ガランシェール隊と共に、直哉達は宇宙に帰還した
そして、ガランシェールのメインスラスターを直して地球から離れようとした
その時だった
一発のビームが、二隻の間近を通り過ぎた
『なんだ!?』
『この威力……MSじゃない……戦艦クラス!?』
『後方に大型の熱源感知……これは……ドゴス・ギア級二番艦、ゼネラル・レビル!』
オペレーターの報告に、息を飲む音がしてから
『やはり、裏切りか!!』
とフラストの悪態が聞こえた
だが、それに対して
『いえ! 今のは、ネェル・アーガマも狙われたコースでした!』
とミネバが否定した
その直後
『ゼネラル・レビルからMSの発進を確認! 数は……30以上!』
『大隊規模かよ!?』
『スピリッツ本隊は、どうしたんですか!?』
『月に補給物資を取りに行くと、別行動を取っていたんだ! 今は恐らく、戻ってきている途中だ!』
『タイミングが悪かったかっ!』
今、動けるのは外に出ているトライアド隊とユニコーン、そしてガランシェールのギラ・ズールのみ
数の差は、圧倒的だった
敵戦力を削ろうとしたのか、ユニコーンがスラスターを噴かして突撃しようとした
だが、元々少ない量しか推進材が入れられてなかった為に、スラスターは直ぐに機能を停止した
トライアド隊の推進材も、ガランシェールを押したことで大分消耗している
誰もが諦めかけた、その時
『新たに、接近するMS複数感知……これは……袖付きです!』
『こんな時にっ!!』
オペレーターの報告に一夏が悪態を吐いた
だが、事態は予想外に進んだ
何故ならば、袖付きMS隊
シナンジュとローゼン・ズールは、ゼネラル・レビルのMS隊に攻撃を始めたのである
『なっ……』
『ゼネラル・レビルの方に、攻撃を仕掛けた?』
『油断はするな、構えておけ』
直哉がそう言うが、結局戦いは起きなかった
シナンジュとローゼン・ズールは、たった二機でゼネラル・レビルから出撃してきたMS隊を圧倒したのである
しかも、一人も殺さないで
殺さないで相手を無力化するというのは、力量差が三倍無いと不可能とされている
それを、シナンジュとローゼン・ズールの二機は容易く行っていた
そして、十分程でゼネラル・レビルは撤退していった
「なんて奴等だ……たった二機で、大隊規模の戦力を無力化した……」
「技量差が有りする……」
「それで、袖付きは何が目的で来たの~?」
ラウラと鈴は驚愕した様子で呟き、本音が問い掛けた
「フル・フロンタルの目的は、交渉ということだったよ」
「ラプラスの箱に至るために、最後の場所の情報を欲しがってたな」
本音の問い掛けに、一夏と弾が答えた
そして、直哉が
「そもそも何故、フル・フロンタルがラプラスの箱を欲しがったのか……その目的はサイド共栄圏とやらの構築が目的だったらしい」
「サイド共栄圏?」
直哉の話を聞いて、楯無が首を傾げた
すると、直哉が
「一年戦争終結後、サイド3、ジオン共和国はコロニーの中では初めて、自治権が与えられたんです。しかし、その期限が後四年まで迫っていたんです。しかしフル・フロンタルは、その自治権を半永久的に、しかもをジオン共和国だけでなく、宇宙の全コロニーにする為にラプラスの箱を欲したらしいんです」
と説明した
すると、映像が始まった
だが、その映像に映ったのは宇宙ではなく、どこか狭い場所だった
それを見て、ラウラが
「この狭さは……ダクトか?」
と首を傾げた
すると、三人が
「あー……ノーマルスーツの映像だな」
「ああ、そっか……ノーマルスーツのヘルメットのカメラ、機体と同期してたな」
「すっかり忘れてたな」
と頭を掻いた
すると、千冬が
「これは、どういう事態だ?」
と問い掛けた
「実はこの時、袖付きにネェル・アーガマ改を占拠されたんだ」
「で、それを俺達とエコーズで取り戻すために隠れてたんだ」
「俺達が居たのは、エンジンルーム手前の通路上のダクトな」
千冬の問い掛けに、三人が答えた
その直後
『民間人に手を出してみろ! その首を捻斬ってやるぞ、若僧!!』
と怒鳴り声が聞こえてきた
『この声、オットー艦長か?』
『エコーズが、艦橋付近で待機してるし、通信機が声を拾ったんだな』
直哉と一夏がそう言うと
『あんたらは、軍人じゃない! テロリストだ! 我々連邦軍は、テロリストに屈しない!!』
と再び、オットー艦長の怒鳴り声が聞こえた
その直後
『よく言った、艦長。各員、行動開始』
とエコーズ指揮官
コンロイ・ハーゲン少佐の言葉が聞こえて、三人はダクトの金枠を蹴り飛ばして通路に着地
直ぐ様、近くに居た袖付きの兵を殺した
『クリア』
『クリア』
『オールクリア、エンジンルームは?』
三人はまるで、掃除をするかのように相手を殺した
その姿は、完全に特殊部隊の兵士だった
直哉がエンジンルームのドアに視線を向けた数秒後、そのドアが開いて、中から黒いノーマルスーツを着た兵士が数人出てきた
『エンジンルームもクリアだ。ハンガーを制圧する、行くぞ』
『了解』
その兵士達に続いて、直哉達もハンガーへと移動を開始した
もちろん、道中に居た袖付きの兵士を殺しながらだ
そして、ハンガーに到着した
だが、ハンガーは激しい銃撃戦の最中だった
『こなくそ!』
『俺達の機体、無事だろうな?』
『まあ、乗るのにも網膜認証があるし、大丈夫な筈だ』
三人は軽い口調で会話しながら、次々と袖付きを射殺していた
その時
『フル・フロンタル!』
『よせ! バナージ君に当たる!』
『野郎……嫌な位置に!』
フル・フロンタルがバナージを押さえているのに気付き、弾が借りたアサルトライフルを向けたが、それを直哉が制止して、一夏が悪態を吐いた
何か話しているようだが、遠いのと激しい銃声で聞こえない
その時、ハンガーに駐機してあったローゼン・ズールが動き出した
『ちいっ! あの紫野郎、生きてたか!』
その光景を見て、弾が悪態を吐いた
その時だった
『それでも、と言い続けろ! バナージ!!』
と声が響き渡り、ローゼン・ズールを一機の機体が押し倒した
その機体は、継ぎ接ぎのMS
クシャトリヤだった
ユニコーンとの戦闘で中破していたのを、途中まで修理したのだろう
骨組みだったり、カメラが替わっている
『マリーダさんか!』
『ナイス!』
その行動を見て、直哉達は歓喜の声を上げた
ローゼン・ズールは立ち上がろうとしたが、それをクシャトリアは踏みつけた
その時だった
『マリーダ、ハッチを開けて、姫様と共に機体から出てこい』
と通信が聞こえた
その声は、ジンネマンだった
『了解、マスター……』
『マリーダ!?』
どうやら、コクピット内部には、ミネバも居たらしい
マリーダは機械のように返答すると、ハッチを開けた
『まだ、過去に囚われているのか! マリーダが居るというのに! ジンネマン!』
ミネバが問い掛けると、ジンネマンは涙声で
『理屈ではないんです……マリー……痛かったろう、辛かったろう……俺は、父親として、何も……してやれなかった……っ!』
と語った
ジンネマンは一年戦争前に結婚しており、娘が一人産まれていたのだ
しかし一年戦争中にとある集落に居たのだが、その集落が地球連邦軍により殲滅されて妻と娘は命を落としたのだ
表向きは、ジオンに物資を横流ししたということだったが、それは通称で《ガス抜き》と呼ばれるストレスの発散でしかなかったのだ
その時からジンネマンは、地球連邦軍に対する復讐心で活動してきたのだ
しかし、一年戦争はジオンが敗北
捕虜として捕まったが、収容所から脱走
その後、今のガランシェール隊を率いて連邦軍と戦ってきたのだ
その途中で、ジンネマンはマリーダを保護したのだが、マリーダに娘を重ねたのだ
故に、娘の名前
マリー
その名を冠したマリーダという名前を、与えたのである
その時
『お父さん……私の、最後の我が儘を……許してください……』
とマリーダが辿々しく言った
それを聞いて、ジンネマンは涙を流しながら
『許す……マリーダ……最後の命令だ……お前の心に、従え……』
と告げた
『了解……ありがとうございます、お父さん』
マリーダはそう言うと、ハッチを閉鎖した
その直後、ローゼン・ズールがジンネマンに向けて腕
インコミュを飛ばした
『ジンネマン! 貴様ぁ! 貴様らは、弱くて惨めで! 何の力もない! 大佐は、特別な力を持つ御方だ!』
どうやらスピーカーを入れたらしく、アンジェロ・ザウパーはそう叫びながら、ビームをチャージした
そして、正に発射されそうになった
その時
『それでも!』
と言いながら、ユニコーンがインコミュのワイヤーを掴んだ
それによって、ビームの発射プロセスは停止した
あわや、ハンガー内で本格的にMS戦かと思ったが、アンジェロは捕まれていた腕を途中から破壊し、離れると、ハンガーのハッチをビームで撃ち抜いて離脱していった
この少し後、残っていた袖付きの兵士達は殲滅された
そして、ネェル・アーガマ改は最後の場所へと向かった
ユニコーン事変始まりの場所
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