あ、俺今日で29です
いやはや、アラサーですわ
「ふう……」
と息を吐いたのは、日課の朝練を終えた箒である
今彼女が居るのは、実家の篠ノ之神社である
今日は、これから神社でのお祭りが行われる
その中で彼女は、奉納の舞をするのだ
そして、彼女が刀と扇子を置くと
「箒ちゃん、お風呂涌いてるわよ」
と一人の女性が現れた
その女性は、箒の親戚である
「あ、ありがとうございます」
と箒が頭を下げると、その女性は
「いいのよ。箒ちゃんには、売り子もしてもらってるからね」
と朗らかに言った
箒は昔から巫女としても振る舞っていたので、お祭りの時等はバイトに来た女性達を取り纏めたりしている
女性はそれを言っているようだ
そして、箒が立ち上がると
「それで、憧れの一夏君と再会したんでしょ? どうだったの?」
と悪戯っぽく聞いてきた
(これがなければ、いいんだけどなぁ)
と箒は内心で困りながら
「それは、やはり大きくなってました。見違えるほどに」
と当たり障りのないように答えた
すると、女性は
「でも、二年間行方不明だったんでしょ? 大丈夫だったの?」
と問い掛けた
それに対して、箒は
「それこそ大丈夫です。一夏は、殆ど変わってなかった」
と答えた
それを聞いた女性は
「そう……なら、いいわ」
と言って、箒にタオルを手渡して道場から去った
そして箒は、タオルで手早く汗を拭いてから浴場に向かった
神社の浴場は、総桧の大浴場である
一人が入るには過剰だが、箒としては久しぶりの実家の浴場だった
「はぁ……」
体を洗ってから浸かった箒は、気の抜けた声を漏らした
湯の温度は、少し熱い位だが箒には丁度良かった
なお風呂に入るのは、滝打ちの簡易化された結果らしい
昔から篠ノ之流は、簡易化出来ることは徹底的に簡易化したらしい
「一夏……」
数年振りに再会した一夏は、見違えてしまった
見た目もだが、何よりもその気迫だ
ジェネレーションワールドでの二年間は、一夏達三人を戦士として育成した
そして一夏の戦闘スタイルは、剣を使った近接戦闘重視だ
その根幹となっているのが、篠ノ之流剣術である
しかし今の剣筋は、篠ノ之流とは最早別物だった
一夏が篠ノ之流をベースに、戦場で編み出したのだろうことは容易く分かる
「もしかしたら、父さんよりも強いのか……」
箒、一夏、千冬の師匠は、箒と束の父親
なお、束は師範代の資格を有しているが、弟子は居ない
なお、篠ノ之流とは言っても剣道と剣術に別れている
箒が修得しているのは、剣術としての篠ノ之流だ
それは、束も同じである
そして千冬が修得しているのは、剣道としての篠ノ之流である
千冬はその腕で、第一回IS世界大会
モンド・グロッソを優勝
その後、篠ノ之流に入門する子供が増えたらしい
いわゆる、有名税だろう
とは、柳韻の言だ
「……上がろう」
箒はそう言って、湯船から出た
そしてタオルで体を拭き、用意されていた巫女服に袖を通した
その後、軽くメイクしてから口紅を塗った
そして箒は、舞台に上がって舞った
そして数十分後、箒は舞を終えてメイクを落とした後に売り子に回った
やはり、お祭りなだけあって、お守りやおみくじを買いに来る人が多い
嵐のような客を捌き、波が収まった時だった
「よっ」
と一夏が現れた
「な、い、一夏!?」
と箒が驚いていると、一夏が
「箒、今大丈夫か?」
と問い掛けた
「い、いや……今は……」
と箒が吃りながらも、返答しようとした
その時
「箒ちゃん、外れても大丈夫よ」
と女性が現れた
「しかし……」
「これからは減っていくし、後は私が捌くから……ね?」
箒が躊躇っていると、女性がそう言った
そして、少し考えると
「わかりました。では……」
と言って、立ち上がった
そして、箒を待っている間、一夏に女性が
「箒ちゃんのこと、お願いね」
と言って離れた
そして十数分後、箒は浴衣に着替えて現れた
「んじゃ、行くか」
「ああ」
その言葉を合図に、二人は祭りに繰り出した
「二年振りだが、賑わってるなあ」
「そうだな」
二人はそう会話しながら、適当に買い食いしたりしていた
その時、一夏の視界に見覚えのある髪の毛が見えた
長い赤い髪が
「お、蘭ちゃんか」
「え? あ、一夏さん!」
一夏が呼び掛けると、蘭は嬉しそうな表情をした
そして、箒に気付くと
「そちらの方は……箒さんですか」
「久しぶりだな、蘭」
と二人は、若干睨みあっていた
一応、二人は知り合いではあった
しかし、互いに一夏を思っていることを知っているので、ライバル心から睨みあってしまうのだ
それを
「蘭、一人か?」
と問い掛けた
すると蘭は
「はい。友達は、今日は来れないみたいですし、お兄は彼女と回るとか」
「ああ、虚さんか」
蘭の説明を聞いて、一夏は弾が虚と回ると言ったのを思い出した
そして直哉は、孤児院の子供達と回ると言っていた
鈴は、何やら用事があるらしい
「だったらさ、一緒に行動しないか?」
と一夏が提案すると、蘭は
「いいんですか!?」
と嬉しそうにした
すると、一夏は
「一人よりかは、楽しいだろ?」
と言った
そうして、三人は回り始めた