『くっくっく……やはり私は歴史の立会人だな……変換点たる戦いをこの目で見れるのだからな』
と言ったのは、少し離れた要塞表面に立っている機体
ジ・O改のパイロット、シロッコだった
ジ・Oは元々、高いレベルで纏まった機体だ
機動性、格闘能力、射撃戦
低いのを上げるならば、火力になる
ジ・O改は、その火力の底上げの他に全体的に改修した機体だ
火力の底上げに関しては、ビームライフルをバスタービームライフルに改修
その銃身下部に、グレネードランチャーが装備されている
その他に関しては、見た目は変わっていないものの、性能は二割増しになっている
今のシロッコに用意出来る最高の機体だった
『さあ、どうなるか……』
『また貴様は、そうやって傍観者を気取るのか! シロッコ!!』
そこに現れたのは、直哉機だった
直哉は誰かが見ていることに気付き、自身が感じた気配の方に来たのだ
『英雄気取りの子供が!』
『俺は、自分を英雄や正義だなんて、思っていない!!』
シロッコの言葉に反論するように、直哉はビームライフルを発射した
だがそのビームを、シロッコは回避
お返しに、バスタービームライフルを発射した
その一撃を直哉は、Iフィールドで防いだ
『威力が底上げされてるか……だが!』
直哉は止まらず、更に速度を上げた
『この世界には、愚民が多すぎる! 未だに宇宙開発は進まず、一人の天才が作った発明は、下らない権力争いに使われていた! そんな世界の住人共など、いっそ減らしてしまった方が、管理しやすい!!』
『だからって、中性子ミサイルを使うのか!?』
シロッコの言葉を聞いて、直哉は怒声を上げた
すると、シロッコは
『地球をダメにしないだけ、有り難いと思え! あの世界の住人共には、過ぎた墓場だ!』
『貴様に、なんの権利があるんだ!!』
シロッコの言葉に、直哉は怒りを覚えた
人の命を、数でしか判断していないと
『私は、天才達の代理人だ! 愚民共に発明を不等に使われた天才達のな! だから、私にはその権利がある!!』
『天才が居たって、他に人がいないと世界は動かないんだ! その天才を助ける人や、支える人が!』
二人の戦いは、熾烈だった
ビームサーベルで切り結び、至近距離でライフルやグレネードランチャーを撃ち合った
しかし、戦いは更に激しさを増した
二人は要塞表面で激しく交差しながら、互いに必殺の意思で攻撃を繰り出した
『賢しいだけの子供が!』
『子供だが、貴様より長い時間この世界で生きてきた!』
直哉はそう言って、蹴りを繰り出した
その一撃で、ジ・O改の右肩から出ていた隠し腕を一本破壊
『だからこの世界に、助けたい人。守りたい人達が居る! その人達を、殺させてたまるかぁ!!』
更にもう一撃の蹴りで、今度は左肩の隠し腕を破壊した
その直後
『時には、犠牲とて必要だ!!』
シロッコはそう言って、バスタービームライフルを発射
直哉機は蹴りを繰り出した直後で、盾での防御は間に合わない
だが
『デルタァァァァァァ!!』
直哉は、愛機の真の姿をさらした
それにより、シロッコが撃ったビームは曲がった
『なに!?』
まさかビームが曲がるとは思わず、シロッコは驚愕した
そして、直哉機を緑色の光が覆った
『またか!? 一体、なんなのだ!!』
サイコフィールドを知らないシロッコは、そう言いながらバスタービームライフルを撃った
しかし、サイコフィールドに阻まれてその威力は発揮されない
『お前には分からないだろ、シロッコ! これが、人の命の力だ!』
直哉はそう言って、シロッコに迫った
シロッコは、近寄らせないと攻撃を繰り出した
しかし、直哉機は掠り傷一つ負わない
そして
『その機体の動き、止めさせてもらう!!』
と直哉は、サイコミュジャックを発動させた
本来はファンネル等を奪うための装置だが、ジ・Oはサイコミュシステムで機体を動かしている機体
だから理論上では、機体の制御も奪えるのだ
その一端は、グリプス戦役でも確認されている
当時はサイコミュジャックは無いが、カミーユの思念がジ・Oの動きを止めていた
だから直哉は、出来ると思っていた
そして結果は
『何故だ!? 動け、ジ・O!!』
ジ・O改は、その動きを止めた
それを見た直哉は
『ここまでだ、シロッコ!!』
盾で、ジ・O改のコクピット部分を強打した
その一撃は、装甲を貫通し
『ぐあぁぁぁぁぁぁ!?』
シロッコは、貫通した盾で押し潰された
しかしシロッコは、最後の力を振り絞るように
『貴様の精神だけでも、持っていく……っ!』
と言った
実はそれが、カミーユの精神を崩壊させたシロッコの悪あがきだった
流石にそれは、直哉にも予想外だった
シロッコから伸びた思念波が、直哉の精神を捕らえようとした
だが
『そんなこと、させませんわ!』
『そんなこと、させない!!』
と数人の女性の声が聞こえた
そしてシロッコに見えたのは、直哉の前で両手を広げた数人の少女と女性達の姿だった
様々な人種の女達が、直哉を守ろうとしていた
それを見たシロッコは
『お、女達だとぉ……!?』
と驚愕の声を漏らした
その直後、直哉機が離れたと同時にジ・O改は要塞表面で爆散したのだった
それを見ながら直哉は
『皆……ありがとう……』
と呟いて、主戦域に戻っていったのだった