「いよいよ、宇宙かあ……」
「そうですわね……」
と喋っていたのは、喫茶店に来ていたシャルロットとセシリアの二人だ
二人は私物の買い出しの帰りに、喫茶店に寄っていた
そんな二人が思っていたのは、これから上がる宇宙についてだった
二人だけでなく、中隊のメンバーと千冬達はシミュレーターで、宇宙戦の訓練はしている
しかし、よく直哉達が
『実際の宇宙は、怖いぞ』
とよく言っていた
それは、彼女達も理解しているつもりだ
理由としては、地上戦とは違って、まさに360度に気を配る必要がある
何時何処に敵が居ても、おかしくないのだ
そして、もう1つは推進材残量の管理
地上では推進材が切れても、歩いて母艦近くまで帰ることが出きる
しかし宇宙では、推進材が切れたら、身動きが取れなくなってしまう
一部例外的な機体はあるが、これは殆どの機体に共通している
だから、推進材の噴射は必要最低限で済ます必要があった
「シミュレーターは繰り返ししてるけど……」
「シャルロットさんは、遊撃というポジションですから。厳しいですわね」
シャルロットの担当するポジション
遊撃
そこは、戦況に合わせて前衛、後衛を入れ換えるポジションだ
前衛よりも、機動が激しいと言われている
しかし、だからこそパイロットの腕が問われる
「まあ、やるしかないけど……」
シャルロットはそう言いながら、紅茶を飲んだ
そして
「それにしても……」
と空を見上げた
それに釣られるように、セシリアも空を見上げた
すると二人の視界に、その光景が見えた
縦横無尽に駆け巡る機体と閃光
何処かで必ず起きる、爆発
自分達が知らない戦場なのに、懐かしく感じる戦場
「今の人々にとって、ほぼ未開の場所……」
「それが、宇宙……」
その頃、地下秘匿ドッグ
その母艦の中のシミュレーター区画にて、数人の少女達がシミュレーター訓練をしていた
そこに座っているのは、ヴィシュヌ・イサ・ギャラクシー、凰乱音、ベルベット・ヘル、コメット姉妹、ロランツィーネ・ローランディフィルネイ、クーリェ・ルククシェフカ、クロエ・クロニクルだ
「ダメだ! また負けた!」
「こいつら、強すぎよ!」
と言ったのは、ロランツィーネと乱音だ
そこに来たのは、双子
フィオとミオだ
「それはそうだよ」
「その三機は、今やスピリッツの一角を担う三機将だからね」
と言った
今彼女達は、自分達に割り当てられる機体のデータで、戦闘データから再現した、直哉達三機と交戦したのだ
結果は、惨敗
数では勝っていたが、腕の差が激しすぎて瞬殺されていた
機体は今のではなく、ハンデを含めて予備機
直哉はノワール
弾はヘビーアームズ改
一夏はエクシアR2だった
そして、彼女達だが
ヴィシュヌはZガンダム・シン
乱音はアルトロン紫電
コメット姉妹は、ハルート・メテオ
ベルベットは、ブルデュエル・HH
ロランツィーネは、デスティニー・ブルーム
クーリェは、テスタメントガンダム・スヴェント
クロエは、アクエリアス・ミラージュだ
これらは、彼女達のISから得られたデータから、最適な機体を割り出し、改修した機体である
今まで対亡国機業作戦をしながら、エウクレイデスで改修していたのだ
まあ、作戦参加機体の整備をしながらだったので、時間が掛かってしまったのだが
その間彼女達は、自分に出きることでサポートに回っていた
だから、初参戦は宇宙になるだろう
「しかし、宇宙……ISの開発目的は、宇宙開発だったわね」
「うん……」
ベルベットの言葉に、クーリェが同意するように頷いた
そこに、クロエが歩み寄り
「ですが、使われるのは、本来の目的から逸脱したことばかり……ですから、束様は姿を消したのです」
と語った
それは、数年間共に行動していたクロエだからこそ、言えたことだった
彼女は、長らく宇宙に焦がれた束を見てきた
宇宙に進出することを夢見て、あらゆる手段を尽くしてきた
しかし、いくら束が天才だとは言っても出きることには限界があった
それは、有人ISによる宇宙活動の安全確保
どうしても束には、その方法が確保出来なかった
何故ならば、宇宙を知らなかったからだ
知識としては知っていた
だが、知識として知っていても、人には感覚という差がある
しかも、その感覚差には個人差がある
そこに現れたのが、宇宙のことをよく知る異世界からの来訪者
スピリッツだった
スピリッツとの出会いは、束にとっては運命だった
そして束は、ISの限界を知った
確かに、画期的で革新的な発明だっただろう
しかしISには、致命的に発展性が欠けていた
その発展性の欠落が、束の宇宙進出の夢を阻んでいた
だから束は、スピリッツとの出会いによって知った技術
MSによる宇宙進出を、目指した
ふとその時、ヴィシュヌが直哉機が改修作業を受けていることに気づいた
「あれは……どんな改修を?」
「あれはね~機動性を上げる改修だよ~」
ヴィシュヌの問い掛けに、本音はそう答えた
そして、持っていたタブレットにそのデータを表示させた
それを見て、ヴィシュヌは目を見開いた
「機動性が、三割向上って! もはや、別物レベルではないですか!」
「そうなんだよね~……なおなおに、かなりの負担を強いる改修だけど……シミュレーターで出したデータじゃあ、問題ないって出たんだよ~」
本音はそう言いながら、改修作業を受けている直哉機を見上げた
こうして、宇宙に上がる準備は進んでいく