ISGジェネレーション   作:京勇樹

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改めて気づいた
過去語り、長い


刻に抗う者達4

直哉達は基地目掛けて、超低空飛行していた

SFSも使わずに、スラスターでホバークラフトの真似事をしている

機体の爪先が地面に当たるかどうかを維持して、対象基地のレーダーに反応させないためだ

そして、その基地まで残り2キロメートルとなった時だった

 

『前方に複数の熱源探知……トーチカ1、MSが三機です』

 

とダニカが報告してきた

それを聞いたと同時に、ケラウノス隊と直哉達は停止

 

『それだけかい?』

 

『いえ、更に複数の反応があります。恐らく、巡回中のMS部隊かと。数は六機』

 

MS総数九機

約一個中隊である

数では負けている

しかし、そんなのは何時ものこと

エゥーゴに於いて、数の差は今更だ

しかし、ここで止まることなど出来ない

ここで止まったら、無実のスペースノイド達が傷付く

それをさせないために、彼らは立ち上がったのだ

 

『トーチカは、対空砲座みたいだね。レーダーを潰せば、使えなくなる』

 

『問題はMSですね。殆どがジムⅡですが、一機がハイザックのカスタムタイプみたいです』

 

『了解。トライアド隊、カスタムを含めた増援を任せても?』

 

『任せてください』

 

ルシアンからの要請を、直哉は快諾した

そして、行動を始めた

ケラウノス隊はトーチカを含めたMS部隊へと

直哉達は、増援部隊へと向かった

直哉達の視界に見えたのは、ハイザックを中心にしたMS部隊だった

しかも、ジムⅡの部隊は全機ビームサーベルを二本装備した通称二本差しだった

 

『おいおい、二本差しじゃねぇか』

 

『ということは、一年戦争からの生き残りか』

 

『手練れか、気を付けろ』

 

ビームサーベル二本装備

通称二本差し

これは、一年戦争時に15機以上撃破したパイロットのみに許された装備で、一年戦争末期には約二百人は居たとされる

しかし、デラーズ戦役を経て、その殆どがティターンズに所属したと確認されている

仕官学校から脱走してきたヴァンとダニカの二人には、荷が重いだろう

そして、問題のハイザックのカスタムタイプ

それは、バックパックにキャノン砲を装備したタイプだった

ハイザック・キャノン

もしくは、キャノンハイザックと呼ばれる機体だった

ハイザックの中では稀少で、ティターンズの一部部隊のみが運用している機体だ

 

『一夏、弾。何時も通りにヤるぞ』

 

『了解』

 

『任されて』

 

直哉の言葉に、二人がそれぞれ答えた

その直後に、三機は突撃した

一夏が先頭で斬り込み、直哉と弾が続く布陣

三人にとっては、馴染みの布陣だった

そして、一夏がビームトライデントを突き出すと、それを一機のジムⅡがビームサーベルを交差して防いだ

やはり、手練れのようだ

突出した一夏機を狙って、二機のジムⅡがビームライフルで撃とうとした

しかし、すぐに楯を構えた

何故ならば、直哉のビームライフルがその二機に襲いかかったからだ

直哉のビームライフルを受けて、一機のジムⅡの楯がパージされた

どうやら、耐久限界を越えたらしい

よく見れば、左腕の装甲が赤熱化している

もう一機は楯が溶解したのか、それともパージ機能が上手く機能していないのか

楯が半壊したのに付いたままだ

そして、直哉が二機を足止めした間に、一夏は自分を足止めしていた一機の胸部に蹴りを叩き込んでいた

それにより、その機体は転倒

一夏はその隙にビームトライデントで自分を挟み込んで布陣していた二機を腰部から切断

そして、倒れた一機は直哉が一夏機の頭上を飛び越えた際にコクピットにガトリングを撃って無力化

そして弾は、三機を相手に機動砲撃戦闘を繰り広げていた

弾のバスターは原型機体より機動力を上げられており、上手くいけば多対一でも戦える

ハイザック・キャノンとジムⅡは湿地帯特有の高い木の根に足が取られ、上手く機動戦闘が出来ないでいた

それに対して弾は、細かく機動変更し、木の幹を蹴って多角的に動いていた

勿論だが、MSの重量を受けて木の幹は折れる

しかし、弾はそれすら利用していた

折れた木を蹴り飛ばし、敵機体の動きを阻害していた

そして、三機の真上を取った時にライフルを連結させて散弾砲を発射

三機を纏めて撃破した

その時だった

ケラウノス隊の方で爆発が起きた

見てみたら、ホワイトコーラルが損傷している

その原因が、空を飛んでいるMAだった

そのMA

マタ・ビリが、ホワイトコーラルと対峙していたジムⅡ諸とも、拡散メガ粒子砲を撃ったのだ

味方撃ち(フレンドリーファイヤ)

それを躊躇わずに行ったのだ

 

「味方撃ちだと!?」

 

「あいつ、味方ごと!?」

 

「なんて奴よ!」

 

味方ごと撃ったことに気付き、見ていたメンバーは憤った

味方撃ちは言語道断

特に、軍事訓練を受けた者達は一際憤っていた

そして、マタ・ビリの近くには一機のアッシマーが居た

ただし、原型機体からは改修されていた

ダンダ・チャクラ

戦神の名を与えられた改修ユニットを使い、機体を改修してきたのだ

そして、そのパイロットはあのユーイン・バーダーだった

 

「ユーイン・バーダー少佐。こいつ、軍人としては札付きの厄介者でな」

 

「自分が楽しむ為なら、味方撃ち、命令違反、上官殺しも躊躇わない奴なんだ」

 

「それが理由で、愉快犯なんて呼ばれてる。デラーズ戦役でも命令違反を繰り返し行って、懲役刑にさせられたらしい。あ、あのマタ・ビリのパイロット達はユーイン・バーダー少佐の一年戦争時からの部下だとよ」

 

つまり、あのマタ・ビリのパイロットはそのユーイン・バーダーの同類となる

上官が上官なら、部下も部下だった

 

『ルシアンさん! 大丈夫ですか!?』

 

『ああ、なんとかな……っちぃ……あのクソ野郎の部下だと察するべきだったか……っ』

 

ヴァンからの問い掛けにルシアンは答えると、苦々しい表情を浮かべた

ルシアンは彼とケラウノス隊の艦長を勤める、フォルカー・メルクスは一年戦争末期の撤退戦時にユーイン・バーダー率いる部隊と交戦

ユーイン・バーダーは味方歩兵部隊を巻き込んで攻撃してきたのだ

その戦闘で、フォルカー・メルクスは右足を失い、ユーイン・バーダーは左腕を失っている

フォルカー・メルクスは治療が間に合わずにサイバネティックが出来なかったが、ユーイン・バーダーは治療が間に合い、サイバネティック化している

なお、その歩兵部隊は今はケラウノス隊の陸戦隊となっており、今作戦にも参加している

 

『ルシアンさんは、ダニカと一緒に後方から支援を。僕があのMAをやります!』

 

ヴァンはそう言って、ワグテイルを飛ばした

その手にはバックパックに懸架していたバズーカを装備している

ホワイトコーラルは右肩のビームキャノンを撃ったが、それはマタ・ビリの直前で弾けた

 

『ちいっ! Iフィールドか!』

 

こうなっては、腕を喪失しライフルを失ったホワイトコーラルはマタ・ビリに対して無力だ

だからルシアンは、狙いをアッシマーに変えた

ダニカは状況に応じて、両方を狙って撃っていくようだ

勿論だが、直哉達も黙っているつもりはない

ユーイン・バーダーが連れてきたのだろうハイザックの一個中隊と交戦を始めた

長い長い、作戦の始まりだった

 

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