ISGジェネレーション   作:京勇樹

132 / 265
脱出行

『あの機体は……』

 

『まさか……』

 

と一夏と弾が言うと、その蒼翼の機体

フリーダムから、通信が開き

 

『こちらフリーダム……キラ・ヤマト!』

 

とキラの声が聞こえた

キラは、生きていたのだ

 

『マリューさん、スピリッツの皆さん。早く退艦を!』

 

『あ……え、あ……本部の地下に、サイクロプスがあって……作戦なの! 知らなかったのよ! だから、ここでは退艦出来ないわ! もっと離れないと!』

 

マリューがそう言うと、キラは僅かに息を飲んでから

 

『わかりました!』

 

と言って、機体を上昇させた

そして、全武装一斉開放

ハイマット・フルバーストをしながら

 

『アラスカに展開している、ザフト、連合。両軍に通達します! アラスカ基地は、間もなくサイクロプスを起動させ、自爆します! 両軍直ちに撤退してください! 繰り返します!』

 

とオープンチャンネルで通信を始めた

 

『キラ君……』

 

『あいつ……』

 

その通信を聞いて、マリューとムウは言葉を失っていた

しかもよく見れば、キラの砲撃は全て戦闘力のみを奪っていた

コクピットを外していたのだ

それは、キラの決意だった

もう、殺さないという不殺の決意

すると、それに激昂するように一機の機体

デュエルがフリーダムに襲いかかった

デュエルとフリーダムは組み付くと、デュエルはその状態で肩の武装

レールガン・シヴァを撃った

フリーダムはその砲撃を機体を僅かに傾けることで、回避

その瞬間、空いた右手でデュエルはビームサーベルを抜刀

そして、フリーダムに斬りかかった

しかしその一撃を、フリーダムはバック宙返りの要領で回避

そして、一気に機体を翻しながらビームサーベルを抜刀

その一撃は間違いなく、コクピットへの直撃コースだった

だが当たる直前で、コクピットへの直撃コースから外れた

その一撃は、デュエルの両足を切り裂いた

そしてデュエルの背後に回ったフリーダムは、デュエルを蹴り飛ばした

その先に一機のディンが飛来し、デュエルは回収されて撤退した

キラはデュエルへの憎しみを振り払い、殺さなかった

そして、二隻と七機がある程度アラスカ基地から離れた時

 

『アラスカ基地内部に、高エネルギー反応確認……サイクロプス、起動!!』

 

とレイチェルとアークエンジェルオペレーターの叫び声が、重なった

その叫び声を聞いて、一同に戦慄が走った

破壊の力場が、爆発的な勢いで広がり始めた

 

『最大戦速、振り切れぇぇ!!』

 

アークエンジェルは戦闘の余波で着水し、キャリーベースは至る所から黒煙を上げながら必死に速度を上げた

その時、二機のジンとディンがそれぞれ、グウルとスラスターが爆発を起こし、力場に飲み込まれそうになった

だが

 

『掴まれ!』

 

『大人しくいていろ!』

 

ジンはキラ機が腕を掴み、ディンは弾機が両肩を掴んだ

そして、二隊は死に物狂いで離脱した甲斐あり、無事に威力圏内からの離脱に成功

ある小さな岩礁に一時的にて、休んでいた

すると、機体から降りた弾がディンのコクピットハッチを強制解放

中を見た

コクピットシートに座っていたのは、若い少年兵だった

パイロットスーツの色は、緑

一般兵だった

弾はそのパイロットの肩を優しく掴むと、軽く揺すりながら

 

『おい、しっかりしろ。大丈夫か』

 

と声をかけた

すると、その少年兵は弱々しい声で

 

『お前が……あの機体の……パイロットか……』

 

と言った

やはり、若かった

下手したら、ようやく中学校を卒業した位だろう

 

『そうだ』

 

『なぜ……僕を……助けた……?』

 

『人を助けるのに、理由が居るか?』

 

相手兵の問い掛けに、弾はそう返した

それを聞いたからか、その少年兵はヘルメットのバイザーを開けて

 

『ナチュラルにも……お前みたいな……奴が……居たんだな……』

 

と言った

その直後に、その口から血を吐き出し

 

『……兄ちゃん……』

 

と言いながら、手を虚空に伸ばした

その手を、弾が掴もうとした

その直前、その手は力なく落ちた

それを見た弾は、歯をギリッと鳴らし、命の光が無くなった目を閉じさせた

そして

 

『クソッタレがあぁぁぁあ!』

 

と叫んだ

なお、ほぼ同時刻

キラが助けたジンのパイロットも、息を引き取った

一連の光景を見ていた殆どが、涙を溢していた

なぜ、子供達が死ななければならないのかと

なお、この後に弾は

 

『何故かは分かんねえけど……蘭の姿が重なった』

 

と涙ながらに語り、直哉と一夏の二人と一緒に、その少年兵の遺体を埋めた

 

「この後、俺達はマリュー艦長やキラを交えて、どうするか話し合った」

 

「その結果、オーブに身を寄せることにした」

 

「もしかしたら、受け入れてくれるかもしれないってな」

 

と三人は語った

そして、その考えた通りにオーブは二隊を受け入れた

行動の制限はあったが、二隊は休める場所を得た

 

「そして俺達は、ハロに備わってるネットワークを使って、パナマに居た本隊に連絡を取った」

 

と一夏が言うと、簪が

 

「……え、ハロってそんなことが出来たの?」

 

と驚いていた

すると、一夏が

 

「おう。ハロ万能説は伊達ではない」

 

と言った

すると、簪は

 

(今度、フルスペック版貰おうかなぁ……)

 

と考えていた

三人はそれに気付かず

 

「そして、状況を知った本隊は引き受けていた教導を中断、破棄」

 

「俺達と合流するために、パナマから離れた」

 

「その直後に、パナマはザフト軍の襲撃で陥落した」

 

と語りだした

それは、本当にタッチの差だった

後一日でも連絡をするのが遅かったら、もしかしたらまきこまれていたかもしれない

ザフト軍が使ったのは、EMP兵器《グングニール》だった

勿論、軍事基地故にEMP対策はされていた

しかし、ザフト軍が使ったグングニールは、想定を大きく上回る出力だったのだ

それを使われたパナマ基地は、配備したばかりのMS

ストライクダガー隊はただの木偶人形と化し、基地の機能は破壊され、この時保有されていたマスドライバーを失ったのだ

なお、アークエンジェルクルーはパナマが陥落したと聞いても、最早無感動だった

そして、連合は中立国に牙を剥く

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。