―ゴッドカイザー―   作:衛置竜人

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前編『リバースオブゴッドカイザー』

 

 

 

 

ある雨の日の事。峡谷の中を機群が進んでいた。その姿は動物や昆虫、更には地球上では絶滅してしまった恐竜、挙げ句の果てには複数の動物を融合した存在(キメラ)を模したロボットと言える。尤も"彼女"達は厳密に言えばロボットではなく身体を機械化したメカ生体なのだが…

ダンゴムシの姿をして後ろに荷物コンテナを乗せたキャリアを牽引している機体を守る様に他の機体は配備されている。

そんな機群を物陰から監視する機体の姿があった。黒を基調とするボディーカラーに身を包んだその機体の姿を地球上の動物に例えるならキツネだろう。

キツネ型の機体はまるでタイミングを見計らっていたかの様に静かに動き始めた。

キツネ型はダンゴムシ型の背後に控えていた小型のゴリラ型に向けて背中のバルカン砲を発砲、ゴリラ型は蜂の巣にされて崩れ落ちた後、爆発炎上した。

『敵襲だ!』

機体群は突然の襲撃に慌てふためきつつも臨戦態勢を取るのだが、その最中で何処からか飛んできた砲弾によって一機、また一機と貫かれていく。機体群を遠距離から狙撃していたのは緑色に彩られ様々な重火器を装備した要塞の様なスティラコサウルス型だ。

そのスティラコサウルス型を発見したクワガタムシと翼竜のキメラ型とガーゴイル型はスティラコサウルス型を襲わんとするが、キメラ型の背後から深紅に輝くボディと宝石の様に美しく輝く翼を持つテラノドン(プテラノドン)型が翼と頭部から刃を展開させて接近し、キメラ型は切り裂かれてしまった。

ガーゴイル型とキメラ型がテラノドン型に応戦せざるおえない中、地上ではスピノサウルス型がキツネ型をジャミングウェーブ操ろうと態勢を変え、背鰭を前方へ展開しようとしたその時、スピノサウルス型は接近する機影に感付いた。

スピノサウルス型の前に現れたのはそれに匹敵する大きさのティラノサウルス型だった。その両腕に装備された装甲からは鋭い3本の爪が生え、両肩と大腿の装甲には稲妻を模した刻印がなされ、尻尾と頭には鋭い剣が装備されている。

「バーサークフューラー…?…いや違う…あれはまさかゴッドカイザーなのか…!?」

スピノサウルス型のパイロットは信じられない物を見たと言わんばかりにそう呟いた。何せ目の前にいるのはとっくの昔に退役した機体によく似ていたからだ。

ティラノサウルス型…ゴッドカイザーと呼ばれた機体に似たその機体は足裏のスラスターを噴射させてスピノサウルス型との間合いを一気に狭める。スピノサウルス型は間一髪回避すると背中に装備させた二つの砲門…AZ144mmマシンガンから発砲する。しかしティラノサウルス型は両腕装甲の爪でそれを切り裂いてしまい、跳躍すると尻尾の剣を振り下ろす。スピノサウルス型は何とか回避しようとするものの回避しきれず尻尾の先端が切り裂かれてしまった。ティラノサウルス型は追い討ちをかけるかの様に腰にある2連装砲…2連装ブーストディスチャージャーと背中の3連ビームキャノン砲をスピノサウルス型に向けて発砲する。悲鳴の様な咆哮をあげつつスピノサウルス型は何とか反撃しようとするがその隙を逃がすまいとティラノサウルス型は尻尾の先端の剣をスピノサウルス型の左足の関節に突き刺し、ティラノサウルス型は尻尾を突き刺したままスピノサウルス型の右後ろに回り込んで左腕装甲の爪に熱エネルギーを纏わせて関節分を狙って切り裂いた。片足を失ったスピノサウルス型は転倒し、ティラノサウルス型は尻尾の先端の剣をスピノサウルス型の左足から引き抜くとAZ144mmマシンガンと2連装キャノンを破壊すると共にスピノサウルス型の首に噛みつくとボディから引き抜いた。こうなってしまえばパイロットの意思でスピノサウルス型を動かす事は出来ず。ティラノサウルス型はスピノサウルス型の頭部を地面に置いた。

スピノサウルス型の頭部が展開するとそのパイロットは降りてきた。周囲を見ると他の機体もティラノサウルス型の随伴機である3機によって大破ないし中破に追い込まれており、有人機のパイロットは降伏したのかコックピットから降りて両手を挙げている。

『質問に答えれば生かしてあげるわ』

ティラノサウルス型の機体から聞こえてきた声は女性の物だった。

「質問?お前らこそ何者だ?盗賊ではないんだろ?へリック共和国の連中か?」

スピノサウルス型のパイロットはティラノサウルス型のパイロットに質問し返すが、望んだ返答でないことにティラノサウルス型のパイロットは怒りを示すかの様に左腕装甲の爪をスピノサウルス型のパイロットのすぐ横に突き刺し、口を開いて中の砲門をスピノサウルス型のパイロットに向ける。

『此方に質問できる立場でないことをわかっているのかしら?貴方を殺して他の連中に聞いても良いのだけれど』

ティラノサウルス型のパイロットから放たれる殺気とにスピノサウルス型のパイロットは

「…俺が答えられる範囲内でなら答えてやる」

と返した。

『赤い装甲にフューラーのバスタークローを装備したダークスパイナーは何処の所属!?何処にいるの!?』

「赤くてバスタークローを装備したダークスパイナー?知らねぇな」

ティラノサウルス型のパイロットの質問にスピノサウルス型…ダークスパイナーのパイロットはそう答えた。

ダークスパイナーは基本的に緑色の装甲だ。赤い装甲かつバーサークフューラーのバスタークロを装備したダークスパイナーなど聞いた事などなかった。

「本当だ!そんなダークスパイナー見たことない!」

ダークスパイナーのパイロットがそう答えた後

『リラ、ガイロス帝国の部隊が間もなく合流する。捕虜を引き渡して我々は撤退するぞ』

ティラノサウルス型のパイロット…リラと呼ばれた少女の元へスティラコサウルス型のパイロットからの通信が入った。

『了解。行くわよ、"ゴッドカイザーリバース"』

リラがそう返答した後、彼女からゴッドカイザーリバースと呼ばれたティラノサウルス型は短く唸った後、その場を去った。

立ち去るティラノサウルス型の後ろ姿を見ながらダークスパイナーのパイロットは先程リラが告げたその機体の名前を思い返してこう呟いた。

「ゴッドカイザーが蘇った…」

 

 

 

惑星Zi。そこには優れた戦闘能力と自らの意思を持つ金属生命体"ゾイド"が生息していた。ゾイドは惑星Ziに住まう人々の手によって生命活動を司るゾイドコア以外の部分を機械化したメカ生体へと改造され、様々な用途で運用されていたのだが、その中でも特に大きなウエイトを占めているのが兵器である。

惑星Ziは古来より戦乱の絶えぬ惑星だった。中央大陸デルポイでの部族間紛争を皮切りに大陸統一後に建国されたへリック共和国と同国から分離したゼネバス帝国による中央大陸戦争、ゼネバス帝国を吸収した暗黒大陸ニクスの国家ガイロス帝国とへリック共和国による第一次大陸間戦争、巨大隕石衝突による惑星Zi大異変(グランドカタストロフ)から43年後に勃発した中央大陸と暗黒大陸の中継地となり得る西方大陸エウロペを巡る西方大陸戦争、西方大陸から撤退したガイロス帝国軍と休戦勧告を黙殺された事で暗黒大陸へと派兵したへリック共和国による第二次大陸間戦争こと暗黒大陸戦争…細かい紛争も含めたらきりがない。

その暗黒大陸戦争の最中、ガイロス帝国の摂政ギュンター・プロイツェンは今は亡きゼネバス帝国皇帝ゼネバス・ムーロアの息子である事を公表すると共に失われた祖国の再建―ネオゼネバス帝国の建国と両国への復讐を宣言する形でへリック共和国及びガイロス帝国に反乱、プロイツェンは自らとブラッディデスザウラーの命と引き換えにガイロス帝国の帝都(ヴァルハラ)を自爆して甚大なる被害を与え、ネオゼネバス帝国はプロイツェンの息子であるヴォルフ・ムーロアを新たな皇帝とした。

共和国軍は暗黒大陸への出兵で中央大陸の兵力が手薄になっている最中かつガイロス帝国との戦闘で疲弊していた中で反乱を起こしたネオゼネバス帝国によって中央大陸を支配されるも諦める事なく暗黒大陸から帰還した主力部隊と大陸内の残存勢力が合流して各地でゲリラ戦で抵抗を続けていた。

しかし、ネオゼネバス帝国は旗艦機としてセイスモサウルスを戦線に投入。長距離から荷電粒子砲で狙撃してくる本機の前に共和国軍のゴジュラスギガは得意とする格闘戦に持ち込む事すら出来ずに敗北、遂にはZAC2106年にネオゼネバス帝国軍により共和国軍は中央大陸から完全追放され、東方大陸へ逃げ延びるのだった。

 

そんな共和国軍をガイロス帝国と共に支援する民間企業が東方大陸に存在している。ZOITEC(ゾイテック)である。

グランドカタストロフによって東方大陸は野生ゾイドがほぼ絶滅しており、ZOITECはその代替となる存在として人工ゾイドコア…コアブロックスを核とし、共通の規格で統一されたシステムブロックとフレーム、装甲、武装の各パーツをバラバラに分解して用途に応じて自由に組み替える事が可能な人工ゾイド…ブロックスゾイドを開発した。

元々は作業用として開発されたブロックスに兵器としての優位性に目をつけたプロイツェンはまだブロックスが試作段階だった頃に秘密裏にZOITECに接触、複数の生物の遺伝子情報を組み合わせて新たな生物を作り出す技術を組み込んだキメラブロックスを作らせた。

この時、ZOITECの中でもプロイツェン派の者達がZi-ARMS社を立ち上げるなど世は混迷を極めていた…。

 

 

 

 

中央大陸から共和国軍が完全に撤退する前、中央大陸の某所にてZOITECが新型機の受け渡しと機能説明のプレゼンをその地にいた共和国の部隊に行っていた…その最中の事だった。

突如として真紅の装甲に身を包みバーサークフューラーのバスタークローを装備したダークスパイナー…後にイフリートと呼称される機体が現れ一方的に蹂躙した。

イフリートはジャミングウェーブで共和国軍の機体を支配下に置くと同士討ちを行わせ、支配下に置かれなかった機体は各部の武装で始末していく。その過程で多くの死傷者が出てしまった。

生存者は僅か数名であり、共和国の兵士だけでなくZOITEC側からも死傷者が出てしまった。

その惨劇から一夜が明けた現在。ダークスパイナーイフリートは既に去った後である中、惨劇を生き延びた者達は東方大陸への撤退の準備を始めていた。

その中に一人の少女の姿があった。

かつて"グローバリーⅢ世"に乗って移民してきた地球人の末裔である彼女の名は"リラ・マイヤ"。ZOITECのテストパイロットでZOITECに所属する技術者である両親の付き添い兼実演の為に同行していたところ今回の惨劇に巻き込まれてしまった。

今、彼女の目の前にあるのは変わり果てた両親の姿だった。彼女は生き延びたが彼女の両親は彼女の目の前でダークスパイナーイフリートに殺された。

母親はイフリートの火器に焼かれ、父親は自分を庇ってイフリートに踏み潰されて死んだ。

流す涙ももはや枯れてしまい、彼女の心の中ではダークスパイナーイフリートに対する怒りと憎しみが渦巻いていた。この手であのゾイドを屠りたい…パイロットの面を拝んで殺してやりたい、彼女はその事ばかり考えていた。

 

 

「あのゾイドを…バスタークローを装備した赤いダークスパイナーを倒す為の機体が欲しい」

東方大陸のZOITEC本社に帰還した彼女は真っ先にそう言った。

「仇打ちか…」

両親の同僚の言葉にリラは頷く。彼もリラの両親がダークスパイナーイフリートに殺された事は聞いており、その時から遺されたリラの事を心配していたのだが、彼の想像通りに彼女はどす黒い感情に支配されていた。

「…止まる気はないようだな…着いてくるんだ」

彼に案内されてリラが辿り着いた先はとある格納庫だった。彼が格納庫の扉を開けて中に入るとリラもその後を着いていった。

リラが入るのを確認した彼は格納庫内の照明を点灯した。

「これは…まさか…」

リラが目の当たりにしたのは一体の朽ち果てた恐竜型ゾイドだった。黒いフレームに白と青の装甲、辛うじて残っている金色の稲妻の刻印。

「何かは君なら知っているだろ?」

彼の言葉にリラは頷き、そのゾイドの名を口にした。

「…ゴッドカイザー…」

ゴッドカイザー…かつての第一次大陸間戦争にてへリック共和国が開発・運用していたティラノサウルス型ゾイドであり、ゴドスやアロザウラーの系譜に連なる機体である。

「ゴッドカイザーはグランドカタストロフとその後の紛争で現存していないって聞いたわ」

「そう、共和国領内にあった分は。こいつはつい最近ガイロス帝国軍のある部隊が偶然発見しサルベージした機体だ。当時鹵獲されたが―」

「もしかしてグランドカタストロフ発生とその後のゴタゴタで行方不明になった…?」

「そんな所だろう。同時に見つかったハウンドソルジャーやキングライガー、ガルタイガー、ジークドーベルは状態が比較的良好だったからそのまま修復すればまだ使えそうだが、こいつの場合は見た目がこの有り様かつコアもあの状態で生きていたのが奇跡なレベルでクローニングに耐えられる保証はないし修復も厳しい。

それに元となった野生体はグランドカタストロフで絶滅している。近縁種なら今も存在しているが、ジェノザウラーもバーサークフューラーの野生体もゴッドカイザーの野生体より大型の種だ。だからこそ君のお祖父さんは逆に考えた。バーサークフューラーをベースにゴッドカイザーを蘇らせよう、てな。

ガイロス帝国から提供されたバーサークフューラーの素体を改造したものをベースにサルベージされたゴッドカイザーを解析して得られたデータと何とか抽出したゾイド因子とメモリーバンクを移植し、共和国からもたらされた大型ゾイドの開発ノウハウ、そして我々がこの度発見した希少なリーオー鉱石を製錬して編み出した新素材"メタルZi"…これらを組み合わせて誕生したのが―」

彼は閉ざされた電動シャッターのスイッチを入れて開けた。電動シャッターが開いた先にあったのはゴッドカイザーによく似た…いやバーサークフューラーの素体を用いて現代に蘇ったゴッドカイザーの姿だった。

「こいつだ」

リラはその美しい機体に目を奪われた。それと同時にこの機体ならあのダークスパイナーとやり合えると直感で感じた。

「同じバーサークフューラーの野生体と素体を用いて開発中の対セイスモサウルス用ゾイドは集光パネルの都合上完成まではまだ先だがこいつは8割完成している。尤も共和国側として対セイスモサウルス用ゾイドの生産を優先したいらしいけどな。だから再設計されたゴッドカイザーは今のところこの一機のみだが、結果次第では少数でも量産化を検討するらしい」

彼の説明を聞いたリラは彼にこう告げた。

「この子のテストパイロット、私にやらせて」

リラの言葉は彼の予想通りだった。

「勿論だ。そのつもりでこの機体を見せたのだからな」

彼が仕事に戻った後、リラは蘇ったゴッドカイザーにこう呼び掛けた。

「奴を倒す為…両親の仇を取る為に貴女の力が必要なの。力を貸して…ゴッドカイザーリバース…」

リラの言葉を肯定するかの様にゴッドカイザー…いやゴッドカイザーリバースは唸り声をあげた。

 

 

 

 

その後、リラが搭乗するゴッドカイザーリバースを中心とする少人数制の部隊が結成された。部隊には腰にマウントを増設し其処にブースターキャノンを装備したシャドーフォックス、アタックブースターに加えてデュアルスナイパーライフルを装備したグリーンホーン、真紅のボディに主翼が摩擦と高い機動力にも耐える特殊かつ希少な超硬度クリスタルで作られたストームソーダーFSVが配備され、必要に応じて他の機体が加わるという形となった。

また、リラにとって最優先討伐対象がダークスパイナーである為、ジャミング対策も当然施されている。

リラ達の部隊は共和国軍の部隊に混ざって次々とネオゼネバス帝国の部隊と交戦した。

それなりの戦果をあげたゴッドカイザーリバースであるものの、共和国軍上層部は対セイスモサウルス用ゾイド…ゴッドカイザーリバースと同じバーサークフューラーの素体を用いた姉妹機"凱龍輝"の生産・配備を最優先とし、対セイスモサウルス用ではなく対中型~大型ゾイド用である本機の量産は保留となった。

 

リラは相変わらずダークスパイナーの討伐を最優先としていた。ダークスパイナーが電子戦用ゾイドでありながらも前線の機動部隊にも随伴可能な高い戦闘力を併せ持った共和国軍にとって厄介な機体というのもある。

だがリラにとって最大の討伐理由は単純にダークスパイナーというゾイドそのものが憎いからである。両親の仇であるダークスパイナーイフリートは当然として他のダークスパイナーに関しても忌むべき仇とだいたい同じ姿かつそれらが今度は自分の仲間を殺すかもしれないと考えてしまうからだ。

ダークスパイナーの性能はリラも高く評価はしているがどうしても好きになれないどころか憎くてしょうがない…それがリラがダークスパイナーに対して抱いている感想だった。

一方、リラの周りにいる人物達…同じ部隊の者達は多少の無茶も厭わないリラの姿はやりようのない怒りをぶつけているようにも憎むべき仇(イフリート)を中々見つけられず苛立っているようにも死に急いでいるようにも見えたという。その様子からストームソーダーFSVのパイロットは彼女は生き残った事への罪悪感(サバイバーズ・ギルト)を患っているのではないかと推測している。戦争や悲惨な事件を生き延びた者によくある事だし、彼女はあれほどの惨劇を生き延びた…特に両親を目の前で亡くしたのだからそうなるのも無理はない。

皆の心配もつゆ知らずリラはゴッドカイザーリバースの強化・調整を行っていた。元々彼女の両親は技術者であり、彼女も物心ついた頃からゾイド弄りを学んでいた。

リラは更なる機動力と火力を確保すべく3連ビームキャノンのウェポンマウントにブレードライガー用のオプション装備であるアタックブースターを調整を施した上で装備した。リラの目論見通りにゴッドカイザーリバースの火力と機動力は更に上がり、最高速度は姉妹機である凱龍輝と同等の290km/hから370km/hと凱龍輝がミクロラプトル型ブロックスゾイドであるエヴォフライヤーと合体(チェンジマイズ)した形態である凱龍輝スピードと同等にまで達した。

すべては忌むべきダークスパイナーイフリートを倒す為。

 

そしてその機会はリラが思っているよりも早く訪れた。

共和国軍による中央大陸進出が始まったばかりの頃…

 

 

『奴を…バスタークローを装備した真紅のダークスパイナーを発見した』

 

敵部隊の偵察に出ていたフクロウ型ブロックスゾイドであるナイトワイズのパイロットからの通信だった。 この報を聞いたリラは真っ先に飛び出して行った。

『おいリラ!待て!』

『仕方ないだろう、彼女にとって仇討ちのチャンスが来たんだ』

『我々は援護に回るぞ』

とグリーンホーン、シャドーフォックス、ストームソーダーFSVのパイロットが通信をしていたその時だった。

『未確認機が急速に接近!』

『クソッ、こっちは10時の方角からの砲撃だ!』

ストームソーダーFSVのレーダーが何かを捉え、グリーンホーンとシャドーフォックスの元には何処からかの砲撃を受けた。2機は直撃は受けず回避したものの着弾地点にはクレーターが出来ていた。

ストームソーダーFSVのモニターに映った機体を見たパイロットはこう呟いた。

「あれはライガーゼロイクスか…!?イクスが空を飛んでいる…!?」

ストームソーダーFSVの前に現れたのは背面に一対の飛行翼が追加され空を飛ぶライガーゼロイクスだった。

一方のシャドーフォックスのパイロットも漸く砲撃を仕掛けてきた機体を捉えた。

「ライオン型ゾイド…?見たことない機体だ…しかも装備しているのはゴジュラスキャノンか…!?」

その機体はシャドーフォックスとグリーンホーンのパイロットにとっても未知の機体だった。外見からしてライオン型なのだが、装甲の下の緑色に輝くフレームはまるで骨格の様な形状であり、まるで野生体にそのまま装甲や武装を装備した様な機体だった。しかも本来はゴジュラスやゴルドスの様な巨大機用のロングレンジバスターキャノン…通称ゴジュラスキャノンと思わしき武装を装備していたのだ。

『未知の機体かつゴジュラスキャノンを装備している。俺が撹乱するからデュアルスナイパーライフルで仕留めてくれ』

『了解した』

シャドーフォックスとグリーンホーンは未知のライオン"種"のゾイドとの交戦を開始した。

 

 

 

 

そして、リラは遂に両親の仇と対峙した。

「この時をどれだけ待った事かしら…!」

歓喜していないかと言われたら嘘になる。しかし本当に歓喜するのは奴を仕留めてすべてを終わらせてからだ。

「行くわよ…ゴッドカイザーリバース!」

リラの声に応えるかの様にゴッドカイザーリバースはダークスパイナーイフリートに向けて咆哮し、まずは首から尻尾を真っ直ぐ伸ばして首と尻尾の装甲を展開して荷電粒子砲の発射体勢を取る。ダークスパイナーイフリートも黙って見てる筈がなく、バスタークローの基部の高出力ビーム砲から発せられるビームをブレード部で加速させて撃ち出すバスターライフルを発砲するが、ゴッドカイザーリバースはアタックブースターを前方に向けて搭載されたハイデンシティビームキャノンを発砲してバスターライフルのビームを相殺、その隙に荷電粒子のチャージが完了したゴッドカイザーリバースは荷電粒子砲を発射した。ダークスパイナーイフリートは咄嗟にジャミングウェーブ発動体勢をとってバスタークローを展開、エネルギーシールドを発生させて荷電粒子砲の直撃を防いだ。

リラは想定内と言わんばかりに荷電粒子砲発射体勢を解くとアタックブースターを後方に向けて高起動ロケットブースターを展開、脚部のスラスターと腰の2連装ブーストディスチャージャーを噴射させて一気に間合いを狭めようとする。

たかが突進なら防げるだろうとダークスパイナーイフリートは判断したのかジャミングウェーブ発動体勢とエネルギーシールドを解かずにそのまま受け止めようとしたものの、摩擦熱を纏ったゴッドカイザーリバースのメタルZiヘッドソードはエネルギーシールドを貫通してジャミングブレードの基部に突き刺さった。

ダークスパイナーイフリートはエネルギーシールドを解くとバスタークローでゴッドカイザーリバースを掴もうとするがゴッドカイザーリバースは両手のメタルZiクローにエネルギーを纏わせてバスタークローのアームに突き刺した。

格闘戦にも使えるバスタークローだが、手足と比べると後付けの装備であるが故に動くよう指示を出してから実際に動くまで僅かにでもタイムラグが生じてしまう。リラはその僅かな隙をついたのだが、ゴッドカイザーリバースの方も無事ではなく、アタックブースターが破損してしまった。

ゴッドカイザーリバースは頭部のヘッドアサルトライフルを発砲しながら足裏のスラスターを噴射させてメタルZiヘッドソードとメタルZiクローをダークスパイナーイフリートから引き抜く。ダークスパイナーイフリートはバスタークローが使い物にならないと判断すると基部からパージし、天に向かって咆哮した。

するとその咆哮に応じるかの様にスベスベマンジュウガニ型ゾイド"キラードーム"が出現。キラードームはゴッドカイザーリバースに牽制攻撃を仕掛けつつダークスパイナーイフリートの元へ到達すると跳躍し、ダークスパイナーイフリートは背中のジャミングブレードをパージし、連結ラッチを展開したキラードームと合体(ユニゾン)してキラースパイナーイフリートへと姿を変えた。

キラースパイナーイフリートはハサミから触手の様なワイヤーを伸ばしてゴッドカイザーリバースを捕らえると電撃を流すと共に各部のあらゆる火器を発砲、ゴッドカイザーリバースは爆煙に包まれる。

爆煙が収まった後、ゴッドカイザーリバースは膝をついており、装甲は傷だらけだった。機体は何とか耐えられたが、パイロットであるリラ自身は電撃に加え着弾による衝撃で意識が朦朧としている。

(このままじゃやられる…でも…もしこのまま死んだら私は両親の元へ…)

リラの脳裏に両親の姿が過る。

「グルルゥ…」

その時、ゴッドカイザーリバースが唸った。まるでそれで良いのか、お前の復讐心や憎しみ、怒りは所詮その程度だったのかと言わんばかりに。

「いえ、いけない…まだいけない…やっとここまで来たのよ…私の敗北で終わらせない…!奴を終わらせる…!この手で仕留める…!その為に今まで生きてきたのよ!」

朦朧としていたリラの意識は執念によりハッキリと覚醒した。キラースパイナーイフリートを仕留める…その為にあの日から生き続けてきたのだから。

「行くわよ!ゴッドカイザァァァァァァァァー!」

リラの叫びに応じるかの様にゴッドカイザーリバースは電撃を浴びながらも高らかに咆哮し、キラースパイナーイフリートの左ハサミから伸びているワイヤーを噛み千切ると破損していたアタックブースターをパージしてブーストディスチャージャーと各部のスラスターを噴射させて尻尾のリーチ内にまで接近すると左側のスラスターすべてを停止させて左脚を軸に機体を反時計回りに回転させると同時にキラースパイナーイフリートに標準を定めた3連ビームキャノン砲を発砲した。

尻尾による打撃はブーストディスチャージャーとスラスターによって勢いがついた事とビームキャノン砲の直撃でキラースパイナーイフリートを横転させるには充分であり、横転による衝撃で右ハサミから伸びていたワイヤーもゴッドカイザーリバースから外れてしまった。

ゴッドカイザーリバースはすぐに向きをキラースパイナーイフリートに向けるとエネルギーを纏わせたメタルZiクローをキラースパイナーイフリートのハサミにそれぞれ突き刺して使えなくし、両腕装甲を一旦パージしてバーサークフューラーから引き継いだ素体側の腕に備わっているストライクレーザークローでキラースパイナーイフリートの頭部装甲を切り裂いて破壊した。

キラースパイナーイフリートも負けじとゴッドカイザーリバースの腹部を脚部のストライクレーザークローで切り裂こうとするものの、ゴッドカイザーリバースはスラスターの噴射で回避しようとしたものの回避しきれず表面を切り裂かれてしまう。

キラースパイナーイフリートはその隙に立ち上がるが使える武装は腕部のストライククローと脚部のストライクレーザークロー、ストライクスマッシュテイル(尻尾)エレクトロンファング()と格闘戦用の装備のみ。対するゴッドカイザーリバースは格闘戦に特化した装備を持つ機体であり、それらの装備はハサミに刺さったままのメタルZiクローを除き健在だ。

このまま戦っても負けると判断したのかキラースパイナーイフリートは撤退しようとするがそれを見逃すリラではなく

「逃がさないわ!」

ゴッドカイザーリバースはスラスターと2連装ブーストディスチャージャーを最大出力にして体当たりすると見せかけてバイトファングでキラースパイナーイフリートの左脚に噛み付き、キラースパイナーイフリートも負けじとエレクトロンファングで3連ビームキャノン砲に噛み付いて破壊する。

しかし攻撃の手を緩めるゴッドカイザーリバースではなく、ボディをメタルZiテイルブレードを振り上げてキラースパイナーイフリートの右ハサミの基部を切断。

ゴッドカイザーリバースはキラースパイナーイフリートから噛み付いていた口を放してバックステップで僅かに距離を取ると切断され地面に落ちた右ハサミに刺さったままの左腕装甲を再度装備してハサミから引き抜くとオリジナルのゴッドカイザーの様に低い姿勢になってスラスターと2連装ブーストディスチャージャーを噴射させて左腕装甲のメタルZiクローをキラースパイナーイフリートの胸部…コアがある場所に向けて突き刺した。

ゾイドコアを破壊されたゾイドは活動を停止する…キラースパイナーイフリートも"コア"を破壊された事で活動を停止した。抵抗しようとした腕も踏ん張っていた脚もゴッドカイザーリバースを見据えていた頭部も力を失って崩れ落ちた。

「やった…やっと終わったわ…」

その様子をモニター越しに見届けたリラはそう呟き、ゴッドカイザーリバースは左腕を引き抜くと右腕装甲も装備して引き抜き、右脚でキラースパイナーイフリートの胴体を押さえ付けながら天に向かって高らかに咆哮を上げた。

 

ストームソーダーFSVと交戦していた空飛ぶライガーゼロイクスはキラースパイナーイフリートが打ち倒された事をゴッドカイザーリバースの咆哮で知ると攻撃を止め、シャドーフォックス及びグリーンホーンと交戦していた緑色のライオン"種"のゾイドを左右前後両方の脚で掴むと何処へと去っていった。

ストームソーダーFSVのパイロットは相手に交戦の意思がもうない事と何より想定以上に激しい戦闘で消耗していた事から追跡を行わず地上へ降り立った。

 

リラは両親の仇の機体のパイロットの顔を拝んで1発殴ってやろうという理由からゴッドカイザーリバースから降りてキラースパイナーイフリートのコックピットを開いた。

「っ!?これは…!?」

しかしリラが目にしたのはキラースパイナーイフリート…いやダークスパイナーイフリートのコックピットには誰も乗っていない…それどころか操縦桿や計器類すらないという光景だった。

キラードームの方にはコックピット内には全自動操縦機が搭載されていたもののダークスパイナーイフリートの方にはそれすらなくあくまでも人が乗れる程の空間があるだけだったのだ。

 

 

 

キラースパイナーイフリートはZOITECの格納庫に搬入され、リラと彼女が属する部隊の面々の立ち会いの元で解体作業が行われる事になった。

まずはゴッドカイザーリバースがメタルZiクローを突き刺した胸部…つまりゾイドコアが収まっている場所から行われたのだが…

「何これ…!?」

リラが言葉を失った理由…それは人間の少女かコアの埋め込まれていたからだった。少女の頭はゴッドカイザーリバースのメタルZiクローでぐちゃぐちゃに潰されて原型を留めておらず、当然ながら生き絶えていた。そのグロテスクな光景に立ち会っていた者達のうち何名かは吐いてしまった。

解剖も行われたのだが、この少女は惑星Zi人とは異なる遺伝子構造をしている事…金属細胞と地球由来の有機物が融合しているかの様に複雑に混ざっている事が判明したくらいでZOITECの技術を以てしてもこれ以上の事は解析出来なかった。一部の技術者はこの少女が動かしていたと推測しているのだが、どうやって動かしていたのかまでは判明しなかった…つまりこのダークスパイナーイフリートは言わば未知の技術が使われたオーパーツの塊であり、ZOITECの技術でも作る事・再現する事・修復し稼働させるのは不可能だったのだ。

へリック共和国及びガイロス帝国そしてZOITECの上層部協議の末にダークスパイナーイフリートの残骸はZOITECの格納庫の最深部に封印される事になった。

また、ダークスパイナーイフリートと共に現れたライガーゼロイクスと正体不明のライオン"種"のゾイドの行方に関しても捜索は行われてはいるものの未だに消息を掴めずにいる。

 

リラのゴッドカイザーリバースの戦果に共和国軍上層部は凱龍輝の生産を優先するという方針自体は変わらなかったものの凱龍輝やライガーゼロフェニックス、ゴジュラスギガよりも少数ではあるがゴッドカイザーリバースの生産・導入する事を決定した。

尤もメタルZiに関しては材料であるリーオー鉱石当時ではリラ機に使用された分しか発見・採掘できていなかった為に量産された機体には別の素材が使われる事になったがそれでも強力な機体である事に変わりはなく、ある部隊では奇跡的に再就役を果たしたハウンドソルジャーと共に運用されて戦果をあげているという。オリジナルではないとはいえゴッドカイザーとハウンドソルジャーが再び惑星Ziの大地を踏みしめて活躍している姿に第一次大陸間戦争を生き抜いた共和国軍の兵士や元兵士は感慨深くなって涙を流した者もいたという。

また、戦争終結後にリーオー鉱石の埋没地が新たに発見された事でZOITECはゴッドカイザーリバースで初めて採用されたメタルZiを開発した古代ライオン型ゾイド"ムラサメライガー"やワイツウルフのバリエーション機である"ソードウルフ"などにも導入する事になるのだが、それはまた別の話となる。

 

 

そしてリラはあの機体がオーパーツの塊だった事とその後の顛末も込みで仇を取った事を両親の墓前に報告した。

すべては終わってはいない…ネオゼネバス帝国との戦争は終わってはいないしリラも共和国軍からの要請で引き続き協力する事になった。

しかしダークスパイナーイフリートへの憎しみと自分だけが生き残った罪悪感(サバイバーズギルト)に蝕まれ苛まれて自分を追い詰めていた彼女の姿はもういない。

 

 

 

 

そう、あの惨劇から止まっていた彼女の時間は漸く動き出したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




機体データ
・ゴッドカイザーリバース
型式:RPZ-19Re
所属:へリック共和国/ZOITEC
分類:ティラノサウルス型
全長:約33.3m
全高:約7.8m(改良型アタックブースターを省いた場合)
重量:122.5t(改良型アタックブースターを省いた場合)
最高速度:290km/h(改良型アタックブースターを省いた場合)/370km/h(改良型アタックブースター装備時)
装備:荷電粒子ジェネレーター×3
   放熱システム×3
   バーニアスラスター×10
   アンチジャミングウェーブコーティングアーマー
武装:荷電粒子砲
   バイトファング
   メタルZiヘッドソード(リラ機のみ)
   ヘッドアサルトライフル(ウネンラギアのテイルアサルトライフルの流用)
   メタルZiクロー×2(リラ機のみ)
   ストライクレーザークロー×2
   ブロックス型ウェポンマウント対応3連ビームキャノン砲
   ストライククロー×2
   2連装ブーストディスチャージャー×2
   ストライクスマッシュテイル
   メタルZiテイルブレード(リラ機のみ)
   改良型アタックブースター×2(リラ機のみ)
第一次大戦間戦争で運用されていたゴッドカイザーの残骸(当時ガイロス帝国が鹵獲したがグランドカタストロフ発生のゴタゴタで行方不明になっていた機体)を解析して得られたデータと何とか抽出されたゾイド因子、移植可能と判断されたメモリーバンクにガイロス帝国から提供されたバーサークフューラーの素体(但し頭部はコックピットに装甲がついたもの)とへリック共和国が持ちうる大型ゾイドの開発ノウハウ、ZOITECの技術が組み合わさった事で完成したティラノサウルス型ゾイド。
後発の姉妹機である凱龍輝と比べて格闘戦に比重を置いた機体であり、機体を支える屈強な脚部フレームはバーサークフューラーや凱龍輝とも異なる独自のもので荷電粒子砲は凱龍輝と同様にアンカーなしで発射可能である。
姉妹機にはあるバックパックが本機ではオミットされて3連ビームキャノンに変更された影響からか機体の全高に関してはオリジナルのゴッドカイザーとほぼ同じとなっている。
また、ゴルヘックスやディメトロプテラ、ゴジュラスギガがいない状況でダークスパイナーと交戦しなければならない場合を想定して内部の配線に加えて装甲に関してもゴジュラスギガの装甲に採用された古代チタニウムの成分を分析し擬似的に再現したものでコーティングされたアンチジャミングウェーブコーティングアーマーを採用しているが非常に手間がかかる上にゴジュラスギガを増産した方が手っ取り早いと判断された為、1ダースにも満たない少数生産に留まった理由の1つとなっている。
また、初号機の後に生産された機体はメタルZi製の装備が別の素材に置き換わっており、初号機より弱体化している。




これより先は本作品のエピローグとなります。クロスオーバー要素がある他、ある意味蛇足となる上にバッドエンドですので苦手な方は注意してください。
































凱龍輝がロールアウトした事でへリック共和国はネオゼネバス帝国への反撃を開始した。中央大陸への再上陸と生産拠点の確保をなし得た共和国はブラキオレックスで採用された8連トランスフォームブロック(TB8)を採用した機体であるディメトロプテラとレオゲーターを開発、戦線に導入した。

そんなある日の事…
「しかし何処に消えたっていうんだ?」
そのディメトロプテラのパイロットはプテラノドンモードで空からある部隊を捜索しながらそう呟いた。
今から数時間前にリラと彼女が所属する部隊の消息が途絶えたのだ。1機だけならまだしも部隊のすべての機体の消息が途絶え、連絡もつかぬ状況に共和国軍はディメトロプテラやナイトワイズ、レオゲーターなどの機体を配備した捜索隊を編成・派遣したのだ。
『部隊を発見したこっちに合流してくれ』
地上で探索していたレオゲーターのパイロットからの通信を受けてディメトロプテラは現地へと赴いたのだが…
「これは酷いな…」
そこで目にしたのは大破したゾイド達だった。機体達は消息を経ったリラが所属する部隊や随伴していた部隊の物であり、パイロット達は全員死亡が確認された。特にリラが所属する部隊の機体は頭部が潰され見るに堪えない状態だ。しかしリラの愛機であるゴッドカイザーリバースに関しては破損したアタックブースター以外は何処にも見当たらなかったのだ。
暫くして捜索隊はリラの姿を発見した…頭部がない遺体としてではあるが。足首に付けられたドッグタグから彼女本人の物であることが確認された。捜索隊の一人は随伴していたバスターイーグルに記録されていた映像の再生に成功したのだが…
「何なんだこの巨人は…!?」
「まさかこいつらが部隊を…?」
その映像に写っていたのは行方知れずとなっていた空飛ぶライガーゼロイクス(ライガーゼロイクスグリフィン)緑色のライオン"種"のゾイド(ライジングライガーパンツァー)を初めとする何機かのゾイド達を伴って部隊を蹂躙する鋼鉄の巨人達、そしてそれらに立ち向かうゴッドカイザーリバースの姿だった。

この僅かな時間を記録した映像は持ち帰られたのだが、ネオゼネバス帝国との戦争が終わっていない状況でこの映像を公表する事は更なるパニックと不安を与えると判断した共和国とガイロス帝国、ZOITECの上層部は最重要機密して捜索隊を初めとするに箝口令を出したのだった。
また、秘密裏に巨人達の調査を開始したものの、神出鬼没である巨人達の行方を掴む事、そして彼らの本拠地を掴む事は出来なかったばかりか神隠しにあったかの様に消息不明となったゾイドやパイロット、ゾイドのみ消えてパイロットだけ遺体で発見された事件が後を絶たなかったとされている…





(…生きてる…?えっと…私は確か…あのライガーゼロイクスとライオン型ゾイドを連れた連中に…何故かしら…記憶が断片的にしか思い出せないわ…)
一方、ある施設でリラの意識は覚醒を果たした。意識を失う前の事を何とか思いだしつつ状況を確認しようとするリラだったが身体は拘束されているからか自由に動かなかった。何とか視線だけを動かせたが…
(何なのこれ…私の身体がゴッドカイザーリバースに…!?)
そこで自分の身体がゴッドカイザーリバースになっている事…いや自分の意識がゴッドカイザーリバースに宿っている事に気付いた。
「漸く目覚めたみたいだな」
そんな彼女に声をかけたのはタコの様な姿をした宇宙人だった。
その宇宙人を見てリラはハッキリ思い出した。ゴッドカイザーリバースを大破にまで追い込んだ鋼鉄の巨人の中から出てきたこの宇宙人によって自身がコックピットから引き摺り出された末に首から切られて身体を捨てられた事を。
「我が名はメイクス。まずは貴様を称賛しよう。我の創造物をよく打ち破ったな」
メイクスと名乗った宇宙人がいう創造物に思い当たる節がないと思っていたリラだったが、一つだけ思い当たる存在がいた。両親の仇であるダークスパイナーイフリートだ。あの機体なのは未知のテクノロジーが使用されていたのだ。
「まさかあのダークスパイナーは…!」
「我の創造物だ。金属細胞と完全なる融合を果たしたことで超人的な身体能力にあらゆる病原菌への耐性、有機生命体最大の弱点である寿命がなくなった金属細胞融合型不老有機生命体…アデプトテレイター。
単体でも優秀な生体兵器となり得る存在だが、巨大戦力として運用するには外部ユニットたるトランステクターが必要だ。故にトランステクターが大破したら修理するか新たなトランステクターを用意するしかない。
そこで我は思い付いたのだ。トランステクターなしで巨大戦力へと変身するアデプトテレイターを創造する事を、その過程で拡張性が高く兵器として優秀なゾイドが最適である事を。
我は複数存在する惑星Ziの一つ…貴様がいた惑星Ziのギュンター・プロイツェンと接触し、複数の生物の遺伝子を組み合わせる(キメラ)技術と引き換えに2機のゾイド…ダークスパイナーとライガーゼロイクスの開発データとその元となる野生体の金属細胞を得た。金属細胞をクローン培養して機体を作り、それをある惑星で捕獲したアデプトテレイター達と融合させて造り出したのが戦闘機械獣変身能力付与式金属細胞融合型不老有機生命体…ゾイックアデプトテレイターの第1号機"ライガーゼロイクスグリフィン"と第2号機"ダークスパイナーイフリート"だ。我は複数存在する地球の内の一つで発見したライオン種ゾイド"ライジングライガーパンツァー"を元にしたゾイックアデプトテレイター3号機と共に我の指示に従うよう洗脳した上で試験運用として貴様がいた惑星Ziへと解き放った。そんな我でも想定外だった。一介のゾイドとパイロットであらる貴様とゴッドカイザーリバースがダークスパイナーイフリートを打ち破った事はな。そんな貴様を貴様の愛機と融合させゾイックアデプトテレイターへと改造したらどれほどの存在と化すのか興味を抱いたのだ。だから貴様を1度殺害して蘇生に必要最低限の頭部とゴッドカイザーリバースを回収してゾイックアデプトテレイターとして蘇生したのだ。邪魔者は我が配下が始末した」
メイクスの話に流石のリラもついていけなかったが、自分がゴッドカイザーリバースと融合したゾイックアデプトテレイターとなった事、そして自分が1度死んだ事は理解した。そして自分のせいで部隊の仲間が、死んだ事も。
「これからは我の為に働いて貰うぞ」
その日、リラの心は再び壊れた。


そんな彼女の前に救いの手を差し伸べる存在が現れるのはもう少し先の話である。



To be continue…?




機体解説
ダークスパイナーイフリート
分類:スピノサウルス型
装備:ジャミングブレード
   アンカー×2
武装:エレクトロンファング
   ストライクレーザークロー×2
   ストライククロー×2
   ストライクスマッシュテイル
   AZ144mmマシンガン×2
   前方用2連装キャノンx1
   後方用2連装キャノン×2
   バスタークロー×2
   AZ185mmビームキャノン
   Eシールド発生装置
クインテッサ星人メイクスがギュンター・プロイツェン・ムーロアとの取引で得たダークスパイナーの設計図とその元となった野生体の金属細胞をクローン培養した物にとある惑星で捕獲した蓮井・ディアリング・ユーリアという名のアデプトテレイターと融合させて産み出したゾイックアデプトテレイターの2号機。この装備パターンはネオゼネバス帝国も考案していた物である。
パイロットが必要ない故にコックピットに該当する部位には人が乗れるスペースがあるだけ(これは他のゾイックアデプトテレイターも同様である)。


ライガーゼロイクスグリフィン
分類:ライオン型
武装:ストライクレーザークロー×4
   レーザーファング
   エレクトロンドライバー / スタンブレード×2
   ドラムコンデンサー×2
   対物ブレードセンサー×4
   エレクトロンドライバー放熱フィン×4
   チャフディスペンサー×4
   アースユニット
   スタスティックジェネレーター×2
   カッターフェアリング×2
   光学迷彩(アクティブステルス)
   エグゼニスウイング×2
メイクスが産み出したゾイックアデプトテレイター第1号。飛行能力を付与したライガーゼロのCASはこの惑星Ziでのネオゼネバス帝国も計画していたものの、最終的にはエナジーライガーへと至っている。元となったアデプトテレイターはゾイックアデプトテレイター化のショック及び洗脳の影響で記憶喪失となっている。尚、グリフィンはグリフォンのロシア語読みである。

ライジングライガーパンツァー(ゾイックアデプトテレイター化個体)
分類:ライオン種
全長:約18m(ロングレンジバスターキャノンを省いた場合)
全高:約9m(ロングレンジバスターキャノンを省いた場合)
重量:約110t(ロングレンジバスターキャノンを省いた場合)
装備:ライジングアーマー
   ライジングフリル
   インパクトリボルバー
   高性能放熱フィン
武装:A-Zタテガミブレード
   A-Zタテガミショット
   A-Z機関砲
   咆哮砲
   ライジングクロー
   ヘビーテイル
   改良型ロングレンジバスターキャノン
メイクスが複数存在する地球の内の一つで捕獲した機体と人間の少女を元にしたゾイックアデプトテレイター第3号。







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