「異世界……MSが、異世界で開発された兵器……」
「本当なの?」
「ええ、本当です」
ヴィシュヌは呆然とし、ベルベットの問い掛けに、直哉は頷いた
そして
「スピリッツは、その世界での傭兵だった……俺達はその世界で、二年間……戦場を駆け抜けた……」
と言った
「その世界の戦場で採用されていたのが、人型機動兵器たるMS……夥しい種類と数が開発・投入されて、様々な戦場をかけめぐった……俺達は、二年間の間にその戦場で、様々な敵と戦った……」
「その中で戦ったのが」
「あいつらって訳ね……」
「その通り……俺達が戦った中でも、一際腕利きのウルトラエース級の敵……はっきり言って、今のでも勝てるかは分からない……強敵だ」
直哉はそう言うと、靴底の磁石を床にくっ付けた
そして、指を一本立てて
「MSの共通事項は、まず量産性……資材があれば、大量に作れる」
と語りだした
そして二本目を立てて
「次に、誰でも扱えること。性別だけでなく、年齢も関係なく操れる。それが、MSの利点だ……」
と言った
三本目を立てて
「三つ目に、パイロットの腕の違い……MSには、ISのような絶対防御は無いし、意味が無い……当たれば、それは即ち死を意味している戦場……そこで生き残る為には、あらゆる状況に即応しなければいけない。油断や余所見は、命取り。だから必然と生きるために、勝つために技量が上がる」
と言った
そして、四本目を立てて
「そして最後に、発展性と汎用性の高さ……その極地の一つが、ガンダム」
と言った
「MSの発展性と汎用性は、桁外れに高い。発展性は、一機種から様々な仕様の機体への改修。汎用性は、武装の換装……それらは元々、戦闘用に考えられてたのもあった。しかしMSは、宇宙での戦闘を大前提にしている……」
「だから、あの機動性……」
直哉の説明を聞いて、ヴィシュヌは納得した様子で呟いた
すると、ベルベットが
「だけど、なぜ貴方達はその世界に?」
と直哉に問い掛けた
その問い掛けに、直哉は
「それは分からない……」
と首を振った
そして
「俺達は戦争が頻発する世界で、二年間格上相手に戦ってきた……戦争を終わらせるために。別に俺達は、正義の味方じゃない……やってることは、人殺しだからな……もう、何人殺したのか、覚えてない……」
と言って、宇宙を見た
その時直哉は、ジェネレーションワールドで過ごした二年間を思い出した
何回も死にかけて、それでも戦場に立ち続けて、今はこうしている
そう思った直哉は、ポツリと
「死んだら、地獄行きは確定だな……いや、煉獄かな?」
と呟いた
その直後
「それは、ないはずよ」
とベルベットが言った
直哉が視線を向けると、ベルベットは真剣な表情で
「確かに、貴方達は戦争をしていた……けれど、常に誰かの為に戦った……実際、私達は助けられた」
と言った
そのベルベットに続けて、ヴィシュヌが
「そうです。貴方達が来なければ、私達はIS学園で死んでいました」
と言った
確かに、それは事実だった
「他にも、数多くの人達が助けられた……IS学園では、約一万人。他に、欧州で数百人……」
「私達が知らない場所では、もっと助けてるはずです……確かに、人殺しは罪。それは変わらない……ですが、助けた事実はあります」
二人のその言葉に、直哉は浮いた状態で固まっていた
そして、二人は
「だから私達は、貴方達に敬意を評します」
「罪を背負いながらも、戦い続ける貴方達に」
と言った
それを聞いた直哉は、どう返答するのか悩んだ挙げ句
「ありがとうございます」
と言ったのだった
場所は変わり、ある食堂のキッチン
「なぜ、こうなった……」
と一夏は呟きながら、フライパンを振るっていた
そして視線を、テーブルフロアに向けた
そこでは、ロランが箒を追いかけ回し、鈴と乱が何やら口論し、そしてクーリェが、目を輝かせながら歌っているコメット姉妹を見ている
ある机では、更識姉妹が何やら楽しそうに会話していた
今彼等がやっているのは、簡易的な歓迎会だ
本来は地上で行いたかったが、そんな暇なく宇宙に上がった
すると鈴が
『歓迎会やるわよっ!』
と言い、それをマークとゼノンは了承
ただ、参加するのは同年代のみだ
その理由は、他のメンバーの手が空いていなかったからだ
それは、誰もが理解している
まず、隊長に就いているメンバーは、例外なく書類仕事がある
更に言えば、古参メンバーは誰かしらが、何らかの責任者も兼任しているのが殆どだ
例外的なのが、若い世代のメンバーだ
直哉は部隊の隊長という役職のみで、料理は余りの手抜きに我慢出来ずに自ら始めたことだ
シュンは隊長職のみ
リトル隊は、全面的に免除されている
だから、比較的に手が空いている
歓迎会の事をマークから聞いたのか、アメノミハシラ司令は、空いていたこの食堂を貸してくれた
ここまでは、まだ良かった
誰が出したのか、ジュースの中に酒が混じっていたのだ(まあ恐らく、楯無だろう)
それを飲んだロランが、素面の箒を追いかけて、鈴と乱は、まるで猫のような声を上げている
一夏が原因を察したのは、料理を始めてから少し経ってからだった
気付いた時には、既に手遅れ
カオスと化していた
「とりあえず……今作ってるのを終わらせたら、対処を考えよう」
一夏はそう言って、チラリと騒がしいテーブルフロアを見てから
「はぁ……」
深々と溜め息を吐いたのだった