ISGジェネレーション   作:京勇樹

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見舞いとトーナメントの発表

アリーナでの騒動から、数十分後

直哉達はセシリアと鈴の二人が運ばれた医務室に居た

二人は全身を包帯に巻かれ、ベッドに横たわっていた

 

「ケガ、大丈夫か?」

 

直哉が問い掛けると、セシリアはぎこちなく微笑みを浮かべ

 

「なんとか、大丈夫ですわ」

 

セシリアはそう言うが、言葉に力がない

すると、鈴が

 

「あのままやってたら、私が勝ってたわよ!」

 

と意気込むが、それを聞いて一夏が

 

「いや、どうみても無理だからな。鈴」

 

と言いながら、鈴の肩を指先でつついた

その直後、鈴の体がビクンと強張らせて、縮こまった

そして、一夏を睨み付けて

 

「何すんのよ、このバカ!!」

 

と叫んだ

 

「えー………」

 

鈴の罵倒に一夏が渋面を浮かべると、その一夏の頭を直哉が殴った

その時、シャルロットが

 

「ねえ、なにか揺れてない?」

 

と首を傾げた

その言葉を聞いて、直哉は床に耳を当てた

そして、数秒してから

 

「もの凄い人数が近づいてくる?」

 

と首を傾げた

その直後、ドアが凄い勢いで開き

 

「織斑くん!」

 

「神崎くん!」

 

「五反田くん!」

 

「デュノアくん!」

 

「アスハくん!」

 

「「「「「私と組んで!!」」」」」

 

と入ってきた女子達は、直哉達に向かって手を伸ばした

 

「は?」

 

直哉達は訳が分からず、首を傾げた

すると、先頭に立っていた一人の女子が紙を掲げながら

 

「これを見て!」

 

と直哉達に見せた

その紙の内容を要約すると

 

『近々行われるトーナメント、不規則ではあるが、個人戦からタッグ戦へと変更する。なお、期日までに登録しなかった場合、ランダムで組ませる』

 

というものだった

つまり、直哉達と組みたいのだろう

しかし、ことはそう単純ではなかった

実は、今から数日前に

 

『今度のトーナメントで優勝したら、五人の内の誰かと付き合える』

 

という噂が流れているのだ

そして、その噂の根源が、何を隠そう箒なのだ

箒は引っ越しの日、一夏に対して

 

『今度のトーナメントで優勝したら、私と付き合ってもらう!』

 

と宣言したのだが、これが拡大的に解釈されて広まったのである

なお、箒としては男女の付き合いという意味で宣言したのだが、一夏としては買い物に付き合う程度にしか思っていない

鈍感、ここに極まれりである

しかし、ここで一つ問題がある

それは、シャルロットの正体である

シャルロットは今は男として通しているが、本来は女の子である

もし、なんらかのトラブルで正体が露見した場合、どうなるか分からない

そして、シャルロットの正体を知っているのは今のところ、直哉とオーブ軍経由でカオルとジュリ位だろう

なお、直哉は一夏と弾には話していない

二人も口は硬いほうだが、ウッカリで洩らす可能性が無い訳ではないし、何よりも、知らない人数が多いほうがいいだろう

そして何よりも、シャルロットが助けを求めるように直哉を見上げていた

そんな視線を向けられて、直哉が放っておく訳がない

 

「すまん。俺はシャルルと組むから」

 

と言うと、立て続けに

 

「俺は弾と組むから」

 

と一夏が言い

 

「俺はジュリだな」

 

とカオルが言った

それを聞いて、女子達は顔を見合わせてから去っていった

そのことに安堵していると、寝ていた二人が起き上がって

 

「一夏! あんた、幼馴染みでしょ! 私と組みなさいよ!」

 

「直哉さんもですわ!」

 

と声を張り上げた

すると

 

「ダメですよ」

 

と、山田先生が現れた

気付いてなかったのか、一夏達はシェーと固まっている(直哉は気付いていた)

 

「お二人のIS、ダメージレベルがCを越えてます。最低でも二週間は休ませるか、修理しないと、後々に大きな障害に繋がります。分かりますよね?」

 

山田先生がそう言うと、二人は渋面を浮かべた

ISには自己学習機能があり、故障した状態や破損した状態で起動すると、その状態で固定してしまい、そこから何が起きるか分からなくなってしまうのだ

それを理解しているので、二人は黙ったのだ

そしてこの二人もまた、先ほどの噂を信じているのだ

 

(他の誰かと組まれるよりかは、知り合いに組ませたほうがいいわね)

 

二人はそう判断すると、直哉達を見上げて

 

「いい、あんた達! 絶対に負けないでよね!?」

 

「負けたら承知しませんわよ!?」

 

と声を張り上げた

すると、山田先生が安堵した様子で

 

「良かった。わかってくれたようですね。あ、これがプリントです」

 

と直哉達にプリントを手渡した

直哉達がそのプリントを受けとると、山田先生は去っていった

直哉達はそれを見送ると、二人と少し話してから部屋へと戻った

そして、部屋に戻るとシャルロットが

 

「直哉、ありがとうね」

 

と言った

すると、直哉はキョトンとして

 

「いきなりどしたん?」

 

と首を傾げた

すると、シャルロットははにかみながら

 

「医務室で、僕を助けてくれたでしょ?」

 

と言った

それを聞いて、直哉もようやく思い出したように

 

「気にするな。俺としては、当然のことをしたまでだ。俺の理念に従ってな」

 

と返した

それを聞いて、シャルロットは微笑んで

 

「だから僕は、直哉に惹かれたのかな………」

 

と呟いた

 

「んお………? なんか言った?」

 

直哉がそう問い掛けると、シャルロットは顔を真っ赤にして

 

「ううん、なんでもない」

 

と首を振った

こうして、この日は終わった

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

それから時ほ経ち、トーナメント当日

直哉達は男子用にと宛がわれた更衣ロッカーに居た

もうすぐ、トーナメント表が発表されるのだ

 

「もうすぐだな」

 

「ああ」

 

と言ったのは、既に着替えた弾と一夏である

直哉はさりげなく自分の体でシャルロットを見えないようにしている

そして、シャルロットは着替え終わって

 

「一夏達、気合い入ってるね」

 

と言ってきた

それを聞いて、直哉は頷いた

 

「ラウラとの確執を、終わらせたいんだろ」

 

と直哉が言ったタイミングで、モニターにトーナメント表が表示された

それを見て、一夏は肩を落として

 

「ちっ、外れたか」

 

と舌打ちした

 

「しゃあないって、こればかりは運だ」

 

弾がそうと言うと、一夏は頷いた

どうやら、一夏達の相手はラウラではなかったらしい

 

「さて、俺達の相手は………お?」

 

直哉は自分達の初戦の相手が誰か探して、驚いた

なぜなら、その相手がラウラなのだが、そのペアが箒だったのだ

 

「なあ、箒さ。簪と組むって言ってなかったか?」

 

直哉が問い掛けると、カオルが

 

「簪の機体、武装変更に伴う微調整が終わってないんだよ」

 

と答えた

どうやら、ペアを組めなかったらしい

それにより溢れて、ラウラと組む羽目になったようだ

こうして、トーナメントは幕を上げた

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