地球と似て非なる惑星の1つ。その星に住まう原住民…特にキヴォトスという都市に住む者達はアデプトテレイターに匹敵するレベルの頑丈な肉体を有しており、天使の輪の様な物を頭に浮かべている人間の少女や二足歩行を行い人語を話す獣、更にはロボットが暮らしていた。
お世辞にも治安が良い訳ではなかったこの世界は突如として終焉を迎える事になる。
頼尽灯里の故郷を襲った"厄災"とその下僕、それがこの惑星にも襲来したのだ。未曾有の脅威に住民達は団結して立ち向かったが、1人また1人と命を落としていき、"厄災"が過ぎ去った後には僅かな生き残りしかいなかった。
荒廃し廃墟となった街にて雨が降り頻る中、銃を担ぎながら3つの袋を引き摺って歩く銀髪の少女の姿があった。
彼女…月雪ミヤコは"厄災"の下僕との戦いで左足は失ってしまい、応急措置で付けられた簡易的な義足を装備している…彼女の足取りが覚束無いのはこれが原因だ。彼女が辿り着いた先はボロボロに破壊された公園。子ウサギ公園と呼ばれていたこの公園は彼女にとっては幾つもの沢山の思い出が詰まっていた場所だが、今では見るに無惨な光景と化していた。
少女は公園に着くや雨が当たらない場所で袋を開く。
「…ごめんなさい…ごめんなさい…」
袋の中身は血だらけで身体の一部が欠損した物言わぬ屍…彼女の仲間だった者達の亡骸…それもどれも酷く欠損しているものばかりだ。
彼女は閉鎖された特殊部隊の運用と養成を主目的としたエリート校の生徒で、同学年で構成されたRABBIT小隊の隊長でもあった。
小隊の面々の仲も当初は決して良いものではなかったが"先生"との出会いや数々の出来事を経て信頼関係を構築しその結束は深まっていった。
そんな彼女達も突然襲来した"厄災"の一味の前には敵わず小隊は彼女を残して壊滅、心優しき彼女の心は仲間達と先生の喪失により折れてしまったのだ。
「こんな所にもキヴォトス人のガキがいたか」
そして彼女の前に現れたのがクインテッサ星人メイクスだった。
メイクスからしてみれば彼女らの種族も都合の良い実験動物に過ぎない。抵抗する力も残っていなかった彼女はメイクス一派に捕獲され、ゾイックアデプトテレイター…それもキヴォトス人を使用して生み出された人間態でも変身するゾイドの一部武装を展開・使用が出来るゾイックアデプトテレイターであるKVシリーズを生み出す為の材料となった。
地球の干支に於いて
アデプトテレイターは有機生命体としては大きく逸脱した数々の特性からゾンビの様な生きた屍と例える者もいる。そして彼女の種族に於いてこの天使の輪の様な物が出ていない時は睡眠時や気絶時など完全に意識を失っている場合、もしくは死んでいるか生きていても廃人と化している場合である。
そう、ゾイックアデプトテレイターになってから彼女の頭上に浮かぶ天使の輪の様な物は変身時など特定の動きをする場合でないと出現しなくなった。
これが成功か否か…メイクスからしてみれば結果的には否だ。
生成には成功した…だが、
メイクス自身はその時はまだ気付かなかったが、KVシリーズのゾイド態変身時の制御可能時間の長さはアデプトテレイター本体のメンタルに左右され、まして当時の月雪ミヤコは廃人に近い状態だったが故にで制御可能時間が極端に短かったのだ。
しかもジェノブレイカーというゾイドその物が巨大ゾイドとも渡り合える程かなり強力な機体であるが故に
そこでメイクスが取った選択は適当な惑星への廃棄処分だった。この様な扱い切れない失敗兵器などメイクスには必要ない。KVシリーズの第1号にあたる彼女はスペースブリッジによって何処か辺境の惑星へ投棄された。知的生命体がいないその惑星でただひたすら暴れまわる彼女の前に現れたのは
そして現在。第56太陽系の地球の某所にて暴走状態のジェノブレイカーとスーパーコンボイが対峙していた。
ジェノブレイカーはオプティマスとゴッドカイザーBRの前に現れる前からジーオス達と戦い続けていた結果、制御可能時間を越えてしまい暴走状態と化していた。
現在のスーパーコンボイはトラクターヘッドとトレーラー、灯里本人で構成される
「この娘の事は私に任せてほしい」
スーパーコンボイは背後にいるオプティマスとゴッドカイザーBRにそう告げると武器も持たずにジェノブレイカーの頭部に向かって回し蹴りを2発当てる。
ジェノブレイカーが怯んだ隙に足裏とバックパックのスラスターを噴射してジェノブレイカーの背中に乗ろうとするが、ジェノブレイカーは反射的にエクスブレイカーでスーパーコンボイを掴まえて切断しようとする。
しかしスーパーコンボイはそれを読んでいたのかって動きを止めさせると首を掴んで仰け反らせる。
これには流石のジェノブレイカーも辛いのか踠き苦しむが逃れる事は出来ず、更にエクスブレイカーもへし折られている以上、当然ながら使用する事が出来ない。
「全く世話の焼けるお嬢様だなぁ!」
スーパーコンボイによる関節技に耐えられなくなったのかジェノブレイカーの腕はやがて力なく垂れ下がった。この瞬間、碧羽はアニメでよく聴く骨が折れる音を幻聴したようである。
ジェノブレイカーの目の光は赤から緑に戻るとその身体は光の繭に包まれ、それが消滅すると其処には意識を失った人間の少女の姿があった。スーパーコンボイは地面に横たわる少女を優しく拾うと未だ警戒するオプティマスに
「私としては交戦の意思はないから武装を解除してほしいかな」
先程までとは何処か異なる口調で語りかける。オプティマスは
「分かった」
と答え、ゴッドカイザーBRとの合体を解除した。 トランスフォーマー…正確にはアデプトマスターのトランステクターとゾイックアデプトテレイター化個体のゾイドが合体していた事にスーパーコンボイは驚いていた。
「良いんですか?」
と訊ねるゴッドカイザーBRにオプティマスは
「相手に交戦の意思がなく話し合いで解決できるのならそれに越したことはない。それに私達は囲まれている…仮に相手に交戦の意思があって反抗した場合、我々の方が数で不利だ」
と返す。そう、オプティマスとゴッドカイザーBRの周辺はスーパーコンボイの一派に属するトランスフォーマーやゾイックアデプトテレイター化個体のゾイド達によって取り囲まれている。空もステルス戦闘機に変形するトランスフォーマーと橙色のストームソーダーが見張っており、空中戦で挑むのも不利でしかない。
それにオプティマス自身が元々交戦的ではない。何せ前世に於いてメガトロンなど敵対していた相手に対しても対話による解決を模索いていた程だ。
「賢明な判断だね」
スーパーコンボイはオプティマスの判断を評価すると共にもしもに備えて臨戦態勢を取っていた仲間達に態勢を解くよう指示、スーパーコンボイ一派の面々は武器を下ろした。
「着いてきて」
スーパーコンボイは少女を左掌に寝かせたまま拠点に向かって歩き出し、オプティマスとゴッドカイザーBRはその後を着いていくのだった。
コリンズ跡地に到着したスーパーコンボイは少女を優しく降ろすとまずトレーラーユニットが変形する基地とトラクターヘッドが変形するロボットモードに分離、更にロボットモードのスーパーコンボイは光に包まれた後に
「アデプトマスターだったか…」
と驚くオプティマスに対する灯里の返答は意外な結果だった。
「アデプトマスター?まぁ、そう見えてしまうのも仕方ないけど、こう見えて私はアデプトマスターじゃなくて"ゴッドマスター"なんだよね。まぁ、純粋なゴッドマスターかと言われたら疑問符がつくし私は私でありトランステクターの意思・人格を司るユニットでもあるから…まぁ、アデプトゴッドマスターってところかな?私自身がアデプトテレイターという認識は合ってるよ」
ゴッドマスターとはトランステクター本体とマスターフォースという強化服を纏った人間が変形した魂の結晶体とも言うべきアイアコーンと融合合体することで誕生するトランスフォーマーであり、アデプトマスターのトランステクターがスパークを持たぬ可変式パワードスーツに近い存在なのに対しゴッドマスターのトランステクターは色々あって人格が封印され身動きが取れなくなってしまったロボット生命体である。
頼尽灯里は特殊なケースであり、強盗犯への復讐を成し遂げた彼女の身柄を保護した防衛組織による改造手術と元々は
「ゴッドマスター…?」
「嘗て存在していたトランスフォーマーの種族の一つ、というところかな。それはそうと君達も変身を解いたらどうかな?」
ゴッドカイザーBRの疑問に簡潔に答えながら灯里は二人に提案する。
ゴッドカイザーBRはオプティマスの方を向き、オプティマスは無言だが変身を解こうと言わんばかりに頷く。
オプティマスとゴッドカイザーBRは人間態へ戻るのだが…
「えっ、嘘…」
「龍賀…さん…?」
その姿にキャノピーが装甲に覆われ赤い目を光らせている金色のシールドライガーと橙色のストームソーダーが驚いていた。
「もしかして知り合いだった?」
灯里の言葉にシールドライガーとストームソーダーは首を縦に振る。一方の碧羽もシールドライガーとストームソーダーの声に聞き覚えを感じていたのだが、彼女らが変身を解いた事で誰なのか漸く気付いた。
「園部さんに谷口さん…?」
そう、ストームソーダーとシールドライガーのゾイックアデプトテレイター化個体の正体は碧羽のクラスメイトである園部優花と谷口鈴だった。
微妙な空気感で硬直状態にある3人を見かねてか灯里は
「とりあえず互いの情報交換でもしようかな」
と怜に切り出す。
「あぁ、そうだな。私は日高怜…またの名をオプティマスプライム。この世界にアデプトマスターとして憑依転生したトランスフォーマーだった者だ。彼女は龍賀碧羽。ゴッドカイザーBRというブロックスゾイドのゾイックアデプトテレイター化個体だ」
「私は頼尽灯里。
それぞれの代表がメンバーの紹介を行う。
「あの、日本が消えてたんですけど何があったんですか…?そもそもトータスに召喚されてからどれくらいの年月が経ったのかわかりませんか…?宇宙船からはどれくらいの日数が経ったのかバグって表示されなかったから分からなくて…」
碧羽は真っ先に灯里達に一番の疑問をぶつけた。
「俺達がこの星に着いたのが1ヶ月前。その間の探索でサルベージしたイフリティア財団の遺産にあったログによると宇宙船アルゴが飛び立ってから100年だ」
ジョルトの言葉に碧羽はショックで言葉を失った。
「此処に来るまでの情報と照らし合わせてアルゴ…君達が乗ってきたイフリティア財団の宇宙船の名前だけど、それがトータスと呼ばれていた実験惑星T-02に向かったきり戻ってこれなくなった後、この地球では様々な怪獣騒ぎが起きたらしい。で、日本は日本海溝での乱泥流、火山噴火、更にはM8.5の大地震も発生した上に怪獣災害というコンボで沈没したようだ。こうなったのは日本だけじゃないけどな」
と簡単に解説したのはブラスターだ。
「そして奴らがこの地球に現れて100年かけて人類は絶滅した、というところだね」
「奴ら…あの小型怪獣達か」
怜の言葉に灯里は頷く。
「奴らの名は"ジーオス"。私の故郷や宮子の故郷を滅ぼした"厄災"の下僕だよ。小さいからと侮っちゃ駄目なんだよね…下手に馬鹿デカいのより小さめの方が恐ろしいを地で行く連中でゴキブリ並みに1度現れたら何度も現れるし中には有機生命体を即死させられる奴もいる…しかもソルジャー級とかセミジェネラル級、ジーオスパイダーリコリスなど一部を除いて基本的にはコアを破壊しない限り何度も蘇る。対抗戦力がなければこの地球の様にあっという間に増殖する。ゴジラ達がいてもこの有り様だからね」
「デカ過ぎて逆に駆除しきれない、というところか…それに下僕という事は…」
「そう、奴らは蜂でいう女王蜂、蟻でいう女王蟻に当たる個体が存在している。私の世界では厄災…ジーオスXと呼んでた。私の世界では私が1度は倒したけど、別の世界線からやってきたのかはたまた元いた個体が進化したのかより巨大かつ強大になって帰ってきた…宮子から何とか聞き出した情報によると彼女が元いた世界にもジーオスXは現れたらしい。この世界のゴジラならあの個体も倒せるかもしれないけど、今の私達の戦力じゃ倒すのは難しいかな。ジーオスX以外のジーオスも襲ってくるからそれの相手もしながらになるし」
灯里は怜の疑問に答えると共に自身の推測を述べる。
「。だからこそ今の私達はゴジラ達に賭けるか不本意だけど何とかしてこの地球を脱出するしかない…だけど私達が乗ってきた宇宙船は大破して修理に時間が掛かる…だから頼みがある」
「頼み?」
「貴方達が乗ってきた宇宙船…アルゴに私達も一緒に乗せて欲しい。勿論、協力はするよ」
灯里の頼みに怜は
「勿論だ。これから宜しく頼む」
と断ることなく受け入れ、灯里と握手を交わすのだった。
To be continue…