ISGジェネレーション   作:京勇樹

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作戦名が違うのは、直哉達が増えているからです


鋼鉄の七人2

「さっきは聞けなかったけど、エウロペさんって誰?」

 

と問い掛けたのは、シャルロットである

すると、顔写真が表示された

褐色の肌が特徴の美女だった

 

「名前は、エウロペ・ドゥガチ」

 

「クラックス・ドゥガチの後妻の一人だな」

 

「テテニス嬢からしたら義母に当たる女性で、今の木星帝国総帥のカリスト達の姉だな」

 

と三人が説明すると、場面が変わった

漆黒の宇宙だったのだが、進行方向には夥しい数の木星帝国軍が展開している

それに対するは、たった12機のMSのみ

数の差は歴然だった

 

「作戦名、鋼鉄の12人」

 

「たった12人で木星帝国軍の防衛ラインを突破して、コロニーレーザー《シンヴァツ》を破壊する作戦だ」

 

「はっきり言って、生存率はほぼ0の作戦だ……だけどやらないと、地球が撃たれる……時間制限があったから、俺達は向かったんだ」

 

三人のその説明を聞いて、誰もが目を見開いて固まっていた

たった12人で、木星帝国軍を相手にしてコロニーレーザーを破壊する

余りにも無謀な作戦だった

 

『作戦、開始! 各員の健闘を祈る!』

 

老男性

ミノル・スズキの掛け声の後、12機は動きだした

 

『散開! 乱数回避!』

 

とトビアが言った瞬間、12機は散開

その直後、先ほどまで12機が居た場所をビームの弾幕が通り過ぎた

 

『ファンネル!!』

 

『おらぁ!!』

 

『当たれぇ!!』

 

『行っけぇ!』

 

『墜ちろ!』

 

直哉達はそれぞれ武装を放つと、近くの敵を撃破していく

しかし、撃破しても次々と新しい敵が迫ってくる

 

『総数はどんくらいだ!?』

 

『ざっと、二千は越えてるな!!』

 

『やべぇ、笑える位に絶望的だな、おい!』

 

直哉達三人は軽口を言いながら、次々と撃破していく

しかし、相手は雪崩のように迫ってくる

その時、F91

ミッチェル・ドレック・ナーがコロニーレーザーを狙い、ミサイルを放った

なお、只のミサイルではない

核ミサイルだ

核ミサイルの出所は、過去にクロスボーンバンガードが木星帝国から押収したものだ

それを各機体にコロニーレーザーを破壊するために装備している

予備弾頭は、アンヘル・ディオナの後部コンテナパックにある

しかし、ミッチェル機が放った核ミサイルは撃墜されてしまった

核ミサイルを撃墜したのは、一機の異様な機体だった

モノクロの塗装を施された、巨大な手だった

 

『手だと?』

 

『この感覚は……カリスト? 影のカリストなのか!?』

 

『なに!?』

 

トビアの言葉を聞いて、誰もが驚いた

影のカリストは、地上で死んだはずだからだ

そして、その正体に気付いた

 

『そうか、バイオ脳か! バイオ脳に、自分の記憶と性格をコピーしていたのか!?』

 

それは、クラックス・ドゥガチと同じバイオ脳だった

しかし正確には、サイキッカーで死ぬ直前に光のカリストが影のカリストの精神をバイオ脳に移したのだ

そして、新たな機体と共に戦場に現れたのだ

 

『ちい! あの機体、Iフィールドがある! 正面からは倒せないぞ!』

 

『その上、変形機構でMS形態にもなる! 気を付けろ!』

 

と直哉達が戦っていた時だった

 

『ギリ! 脱出しろ、ギリ!!』

 

とトビアの声が聞こえた

ある方向を見ると、もう一機の手

光のカリスト操る同型機が、ギリの乗るビギナ・ギナⅡを大破させていた

ビギナ・ギナⅡはもはや、胴体しか残っていない

その時だった、中破した状態のバーラ・トトゥガが割り込み

 

『行け、ギリぃ!!』

 

と光のカリスト機を押さえた

それは、バーンズ・ガーンズバックの捨て身の時間稼ぎだった

バーンズ機が撃破された瞬間、ギリ機はスラスターを全開にしてコロニーレーザー《シンヴァツ》へと向かった

それを木星帝国軍は撃墜しようとしたが、間に割って入った直哉達五機によって阻止された

コロニーレーザー《シンヴァツ》は既に、発射態勢だった

ギリ・ガデューカ・アスピス、バーンズ・ガーンズバック

二人は前木星戦役終結後、地球に残り職に就いていた

ギリはある街で有名なコックに

バーンズは牧場のある農夫に

そんな二人は本来だったら、木星帝国軍の作戦に協力すべきかもしれない

しかし二人は地球に住んでいるからか、トビアの要請に応じて、この作戦に参加した

 

『俺が見たいのは……テメエの泣きっ面だぁぁぁ!!』

 

ギリはそう叫ぶと、コロニーレーザー《シンヴァツ》に体当たりした

それにより、ギリは戦死した

その直後、コロニーレーザーが発射された

 

『撃たれた!?』

 

『つっ!?』

 

『どうなったんだ!?』

 

『地球は!?』

 

直哉達が驚愕していると、ミノルが

 

『変わった角度は僅かだが、地球から外れた!』

 

と言った

ギリの体当たりは、無駄ではなかったのだ

 

『ギリとバーンズ大尉の死を、無駄にはしないっ!!』

 

『行けぇぇ!!』

 

『進めぇ!!』

 

『アアアァァァァァ!!』

 

『オオォォォ!!』

 

直哉達はそれぞれ叫びながら、コロニーレーザー目掛けて全力で進んだ

生還は絶望的

生存率は極僅か

だからどうした?

やらなければ、多くの無辜の人々が死ぬ

それだけは、絶対に許さない

だから死力を尽くし、目の前の脅威を破壊する

 

『があっ!?』

 

『弾!?』

 

進んでいた最中、弾機がビームの直撃を受けて、右腕を肩から失った

だがそれでも、止まらない

弾は両肩の武装を放ち、一隻の艦の艦橋を吹き飛ばした

そんな弾をカバーに一夏が入った

一夏はビームトライデントを振り回し、アマクサ、バタラを次々と切り刻んでいく

しかし次の瞬間、その一夏機の左足が吹き飛んだ

アマクサのビームライフルが当たったのだ

しかし、一夏も止まらない

ビームナイフを投げて、そのアマクサのコクピットを貫いた

すると、そのアマクサの後ろからもう一機アマクサが現れて楯内蔵のハイパーハンマーを投げてきた

それは直哉が楯で弾き、ビームサーベルでアマクサを切り裂いた

その直後、ミサイルが近くで爆発

それにより、腰のライフルが破損

爆発した

爆発する直前にライフルはパージしたから、機体は無事である

しかし、武装を一つ失った

奮闘しているが、直哉達は徐々に押されていく

その光景を見て、殆どのメンバーは涙目になっていた

何時死んでもおかしくない戦場

その中を、直哉達は駆け抜けていく

その時、影のカリスト機が爆散した

しかし、F91

ミッチェル機のIFFも無くなっている

一人、また一人と死んでいく

一騎当千のパイロット達だが、数の暴力に負けていく

だが、最後まで諦めない

諦めてたまるか

 

『ぐうっ!?』

 

『兄さん!? キャアッ!?』

 

ビームガトリングを撃っていたシュン機が肩のミサイルランチャーを失い、ナナは脇に抱えていたビームランチャーを腕ごと失った

それを見て、直哉達は二人のカバーに入った

だが、状況はもはや最悪だった

直哉達は圧倒的数の敵に囲まれて、ジワジワと削られていた

その時、コロニーレーザーが爆発したのだ

 

『コロニーレーザーが……』

 

『爆発した……?』

 

『トビア……エウロペ女史……』

 

コロニーレーザーが爆発したからだろう

木星帝国軍の動きが止まった

すると

 

『我々は、木星レジスタンスだ! 帝国軍は投降せよ!』

 

と通信が聞こえた

気付けば、違うカラーリングの木星軍機体が展開し木星帝国軍を包囲していた

 

『これは……』

 

『クーデターか……』

 

『……テテニス嬢が、やったのか……?』

 

こうして、コロニーレーザー破壊作戦は終結

この戦いで、五人戦死した……

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