それはゴールデンウイークが明けて、二日後の事だった
「そういえばさぁ、2組に転校生が来たって知ってる?」
と言ったのは、一夏達のクラスメイトの一人である
「転校生? このタイミングでか?」
クラスメイトの言葉を聞いて、直哉は不思議そうに首を傾げた
新学期が始まって、僅か1ヶ月足らずで転校生が来るというのが不思議だったのである
「そう。しかも、中国からだって!」
直哉の言葉を聞いて、クラスメイトがそう言うと、セシリアが
「私が居るから、慌てて送ってきたのですわね」
と自信タップリな表情で言うが、直哉は軽く流して
「しっかし、中国かぁ……」
「あいつ、元気にしてっかなぁ」
「二年も会ってないしな」
と三人で語っていると、のほほんが近寄ってきて
「でも~おりむーなら、勝てるよね~」
と言った
すると、それに同調するように他のクラスメイト達が
「そうだよ! 織斑君達なら勝てるよ!」
「目指せ、クラス代表戦優勝!」
「そして、学食のスイーツ1ヶ月食べ放題!」
と騒ぎ出した
「それに、専用機を持ってるのは一組と四組だけだから勝てるよ!」
と一人の女子が言った時、ドアがガラッと開いて
「その情報、古いわよ!」
と三人にとっては懐かしい声が聞こえた
三人が向けた視線の先に居たのは、小柄な体にツインテールが特徴の少女だった
「この私、
と言うと、三人はサラッと受け流して
「おー、鈴じゃねぇか」
「お久ー」
「とりあえず、後ろな」
と言った
鈴は一夏の言葉に、眉をひそめて
「は? 後ろがどうしたのよ?」
と問い掛けた
その直後、鈴の頭に出席簿が振り下ろされた
ズバン! という見事な一撃を受けて、鈴は頭を抱えながらうずくまると、涙を滲ませながら
「痛いわね! 誰よ!」
と振り向いた
が、出席簿を振り下ろした人物を見て固まった
「予鈴はなっているぞ。さっさとクラスに戻れ、邪魔だ」
そこに居たのは、千冬だった
「ち、千冬さん……」
千冬が苦手な鈴は、千冬を見て縮こまってしまった
が、千冬はそんな鈴を無視して
「早く退かないと、もう一度叩くが?」
と言いながら、出席簿を掲げた
「すいません、退きます」
流石に叩かれたくないのか、鈴はすぐさま退いた
そして、千冬が入っていくと
「また後で来るわ! 逃げないでよね!」
と威勢良く言った後、クラスへと戻っていった
そして、次の休み時間
「一夏! あいつとはどういう関係だ!」
「直哉さんもですわ!」
箒とセシリアはそれぞれ、一夏と直哉に詰め寄っていた
「んぉ? どういう関係って言われてもなぁ……」
「幼なじみって説明が一番しっくりくるな」
と二人が説明すると、箒達は
「幼なじみ……だと?」
「幼なじみですか?」
箒は怪訝な表情を浮かべ、セシリアは僅かに首を傾げた
「あー……箒は小三で転校したろ? 鈴は入れ替わる形で、小四に転校してきたんだよ」
「懐かしいなぁ……てか、身長大して伸びてないよな」
一夏に続いて、弾がそう言った
鈴本人に聞かれたら、ド突かれること間違い無いだろう
因みに、一番言ってはいけないのが、貧乳である
過去に弾が言ってしまい、見事なプロレス技によって轟沈していた
閑話休題
そして、昼休み
「遅い! 麺が伸びちゃうじゃない!」
学食に向かうと、鈴がラーメンを乗せたトレイを片手に入り口付近で立っていた
「一回二組に行ったら、お前学食に行ってるって聞いたんだよ」
「つか、そこを退け。食券が買えないからな」
「つか、普通に通行の邪魔だ」
三人が立て続けに言うと、流石に鈴も気づいたらしく
「あ、すいません」
と周囲の生徒に謝った
その後、一夏達は食券を買って昼食を受け取った
そして、全員で同じボックス席に座ると、鈴が神妙そうな表情を浮かべて
「あんた達……生きてて良かったわよ……」
と呟くように言った
「心配かけて、悪かったな」
「というか、何時の間に中国に戻ったんだよ?」
直哉が謝罪すると、一夏が鈴に問い掛けた
「あんた達が行方不明になった、大体数ヶ月後ね。両親の離婚を理由に、中国に戻ったのよ」
鈴のその説明に、一夏達は驚いた表情を浮かべた
一夏達が知る限り、鈴の両親はかなり仲が良かった筈であった
そんな二人が離婚するなど、一夏達には想像出来なかったのだ
すると、箒が鈴に視線を向けて
「待て、行方不明とはどういうことだ?」
と問い掛けた
「あんたは?」
鈴が問い掛けると、箒は
「私の名前は篠ノ之箒だ。一夏の幼なじみだな」
と自己紹介した
箒が自己紹介すると、鈴は一瞬眉を動かしたが、すぐに気を取り直して
「前にも名乗ったけど、私は凰鈴音。鈴でいいわ」
と名乗った
すると、セシリアが立ち上がって
「私はセシリア・オルコット。イギリスの代表候補生ですわ」
と名乗った
「よろしく」
と鈴が軽く会釈すると、箒が
「それで、行方不明とはどういうことだ?」
と再び問い掛けた
すると鈴は、一夏達を見ながら
「こいつら、二年前の冬に行方不明になったのよ。ゲームセンターに荷物だけ残してね」
と説明した
その説明を聞いて、箒とセシリアは驚愕の表情を浮かべた
「警察も必死に捜索したけど、結局見つからなかった……そこから、国際的な誘拐事件ってなってたわね」
鈴がそう言うと、三人は一瞬目を合わせてから
「トイレに行ったら、急に眠くなってな」
「で、気が付いたらなんか知らない場所に居たんだ」
「周りには、同じように誘拐されたらしい人達が居てな。少しずつ減っていったんだ」
三人が語り出したのは、千冬達と話し合って決めた行方不明だった理由である
「俺達が居た場所で行われていたのは、人体実験だった」
「そんな場所で、俺達は機会を待ったんだ。逃げ出す機会をな」
「で、今年頭にようやく、チャンスが訪れたんだ」
三人の説明を、箒達は無言で聞き入っていた
「で、その施設にあった三機のISを奪って俺達は逃げ出したんだ」
「とは言っても、居たのは海外だったんだ」
「なんとか、ISのGPS機能を使って日本大使館に逃げ込んだんだよ」
三人はそこまで言うと、顔を見合わせながら
「まあ、それが理由でISが使えるってわかったんだがな」
「ああ」
「本当にな」
三人がそう話し合っているのを聞いて、箒達はどう言っていいのかわからなかった
その後、一夏達は素早く昼飯を食べ終わると教室へと戻ったのだった