「この脱出カプセルに入っていたのは、プラントの歌姫、ラクス・クラインだった」
「どうやら、ユニウスセブンの式に参加していたらしい」
「だが、彼女達が乗っていた船が地球連合に襲われて、彼女だけが脱出カプセルに入れられたらしい」
と三人が言うと、ラクス・クラインの写真が表示された
長いピンクの髪に、少し幼い印象の少女だった
「まあ、ユニウスセブン周辺で物資を補給した後、俺達は移動を開始」
「もう少しで友軍と会う途中で、ザフトに遭遇」
「交戦を開始した」
三人がそう言うと、戦闘が始まった
相手は、クルーゼ隊だった
そのクルーゼ隊との交戦により、近付いてきていた友軍艦隊は徐々に削られていた
その時
『攻撃してきているザフト軍に通達する!』
と女性の声が聞こえた
その内容は、これ以上攻撃してくるなら、ラクス・クラインを殺すかもしれない
というものだった
要するに、人質だった
それにより、戦闘は終結した
だが、近付いていた友軍艦隊は全滅した
その艦隊には、アークエンジェルの予備人員等が乗っていたのだ
アークエンジェルはザフトの奪取作戦により、正規の人員の大半を失っていた
艦長代行、マリュー・ラミアス
彼女は本来、技術者だ
確かに士官であり、艦長適性も有ったが、キチンとした教育を受けたわけではない
そして、それを補佐している、ナタル・バジルール
彼女は数少ない、生き残りの一人だ
艦長適性と教育も受けていたが、マリュー・ラミアスのほうが階級が上だった
だから、マリュー・ラミアスが艦長に就いた
そして、今現在のアークエンジェルは、ヘリオポリスから乗ってきた学生達の協力によって成り立っていた
それを解決するための人員だったが、沈められてしまった
「この後、キラ君が彼女を連れていった」
「クルーゼ隊に引き渡すためにな」
「その相手に選んだのが、イージスだった」
三人がそう言うと、その場面が見えた
ストライクが、アークエンジェルから出撃していった
『俺が追う。他は待機してろ』
『了解』
直哉はそう言うと、ストライクから少し離れた距離を保って追跡
そして、あるデブリを盾にして隠れた
確かに、来たのはイージス一機のみだった
キラが通達したからか、コクピットが開いた
『あれが、アスラン・ザラか……』
赤いパイロットスーツを着た少年だった
なお、ザフト軍には階級はない
服の色で識別されるのだ
なお、アスラン・ザラが着ている赤服は訓練で優秀な成績を納めた上位十名のみに許された服である
「このアスラン・ザラだがな……キラ・ヤマトの幼馴染みだそうだ」
「そして、キラとアスランは互いに気付きながら、戦ってたんだそうだ」
「全員に聞くぞ……互いに幼馴染みか友人と気付きながら、引き金を引けるか?」
三人のその問い掛けは、残酷な問い掛けだったのかもしれない
特に、箒と鈴は激しく動揺しているようだった
すると、ラクスの引き渡しが終わったのだろう
二機が離れ始めた
その時、ヴェサリウスからシグーが出撃してきた
すると、アークエンジェルからはメビウス・ゼロが出撃
キャリーベースからは、待機していた残り四機が出撃
あわや交戦開始かと思われた
その時
『やめてください、クルーゼ隊長』
と少女の声が聞こえた
その声こそ、ラクスの声だった
『ユニウスセブン弔問団体代表の私が居るこの場所を、戦場にするつもりですか?』
『……了解しました、ラクス・クライン』
ラクスの声には、強い意思が感じられた
そして、クルーゼの声を聞いて
「待ってください、この声は……」
「あの白銀の機体のパイロットか!」
と真耶と千冬が言った
すると、ラウ・ル・クルーゼの顔写真が表示された
仮面が特徴の顔写真を見て、ダリル・ケイシーが目を見開いた
見覚えがあるようだ
「こいつが、ラウ・ル・クルーゼ」
「人間全てを憎み、滅ぼすために暗躍した」
「戦争を望み、暗躍し続けた」
三人がそう説明するなか、シャルロットは戦慄していた
(ル・クルーゼ……まさか、その単語を名前にするなんて……どれ程人間を憎んだの……)
ル・クルーゼ
それは、フランス語で
主には、混沌と同義に使われる単語
それを名前に使う
それだけで、どれ程憎んだのかが分かるだろう
「この後、俺達は地球軍第八機動艦隊と合流」
「この艦隊の提督、デュエイン・ハルバートン提督」
「彼が、MS開発計画を主導した名将だな」
と三人が言うと、顔写真が表示された
白髪が特徴の初老の男性で、貫禄を感じた
「だがそこに、クルーゼ隊が襲撃してきた」
「ハルバートン提督はアークエンジェルを中心に据えて、大気圏突入コースに入るまで迎撃戦闘を開始した」
「だが、戦力差が圧倒的で押され始めた……」
三人がそう言うと、映像が変わった
場所は、地球間近
足下には、地球がデカデカと見える
『ちいっ……やはり、重力に引かれるかっ!』
『高度に注意しろよ! 行くぞ!』
直哉がそう言うと、五機は一気に突撃を開始
ザフト軍と交戦を開始した
『ん? ストライクとメビウス・ゼロだと!?』
『あの動きは……キラ君!?』
『降りなかったのか……』
本来、ストライクとメビウス・ゼロは出撃しない筈だったのだ
それに、キラ・ヤマトも艦から降りると聞いていたのだ
しかし、ストライクの動きはキラのものだった
直哉達は、ストライクを中心にして戦闘を敢行
ストライクを失うわけにはいかなかったからだ
戦闘している最中に、少しずつ高度が下がっていく
地球の重力に捕まれば、大気圏に落ちるのは避けられない
すると、ザフトのローラシア級が前進してきていた
どうやら、アークエンジェルを狙っているようだ
それに気付いたらしく、第七機動艦隊旗艦
メネラオスが盾になりつつ、砲撃戦闘を始めた
その時
『マザーから、トライアドとジェミニ各機に通達します! 危険高度に達しました! 帰投してください!』
とマザーから通信が入った
それを聞いて、マザーの近くで護衛をしていたジェミニ隊は帰投した
だが、トライアド隊は赤熱気流に包まれ始めていながらも戦っていた
『しつけぇんだよ、てめぇらはぁ!』
『何処とも知らない場所に、落ちてろっ!』
『このまま、降下するしかないかっ』
トライアドとストライクは、クルーゼ隊のガンダムと交戦していた
こうなっては、MS単機で帰艦するのは不可能なレベルだった
だからだろう、キャリーベースが近付いてきていた
その時だった
ストライクとデュエルの間を、一隻の船が通り過ぎた
その船には、赤十字が描かれている
『やめろ! その船にはぁ!』
とキラは言いながら、その船は近づいた
その直後、デュエルがその船を撃ち抜いた
『ダメだ! 今ので、コースが!』
『俺達もヤバイぞ!』
『降下姿勢を取れ! 燃え尽きるぞ!』
直哉がそう言った直後、三機は盾を構えて降下姿勢を取った
その時、メネラオスが爆沈した
『ハルバートン提督!!』
ここに、地球連合軍名将は散ったのだった
そしてアークエンジェルとキャリーベースは地球に降下した
ザフトの勢力圏のど真ん中に