ISGジェネレーション   作:京勇樹

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結城園

過去語りから少し経ち、IS学園は夏休みに入った

夏休みに入ると、寮に残っている人数は少なくなる

帰省する者や、旅行に行く者

中には、自身が所属する企業に呼ばれる者も居る

そしてそれは、直哉達も例外ではなかった

夏休みに入ると直哉達は、まず家や孤児院に向かった

弾は家に帰ると、実家が経営している定食屋を手伝った

スピリッツで鍛えられた腕を遺憾無く発揮し、売り上げに貢献

夏休み期間中に、虚とデートを画策しているとか

一夏は、家の修繕を開始した

一夏と千冬の家は、千冬が代表として得たお金で購入した物件を、一夏が少しずつ使いやすく、尚且つ修理してきたのだ

しかし、この二年の間に千冬の手により、汚物屋敷と化し、何処もかしこもガタが来ていた

それを一夏は、オーブから払われたお金で木材やら何やら購入し、暫く籠って修繕する予定らしい

千冬が一度手伝おうとしたが、一夏の気迫に負けて離脱した程だ

そして直哉は、自身の居た孤児院

結城園に行っていた

この結城園は、直哉の他に約10人の子供達が居る

勿論、直哉が居なかった二年の間に新しく入った子供も居たが、直哉の持ち前の面倒見の良さで、すぐになついた

そしてそんな結城園の前に、一人の少女が居た

少し緊張した面持ちの、金髪の少女

シャルロットだ

 

「ここ、だよね……」

 

とシャルロットが呟いた

その直後

 

『直兄! 床抜けた!』

 

『お前か! ダンボール敷いて、椅子で囲っとけ! 立ち入り禁止ってな!』

 

と中から声が聞こえた

シャルロットの懸念だった、不在はなかったようだ

 

『直兄! すずかが!』

 

『すずかがどうし……お前、ペンキを頭から被ったな!? 陽愛(ひより)! すずかを風呂で洗ってやれ!』

 

『了解!』

 

『なあなあ、直兄! 彼女出来た!? 女の園なんだろ!?』

 

『はっはっは、嫌味か、幹太ぁ!?』

 

『出たあ! 結城園内伝、アイアンクロー!!』

 

『幹太が持ち上がった!』

 

かなり騒がしいようだ

 

「どうしよう、日を改めた方がいいかな?」

 

とシャルロットが言った直後

 

『幹太。お前は罰として、倉庫から木材出して、切り出してこい』

 

『あ、アイサー!』

 

と声がして、ドアが開いた

 

「ったく……ん? シャルか?」

 

呆れた様子で出てきた直哉は、シャルロットに気づいた

シャルというのは、直哉とシャルロットが決めた呼び方だ

シャルロットは、まさか出てくるとは思わず固まった

 

「どうした?」

 

「え……えっと……き、来ちゃった?」

 

直哉の問い掛けに、シャルロットはそう言った

その後直哉は、シャルロットを中に入れると買い物に出掛けた

 

「わあ……凄い! 美人の外人さんだ!」

 

「もしかして、IS学園の生徒さん!?」

 

「う、うん。そうだよ」

 

元気な子供達に圧倒されて、シャルロットはそう答えるのがやっとだった

すると、奥から一人の女性が姿を見せて

 

「お客さんかしら?」

 

とシャルロットに顏を向けた

髪は眩しい銀色で、微笑みを浮かべている

 

「あ、院長先生!」

 

「IS学園の人だって!」

 

「あらあら」

 

子供達がそう言うと、その女性は頭を下げながら

 

「私がこの結城園の院長の、結城麻理耶(マーリャ)と言います」

 

と名乗った

名前の感じからして、ハーフなのだろう

 

「シャルロット・デュノアです! こちらの直哉には、お世話になってます!」

 

シャルロットが挨拶すると、麻理耶は微笑んで

 

「そんなに緊張しなくていいですよ。奥にどうぞ」

 

と手招きした

案内されて中に入ると、そこは広々とした空間だった

部屋の端には、大きな机が二つ重ねてある

恐らく、食堂としても使われるのだろう

その向こうには中庭が見えて、そこでは一人の男の子がノコギリで木材を切っていた

その男の子が、幹太なのだろう

更に奥の方からは、シャワーの音が聞こえる

 

「あ、そこは通らないで。お姉さん!」

 

女の子の声が聞こえて、シャルロットは足を止めた

すると、一人の女の子が椅子をシャルロットの前に置いて

 

「ここ、床が抜けちゃったから。危ないよ」

 

と言った

よく見れば、そこはダンボールが敷いてあった

すると、麻理耶が

 

「ごめんなさいね。この建物自体が古いからね」

 

と言った

 

「築何年なんですか?」

 

「確か……40年以上は経ってるかしら。元々は、廃棄された教会だったのを再利用したのよ」

 

シャルロットが問い掛けると、麻理耶はそう言った

 

「なるほど……道理で」

 

麻理耶の説明を聞いて、シャルロットは納得した

道理で、見覚えがある筈だと

 

「ななか、直哉はどうしたの?」

 

「直兄なら、足りなくなった木材や釘とか買いに行ったよ」

 

麻理耶が問い掛けると、先程椅子を置いた女の子が答えた

ななか、というらしい

ななかは椅子の背に《床が抜けてるから、立ち入り禁止》と書かれた紙を貼った

見た目からすると、中学生になった所だろうか

 

「これで、良しっと」

 

ななかはそう言うと、奥に向かい

 

「陽愛! すずかはどう?」

 

『後もう少し!』

 

と話していた

ペンキを被った子を洗っているのだ

そしてななかは、中庭に行く窓を開けて

 

「幹太、木材は!?」

 

と問い掛けた

すると、幹太と呼ばれた男の子は汗を拭い

 

「今切ってるよ! つか、暑いから麦茶くれ!」

 

と言った

それを聞いて、ななかは近くの台所に入り、冷蔵庫の中から麦茶が入っている大きな入れ物を取り出した

そしてコップに注ぐと、中庭に持っていき

 

「はい、麦茶」

 

と差し出した

 

「サンキュー!」

 

幹太は渡された麦茶を一気に飲むと、ななかに返して

 

「直兄が帰ってきたら、板貼るからな!」

 

と言った

そしてななかが入ると、中庭の左手側から数人の子供達が現れて

 

「先生! 野菜取れた!」

 

と言って、篭を置いた

その篭の中には、数種類の野菜がある

それを見た麻理耶が

 

「裏の畑は、どうだったかしら?」

 

と問い掛けた

すると、一人の男の子が

 

「今年も豊作だ! 一生懸命世話したからな!」

 

と元気よく答えた

すると、シャルロットに気づいたようで

 

「その姉ちゃん、誰?」

 

と問い掛けた

するとななかが

 

「直兄が行ってる、IS学園の生徒さんよ!」

 

と言った

すると、その男の子は

 

「あ、IS学園のか。俺は昭弘ってんだ。そっちのななかと同い年だ」

 

と言って、鍬を担いだ

二人が恐らく、直哉の次に年齢が上なのだろう

二人の指示に、他の子供達が従っている

すると、麻理耶が

 

「ここでは何でしょうから、こちらへ」

 

と言って、奥の部屋を指し示した

案内されて入ると、そこは麻理耶の私室らしい部屋だった

机の上には、経営に関する本やアルバムが大量にあった

 

「適当に座ってくださいな」

 

と麻理耶に言われて、シャルロットは座布団に座った

すると、チャイムが鳴った

 

「あら、またお客さまかしら?」

 

と麻理耶が首を傾げると、ドアが開いて

 

「院長先生! また外人の美人さんが来た! 今度は、長い金髪の人!」

 

と昭弘が言った

それを聞いて、シャルロットは

 

(あれ、もしかして……)

 

と首を傾げた

すると、麻理耶が

 

「昭弘、ここに案内してくれるかしら?」

 

と言った

それを聞いて、昭弘はドアを閉めた

そして少しして入ってきたのは、シャルロットの予想通りの人物

セシリアだった

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