オプティマスプライムは右手に前世で使用していたマトリクスセイバーを元に取り回し易い長さにした片手剣"コンバットソード"を、左腕に元となったトランステクターが装備していた可変式大型銃"パワーライズキャノン"を装備、それらの装備を駆使してオルクス大迷宮最奥の試練たるヒュドラに立ち向かう。
ヒュドラの黒頭はオプティマスを恐慌状態にさせようと念じるが…
(なるほど…だからアオバは攻撃を止めて恐慌状態になったのか…)
オプティマス自信は冷静に黒頭の能力を把握したのみで全くといっていい程効果がなく、オプティマスは各頭から放たれる攻撃を連射形態のパワーライズキャノンからの砲撃で相殺しつつヒュドラに接近、コンバットソードで4つの頭を切り落とした。
しかしヒュドラもしぶとく、胴体から7つ目の銀色の頭を出現させ、オプティマスではなく先にアオバを始末しようと鋭い眼光で射抜き極光で消し飛ばそうとするがオプティマスは直ぐ様その間に割って入り、パワーライズキャノンを収束砲撃形態へと変形させる。オプティマスからのエネルギー供給によってパワーライズキャノンのエネルギータンクは赤く輝き、先端にエネルギー粒子が収束されていく。
いくら強力な武器を装備していても強力な魔法が使えても人間であれば苦戦は免れないだろう。だが、今ヒュドラが対峙しているのは数々の死線を経験し潜り抜けてきた超ロボット生命体、永きに渡る戦争にて一軍を率いて戦った総大将である。
ヒュドラが極光を放つより先にオプティマスはパワーライズキャノンを発砲、収束されたエネルギー粒子はヒュドラの銀頭を消滅させ、胴体の半分も焼き消した。
ある少年がこんな言葉を残した事がある。
「ゲームで強いモンスターが出てきたら『オプティマスなら倒せるんだろうなあ』と思います」
その言葉に偽りはないと言わんばかりに最奥の試練の守護者たるヒュドラも伝説の英雄たるオプティマスには敵わなかったのだった。
一方の碧羽は混乱の最中にあった。
ヒュドラと戦っていたら
様々な感情がごちゃ混ぜになった結果、碧羽は失禁してしまった。オプティマスがアオバの方へ振り向いた瞬間、何処からか飛んできた首輪が碧羽に装着され、碧羽は声にならない叫びをあげながらゴッドカイザーBRへと姿を変えた。
首輪の中に応急回復薬が入っていたからか直ぐ様変身出来たゴッドカイザーBRだったが、その装甲はダメージが残っているからかボロボロのままで、更に普段と異なりその目は赤く輝かせている。
ゴッドカイザーBRはオプティマスの方を向くと威嚇、左腕のストライクレーザークローを振るうがオプティマスはバックステップで回避、ストライクレーザークローは地面に突き刺さった。
「あの首輪のせいか…!」
初めて会ったあの日の夜、碧羽は自分が知る限りの情報を頑張って話した。
あの首輪…擬似OSユニットを装着されていると所有者の意のままに操られる事を、自分の手で外そうとすると激しい痛みに襲われる事を。
オプティマスはその所有者…メイクスを睨み付ける。
「お前がメイクスか…!」
「如何にも。なかなかやるようだな…オプティマスプライムと言ったか」
「彼女を解放しろ!」
オプティマスは怒号と共に要求するがメイクスは何処吹く風と言わんばかりに
「欲しければ自分で何とかする事だな」
と逆に挑発する。
メイクスの周囲には骨格の様な装甲を纏ったゾイド達が控えている。バイオゾイドのバイオラプターが4機とバイオティラノが1機である。
メイクスがやれと指示を出すとバイオラプター達はゴッドカイザーBRと共にオプティマスへの攻撃を開始、
オプティマスは迫り来るバイオラプターに向けて1機に連射形態のパワーライズキャノンを発砲し、もう1機をコンバットソードで切り裂こうとするが双方とも弾かれてしまった。
バイオゾイドの装甲はヘルアーマーと呼ばれ、特殊な流体金属で作られている。自然治癒が不可能である事と引き換えにその装甲は通常の武器では傷一つ付けることが出来ず、メタルZiで作られた武器でないとダメージを与えられないのである。
「装甲にはダメージが通らないのか…ならば…!」
オプティマスはバイオラプターの関節部をコンバットソードで切り裂いて動きを止め、バイオラプターが火炎放射を放とうと口を開いた隙に咥内を狙ってパワーライズキャノンを発砲、バイオラプター達はこの戦法で一気に行動不能となった。
バイオゾイド共通の弱点…それは、防御は装甲の性能に依存しているが故に内部機構は脆弱である点である。
メタルZi製の武器がない場合のバイオゾイドの対象方法としては強い衝撃や熱を装甲を通して与えるか火器を内蔵している口腔内部を攻撃すれば致命傷を与えられるのである。また、当然ながら関節部はすべてヘルアーマーで被われている訳ではない為、ピンポイントで狙われれば当然破損し動けなくなってしまう。
バイオラプター達を殲滅した後、残すはゴッドカイザーBRと待機しているバイオティラノのみ。
「碧羽、君はどうして欲しい!君の本心を聞かせてくれ!」
と言うオプティマスの呼び掛けが通じたのか
「…助…け…て…」
ゴッドカイザーBRは擬似OSユニットへの些細な抵抗としてオプティマスに助けを求めたのだ。
彼女の意思を受け止めたオプティマスは分かったと言わんばかりに頷くと武装を格納して素手の状態でゴッドカイザーBRの砲撃を受け止めながら距離を詰め、三連キャノンビーム砲の根元を掴んで引き抜くと
「すまない…」
と呟きつつ背面ユニットを掴んで手首から先端にドリルがついた触手を伸ばし、触手は背面ユニットに穴を開けるとドリルを展開、中からハッキング用コードを伸ばしてメインコアとなっている碧羽の首に装着された擬似OSユニットに取り付いた。
本来、ゾイックアデプトテレイターはゾイド態に変身するとコアとなるアデプトテレイター本体は基本的には元になった機体のゾイドコアの位置に収まり、ゾイドコア兼制御ユニットの役割を果たしている。それに対しブロックスゾイドのゾイックアデプトテレイターはアデプトテレイター本体は元となった機体のコックピットユニットに収まっている。
これはブロックスゾイド特有の
これは通常のゾイドが乗り手との精神リンクの相性に左右される点をゾイックアデプトテレイター化個体はアデプトテレイター本体をゾイドコアにする事で相性による操縦性問題を強引に解決させたのに対しブロックスゾイドは元々完全なる人工ゾイド故に精神リンクを必要としない…つまりアデプトテレイター本体が制御ユニットとゾイドコアを兼用する必要がなかったという点も関係している。
そしてオプティマスがハッキング用コードを擬似OSユニットに取り付かせたのは管理者権限をメイクスから自分へと強制的に移行させる事で強引ではあるが彼女をメイクス一派の支配下から解放する為である。
そもそもオプティマスはプライムになる前は情報収集員として古代の文献を読みふけっていた。そういった文献の中にはプロテクトがかかっている物もあった為、それを解読・解除する為にある程度のハッキング能力も身に付けており、今回それを応用しているという訳である。彼女を自分の所有物にしてしまうという点は彼自身が良く思っていないのだが…
ゴッドカイザーBRはオプティマスから離れようと抵抗し続けるもオプティマスも離さない、そんなハッキングの最中、オプティマスの脳裏にある記憶が流れ込んできた。
それは碧羽自身の記憶だった。
―side:Optimus―
病院のベッドの上に一人の少女が横たわっている―直感で彼女が碧羽だという事はわかった。
彼女が自分の口から話したのはゾイックアデプトテレイターの事と自分がそうなった経緯くらいでそれ以外の過去は一切口にしたなかった。
あくまでも記憶故にこちらからの干渉は一切出来ない…私には見守る事しか出来ない。
彼女の保護者と担当医曰く彼女は難病を抱えており、あとどれだけ生きられるかわからないそうで、彼女は自分に未来はないと悟っているのか何処か生きる事を諦めているかのようだった。
そんな彼女がテレビの電源を入れた時、映し出された光景に私は驚くしかなかった。
私自身の姿…いや私達の姿が映し出されていた。
どうやら彼女が元いた世界で私達は物語の中の存在だったようだ。テレビの中の私達に彼女は目を輝かせ、両親に私の玩具をねだった。私の玩具を手にした彼女は嬉しそうな表情を浮かべ、暇さえあれば遊んでいた。その光景は私からしてみれば不思議な感覚だ。
しかし、無情にも彼女の身体は病魔に侵され続けていた。
『もし転生というのが本当にあるのなら、叶うならば彼に会いたい、彼にありがとうと伝えたい…』
誰にも聞こえない声でひっそりと呟く彼女はやがてその一生を終えた…しかし、彼女は"転生"して別の宇宙で新たな人生を歩み始めた。前世での出来事を忘れて。
しかし、転生した彼女の人生はある意味悲惨なものだった。性格故に他者から蔑まれイジメというものを受けていた。彼女はそれでも反撃はせず耐えていた…その姿は痛々しく、彼女の両親も世間体というものを気にしているのか直接彼女を助けようとはしなかった。
そんな彼女に助け船を出したのが同年代の少女であり、その少女と一緒に過ごす碧羽は本当に楽しそうだった。
だが、それも偽りだった。その少女が碧羽に近づいたの彼女の家柄を知って搾取する為で少女は碧羽に友情など一切抱いていなかった。
『裏切り者!この裏切り者!』
この事を知った碧羽は激昂し、他人に手出ししなかった彼女が初めて暴力を振るった。怒り、憎しみ、そして悲しみが伝わってきた。教師に止められて頭が冷えたのか碧羽は血を流し意識を失って倒れている少女の姿と彼女の血で染まった手を見た事で自分がやった事に怯えてただひたすら
『ごめんなさいごめんなさい』
と口にしていた。ヒュドラの黒頭によって恐慌状態になったのはおそらくこの事がフラッシュバックしたからだろう。
幸いにも少女は意識を取り戻し命に別状はなく、少女の両親と碧羽の両親の間で示談は成立、この一件でアオバは転校する事になった。しかし、この一件の噂が流れてしまっていたのか彼女は孤立していた。やがて中学校へ進学した彼女は相変わらず孤立したままな上に大人の男達に誘拐され、抵抗も空しくその身を汚された。男達は逮捕されたが、小学生の頃の一件も合わせてこの様な悲惨な過去を経験すれば他人を信用出来なくなるのも他人と接するのが苦手になって今に至るのも無理はない。よく頑張って学校に通い続けられたなというレベルだ。
やがて実験惑星T-02に召喚された末にメイクスに誘拐された所までの私の脳裏に彼女の記憶が再生される現象も終息した。長くも感じられたが、現実世界ではほんの僅かな時間しか流れていない。
「碧羽!君がどんな過去を抱えていようと私は受け入れる!私は君を裏切ったりしない!」
その言葉をかけたと同時にハッキングは完了し、彼女は抵抗するのを止めた。
「…本当、なんですか…?」
恐る恐る涙声で訊ねる
「あぁ」
「本当の本当に…信じて良いんですよね…?」
「あぁ、この
―side out―
「あぁ、この
「あの、今後とも…末長く…宜しくお願いします…!」
「あぁ、任せろ」
オプティマスがそう答えた後、両者はメイクスとバイオティラノに向き合う。
「まさか本当に我が物にするとはな」
不敵な笑みを浮かべるメイクス。
「バイオティラノ、奴らを始末しろ」
メイクスはバイオティラノにそう指示するとスペースブリッジを開いて何処へ去っていった。
「碧羽、アイツらの装甲には攻撃が効かない。それに君の身体は―」
ボロボロだから下がっていろ、と言わんとしたオプティマスだったが
「私を使ってください」
ゴッドカイザーBRはオプティマスの言葉を遮るかの様に進言した。
彼女の発言の意図をオプティマスは理解していた。管理者権限を自分に移行させた際にブロックスゾイドのゾイックアデプトテレイター化個体の特性に関する情報も擬似OSユニット経由で知る事が出来たからだ。
その情報はアオバ自身も把握している。
「わかった、いくぞ碧羽!」
オプティマスは彼女の意思を尊重し、その言葉に乗ることにした。
「はい!」
一方のバイオティラノも黙って見てはいない。
バイオティラノはオプティマスとゴッドカイザーBRを消し炭にしようとそれまでチャージしていた咥内のバイオ粒子砲を発射する。メイクスが来訪したマルチバースの惑星Ziのバイオゾイドを運用していた軍の独裁者の機体よりサイズが小さくバイオ粒子砲自体も威力は劣る上にフルパワーで放つとオルクス大迷宮が崩落して自身も巻き込まれてしまう可能性が高いのと標的がオプティマスとゴッドカイザーBRのみである為に威力は絞られてはいるがそれでも強力な武装である事に変わりはない。何せ着弾すると対象を分子レベルにまで消滅させる事も出来るのだ。
バイオ粒子砲はオプティマスとゴッドカイザーBRに直撃して二人は消滅するかに思われた…しかし、ゴッドカイザーBRがEシールドを発生させていた事とバイオ粒子砲の威力がEシールドでも防御可能なレベルまで絞っていた事によりオプティマスとゴッドカイザーBRは無傷だった。
「チェンジマイズ!コンビネーション・アミガー!」
ゴッドカイザーBRが"コード"を発声するとそのボディはバラバラに分割、幾つかのパーツとなって再構築され
「アームズアップ!」
オプティマスが発声した"コード"に反応し、それぞれのパーツが彼のボディへ合体される。
ブロックスはチェンジマイズと呼ばれる変形・合体機構が標準搭載され、迅速な武装や形態の変更を可能としている。
更にブロックスのパーツは本体から切り離されても動作する為、ブロックスゾイドは歩く武器庫としても機能する。
ブロックスゾイドのゾイックアデプトテレイター化個体は通常ゾイドは勿論、ゾイックアデプトテレイター化個体、更にはトランスフォーマーとの合体も可能であり、相性次第ではその能力を爆発的に上げる事も可能である。
更にオプティマス自身が元々マトリクス保持者だったからかこの世界に転生した際に体内にはエネルゴンマトリクスが宿っており、その力でゴッドカイザーBRのボディの修復も同時に行われたのである。
両足、両腕、両肩に再構築されたゴッドカイザーBRのパーツが合体、そして前世でのリフォーマット後の背面ユニットを元に構築した追加のウイングユニットにゴッドカイザーBRの制御ユニットが合体する事でその姿は完成した。
「「カイゼルアーマーオプティマス!」」
そう、これこそオプティマスプライムとゴッドカイザーBRが合体した姿たるカイゼルアーマーオプティマスである!
To be continue…