蘇りし神皇帝竜―ゴッドカイザー―   作:衛置竜人

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ブロックスユナイト #2『あの日夢見たヒーロー』

 

 

 

 

とある平行宇宙、その世界にてトランスフォーマーは義勇軍のオートボットと正規軍のディセプティコンに別れて永きに渡る戦争を繰り広げていた。

戦争の末にサイバトロン(・・・・・・)星は荒廃し、トランスフォーマーを誕生させられるオールスパークも宇宙の彼方へ消えてしまい、オートボットは他の惑星へと散り散りになって退避したのである。

オートボットのリーダーであるオプティマスプライムと彼のチームは破壊神ガイアユニクロンが封印されていた事が後に判明する地球へ移住し、其処でディセプティコンと戦いを繰り広げた。

 

 

そんな両軍の戦争も遂に終焉を迎える時が来た。ディセプティコンのリーダーであるメガトロンはサイバトロン星復活の鍵となるオメガロックを戦艦ネメシスに復元し、サイバトロン星復活と地球の金属惑星化に乗り出すとオプティマスプライムは地球の上空に停まった戦艦ネメシスの艦底でメガトロンとの決着をつけるべく死闘を繰り広げた。

メガトロンは乱入してきたオートボットの斥候バンブルビーを殺害するもバンブルビーはオメガロックに落ちた事で蘇生を果たし、バンブルビーが手にした聖剣マトリクスセイバーで胸部を刺し貫かれたメガトロンは機能停止し、そのまま地球へと落下した事によって戦争はオートボットの勝利で幕を閉じた。

 

その後、メガトロンはガイアユニクロンの傀儡として復活しサイバトロン星を滅ぼさんとするが、オプティマスプライムがガイアユニクロンを封印した事で阻止され、正気を取り戻したメガトロンはオプティマスプライム達の眼前でディセプティコンの解散を宣言し、サイバトロン星から去っていった。

 

こうして戦争が終わった事、オールスパークも発見できた事もあってオプティマスプライムは自らの身体ごとオールスパークとマトリクスをサイバトロン星そのものたる創造神プライマスに返還する事を決めた。

「プライムの時代は終わった…さらばだ、友たちよ」

こうしてオプティマスプライムはサイバトロン星のコア…プライマスのスパークへ飛び込んで消滅した…筈だった。しかし、この時にイレギュラーな事態が起きたのだ。

なんとオプティマスプライムのスパークが2つに分裂したのである。1つはそのままこの世界に留まって後の時代に復活する事になのだが、分裂したもう片方のスパークは時空を超えてサイバトロン星がセイバートロン星と呼ばれている時空の1つにある実験惑星T-02に流れ着いた。

 

 

 

T-02は突然襲来した宇宙大群獣レギオンによって文明が壊滅。草体(レギオンプラント)の種子は無事に発射され、それが後に第83太陽系の地球へ到達して大きな被害をもたらす事になる。

第83太陽系の地球には人類が核によって生み出してしまった原子怪獣ゴジラと超古代の時代から存在している守護神獣ガメラというレギオンに対抗しうる怪獣とモディアックという地球外のオーバーテクノロジーも有する防衛組織がいたからこそ文明・生態系の壊滅という最悪の事態は避けられたが、実験惑星T-02にはその様な強大な力を有する怪獣は存在しておらず、人間族も魔人族も亜人族もソルジャーレギオンまでしか倒す事は出来ずマザーレギオンには遠く及ばない。

召喚者たる風見ヴェールヌイと彼女の一味、召喚者の救出へ訪れた第56太陽系の地球の防衛組織ですらマザーレギオンを倒し草体の種子発射を阻止する事は叶わなかった。

 

この戦いに参加した第56太陽系の地球の防衛組織に所属するアデプトマスター…外部ユニットたるトランステクターと一体化する事でトランスフォーマーとなって戦う事が出来るアデプトテレイターである日高怜もマザーレギオンの攻撃を前に命を落としてしまう。アデプトテレイターとて死なないとは限らないのだ。

彼女の亡骸は大破したトランステクターごと瓦礫の中に埋もれたまま100年近くの時が経過しており、胴体はレギオンに貫かれたのか大きな穴が開いて頭が千切れて落ちてしまっている。しかし皮膚は劣化は見られるが今も健在である。

オプティマスプライムのスパークは日高怜の亡骸と大破したトランステクターを見つけると以前のオプティマスプライムによく似たトランステクターごと彼女の亡骸を取り込んだ。光が収まった後には貫かれた穴が塞がり、千切れた頭も繋がった事で蘇生を果たした日高怜の姿だけが存在していたのである。

 

 

 

 

 

 

―side:Aoba―

 

 

 

最近寝ていると夢を見る。病院と思わしき場所でベッドに寝ている自分。身体は自由に動かせず時折咳も出る。自分はこれまで入院した事なんて1度もないのにどうしてこんな夢を見るのだろうか?

退屈になったのかテレビを見ようとリモコンの電源を押す…というところで何時も此処で目が覚める。

 

 

夜が明け目を覚ますと隣には1人の少女(アデプトテレイター)が眠っている。残されたドッグタグから彼女の名前が日高怜である事、第56太陽系の地球(私の故郷)の防衛組織に所属する人物だという事は分かった。しかし、問題なのは…

「記憶喪失、ですか…」

彼女、所謂記憶喪失だ。昨日頑張って話をしてみたけど知識はあっても自分の名前や何故此処にいるのか、そもそも自分がアデプトテレイターである事すら覚えていないという状態だ。

彼女を連れて行くかどうか?まぁ、連れて行くしかないかなぁ…このまま放っておくのもなんだかなぁ…気分が悪くなる、うん。

 

食糧になりそうな物は…ない。風見ヴェールヌイ曰くアデプトテレイターは細胞が一種の永久機関になってるから食わなくても生きていけるらしく、ダメージを負っても体力を消耗してても休息を取ってさえいれば自然と回復していくらしい。勿論、食事を取った方が回復スピードは早くなるし胴体に馬鹿デカい風穴を明けられたり頭を吹っ飛ばされたりしたら即死で生き返ったりはしないとか。そう言えば日高怜…レンで良いか。レンの服も馬鹿デカい風穴が開いてて腹どころか胸が丸見えだったんだよね…王国跡地を探索して辛うじて使えそうな服を見つけたから仕方なく死体から剥いで偶々見つかった川で洗って一晩乾かしたけど。しかし、あちこちに無数の白骨化死体が転がっていること。骨はバラバラなのが大半かつ風化している。本当なら埋葬した方が良いんだろうけど、数が多すぎて手を合わせて拝む事しか出来ない。

「…ん…」

そうこうしてる内に怜が目覚めた。

「碧羽、おはよう」

「お、おはよう…ございます…」

やっぱり人と話すのは苦手だ。挨拶すらしどろもどろになる。しかも相手は昨日初対面の年上(・・)。逆にどう接すれば良いか分からなくなる。

「あっ、服ならさっき乾いているのを確認しました。水洗いなので汚れは落ちきってないですが…」

「あぁ、ありがとう。問題ない」

私から服を受け取った怜は早速着る。躊躇いなど一切なく素早く着る。

「えっと、それじゃあ行きます…?」

「あぁ、そうだな」

怜が距離を取った事を確認した私は

「ゾイドオン、ゴッドカイザーBR」

変身コードを発言し、一瞬の内に私の視界は暗闇に覆われるもすぐに解放された。倍以上に高くなった視界の両端にはワイプで背後の様子が映し出され、武装選択のコマンドが表示されて武装の使用は考えるだけで行える。

攻撃された時に痛みとか感じる事以外はVRゲームをやっている感覚に近いかもしれない。

私は地面に伏せて

「ど、どうぞ」

「あぁ、すまない」

怜を首に乗せると起き上がってオルクス大迷宮へ向かって走り出した。

道中、話す事もなく無言の時間が続く。私自身、人と話をするのは苦手だし怜も記憶がないからかはたまた察しているのか話し掛けたりはしない。

 

しかし地球程でないにしろ多くの人々がいた筈なのにそれをほぼ全滅に追い込んだその宇宙怪獣はどんだけヤバいのか…小さいのは死骸が転がっていたからサイズは分かったけど、風見ヴェールヌイすら倒せなかったという巨大個体はゴジラやムートーでも倒せるの?

 

 

 

―side out―

 

 

 

オルクス大迷宮へ向かって疾走するゴッドカイザーBR。しかしそれを監視する影があった。ヘルキャットである。

このヘルキャットはメイクス一派に付き従うゾイックアデプトテレイター化個体であり、光学迷彩によって対象に見つからぬよう監視出来るのである。

そしてヘルキャットは遠目でハイリヒ王国跡地を疾走するゴッドカイザーBRの姿を捉えており、彼女達の行き先の算出を行ってメイクス一派に報告していたのである。

「行き先はオルクス大迷宮か。十中八九壊れた宇宙船の確保にでも行くのだろう。」

ヘルキャットからの報告を受けたメイクスは呟く。

あの時、メイクス一派はレギオン襲来のどさくさに紛れて第56太陽系の地球の防衛組織の宇宙船を大破していたのだ。再度飛ばすには修理が必要だったもののレギオンの猛攻を前にそれは叶わず、生き残ったアデプトテレイター達や召喚者達はメイクスに捕らわれ宇宙船は風見ヴェールヌイ一派のメンバーだった南雲ハジメの手によって宝物庫に入れられ、オルクス大迷宮の最下層にあるオルクスの住処に保管されている。

メイクスはアデプトテレイターや召喚者達を捕獲した後、この惑星を放置していたのだが、アデプトテレイターの生命反応を約100年振りに観測した事と時空の裂け目も観測された事を受けて久々に訪れたのである。

「目には目を歯には歯を、召喚者の成れの果てには召喚者の成れの果てをだ、隙を狙ってバイオゾイドを送り込むとしよう」

金属細胞への適合性はホルモンバランスの関係などから10代の少女が一番高いと言われている。しかし召喚者は男女混合である。メイクスは適合性のない人間の利用方を考えた末にある事を思い付いた。

ゴッドカイザーBRが作られた惑星Ziを訪れた際にある軍事国家が運用していた恐竜型ゾイド達…バイオゾイド。その惑星Ziではゾイドを操縦するにも適正が必要となり、特に人とバイオゾイドの適正は極めて低いとされるのだがバイオゾイドを運用していたその国家はある方法で解決し、メイクスもその方法に感心を抱いたのだ。

 

ゾイド乗りの適正がない人間の身体から魂だけを生きたまま取り出し、機械兵(ナンバー)の動力としてバイオゾイドを操縦させるユニットにする。これがその国家がバイオゾイドを大量運用出来た理由である。

尤もメイクスは魂のみという不安定要素は採用せず別の方法を採用する事にしたのだ。

 

 

 

 

―side:Aoba―

 

 

 

風見ヴェールヌイ曰く宇宙船は宝物庫と呼ばれるアーティファクトの中に収納してオルクス大迷宮の最下層…200階層目にあるオルクスの住処に保管しているらしい。というのも南雲ハジメがそこまで持って行ったとか。

そう言えば知り合いだって言ってたっけ…彼と白崎香織と共に倒れている所を発見したところからの付き合いって。

南雲と白崎は相思相愛の関係で、白崎自身が主に男子連中から人気者だった事もあって南雲は周囲から妬まれていた。そもそもオルクス大迷宮での実戦訓練で殺されかけたクラスメイトこそがその南雲で、殺人未遂を犯した檜山の動機も妬みからによるものだったし。

私は直接見てはいないものの南雲に対してイジメという犯罪行為をやってる奴もいると聞いたし。止めなかったのかって?人と話す事が苦手な私がそんな狂暴な奴を止める事など出来るとお思いで?言ってもお前は見てないだろと言われるのがオチだしこっちにも飛び火して被害を被る可能性もある。そもそも私が止めなくとも南雲には味方はいたからこそ私自身は極力関わらない…故にある意味では私も共犯だ。

 

私はオルクス大迷宮入口へ到着すると怜を降ろして変身を解いた。

私達以外には誰もいない。付近には宇宙怪獣の死骸が転がっている。此処まで襲ってきたのが容易に想像出来る。

私達は遅いかかってくる魔物は基本的にスルーしつつ南雲殺害未遂事件が起きた階層へ繋がる転移トラップがある第20階層目まで直行した。

第20階層目に付くと記憶を頼りにトラップのグランツ鉱石を捜索し、発見と同時にわざと触れた。

触れた途端に部屋の中に光が満ちて私達の視界を白一色に染め、私達は一瞬の浮遊感に包まれた後直ぐ様地面に叩きつけられた。

「大丈夫か?碧羽」

「は、はい、大丈夫です」

100メートルはありそうな巨大な石造りの橋の上、天井は20メートル位で橋の下に川などない、全く何も見えない落ちれば奈落の底。橋の横幅は10メートルくらいで手すりや縁石などはなく、橋の両サイドにはそれぞれ、奥へと続く通路と上階への階段が見える。

間違いない、私達がいるのはあの時と同じ第65階層目の巨大な橋の中間辺りだ。

「ゾイドオン、ゴッドカイザーBR」

私はゴッドカイザーBRへ変身すると屈んでレンを乗せる。

「しっかり掴まってて下さい」

「あぁ、分かった」

風見ヴェールヌイ曰くこの橋の下には第101階層目へのショートカットがあるらしい。既に魔法陣が発動して骸骨姿の魔物(トラウムソルジャー)とベヒモスの召喚が始まっている中、ベヒモスの召喚が始まる前に私は橋の下へと飛び降りた。

勢いよく落ちる中、私は衝突回避の為に壁に手足の爪を立てて減速して滝に着水、後は水の流れに任せて進む。

暫くして川岸が見えてきて私達は上陸した。

「此処が第101階層目ですか…」

「碧羽も初めてなのか?」

「はい、そうですね…第20階層目までとそこから転移トラップで迷い込んだ第65階層目しか行ってなくて後は帰り道しか…」

「そうか…」

相変わらず長続きしない会話をしつつ私達は時々休憩を挟みながらより下の階層へと進んで行く。道中様々な魔物が現れ時には襲ってくるものの、私達は基本的にスルーという方針はそのままにやむ終えない場合のみ攻撃する。流石に完全に殺したりはしない。攻撃して相手が逃げればそのまま放って逃がす。

 

こうして進んで第200階層目に到着した。そこは無数にある直径5メートルの柱によって支えられている天井まで30メートルはあろう空間で、私達か足を踏み入れると柱は淡く輝き始め、私達はその中を警戒しながら進んでいく。

そして、200メートル先に全長十メートルはある巨大な両開きの扉を発見した。

「あの先が件の住処か…」

「おそらく…」

最後の柱の間を越えた瞬間、私達と扉の間に30メートル程の巨大な魔法陣が現れ、そこから体長30メートルで6つの頭と長い首を持つ鋭い牙と赤黒い眼の化け物が出現した。

こいつを突破しない限り扉は開かないと風見ヴェールヌイは言っていた。

「さながらヤマタノオロチかヒュドラって所ですか…!ゾイドオン!ゴッドカイザーBR!」

私はゴッドカイザーBRへ変身すると腰の二連装ショットガンを正面に向けて三連キャノンビーム砲と腕のAZハンドガン、頭部のAZ108mmハイデンシティビームガンと共に砲撃を行って青頭、赤頭、緑頭を撃ち落としていく。

しかし白頭が叫ぶと破壊された赤頭、青頭、緑頭は白い光に包まれ、逆再生するかのように再生した。

「なるほど、回復魔法ですか」

「これは厄介だな…先に白頭を潰すしかないか…!」

青頭から飛んでくる氷の散弾を私達は回避したり相殺しながらヒュドラに接近、ストライクレーザークローで白頭を潰そうとしたものの割り込んできた黄頭が一瞬で肥大化させて輝き、身代わりとなった為に白頭を潰す事は出来なかった。

 

 

―side out―

 

 

―side:Ren―

 

 

いくら盾役の黄頭であってもゴッドカイザーBR(碧羽)の必殺技であるストライクレーザークローに耐えられなかったらしく、ヒュドラの黄頭は無惨な姿となり、白頭が黄頭に回復させようとするが

「させない!」

その隙をゴッドカイザーBRは全身の火器を零距離で放って白頭を吹き飛ばした。

回復(白頭)(黄頭)後は赤頭、青頭、黒頭に緑頭のみだったが…

「っ…あぁ…あぁ…」

ゴッドカイザーBRの攻撃が止まった。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

そして狂ったかの様に誰かに向かって謝罪の言葉を繰り返し、頭を抱えている。あれではただの的だ…

彼女が人と接するのが苦手なのは彼女の行動パターンから察してはいた。だからこそ無理に話し掛けたり詮索したりはしなかった。

だが、彼女は人と接するのが苦手にも関わらず記憶のない私に手を差し伸べてくれた。彼女には借りがある…彼女がピンチの時に何も出来ない自分が悔しい。

 

彼女が動けないのを見たヒュドラは残された頭が口から散弾のように氷の礫を彼女に向けて吐き出し、続けて赤頭が炎の壁とも言うべき火炎放射を放ち、それを交互に繰り返す。

全ての攻撃が止んだ後、急速冷却と急速加熱を繰り返した事によって流石のゴッドカイザーBRであっても装甲は脆くなっており、更に緑頭からの風刃によってゴッドカイザーBRの装甲は破壊され、変身を解除されてしまう。私は碧羽の元へ駆け寄ろうとしたが、緑頭は続けて私にも風刃を放ち、私とアオバは吹き飛ばされる。

吹き飛ばされる碧羽の姿を目の当たりにした私の脳裏にある光景が浮かぶ。

戦友(バンブルビー)かつての義兄弟(メガトロン)によって貫かれる光景―

そうか…漸く思い出した…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

意識が朦朧としたと思えば直ぐにハッキリとしたが…私げ現在いるのは広大な部屋の中ではなく暗闇に包まれた空間の中だった。

「―思い出しましたか?」

声がした方角を振り向くと其処には一人の少女の姿があった。誰かは分かる…この身体の本当の持ち主(日高 怜)だ。

「あぁ…そうだな…漸く思い出したよ…私が誰で何者かを」

「そう、それは良かったです」

「しかし、この身体は君のものだ…君に―」

返すべきだと言おうとして彼女に止められた。

「良いんです。私は既に死んだ身…戦いに身を置いている以上は死ぬ(こうなる)ことも覚悟していましたから後悔はありません。

それに本来なら死んで永き時を経て朽ちる筈だった抜け殻に貴方の(スパーク)が入った、故にあの身体は貴方の物です」

「…ありがとう」

「いえ、それよりあの娘の事、頼みますよ。死者なら色々と見て知れるこの生と死の狭間の世界で見てましたが彼女、色々抱え込んでいますからね」

「…あぁ、分かった。君と話す事が出来て良かった」

「こちらこそです」

彼女と握手を交わした後、私の意識は視界が暗転して再びあの広大な部屋の中だった。

 

 

―side out―

 

 

―side:Aoba―

 

 

戦っている最中、突然脳裏に浮かんだのはあの日の光景。友人と思っていた存在が自分を搾取する為に近付いただけであった事を知って怒りに任せて彼女を彼女をひたすら殴って蹴った事…駆け付けた先生に止められて我を取り戻した時には彼女は意識を失って倒れていて自分の手は彼女の血で汚れていた。

やってしまった…私はなんて事を…ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…

 

 

「―大丈夫だ、碧羽」

"誰か"の声が聞こえてきてハッとなった私は変身が解けてて怜に抱きしめれている事に気付いた。

「…レ…ン…?」

確かにレンだった…けど、彼女の目は普段と違って青く輝いていた。

「どの様な過去を抱えていようと私は君を受け入れる」

そしてその声は何時もの彼女の声ではなく低い男性の声だった。その声は何処かで聞き覚えがあるような気がした。

「後は私に任せろ」

怜はそう言うと立ち上がり、ヒュドラがいる方へ向けて走り出した。

ヒュドラの赤頭は怜に向けて火炎弾を発射、火炎弾が地面に着弾した事によって怜は爆煙に包まれる。

 

 

「アデプタイズ!オプティマスプライム!トランスフォーム!」

 

 

その叫び声が響き渡った後、爆煙を振り払って現れたのは一人の巨人。その巨人の姿を目の当たりにした時、私の頭の中に経験した筈のない記憶が思い起こされる。

病院のベッドの上、電源をつけたテレビに映し出された赤と青の巨人の姿。

その巨人に一目惚れして親に無理言って玩具を買ってもらって暇さえあれば遊んでいた。そうだ、やっと分かった…この記憶は私の記憶だ。私が"龍賀碧羽"として生まれる前の…前世の記憶だ。

難病を患ってから生きる希望をなくし死を待つだけだった私に希望を与えてくれた巨人…

 

 

 

 

「オプティマスプライム…!?」

あの日、夢見たヒーローが…"オプティマスプライム"が今、私の目の前に現れた。

 

 

 

 

To be continue…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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