ISGジェネレーション   作:京勇樹

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驚け


話し合い

アリーナでの戦いが終わった後、帰還した直哉達に箒達が詰め寄った

 

だが、それは現れた千冬達によって止められて、箝口令が敷かれた

 

もし他の者に話したら、卒業するまで監視が付き、外出が制限される

 

そして、直哉達には詳細を報告するように通達した

 

数十分後、直哉達を含めた千冬達は学園の地下に居た

 

そこは研究ブロックとなっており、そこには撃墜したジンクスやガンダムスローネの残骸が転がっていた

 

「お前達、こいつらの事を説明してもらうぞ。こいつらはなんだ?」

 

千冬が問い掛けると、直哉達は頷いてから

 

「まず、銀灰色の機体の名前はジンクス。そして、ダークブラウン、オレンジ、ワインレッドの機体はガンダムスローネ、アイン、ツヴァイ、ドライです」

 

「ジンクスは量産型機で、ガンダムスローネは兄弟機です」

 

直哉達の説明を聞いて、千冬と真耶は目を見開いて

 

「量産型機だと!?」

 

「ビーム兵器を標準搭載してるのにですか!?」

 

と驚愕していた

 

どうやら、ビーム兵器を標準搭載した量産型機というのが信じられないらしい

 

「まあ、ジェネレーションワールドでも、ビーム兵器標準搭載は途中からですがね」

 

「それに、ビーム兵器も一長一短だし」

 

一夏と弾がそう言うと、直哉が

 

「これらの機体に共通しているのが、搭載されている疑似GNドライヴです」と説明した

 

「疑似GNドライヴ?」

 

「織斑のとは違うのか?」

 

真耶と千冬の疑問に、直哉は頷いてから

 

「一夏のは半永久機関に対して、疑似GNドライヴは充電した粒子分しか稼働出来ませんし、何よりも……」

 

直哉はそこで一旦区切ると、真剣な表情を浮かべて

 

「疑似GN粒子は……強い毒性を帯びてます」

 

と語った

 

「毒性だと!?」

 

直哉の説明を聞いて、千冬は驚愕し真耶は目を見開き口元を手で覆った

 

「その毒性は遺伝子に異常を起こします。具体的には、まず細胞分裂が正常に行えなくなり、更には体内のあらゆる部分がズタズタにされます」

 

直哉の説明を聞いて、千冬達は絶句した

 

まさか、そのような危険性があるとは思ってなかったらしい

 

「まあ、後に改良されて毒性は無くなりましたがね」

 

「それに、直接浴びなければ大丈夫だ」

 

ジュリとカオルがそう言うと、千冬が

 

「お前達は怖くはないのか? そんな敵と戦うのが」

 

と問い掛けた

 

すると直哉達は、ニッと笑みを浮かべて

 

「そんなん、今更だ」

 

「俺達は二年間、ずっと殺し合いをしてきたんだ」

 

「今更、疑似GN粒子位で怖がるかよ」

 

と答えた

 

それに続くように、今度はジュリが

 

「それに、私たちは軍人でありMSパイロットです。パイロットになった時点で、命は捨ててます」

 

と告げた

 

「なにせMSパイロットってのは、まともな遺体すら残らないのが殆どだからな。別名、移動棺桶なんて言われてる位だ」

 

カオルがそう言うと、千冬達はいよいよ言葉を失った

 

まともな遺体すら残らない

 

移動棺桶

 

その二つのフレーズを聞くとは思わなかったからだ

 

確かに、MSは兵器だとは聞いた

 

だが、脱出装置位はあるだろうと思っていた

 

確かに、MSには緊急脱出装置はある

 

だが、当たりどころが悪いと、パイロットは原子へと還る

 

だから、脱出装置など有って無いに等しい

 

そして、千冬達が固まっていると直哉が

 

「織斑先生、これらの残骸は全て破棄してください。有っても、余計な争いを生むだけです」

 

と言った

 

それに続いて、一夏が

 

「取っただろうデータも、残らず破棄してな。俺達だって、IS学園(ここ)を破壊したくないから」

 

と言うと、直哉達は研究ブロックから去った

 

直哉達を見送ると、千冬が

 

「私達は、分かった気になっていただけかもしれんな……」

 

と呟いた

 

研究ブロックから退出後、直哉達はジュリとカオルの先導で校舎裏に来ていた

 

何でも、これから協力者に会うらしい

 

「協力者ねぇ……何の?」

 

弾のその言葉に、直哉がガクリと転び掛けた

 

「どした?」

 

一夏が問い掛けると、直哉はこめかみに人差し指を当てながら

 

「簡単に分かるだろ……亡国機業(ファンタム・タスク)だよ」

 

と言った

 

「亡国機業の」

 

「協力者?」

 

どうやら、二人して分かっていなかったらしい

 

そのことに、直哉は深々と溜め息を吐いて

 

「見せてもらった資料、詳しく名前と専用機のデータが有ったろ? あんなの、直接会ってないと得られないデータだ。それに向こうからしたら、IS学園は格好のエサ場だ。各国の最新鋭機を試験するために、まだ実力の低い代表候補生と一緒に送る。それに、このIS学園には練習兼教師用に約30機のISが置かれている。専用機じゃなくとも、それを奪っただけでも充分に戦力になる」

 

「「ああ、なるほど」」

 

直哉の説明を聞いて理解したらしく、一夏と弾は揃って手をポンと叩いた

 

直哉はそれを見て

 

「少しは考えろよ、お前ら……」

 

と溜め息混じりに呟いた

 

三人のやり取りを聞いて、ジュリが

 

「協力者は危険を犯して情報を提供してくれてるんです。少しは理解してください」

 

と苦言を呈した

 

ジュリの苦言に、二人は渋面を浮かべた

 

その時、校舎の壁に背中を預けて立っている一人の女子が居た

 

出る所は出て、引っ込む所は引っ込んでいるメリハリの利いたナイスバディだった

 

そして、着けているリボンの色から三年生と分かった

 

すると、弾が目を細めて

 

「んー? あの人って、三年生のダリル・ケイシー先輩か?」

 

と言った

 

「ああ……そういえば、弾は三年寮だったな」

 

と一夏が思い出したように言うと、弾は頷いて

 

「ああ、何回か話したことがある」

 

と言った

 

すると直哉が

 

「あの人……相当の手練れだな……」

 

と呟いた

 

「ん、どういうことだ?」

 

カオルが問い掛けると、直哉はダリルを指差して

 

「壁に背中を預けてるけど、腰は浮かせてる。腰に装備してる武装をすぐに取れるようにな」

 

と言った

 

直哉の言葉を聞いて、カオルはダリルをよく見た

 

よく見ると確かに、ダリルは壁から少しばかり腰を離している

 

「あ、マジだ」

 

「それに、リラックスしてるようで、油断なく周囲に気を配ってる……大体、6m位かな?」

 

直哉がそう言って、ジュリが境目の線を一歩超えたと同時に、ダリルは直哉達の方に顔を向けた

 

そして、軽く勢いを付けて背中を離すと、オーブ軍式の敬礼をしながら

 

「お待ちしてました。ジュリ・ウー・ニェン二尉。カオル・リオ・アスハ様」

 

と言った

 

すると、二人は返礼してから

 

「堅くなるな。堅苦しいのは苦手なんだ」

 

とカオルが言うと、ダリルは姿勢を崩して

 

「OK、そうさせてもらうぜ」

 

と言った

 

そして、ダリルは三人に視線を向けると

 

「で、あんたらが、特佐の三人か」

 

と問い掛けた

 

すると、三人は頷いて

 

「俺は神崎直哉。好きに呼んでくれ」

 

「俺は織斑一夏」

 

「改めまして、五反田弾だ」

 

と名乗った

 

「よろしくな。アタシはダリル・ケイシー。階級は三尉だ」

 

ダリルは名乗りながら、直哉達と順番に握手した

 

すると、直哉が

 

「ダリル・ケイシーって、偽名ですか? 本名は?」

 

と問い掛けた

 

すると、ダリルが少し驚いた表情を浮かべて

 

「よく分かったな。アタシの本名は、レイン・ミューゼル。ダリル・ケイシーの方も気に入ってるから、ダリルでいいぜ」

 

と言った

 

その言葉に、直哉は頷いてから

 

「それで、何でオーブに協力してるんだ? ダリル先輩だって、元々は亡国機業の人間だったんだろ?」

 

と問い掛けた

 

すると、ダリルは数瞬置いてから

 

「……アタシ達は、この狂った世界を変えたかったんだ……ISによって狂ったこの世界を……だからアタシは、叔母さんと一緒に亡国機業に入った」

 

と語った

 

「叔母さん?」

 

一夏が首を傾げると、直哉が小声で

 

「亡国機業の実働部隊の幹部、スコール・ミューゼル。姓が同じだ」

 

と教えた

 

そして、一夏と弾が納得しているがダリルは意に介さず

 

「だけど、あいつらが来てからは、亡国機業は変わった……ただただ、力を振り回す集団に変わっちまった……」

 

と言った

 

「あいつら?」

 

直哉が首を傾げると、ダリルは

 

「名前は分からないが、人を見下した様な奴に、ボサボサの赤髪の男。それに、金髪に変わったマスクを付けた奴だ。他にも居るみたいだが、他は知らない」

 

ダリルが指折りながら特徴を上げると、直哉達は目を細めた

 

三人はダリルが上げた特徴に覚えが有ったのだ

 

「一夏、弾……」

 

「ああ……」

 

「こりゃ、嫌な予感がビンビンするぜ……」

 

直哉達はそう言うと、互い顔を見合わせて頷いた

 

こうして、協力者との顔合わせは終わった

 

なおダリルからの情報で、今回襲撃してきた機体群もそいつらが作った物だと分かり、他にも機体が存在することを知ったのだった

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