ISGジェネレーション   作:京勇樹

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決意の眼差し

直哉は奥の部屋から戻ると

 

「で、何時から居た?」

 

と医務室に居たメンバーに問い掛けた

そこには、最初居なかったはずの中隊メンバーが居たからだ

すると、全員

 

『直哉が奥の部屋に入って、すぐ』

 

と告げた

つまり、六華とのやり取りは最初から見聞きしていたことになる

それを聞いて、直哉は深々と溜め息を吐いてから

 

「聞かなかったことにしろ……と言っても、無駄か」

 

と言った

その理由は、全員の目に強い光があったからだ

強い決意の光が

 

「俺がやろうとしてるのは、個人的な修羅道だぞ?」

 

修羅道

それは、一度違えれば、人道に戻ること叶わぬ道である

すると、まず弾と一夏が

 

「はっ! 戦友を見捨てる位なら、修羅道上等だ!」

 

「だな。遠慮すんな、戦友」

 

と言いながら、直哉の肩に手を置いた

それに続き

 

「あんな話聞いたら、引ける訳がないでしょうが」

 

「うむ……復讐に走りたくなるのも、已む無しだ」

 

「世界的テロリスト集団……亡国機業……」

 

「因果応報というやつだ」

 

「私達にも、他人事ではありませんわ」

 

「そうだよ、直哉」

 

と彼女達も告げた

それを聞いて、直哉が深々と溜め息を吐くと、エターナが肩に手を置いて

 

「言っておくけど、私達も居るからね」

 

と言った

それは、直哉も気づいていた

壁のコンパネの通信が繋がっていることを示すランプが、光っていたからだ

つまり、スピリッツの全員が聞いていたのである

 

「犠牲を無くすために……そして何より、人の業で涙を流す子供を居なくさせるために……私達は居るわ」

 

エターナがそう言った直後、コンパネのモニターにゼノンの顔が映されて

 

『人道倫理に反したテロリスト集団……その名は、亡国機業……奴等に、本当の恐怖を……そして、道に反した報いを思い知らせてやれ!』

 

と告げた

その直後

 

『了解!!』

 

と全員が斉唱した

医務室だけでなく、母艦の中に居た全員がである

今ここに、スピリッツ対亡国機業という戦いが明確化された

そして、数時間後

六華が目覚めた翌日、スピリッツ全員は会議室に集まっていた

すると、前に立ったゼノンが

 

「新たな依頼が来た」

 

と告げた

たった一言

それだけで、彼女達以外の全員の気迫が変わった

ピリピリとした、気迫に

 

「依頼内容は、民間人の救助……場所は、旧IS学園」

 

その場所を聞いて、彼女達は動揺した

戦争が起きた後、IS学園は避難民を収容し始めた

しかしある日、そこに逃げ延びてきた女性権利主義者達が実質的に支配していた

そこから、避難希望者達の救助

それが、新たな依頼だった

 

「避難希望者の数は、約一万人……故に、二隻で行く。アークエンジェルとエウクレイデスで」

 

アークエンジェルとエウクレイデスの二隻態勢での出撃

しかし、問題があった

それは、エウクレイデスの艦長と操舵手だった

艦長だったラムザットと、操舵手だったシェルドは戦死してしまっている

ハロでも運用可能だが、ハロだと判断が遅いのと教科書通りにしか行動出来ない

しかしそれでは、戦場では生き残れない

 

「そこで、新たな人員を紹介する……入ってくれ」

 

とゼノンが言うと、ドアが開いて新たに四人入ってきた

そのメンバーを見て、数人が驚きで目を見開いた

 

「オーブ軍から出向してきた、カムナ・タチバナだ」

 

「同じく、オーブ軍から出向してきました。エレン・タチバナです」

 

「クリスティナ・シエラです」

 

「リヒテンダール・ツエーリっす」

 

なんと、かの世界で嘗て共闘していた彼等だったのだ

 

「彼等を、エウクレイデスのクルーとして配属する。艦長はカムナ・タチバナ。CP長はエレン、補佐がクリスティナ。操舵手をリヒテンダールとする」

 

『了解』

 

ゼノンの言葉を聞いて、全員は斉唱した

その後、軽く訓練した後に彼等はIS学園のある埋め立て島に向かった

時は経って場所は変わり、IS学園地下区画

 

「ブリュンヒルデ! なぜ、共に戦ってくれないのですか!?」

 

と言ったのは、このIS学園に来た女性権利主義者達の隊長格の一人だった

その問い掛けに対して、千冬は

 

「くどい。私には、ここに残された生徒達の安全を守る義務がある」

 

と毅然と告げた

そして、隣に居た真耶が

 

「貴女達に協力したら、貴女達が彼女達を戦場に投入しようとするのは目に見えています」

 

と言った

すると、別の隊長格が

 

「貴女達のために、機体まで確保したんだぞ!?」

 

と言った

その直後、彼女達が居た部屋の奥で二機のISがライトアップされた

一機は、純白の機体だった

機体の名前は、白式(びゃくしき)

嘗て、千冬が乗っていた専用機

暮桜(くれざくら)の後継機と呼ぶべき機体である

武装は、剣一本のみ

銘は、雪片弐型

これもまた、暮桜の武装だった雪片の改良版だ

そしてもう一機は、白い白式とは反対の色

漆黒の機体だった

それは、弾に宛がわれる筈だった機体

機体名は、火孅(かせん)

火孅のコンセプトは、火力と機動

白式と真反対に、重火器しか装備していない機体だった

その火力は、並のISならばあっという間にSEが無くなるだろうと言えた

すると、千冬は

 

「倉持から、奪ってきたのか……後一機はどうした?」

 

と問い掛けた

倉持というのは、直哉達にISを提供する予定だった日本の研究所だ

正式名称は、倉持技研

そこには、千冬や束に互する天才が居た

その名前は、篝火ヒカルノ

ソフトウェア開発に於いて類いまれなる才能を持ち、実を言えば束や千冬の中学時代の同級生だった

その才能は、なんと三人用に機体のOSを書き換えた程で、そのOSデータを見た直哉達は驚いていた

そのOSは、確かに直哉達の動きに追随出来ると分かったからだ

そして、千冬の問い掛けに対して最初の隊長格が

 

「あれは、我々では一切反応しないんだ……どうなっているっ」

 

と悔しそうに言った

千冬が言ったのは、直哉に宛がわれる筈だった機体

機体名、龍閃(りゅうせん)

直哉の反射速度に追い付くレスポンスと機動性

そして、武装の汎用性によるあらゆる距離への対応

オールマイティー性

それが、直哉機に与えられた性能だった

しかしどうやら、一切反応しないらしい

その時だった

甲高い警報音が鳴り響き

 

『総員、戦闘配置! MSが接近中だ!』

 

と放送が流れた

それを聞いて、二人の隊長格が

 

「仕方ない。行くぞ!」

 

「ああ!」

 

と言って、その部屋から走り去った

それを見ると、真耶が小声で

 

「スピリッツが、来てくれたんですかね?」

 

と千冬に問い掛けた

すると、千冬は

 

「いや、恐らくは違うだろう……とうとう、ここまで戦場になるか……」

 

と呟いた

 

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