数分後、一夏達は千冬と真耶に案内されて一つのアリーナの更衣室に来ていた
「そういえば、千冬姉。俺達が着てたパイロットスーツは?」
「ああ、そういえば……」
「普通にジャージだわな」
一夏の言葉を聞いて、直哉と弾は手を叩いた
今の三人が着ているのは、ジャージである
「慌てるな……お前達が着ていたのは、そこにある」
三人の言葉を聞いて、千冬は壁の一角を指差した
そこには、ハンガーに掛けられたパイロットスーツが三着あった
それを見た三人は、それぞれ自分のを取った(一夏はソレスタルビーイングの物で、白地に青い十字線。直哉は逆シャア時代の地球連邦軍の物で、真っ黒。弾はオーブの物で、赤地に黄色い線が縁にアリ)
そして、三人は千冬と真耶の二人が居るというのに、何の遠慮もなくジャージを脱いだ
「ひゃっ!?」
その光景を見て、真耶は顔を赤らめながら両目を手で隠した
そんな真耶の反応に、三人はキョトンとした
すると、千冬は溜め息混じりに
「お前達……女の前で普通脱ぐか?」
と言った
千冬のその言葉を聞いて、三人は少し考えると
「ああ! 向こうだとロッカーは男女共用だったから忘れてた!」
「艦で生活してると、スペースの都合上で共用だからな」
「いやぁ、すっかり忘れてたぜ」
と納得していた
三人はそう言うと、千冬達から見えない位置に移動してから着替えた
そして数分後、三人は千冬達に案内されてピットに入った
「それでは、これより確認を含めた試験を行う」
「試験?」
「どういうことですか?」
千冬の言葉を聞いて、三人は首を傾げた
「今はまだ、IS委員会には報告してないが。お前達は確実にIS学園に入ることになるだろう。その為の試験だ」
千冬の言葉を聞いて、三人は心底嫌そうな表情を浮かべた
「そんな顔をするな……それに、IS学園に入れるのは、お前達を守る意味もある」
「俺達を」
「守る?」
千冬の言葉に、三人は顔を見合わせた
「先ほど調べた時、それからIS反応を確認した。つまり、お前達はIS操縦者ということだ。しかも、世界初の男性操縦者だ。そうなると、お前達を実験台にしたいという研究所が出るだろう」
千冬がそこまで言うと、三人は嫌そうに眉根を寄せた
「強化人間とかは、勘弁願いたいわな」
「超兵もな」
「ブーステンデッドなんか、絶対に嫌だぜ?」
三人の言ったキーワードに、千冬は内心で首を傾げながら
「しかしIS学園に入るならば、三年間は守れる。その為の試験だ。いいな」
と言った
そして、三人が頷くと
「それで、誰から始める?」
と問い掛けた
三人は顔を見合わせると
「……そんじゃあ、俺から行きます」
と直哉が前に出た
「展開の仕方は分かるか?」
千冬が問い掛けると、直哉は頷いた
次の瞬間、直哉の体は漆黒の装甲に包まれた
「
(この時点で既に、規格外か……)
直哉の機体、ガンダムデルタカイ・EXの姿を見て、真耶は声を上げて驚き、千冬は黙っていたが驚いていた
そんな二人を無視して、直哉は全身を軽く動かしていた
「どうだ、直哉?」
「違和感はあるのか?」
一夏と弾が問い掛けると、直哉は顔を二人に向けて
「慣れてないからかな? 多少違和感はあるな」
と言った
「展開したのならば、あのカタパルトまで行け」
千冬の言葉を聞いて、直哉は歩いてカタパルトに向かった
「凄い……普通に歩いてますよ?」
「ああ……」
真耶が驚いているのには、ワケがある
普通、初心者がISを起動した場合、満足に歩くことすら覚束ないのである
だが、直哉は普通に歩いてカタパルトの台に足を固定した
「準備はいいな? 山田君」
直哉が頷いたのを確認してから、千冬は真耶に視線を向けた
真耶は頷くと、手元の投影式キーボードを叩き出して
「リニアカタパルト、ボルテージ上昇……システム正常。進路、オールクリア! 神崎君、発進どうぞ!」
と出撃を促した
それに従い、直哉はまるでスキージャンプのような格好をして
「神崎直哉、ガンダムデルタカイ・EX……出る!」
と宣言すると、カタパルトにより高速で射出された
直哉は空中に飛び出すと、バレルロールしながら機体を上昇させた
「綺麗なバレルロール……」
と真耶が呟いていると
『地上でも、
という直哉の声が聞こえ、千冬は眉をひそめた
「そら? それに、そらと同じように動けるとは?」
「あー、千冬姉。宇宙のことを、俺達は
一夏の説明を聞いて、二人は驚いた
ISも宇宙での活動を前提に開発されたが、様々な制約により未だに宇宙へは到達できていない
だと言うのに、直哉達が使っている機体は宇宙でも活動出来るのだ
「それに、直哉の機体は本来だったら、大気圏内ではウェイブライダー形態でないと飛べないんだ」
「つまりは、戦闘機形態だな」
一夏と弾が立て続けに説明すると、二人は視線を飛んでいる直哉機に向けた
その直後、直哉機が件のウェイブライダー形態に変形した
その光景を見て、千冬と真耶は目を見開いて固まった
「直哉、変形して大丈夫なのか?」
『おー、大丈夫大丈夫』
一夏からの問い掛けに、直哉は普通に返答した
どういう理屈かは分からないが、変形しても人体に影響は無いらしい
そのことに、千冬と真耶は安堵して
「ではこれからドローンを出すが、構わないか?」
『はい、大丈夫です』
直哉が返答すると、千冬は真耶に顔を向けて頷いた
すると、真耶は頷いてから再び投影式キーボードを叩いて
「では、ドローンを出しますよ。このドローンは攻撃や回避も行いますからね」
真耶がそう言った直後、直哉の周囲に数十個のボール状の機械が現れた
「では、試験開始!」
千冬がそう宣言すると同時に、ドローンはマシンガンやグレネード。ミサイルなどを一斉に放った
が、直哉は慌てずに機体をウェイブライダー形態に変形させて、一気に上昇して回避
そして、人型に戻ると右手のライフルを構えて、トリガーを引いた
その直後、銃口から光弾が走り、瞬く間に一機のドローンを貫いた
「ビーム兵器だと!?」
「そんな! イギリスがようやく、レーザーを実用化したばかりなのに!」
直哉機の武装を見て、千冬と真耶が驚いていると
「ビーム兵器なんて、あの世界じゃあ普通だったよ」
「だな」
一夏と弾は平然と告げた
その時だった
『行け、ファンネル!』
直哉がそう告げると同時に、直哉機の背中側の腰から二枚の板状の物が外れて、コの字型になって高速で飛んだ
「まさか、ビット兵装か!?」
「こちらも、イギリスが開発したばかりですよ!?」
新たな兵装を見て、千冬と真耶は驚くが
「流石に、あれは特殊な才能が無いと扱えないのが多いな」
「ああ……だけど、あの世界には結構あるよな」
一夏と弾の言葉を聞いてる間にも、直哉は猛烈な勢いでドローンを次々と撃破していった
そして、始まって一分少々でドローンは全部破壊された
「早いですよ……主席のオルコットさんより、半分以下の時間です」
「そうか……」
真耶の報告を聞いて、千冬は頷いた
その間に、直哉はピットに戻ってきて機体を解除した
千冬はそれを確認すると
「次は、どちらが行く?」
と、残った二人に問い掛けた
「んじゃあ、俺が行くよ。千冬姉」
一夏はそう言うと、一歩前に出て
「行くぞ、ダブルオーライザー」
と呟いた
その直後、一夏の体を白地に青い十字線が描かれた装甲が覆った
しかも、背中には戦闘機のような物がくっついていて、肩からは緑色の粒子が出ている
「綺麗……」
その粒子を見て、真耶が呟いていると
「千冬さん。多分ですが、通信やレーダーが効いてないと思いますよ」
と直哉が忠告した
直哉の言葉を聞いて、千冬はポケットから携帯を取り出して画面を見た
「……確かに、圏外だな」
「なんで……」
千冬に続いて、携帯を見た真耶が首を傾げた
「一夏の機体の特性っすよ」
「正確には、このGN粒子のですが」
「GN粒子?」
弾と直哉の説明を聞いて、千冬が首を傾げた
「ええ……一夏の動力炉のGNドライブが発生させる粒子です」
「エネルギーでもあり、攻撃手段でもあり、ジャミングにも使える汎用性の高い粒子っす」
二人が説明している間に、一夏は機体をカタパルトの台に固定した
千冬はそれを確認すると、真耶に視線を向けて
「山田君」
「はい! リニアカタパルト、ボルテージ上昇! システム正常、進路オールクリア! 織斑君、発進どうぞ!」
と促した
促された一夏は、直哉と同じようにスキージャンプのような格好をすると
「織斑一夏、ダブルオーライザー・セブンスソード……行きます!」
と宣言して、リニアカタパルトにより射出された
こうして、二人目の試験が開始された