ISGジェネレーション   作:京勇樹

211 / 265
短いです


大人

騒動の翌日、直哉はカオルから引き渡された物資を、中隊で運んでいた

とはいえ、物資の入ったコンテナを保持しているのは三機で、残りは警戒に回っていた

警戒に回っている理由は、海賊対策だ

とはいえ、武装は精々機銃やRPG程度

MSには有効打たり得ない

しかし、コンテナは別である

コンテナに銃弾やRPGが当たれば、中の物資に影響が出る

だから、周囲の警戒をしていたのだ

そして警戒の甲斐あり、無事に避難民達が住む島に到着した

そして直哉は、統括責任者たる初老の男性に

 

「既に連絡が来ていると思いますが」

 

と言った

すると、その男性は

 

「はい、承ってます。お疲れさまです」

 

と言った

すると一人の整備士官らしい男性が近寄り

 

「推進材の補給は、60分程で完了します」

 

と教えてきた

それを聞いた直哉は

 

「分かりました、ありがとうございます」

 

と言った

そして少し考えてから

 

「全員、機体から降りて休憩。一時間後に帰ってこい」

 

と指示を出した

その後直哉も、パイロットスーツを脱いで散策を始めた

避難民達は裕福とまでは言えないが、それなりの生活を送っていた

中にはパソコンで何かしている者も居る

直哉は、それを見ながら歩いていた

その時

 

「直哉」

 

と数ヵ月振りにその声を聞いた

振り向いた先に居たのは、直哉にとっての育ての親

麻里耶だった

 

「先生……」

 

その後直哉は、麻里耶達に宛がわれた建物に向かった

子供達の姿は無い

 

「子供達は……」

 

「畑を耕してるか、魚釣りに行ってるわ」

 

直哉の問い掛けに、麻里耶はそう答えた

どうやら、変わってないようだ

それが嬉しくて、直哉は安堵の表情を浮かべた

すると麻里耶が

 

「やっぱり、直哉は……二年の間に軍人になっていたのね」

 

と言った

その言葉を聞いて直哉が固まっていると、麻里耶が

 

「随分昔に、病気で死に別れた夫がね、軍人だったのよ……直哉の歩き方が、その夫とまったく一緒だったわ」

 

と語った

軍人の歩行は、一般人と全く違う

体幹が鍛えられているために、頭が全く上下しないのである

麻里耶はそれを言ったのだ

 

「先生……ならば、分かってると思いますが……俺の手は血に濡れてます……それも、桁外れの人々の血に……」

 

直哉は俯きながら、そう言った

そして、顔を上げて

 

「もし、縁を切りたいというのであれば……構いません……俺からは、二度と連絡もしません……どう言い繕おうが、俺は人殺しなんですから……」

 

と言った

その直後、直哉の額にデコピンが放たれた

 

「おうっ!?」

 

完全に予想外だったために、直哉はマトモに喰らった

すると、麻里耶が

 

「私を見くびらないでください」

 

と力強く言った

それは、普段とは違った雰囲気だった

まさに、一人の親のような力強いものだった

 

「確かに、直哉は人殺しかもしれません……ですがそれでも、私の義息子には変わりません……それに直哉は、背負っているのでしょう……その罪を……全てを……逃げずに」

 

麻里耶はそう言って、直哉の頭を撫でた

 

「直哉は、立派です……人を殺したことを受け入れた……それに、子供と縁を切る親が居ますか……大事な我が子を見放す親が居ますか……」

 

そう言って、麻里耶は直哉を優しく抱き締めた

それを聞いた直哉は、僅かに涙を流しながら

 

「ありがとうございます……先生」

 

と呟いた

そして数分後、直哉は

 

「では、そろそろ戻ります」

 

と立ち上がった

すると麻里耶は

 

「直哉……ちゃんと、帰ってきなさいね」

 

と告げて、直哉を見送った

その後直哉は、中隊で帰還

作戦に臨む

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。