ISGジェネレーション   作:京勇樹

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千冬のあの作戦、穴だらけなもんで………


交戦開始

専用機持ちと指定されたメンバー、それと千冬と山田先生は食堂を利用した会議室に集まっていた

 

「状況を説明する! 山田君、オハラ!」

 

千冬に促されて、山田先生とセツコはキーボードを叩いた

すると、集まっていた専用機持ち達の前にホロウィンドウが投影された

そのホロウィンドウには、地図と件の機体の写真が表示されていた

 

「今から約数時間前に、アメリカとイスラエルが共同開発した最新鋭軍用IS、シルバリオ・ゴスペル。通称、福音が原因不明の暴走を開始。投入された追撃部隊を壊滅させて、亜音速で逃走。こちらに向かってきているとの情報だ」

 

千冬がそう説明すると、表示されていた地図にその福音の逃走経路が表示された

千冬は全員がそこまで確認したのを見ると

 

「そして、この福音に対して迅速に部隊を送れるのが我々のみということで、政府はアメリカ、イスラエルからの要請を受諾し、我々に迎撃命令を下してきた」

 

と告げた

それを聞いて、集まっていたメンバーに緊張感が満ちた

 

「何か、質問はあるか?」

 

千冬が問い掛けると、シャルロットが手を挙げて

 

「対象機体の詳細な情報を!」

 

と質問した

その質問を聞いて、千冬は頷いてから

 

「いいだろう、許可する。ただし、機密情報だからな。もし、他の者達に漏らしたら、外出の制限と在学中に監視が付くからな。そのつもりで」

 

千冬がそう説明した直後、専用機持ち達の前にホロウィンドウが開いた

そのホロウィンドウには、福音の詳細なスペックが表示されている

箒は見方がよくわからないらしいが、それはラウラが教えることによってカバーされている

 

「こいつ、かなり速いわね……速度を考えると、交戦は一回……出来て、二回ね」

 

「それに、この特殊武装も厄介ですわね。ブルーティアーズと同じ、オールレンジ……」

 

「攻撃力も、かなり高いみたいだね……本社から新しく送られてきたガーデン・カーテンでも、何回もは防げないかな……」

 

と鈴達が呟くように確認していくが、一夏達はある一文が気になった

それは、《無人機》というものだった

つまり、アメリカかイスラエルの技術でISの無人稼働が可能になったということだろう

しかし、一夏達は歴戦の勘で何かが引っ掛かった

だが、それを口にする前に千冬が

 

「問題は、この福音の速度故に、交戦は出来て二回までということだ……それと、学園側からの指定で、篠ノ之を投入することが決まっていることだ」

 

と告げた

千冬のその言葉を聞いて、その場のメンバーに動揺が走った

学園側が箒が専用機を手に入れたのは、千冬からの報告から知ったのだろう

しかし、どんなに言い繕うが、箒は戦闘は素人だ

その箒を投入するというのは、恐らくは、紅椿の性能を知りたいからだろう

しかし、作戦に参加するメンバーにとっては、重荷以外何物でもない

 

「私も、まだ機体に慣れてない篠ノ之を投入することに抗議したが、政府からの要請でもあるらしく、拒否出来なかった……よって、出きる限りの不安要素を取り除くために、交戦は一回としたい………具体的な作戦だが……」

 

不安要素扱いされた箒は不満そうに千冬を見るが、千冬は無視して作戦を告げようとした

だが、それより早くに直哉が手を挙げた

 

「神崎」

 

と千冬が指定すると、直哉は全員を軽く見回して

 

「此度の作戦は、多段作戦を発案します」

 

と告げた

 

「言ってみろ」

 

千冬に促されて、直哉は目の前にホロキーボードを投影させて叩きながら

 

「まず、機動性の高い機体で編制した部隊と攻撃、防御に割り振れる部隊を編制。同時に出撃。必然的に機動性の高い機体の部隊が先に接敵しますので、後続部隊が来るまで機動攪乱戦法を行います。これで撃墜出来れば御の字ですが、そう甘くはないでしょう。ですから、後続部隊が来たら、全機で包囲し無力化します」

 

と作戦を説明した

それを聞いて、千冬は満足そうに頷くと

 

「現状では最善の作戦だな……しかし、投入戦力の約半数が戦闘不能になった場合、どうするつもりだ?」

 

と質問した

すると直哉は、底冷えする光を目に宿らせて

 

「そうなった場合は………福音をこの地上から消し去ります」

 

と告げた

その直哉から発せられた威圧感(プレッシャー)を感じて、千冬は背筋に冷や汗が流れたのを自覚した

その後、編制も決まり出撃は整備科志望の生徒の尽力もあって、三十分後になった

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

約三十分後、準備が終わった専用機持ち達は全員、砂浜に集まっていた

なお、編制は以下の通りである

 

機動班

直哉、一夏、弾、箒、

後続班

カオル、ジュリ、シャルロット、鈴、簪、セシリア

 

「これより、作戦を開始する! なお、今作戦中は機動班のコールサインをソード。後続班のコールサインをライオットとする!」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

千冬の言葉を聞いて、メンバー全員は力強く頷いた

 

「そして、ソード隊のCPは山田君。ライオット隊のCPはオハラが勤める、以上だ………準備は出来たな?」

 

千冬からの問い掛けに対して、全員は沈黙で返した

その直後だった

 

『神崎、織斑、五反田、聞こえるな?』

 

三人に対して、千冬が秘匿回線を開いた

 

『はい、聞こえます』

 

『なんだ?』

 

『なにか?』

 

三人が問い掛けると、千冬は少し言いにくそうにしてから

 

『………篠ノ之のことだが……』

 

と言った

すると

 

『言わなくても、わかりますよ』

 

『あれ、典型的なコンバット・ハイだろ?』

 

『だな………面倒だなぁ』

 

と三人が言った

コンバット・ハイ

それは、軍などで訓練が終了し正規兵となった新人がなりやすい一種の精神高揚だ

武器を得たことで自分が強くなったと思い、暴走しやすくなるのだ

 

『一応、あいつには神崎の言うことを守るように伝えてはある。だがもしもの時には……』

 

強制的にでも後退させろ

千冬は言外にそう告げた

三人が頷くと、千冬は全員を見回して

 

「なお、全員の生還を以て作戦の成功とする……以上、作戦開始!」

 

千冬がそう言った直後、全員は一気に出撃していった

千冬はそれを見送ると、指令室へと戻った

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

少し時間は経ち、海上

先行していた機動班の耳に、山田先生が

 

『戦術データリンク、正常……ソード1、福音と接敵まで、後120秒!』

 

と告げてきた

 

「了解……対象福音を目視にて確認……作戦に従い、先制攻撃を開始する!」

 

『了解。なお、ライオット隊が到着するまで、約420秒です!』

 

山田先生からの報告に返答する前に、直哉と弾が攻撃を開始した

機体のロックオン機能に頼らず、目視による手動ロックオン

これにより、相手にロックオン警報が鳴らずに上手くいけば一撃で終わる可能性すらあった

しかし、福音は二人の攻撃を見ることなく避けた

それを見て、直哉は舌打ちしてから

 

「やはりそう簡単には行かないか……ソード1よりソード隊各機に通達。これより機動攪乱戦法を開始する! 一夏(02)は付かず離れずを維持して攻撃。(03)は遠距離攻撃。(04)は二人のカバー。俺は臨機応変に対応しつつ、隙が出たら一撃を叩き込む!」

 

『『『了解!』』』

 

直哉は三人が返事したのを確認すると

 

「ソード隊、全機、全兵装使用自由(オールウェポン・フリー)! 攻撃開始!」

 

と告げた

こうして、戦闘は始まった……

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