ISGジェネレーション   作:京勇樹

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文章が上手く纏められなかったんだ………
そんな俺を許してくれ………


ネクストステージ

「よ、直哉、弾。大気圏からのダイビング、どうだった?」

 

「相変わらず、熱かったよ」

 

「だがまあ、楽しかったな」

 

一夏からの問い掛けに直哉と弾は、そう返した

三人が行っているのは、戦場には不釣り合いな軽口

だがそれが、三人なりの確認の仕方だった

戦場という命懸けの場所だからこそ、何時もの感覚で話し合う

そうすることで、自分達の調子を確かめるのだ

無理をしてないかを

そして、三人は確認が終わったからか、右手を上げて軽くビームライフルをぶつけ合った

その直後、三人は互いの右足を三角形に合わせると、一気に散開した

散開した瞬間、三人が居た場所をビームが通りすぎた

それは、福音からの攻撃だった

福音が三人をロックオンしたと同時に、銀の鐘(シルバーベル)を撃ったのだ

単純な火力ならば、以前の三倍は確実だろう

しかし、三人は怯まない

これ以上の火力に立ち向かったことがあるから

ビームの弾幕の中を駆け抜けたことがあるから

何よりも、恐怖で止まるようでは、戦えないから

三人が福音を視界に入れた時、近くにシャルロットとセシリア、箒が来て

 

「一夏!」

 

「私達は」

 

「どうする?」

 

と三人に指示を扇いだ

三人は油断なく福音を見ながら

 

「シャルロット達は周囲を警戒しながら、福音に撃墜された他のメンツを回収してくれ」

 

「多分、カオルとジュリはシステムの再起動をやってるか、ダメージの確認をしているはずだ」

 

「福音は、俺達が無力化する」

 

三人はそう言うと、まるで渦を巻くように福音に突撃した

それを迎撃するために、福音は雨霰と濃密な弾幕を形成した

しかし、三人は速度を緩めずにすり抜けるように進んだ

それは、機体を完全に手動で動かしてないと出来ない芸当だった

機体の完全手動制御

それは、一朝一夕で出きることではない

機体の特性を理解し、癖を理解しないと出来ない

つまり、三人は機体の特性と癖を全て理解しているということだ

恐らくは、秒間コマンドが桁外れに行われているだろうことも予想出きる

この秒間コマンドが多いほど、機体は細かい制御がなされる

そして、世界最強となった千冬は秒間コマンドが約十四回となっている

このコマンド入力は驚異的であり、常人では太刀打ち出来ないだろう

しかし、直哉達のコマンド入力は、平均十六回に達する

なお本気の戦闘となると、二十回に達する

これは、もはや次元が違う

それは、競技と戦争という違いが大きい

競技は決められたルールに従い、正々堂々と戦う

しかし、戦争には明確なルールは存在しない

あって、捕虜の扱いや使ってはいけない兵器があるくらいだ

手にした兵器で生き残るために、あらゆる手段を尽くす

そのためならば、競技ではルール違反となることもやる

その一つが、機体のリミッターの解除である

ISには、競技用と軍用にリミッター設定がある

競技用はまず、シールドエネルギーが1500

攻撃用エネルギーが約500で設定されている

しかし、軍用はシールドエネルギーが約5000から約一万

攻撃用エネルギーが約二千近く

これだけで、桁が違うのが分かるだろう

つまり、それだけ武装の威力や射程、機動性なんかも大きく変わる

だから福音は、主武装にビームを採用しており、最高速度が亜音速に達する

競技用となると、主武装はレーザーや実弾、最高速度は専用の調整を施せば、ギリギリで亜音速に到達するかどうかというところだ

なお、今の暴走状態の福音は更に高い

推察だが、シールドエネルギーは約八千

攻撃用エネルギーは約三千は確実である

そうでなければ、アメリカ軍が出した追撃部隊を無傷で撃滅するのは難しいだろう

だから実を言うと、防衛庁からの依頼は最初からかなり無茶な部類だったのだ

犠牲前提

恐らくは箒を指定したのも、わざと足枷を着けさせて直哉達の行動を制限するためだろう

だからむしろ、一度とはいえ福音を撃墜した彼女達の偉業を評価すべきである

福音に防御と回避を与えぬ烈火のごとき多段攻撃

その矢面に立ったのが、何を隠そう箒だったのだ

自責の念に駆られ、束から渡された紅椿を箒は投げ捨てようとした

しかし、それを鈴が手を掴んで阻止

その上、箒を殴り飛ばしたのである(パーではなく、グーで)

そして、箒が何かをする前に襟首を掴んで一喝したのだ

 

『専用機持ちの責任ってのはね、簡単に投げ捨てられる代物じゃないのよ! 力を得たからには、その責任を果たし、周囲に示し続けなければならない! 一度得たのをすぐに捨てたら、それはただの無責任だ!』

 

そして、まだ迷っていた箒に対して立て続けに

 

『あいつらは、そうして倒れた……自分達の……力を持つ者としての責任を果たして……戦場に不慣れなあんたを助けるために、一夏は危険を犯し、直哉と弾は、あたし達の撤退時間を稼ぐために……残って、命を賭けたのよ……あたし達に後を託すために! 直哉はね、最後に……後を頼みますって言ってたみたいよ………箒……今立ち上がらないなら、女以前に武人以前に、人として最低よ!』

 

と訴えたのである

これを聞いていたのは、箒だけではない

箒を探しにきていたシャルロット、セシリア、ラウラ、簪も聞いていたのだ

それにより、殆ど消えていた闘志に火が点いたのである

そして、束からの情報を聞いて決意した

必ず、福音を撃墜すると

直哉達の行動の全てを、無駄にしないために

その思いを胸に、彼女達は戦場に立った

約束された勝利などない

生きて帰れる保証は無い

だからこそ、勝つためにあらゆる手段を尽くした

使える武器は全て使い、あらゆる戦術を駆使した

競技ではない

戦争をするために

この時彼女達は、直哉達と同じステージに立った

競技ではなく、戦争というステージに

これが、彼女達の戦争の始まりだった

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