「今日はお客さまが来るわね」
と言ったのは、麻理耶である
そして麻理耶の前には、シャルロットとセシリアが居る
麻理耶は二人を座らせると、お茶を出して
「IS学園の生徒さんだったわね。直哉はどうかしら?」
と二人に問い掛けた
すると、先にシャルロットが
「直哉は、凄く優しいです。一人一人を、キチンと見てくれますから」
と言った
それに続くように、セシリアが
「それに、凄く勇ましい方ですわね。不利でも、誰かを助けようという気持ちが強い方ですわ」
と言った
それを聞いて、麻理耶は
「やっぱり、自分の信念に従ってるのね」
と納得した様子で、微笑んだ
どうやら、直哉の信念は筋金入りらしい
「あの子はね、昔から、よく苛められていた子の助けに入ってたわね……ここに入っている子を、親無しだってバカにして苛めが起きると、必ず割って入ったわ」
麻理耶はそう言うと、一冊のアルバムを開いた
そのアルバムに挟んであったのは、何枚もの写真
そして一枚の写真には、絆創膏だらけの直哉と何人もの子供達が写っていた
どうやら、苛めから救いだした後らしい
直哉は大体、小学生四年生くらいだろう
麻理耶はそのアルバムを戻すと
「そんな直哉を見つけたのは、冬の日だったわね」
と言った
「あの日……私はたまたま、夜遅くに起きちゃってね……ちょっと外に出たのよ……そしたら、前の公園の方から子供の泣き声が聞こえたの……行ったら、ベンチの上に毛布にくるまれた直哉が置かれてたのよ」
確かに、結城園の前には少し大きめの公園があった
そこに、直哉が居たらしい
「その後は、夜更かししてた子達と一緒に急いで世話をしたわね……あの時の子があんなに大人になるなんて、時が経つのは早いわ」
麻理耶がそう言いながら微笑んだ
すると、二人を見て
「あらあら、ごめんなさいね。こんなおばさんの昔話を聞かせて」
と謝った
すると、シャルロットとセシリアの二人は
「ああ、いえ」
「大丈夫ですわ」
と答えた
「この結城園の修理も、直哉が積極的に始めたの。直哉はこの結城園が出来てから、五、六年してから来たからね」
それを、今の子供達も受け継いだようだ
「それで、あの……」
「直哉さんが行方不明だった、二年間は……」
二人がそう問い掛けると、麻理耶は目を閉じて
そして麻理耶は、目を開くと
「まさか、二度目が起きるとは思わなかったわね」
と言った
「二度目?」
「それは?」
麻理耶から聞いた時、シャルロットとセシリアは第二回モンド・グロッソのことを思い出した
だがそれは、ドイツ政府によって秘匿されている
もし麻理耶が知っていたら、恐らくは日本政府に伝わり、ドイツに何らかの非難声明文が出されている筈だ
「小学校六年生の時ね……直哉は一度、誘拐されたことが有るの……あの時は、千冬ちゃんを含めたIS部隊のお陰で助かったけど……誘拐犯は過激派女性権利団体だったみたいで、ISを使ってたそうなの」
ISを使った、誘拐事件
それは、数は少ないものの起きている
だがまさか、直哉がその被害者だったとは
と二人は思った
しかも、その事件に千冬が関わっていた
それも、一人ではなくIS部隊
日本が保有するのは、IS学園に配備されているのも含めて約40程
恐らくだが、投入されたのは一個小隊
四機程だろう
もしかしたら、過激派女性権利団体程度ではないかもしれない
それこそ、二人も知る国際的テロ組織
亡国機業レベルが、関わった可能性がある
二人がそこまで考えた時、車のブレーキ音が聞こえて
『おらー! 男衆! 運び込み手伝えー!』
と直哉の声が聞こえた
どうやら、買い物から帰ってきたようだ
すると、ドタドタと音が聞こえる
どうやら、聞いた男の子達が行ったらしい
『昭弘は一人で行けるな。昌弘と優太。幹太と浩介は二人で運べ』
『了解!』
『アイサー!』
直哉の指示を聞いて、男の子達は木材やらを運び出したようだ
『んを? 靴が増えてる……って、この靴はセシリアか?』
直哉はどうやら玄関の靴を見て、セシリアが来たことに気づいたらしい
『ななか。先生達は部屋か?』
『そうだよ!』
という会話が聞こえて少しすると、ドアがノックされて
『先生、入ります』
と直哉の声が聞こえた
「どうぞ」
「失礼します……って、やっぱりセシリアだったか」
部屋に入ると、直哉はそう言った
そして、セシリアが挨拶すると
「先生。これが、領収書です」
と言って、レシートを手渡した
受け取った麻理耶は
「はい、確かに……結構買いましたね?」
と直哉に問い掛けた
すると直哉は
「どうも、屋根も怪しいので。幹太に修理させます」
と言った
そして、部屋から出ようとしたら
「相変わらず、お金は受け取らないの?」
と麻理耶が問い掛けた
それに対して、直哉は
「俺に払う金は、他の子供達にお小遣いとして増やしてください。では」
と答えて、部屋から出た
そして、ドアが閉まると
「本当に、変わらないわね」
と苦笑を漏らした
そして、続けて
「あの子、中学校に上がってから近くの商店街の手伝いしてね。お金は自分で稼ぐようになったのよ」
と言った
特に今は、軍人としてオーブに籍を置いている
貯金額は凄まじいだろう
そしてシャルロットとセシリアは、夕食の時間まで麻理耶と話していた
その間直哉は、自室に居た
そして、机の引き出しから一つのUSBを取り出した
それは、あの旅館で渡されたモノだ
それを直哉は、机の上に置いてあるパソコンに差した
そして操作し、中のファイルを確認
「……映像か……」
それを見るか否かは、直哉の判断次第だった
そして直哉は、今度は一枚の写真を取り出した
その写真には、一人の女性が二人の子供を幸せそうに抱いている
そして裏には《花月荘にて、直哉と六華》
と書かれてある
それを見て、直哉は一度深く深呼吸した
そしてパソコンの画面を見ると、映像ファイルをダブルクリックした
そして直哉は、真実を知る