ISGジェネレーション   作:京勇樹

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木星戦役2

「この時に保護したのは、一人の少年」

 

「ついでに、密航してきたのが一人」

 

一夏と弾がそう言うと、顔写真が表示された

 

「少年の名前は、トビア・アロナクス。少女の名前は、ベルナデット・ブリエット。まあ、少女の名前は偽名ですが、今は聞かないでください」

 

直哉がそう言うと、画面が変わった

次に映ったのは、とある小惑星らしいマグマだらけの場所だった

 

「惑星イオ。木星圏に存在してる衛星です……ここに、木星帝国の前線基地があると判断したクロスボーン・バンガードは、全戦力を投入。襲撃しました」

 

直哉がそう説明すると、動き二隻の船

マザーバンガードとキャリーベースが動き始めた

 

『作戦開始!』

 

『砲撃開始!』

 

マザーバンガード艦長、ベラ・ロナとエイブラムが命じると二隻から次々と砲撃が放たれた

二隻の砲撃は次々と見えていた建物に直撃

爆発が立て続けに起きた

それを見ていたからか、一機のペズ・バタラから

 

『キンケドゥさん。本当にいいんですか? もし、これで違ったら……』

 

『……いや、動いた』

 

トビアが問い掛けると、キンケドゥはそう返した

すると、地中から次々とミサイル発射台や砲台が現れて、砲撃を開始

それと同調するように、MS隊も出撃してきた

 

『敵MS隊、確認! 新型機も確認しました! MS隊各機、戦闘開始願います!』

 

というマザーバンガードのオペレーターの指示に従い、岩地に隠れていた全MSが行動を始めた

最初は勢いよく侵攻出来ていたが、基地に配備されていたMS隊によって勢いが止められてしまった

その時だった

MS隊が隠れていた崖道の岩壁を、車輪をくっつけたかのようなMSが走ってきた

 

『こいつが新型機か!? 速いぞ!!』

 

『そうか! こいつは、地上侵攻用に開発された機体か!?』

 

シュンの後にそう確信したように言ったのは、クロスボーン・バンガードの老パイロット

ウモン・サモンである

なんとこのウモン・サモン

一年戦争からの生き残りパイロットなのだ

しかも、直哉達が先導した部隊の生き残りだったのだ

それが判明したのは、直哉達が合流して顔合わせした時だった

ウモンは三人の顔を見るやいなや、いきなり駆け寄ってきて

 

『もしやお主ら、スピリッツのトライアド隊か!?』

 

と問い掛けてきたのだ

それに直哉が驚きながらも、頷くと

 

『まさか、もう一回生きて会えるとは思ってなかったわい……ワシは元地球連邦軍第138機動中隊でボールのパイロットじゃったウモン・サモンじゃ!』

 

と名乗った

それを聞いて、直哉が思い出したのだ

ふざけた装飾が施されたボールを

そのボールはなんと、機体の前面部分がガンダムの顔になっていたのだ

それが気になり、IFFを調べたら彼だったのである

その会話を聞いて、クロスボーン・バンガードのメンバー達は大いに驚いていた

 

『爺さん、本当に一年戦争からの生き残りだったのかよ!?』

 

『嘘だと思ってた!?』

 

『信じとらんかったのか!?』

 

どうやら、ウモンが一年戦争からの生き残りだとは信じていなかったらしい

閑話休題

そんな彼だが、やはり一年戦争から生き残ってきたというのは伊達ではなかったらしい

高い技量で戦っていた

同じバタラだが、性能に頼ってはいない戦いだった

ビームサーベルで相手の斬撃を受け流し、隙を晒した相手の頭をビームライフルで撃ち抜いた

 

『流石は、一年戦争からの生き残り……見事な腕前』

 

『まだまだ、ワシは現役じゃぞい!!』

 

そして、熔岩が溢れる火山地帯に入った時だった

なんと、その熔岩の中から一機のMAが現れたのだ

青を基調色にした、象を彷彿させるMAだった

 

『熔岩の中からなんて!?』

 

『どんな装甲だよ!?』

 

『動け! 死ぬぞ!?』

 

キンケドゥがそう忠告したが、既に遅かった

一機のバタラが、その鼻のようなアームに捕まってしまった

クロスボーン・バンガードのバタラが

 

『ハリダ!?』

 

クロスボーンガンダムX2のパイロット

ザビーネ・シャルが助けようとしたが、他の敵に妨害されてしまい、間に合わず、ハリダ機は潰された

ザビーネ・シャル

実を言うと彼は、元クロスボーン・バンガード軍で黒の戦隊(ブラック・バンガード)の隊長だったのだ

しかし、そんな彼がどうして海賊軍に居るのか

それはどうやら、10年前に話が遡るらしい

彼は黒の戦隊を率いて、連邦軍に対して大打撃を与えていた

しかし終盤、鉄仮面とその直属部隊がバグで虐殺をしていたのを理由に反発

部隊を率いて戦域から離脱

その後、ベラ・ロナが海賊軍を率いて戦ってると知ると部隊と共に合流

ベラ・ロナと共に戦うと言ったらしい

そして、腕利きだった彼に二機あったクロスボーンガンダムの一機

クロスボーンガンダムX2を渡したようだ

なお、X1は格闘戦闘向きに

X2は砲撃戦闘向きにカスタムされているようだ

 

『貴様っ!!』

 

ザビーネがそう言いながらMA

エレファンテにビームを撃ったが、最早お決まりと言っても過言ではないだろう

Iフィールドで無力化された

その直後だった

エレファンテからファンネルが射出されたのである

 

『ファンネル来るぞ! 乱数(ランダム)回避だ!』

 

『この狭い立地だと、回避が難しくねぇか!?』

 

『いいから、避けろ!』

 

直哉の警告があったからか、こちらのMS隊は全機回避出来た

しかし、敵MS隊にファンネルのビームが直撃

一機が爆散し、もう一機は頭部を失った

 

『野郎! 味方まで巻き込んで!?』

 

『カラスの生徒だな!? 弱者は要らないってやつか!!』

 

キンケドゥはそう言いながらも、ファンネルにビームを放った

しかし、中々ファンネルに当たらない

その時だった

ペズ・バタラが撃ったビームが、ファンネルを撃ち抜いたのである

 

『トビア! お前、ファンネルの軌道が分かるのか!?』

 

『はい、見えます!』

 

キンケドゥの問い掛けにトビアはそう答えると、また一機のファンネルを撃墜した

 

『全機、トビアの援護! 敵を一機たりとて、トビア機に近づかせるな!!』

 

『了解!』

 

そんなキンケドゥの指示従い、クロスボーン・バンガードと直哉達はトビアを中心にして防衛陣形を形成

敵MS隊を次々と撃破していった

そして、最後のファンネルを撃墜した時だった

 

『ウオォォォ!』

 

とトビアが、エレファンテ目掛けて突撃していった

その考えに気付いたのか、直哉達も続いた

ペズ・バタラは元々、対艦攻撃を主眼に開発された機体である

故に、その本領は対艦

もしくは、対MA戦闘である

エレファンテもそれに気付いたのだろう

ビームで迎撃を開始した

だが、それを見逃す直哉達ではない

 

『トビア君、俺達の後ろに!!』

 

直哉達が盾を構えながら、トビア機の前に展開

文字通り、トビアを守る肉壁になったのだ

エレファンテは埒が開かないと判断したのか、直接鼻で捕まえようとした

だが

 

『させるかぁぁぁぁ!!』

 

と一夏が、ビームトライデントで鼻を途中から切り捨てた

その直後

 

『これで、終わりだぁぁぁ!!』

 

とトビア機が、ペズ・バタラの前面に装備されているビームアックスを展開し突撃

体当たりすると、そこから更にミサイルランチャーを発射

エレファンテは爆発した

 

『今です! 一気に突撃!』

 

『了解!』

 

ベラ・ロナの指示に従い、クロスボーン・バンガード軍と直哉達は崩壊した防衛線を突破

木星帝国の基地に侵入した

こうなると、少数のクロスボーン・バンガード軍と直哉達に軍配が上がった

確かに、基地には未だに数多くの木星帝国軍機が存在していた

しかし、基地内部ではその数の多さが仇になった

通路では思うようにMS隊が展開出来ず、クロスボーン・バンガード軍の突破を許してしまったのだ

その結果、両隊は基地司令室に到達

木星帝国総帥

クラックス・ドゥガチに邂逅した

すると、キンケドゥが機体から降りて

 

『クラックス・ドゥガチ……お前の野望もここまでだ』

 

と拳銃を突き付けた

危機的状況だと言うのに、ドゥガチは笑っていた

 

『何が可笑しい?』

 

『この程度で、ワシの野望が終わったと思っている貴様らにだ!』

 

ドゥガチはそう言うと、老人とは思えない速度でキンケドゥに飛び掛かった

 

『ちいっ!!』

 

キンケドゥは舌打ちしながらも、的確に急所に銃弾を撃ち込んだ

だがその時、キンケドゥはあることに気付いた

ドゥガチの体から、何かのケーブルが伸びていることに

 

『……まさか!?』

 

同じく機体から降りていた直哉が、ドゥガチの体を持ち上げた

すると見えたのは、そのドゥガチの体が安物の機械の体だったのだ

 

『しまった! ダミーか!?』

 

キンケドゥがそう言った直後

 

『フハハハハハハハ!!』

 

と笑い声が響き渡った

その声は間違いなく、ドゥガチだった

 

『ドゥガチ、何処に居る!?』

 

『ワシなら、ずっとここに居るわ!』

 

キンケドゥの問い掛けにそう答えると、先程までドゥガチのダミーが座っていた椅子の後ろの壁がせり上がり始めた

そして、その向こうに見えたのは

 

『バ……バイオ脳だと!?』

 

花弁のようになっている巨大なシリンダー

その中に入っている、巨大な脳髄だった

その正体は、バイオ脳

クローン技術で脳髄を作り出し、それに自分の性格や記憶をコピーしていたのだ

ドゥガチはそれを、幾つか作り出していたのだ

 

『確かに、ここに居たのは間違いなくクラックス・ドゥガチ……その一人よ!!』

 

『クソ! 嵌められた!』

 

ドゥガチの言葉に、キンケドゥが舌打ちした

その直後、基地が大きく揺れた

 

『なんだ!?』

 

『トライアド1! 基地中枢で、エネルギー値の上昇を検知した! まだ上がる!!』

 

『まさか……駆動炉を暴走させたのか!?』

 

シュンの報告を聞いて、キンケドゥが目を見開いた

すると、ドゥガチは再度笑って

 

『その通り! この基地は、もはや不要だ! 必要な分の核ミサイルとガスは既に、地球圏各地の最前線基地に運んである! この基地が、貴様らの墓場だ! 海賊軍!』

 

『正気か、ドゥガチ!? 貴様の兵もここに居るんだぞ!?』

 

ドゥガチの言葉にキンケドゥが叫んだ

その直後に放送が流れた

基地の自爆シークエンスが作動

後二分で爆発するというものだった

 

『キンケドゥさん!』

 

『ああ! 駆動炉の暴走を止めるぞ!』

 

二分では、脱出は不可能と判断したのだろう

両隊は基地中枢へと移動を開始した

だがその道中、木星帝国軍による妨害が起きた

基地が自爆しようとしているのに、脱出していないのである

 

『クソ、こいつら! 正気なのか!?』

 

『キンケドゥ! こいつらは、死兵だ! 最初から、命を捨てているんだ!』

 

ザビーネのその言葉の通り、木星帝国軍兵は捨て身で特攻してきていた

中には、外で戦っていた機体も居るらしく、損傷している機体もあった

 

『ジーク・ドゥガチ! ジーク・ジュピター!』

 

『緑の母星を我が手に!』

 

木星帝国軍兵は口々にそう叫びながら、組みついてきた

それを振り払いながら進んでいき、基地中枢たる駆動炉まで到達した

しかし、後一歩だと言うのに、その距離が縮まらなかった

そして、誰もが諦めかけた時だった

 

『な、ベルナデット!? いつの間に!?』

 

トビア機の中から、もう一人降りてきたのだ

それは、マザーバンガードで待っているはずのベルナデット・ブリエットだった

ある意味、ベルナデットの得意技

密航である

ベルナデットはコクピット内の格納庫に隠れて同行していたのだ

そんなベルナデットは、駆動炉のコンソールに近寄ると知っているかのように素早く操作

そして、最後にスイッチを押した

すると

 

《自爆シークエンス、解除》

 

と機械音声で放送された

そして、驚愕の事実が発覚する

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