『はあ、はあ、はあ……敵の波が、収まらない!』
と言ったのは、ガガ数機を吹き飛ばした簪だった
既にミサイルは撃ちきり、ミサイルポッドはパージした
TRANSーAMを使おうにも、セラヴィーはGN粒子の消費が激しい
発動タイミングを間違えれば、あっという間に危機に陥る
そう思って、簪は切り札たるTRANSーAMを発動出来ずにいた
その時だった
『簪ちゃん、上!』
と楯無の声が聞こえた
その忠告に、簪は上を見た
そこには、自分に向かってくるガラッゾmkーⅡが居た
簪はすぐに、ビームサーベルを抜刀
ガラッゾmkーⅡのビームサーベルを受け止めた
どうやら、ヴィシュヌ達を抜けてきたらしい
そして、邪魔だと判断したのか、簪機を狙ったようだ
『……イノベイド!』
『違うな……我々は、イノベイターだ!』
簪の言葉を否定するように、ガラッゾmkーⅡは膝蹴りを簪機の頭部に叩き込んだ
その一撃で簪機はバランスを崩し、隙をさらした
その隙を突くように、ガラッゾmkーⅡはビームクローを束ねて突き出した
その狙いは、コクピット
『GNフィールド!!』
その一撃は、間一髪でGNフィールドにより防いだ
しかし、危機的状況には変わらない
GNフィールドを解除すれば、すぐにガラッゾのビームクローが直撃する
打開策を考えるが、すぐには浮かばなかった
そこに
『簪ちゃんから、離れなさい!』
と楯無機が現れた
それを見たガラッゾは、腕部内蔵式ビームライフルを楯無機に放った
楯無機はそれを、盾で防御
トツカノツルギの抜いて、振り下ろした
しかし、その一撃は
『舐めるな!』
ガラッゾが展開したGNフィールドによって、防がれた
だが、密着状態こそが楯無の狙いだった
『今!』
楯無は背部のクロー
マガノイクタチで、ガラッゾを捕まえた
『ちょうど、エネルギーが欲しかったのよね!』
『なに!?』
マガノイクタチに捕まったガラッゾは、常温核融合炉で発電した電力を、強制放出されて、楯無機に奪われ始めた
『貴様! こちらのエネルギーを!?』
『相手の武器も、戦場では立派なこちらの武器よっ!』
それは、スピリッツの教えだった
もし弾切れになっても、戦場をよく見ること
撃破した相手の武装があり、それを機体の管制システムが認識出来れば、使えると
スピリッツの機体はビーム兵器主体だから、余程のことが起きない限り弾切れにはならない
しかし、弾切れになっても慌てるな
という教育だった
その教育が、今生きた
『簪ちゃん!』
『うん!』
そして気付けば、ガラッゾのクローやGNフィールドは消えていた
エネルギーが疑似GNドライヴに回らなくなり、疑似GN粒子が生成されなくなったのだ
それを見た二人は、相手が逃げる前にGNバズーカとビームライフルで狙いを定めて
『私達の!』
『勝ち!』
二機からの攻撃を受けて、そのガラッゾは撃破された
しかも、コアファイターで脱出した形跡も無い
まさに、姉妹の連繋の勝ちだった
姉妹といえば、もう一組
『オニール、オーブ軍の人達が!』
『分かってるよ!』
コメット姉妹である
コメット姉妹は本来、ヴィシュヌ達と一緒にイノベイドと戦っていた
しかし、ガガの数に押され始めたオーブ軍のカバーに入ったために、一機に抜かれたのだ
しかし、その行動を誰も責められなかった
カオルが奮闘していたが、慣れないシラヌイパックの運用に息が切れてきていた
SEEDは慣れなければ、消耗が激しい
初めて発動したカオルは長時間奮闘したが、徐々に荒らさが目立ち始めていた
それに気付いたコメット姉妹が、オーブ軍のカバーに回ったのだ
だが、コメット姉妹が入っても、少しずつオーブ軍は撃破されていく
『つっ! このままじゃあ……!』
焦りが蓄積し、攻撃が荒くなる
それを嘲笑うように、今また一機のガガの体当たりがイズモ級に直撃した
すると、オニールが
『ファニール……アレ、使おうよ』
と言った
それを聞いたファニールが
『でも、シミュレーターで一回も成功してないんだよ!?』
と声を上げた
オニールが言ったのは、ハルート・メテオの切り札である
それを発動するには、二人の意志が一つにならなければならない
だが、ファニールの言った通り、それはシミュレーターですら一回も発動したことはなかった
失敗すれば、オーブ軍はどうなるか
そう思ったら、ファニールは嫌な想像で肌が粟立った
だが
『今、成功させよう!』
とオニールが、力強く言った
それは言外に、それを発動させて、オーブ軍を必ず助けようと言っていた
その言葉を聞いて、ファニールも覚悟を決めた
『うん……わかった! やろう!!』
ファニールがそう言うと、二人は深呼吸して
『マルート、起動!!』
と声を上げた
その直後、二人の見ていたHUDにその文字が表示された
《マルートシステム起動》
と
それと同時に、それまでツインアイだったハルート・メテオの眼が、三対六眼になり、真っ赤に染まった
マルートシステムが、起動したのだ
二人の意志が一つになったのだ
《オーブ軍を必ず助ける》
という意志で
その直後、ハルート・メテオはその機能を全開にした
腰部に装備されていたソードビットが全て外れ、縦横無尽に宙を駆けた
そして、二人も
『オニール!』
『うん!』
まさに阿吽の呼吸で、思考と反射を合わせた
それにより、まるで踊るようにガガやGNーX部隊を次々と撃破していった
マルートシステム
それは本来、二人の超兵
ハレルヤ/アレルヤ・ハプティズムとマリー・パーファシーの二人でなければ発動しない
二人の思考と反射の融合
それが合って初めて、その真価を発揮する
コメット姉妹は、超兵ではない
しかし二人は、低レベルのNTだった
だからその二人に合わせて、ハルート・メテオはサイコフレームを採用
二人の意志が合って初めて、マルートが起動するように改修したのだ
しかし、幾ら双子とは言っても二人の意志が合うのは難しい
それが、土壇場に合ったのだ
助けたいという意志が
そしてハルート・メテオは、ガガの蹂躙を始めた