フランカの鉱石病が悪化してリスカムが曇る話 作:potetopoteto
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「今日も楽勝だったわね」
瓦礫まみれになったレユニオンの基地でフランカは声を上げる。
レユニオン部隊の隠れ家を発見したロドスは、BSWの頃からパートナーであったリスカムとフランカを現地へ送った。
二人は危なげなくすべての人員を撃破。まっすぐ向かってくる奴らを撃ち抜き、切り裂くだけの簡単な任務だったので、戦闘は三十分足らずで決着した。
「リスカム、ロドスに報――」
「待って」
フランカの言葉を遮ったリスカム、その視線の先にはゆっくりと立ち上がるレユニオンの姿があった。確かに撃ち抜いたはずったが、疲れからか仕留めそこねていたのだろう。
「この……、感染者の裏切り者め!」
倒れた仲間たちと瓦礫を避けながら、リスカムに向かって肉薄する。この世の終わりかのような苦しい叫び声を上げるレユニオンに、フランカは苦虫を噛み潰したような表情を見せた。
リスカムは引き金を引いた。
弾丸が胸を的確に貫き、
――はずだった。
「リスカム離れてっ!」
レユニオンの胸元には、小型の原石爆弾が仕込まれていた。起爆することで原石をまき散らすそれに巻き込まれては、感染は免れられない。
更に不運なことに、戦闘が終わったと認識していたリスカムは自慢の盾を一時的に壁に立てかけていた。
フランカはリスカムの感染を防ぐため、抱き着くように地面に押し倒す。
その直後、原石爆弾が起爆。
「何が起きて……」
原石爆弾を至近距離で受けたフランカは、リスカムの胸に血反吐を撒き散らした。
そして、重力に抗う力を無くし、リスカムに倒れ込んむ。
「フランカ……?」
そうなったことで露わになる、フランカの背中に突き刺さった原石をリスカムはしっかり視認した。
「原石……、原石が、背中に刺さって」
静かな空間に、歯がガチガチと鳴る音が響く。
リスカムは震える手で無線を取り出した。
「こ、こちらリスカム。フランカが……、フランカが重症なんです! 今……、今すぐに医療オペレーターをおねがいします!」
「分かったわ、もう少し耐えて頂戴」
リスカムは無線を切り、その場に落とした。
「私……、私を庇ったせいで」
自分を殺したくなるほどの後悔に包まれる。
もっと早く爆弾に気付けていれば。もっと早く引き金を引けていれば。最初から確実に仕留めていれば。
私が、私が私が私が。私が、フランカを……追い込んだ。
私のせいでフランカは鉱石病に感染した。
私のせいで原石爆弾に巻き込まれた。
私のせいでフランカが苦しんでる。
私なんか、いなれけば。
地面に吐瀉物を撒き散らした。
「フランカを……運ばないと」
背中の原石を刺激しないよう、ガラス細工を扱うようにフランカを背中に背負う。
BSWに所属していたときから使っていた盾も、手の形が残るほどに愛用したハンドガン――MP433も、何もかもを置いて暗い廊下を歩く。
フランカが一番大切だから。
そんな思いで進むリスカムは、背中から伝わるフランカの体温に安堵していた。それと同時に、いつこの温かさが失われるのか分からない恐怖も感じていた。
壁にもたれかかったいくつものレユニオンの死体は無様な私達を嘲笑うようだった。
「……リスカム?」
そんな彼女の不安を取り除くように、フランカは目を覚ます。
「フランカっ! 大丈夫なの!?」
「案外大丈夫よ。それに、あんたに運んでもらえるならこの怪我も悪くないわね」
リスカムは分かっていた、この怪我で大丈夫なはず無いと。彼女が私のためを思って嘘をついていると。
「あなたこそ大丈夫なの?原石て引っ掻いたりしてない?」
「……うん」
「よかっ……たぁ」
フランカはリスカムでも初めて見る優しい笑顔で心から安堵した。フランカは自分のどんな負傷より、リスカムが感染しないことを選んだのだ。
リスカムはすでにグチャグチャになった顔をさらに涙で汚していく。
「ごめんっ……。私が、いなければ……」
「何言ってんのよ。私はあなたのことが大好きよ、リスカム」
フランカはそう言い残して、再び意識を失った。
そして二人は外にたどり着く。空を見上げると、ロドスの航空機が近くまでたどり着いていた。
リスカムが両手で居場所を示すと。航空機はすぐに着陸し、中からロドスのオペレーターたちが姿を見せる。
「これは……ひどいな」
フランカの負傷を見て驚きを隠せていない彼女はロドスでもかなり優秀と言われる医療オペレーター、ワルファリンだ。
「この場でオペをするしかなかろう、用意を!」
他の医療オペレーター達も総出で準備に取り掛かり、フランカの周りには様々な機械や道具が置かれていく。
「フランカは助かりますか……?」
「出血が酷い、とりあえずこの原石を引き抜いて出血を止めなければ話にならん。」
「そして万が一、内臓に酷い損傷があった場合は――」
リスカムは縋り付く思いでグチャグチャの顔をワルファリンに向ける。
「残念だが……助からないだろう」
そう言い残してワルファリンはオペに取り掛かった。