翌日
「更識姉……何をやらかした?」
「聞かないでください……」
楯無の首には、《私は、お酒を混ぜました》と書かれた看板がぶら下がっている
その楯無の背後には、鼻息荒い虚がいる
あの後だが、一夏は虚を召喚
楯無の折檻を任せ、歓迎会は続行された
途中で、直哉達も合流
気付けば、楯無は縛られて吊るされていた
そして今日は、後で合流してきたヴィシュヌ達の部隊配置が発表されるのだ
「全員居るな……ではこれより、部隊配置を発表する」
マークはそう言うと、パソコンを操作
すると、モニターに配置が表示された
ヴィシュヌ・イサ・ギャラクシー、ベルベット・ヘル、ジェミニ隊
クーリェ・ルククシェフカ、鳳乱音、リトル隊
クロエ・クロニクル、コメット姉妹、レイグ隊
と表示された
「なおこれは、暫定だ。今後、得たデータで最終決定をする」
マークはそう言って、ゼノンと変わった
するとゼノンは
「ではこれより、各自模擬戦形式で訓練を開始!」
と指示を下した
その後、新人が宛がわれた部隊を中心に数回の模擬戦が行われた
その模擬戦で、トライアド隊の彼女達はヴィシュヌ達に実戦を乗り越えた者としての腕の差を見せつけた
その間直哉達は、各隊のベテランを相手にした
そして、訓練終了後
「ふむ……」
直哉は眼鏡を掛けて、書類を捌いていた
眼鏡は伊達で、意識を集中させるために掛けている
その中で直哉は、気になる書類を見ていた
「この反応速度……上がってるな」
見ていたのは、シャルロットとセシリアのデータが記載された書類だった
そして直哉は、端末を操作して、地上戦時の二人のデータを呼び出し比較
「間違いない……コンマ2秒だが、早くなっているな」
地上戦最終時の二人の反応速度は、シャルロットが1.1秒
セシリアは1.2秒だった
しかし今は、シャルロットが0.9秒
セシリアは1秒ジャスト
間違いなく、早くなっていた
「宇宙に上がったからか……」
直哉はそう言うと、顎に手を当てて黙考を始めた
その頃、格納庫では
「うーん……やっぱり、負担が凄いみたいだな~」
と本音が端末を見ていた
その端末は、直哉機に繋がれている
そこに、機体のことを見に来たらしいシャルロットやセシリア、ヴィシュヌ達が近寄り
「そういえば、直哉の機体に施された改修って、なんなの?」
と本音に問い掛けた
すると本音は
「なおなおの機体はね~、スラスターを熱核スラスターから、内蔵レーザー式に改修したんだよ~」
と説明した
それを聞いて、過去話を聞いたメンバーは息を飲んだ
その技術は、かつて一人のパイロットを引退させるに至った高Gを叩き出す技術だった
「元々、フレスベルグは高機動が売りの機体……確か、普段でも約10G……最高で15Gの筈……どの位になるの?」
「最低で12Gで~最高で17Gになるね~……」
ベルベットの問い掛けに、本音は整備を受けてるデルタカイを見上げながら言った
それを聞いて、全員が絶句した
余りにも、負担が大きいと
「でも、なおなおは元々、高い耐G体質な上に、耐Gスーツを着てるからね~……データ上では、問題ない範囲って出てるんだよね~……」
本音はそう言って、端末をヒラヒラとした
そこに、ジェミニ隊
シュンとナナが近寄り
「その位しなければ、あいつらには勝てないって判断したんだな」
「だね……あの人達は、別格の強さだから」
と言った
それを聞いて、乱が
「あいつらって……確か、リボンズやサーシェスとか言う奴等のことよね?」
と首を傾げた
すると、ナナが
「そう……リボンズ・アルマーク、アリー・アル・サーシェス、ラウ・ル・クルーゼ、パプテマス・シロッコ……他にも何人か……」
と言った
それに続くように、シュンが
「あいつらは、ウルトラエースだ……今のお前達の腕前じゃあ、瞬殺されて終わる……俺達だって二人だけじゃあ、一人を足止めするのがやっと……しかも、一瞬でも油断したら、死あるのみだ……」
と言った
後任組からしたら、今のシュン達にも勝てる気がしない
しかし、相手は更にその上を行く
「言っておくけど、貴女達はまだマシな方よ」
と言ったのは、マリアだった
「あの、どういう意味でしょうか?」
とヴィシュヌが問い掛けると、マリアは
「代表候補生に選ばれた貴女達は、軍事訓練や何らかの訓練を受けてる……だけど、彼等……直哉達は、そういった訓練を受けてなかったわ……」
と言った
確かに、一部例外は居るが、ほぼ全員が何らかの訓練を受けている
箒は実家が剣道道場を営んでいたので、幼い頃からそれに参加してきた
だが直哉達は、そういった訓練は一切受けていなかった
確かに、戦場の絆というゲームはしていたが、本物と余りにも違う
「特に直哉は、才能が無かったから……他の二人と違ってね……一夏君は剣の才能があって、弾君は射砲に関する才能が高かった……だけど直哉は、才能が無かった……」
マリアはそう言いながら、デルタカイに触れた
その話を聞いて、彼女達は驚きを隠せなかった
直哉に才能が無かったという意外な話を
「だから直哉は、必死に訓練したわ……シミュレーター訓練だって、今や、スピリッツの誰よりもしているわ……」
マリアはそう言って、整備を受けてるデルタカイから離れて
「だから、全員生きなさい……生きて、未来を迎えなさい……がむしゃらになって、生きなさい」
と言ったのだった