次に映ったのは、とある基地に対して攻撃している様子だった
迎え撃ってくるのは、旧式のジェガンやヘビーガンだった
「これ、どういう状況?」
楯無がそう問い掛けると、別枠で映像が始まった
その内容は、木星帝国が地球連邦に対して宣戦布告しているものだった
今、低衛星軌道に木星帝国軍が有する巨大艦船
ジュピトリス9が停まり、そこから地球の各国主要都市に対して核を次々と落とすと
だが、今すぐ落とすわけじゃない
時間を設けていた
そして、もうすぐその時間になる
「俺達はそれをさせない為に、この地球連邦軍基地を襲撃したんだ」
「MSと艦を宇宙に上げるためにな」
「狙うは、ジュピトリス9の死角からの突撃」
つまりは、博打だった
クロスボーンバンガードと直哉達は基地を制圧すると、基地地下に収納されていた大陸間弾道ミサイルを使って打ち上げの準備を進めた
驚いたのは、その中に子供の姿もあったことだった
「待ってください、この子供達は?」
と真耶が問い掛けると、直哉が頭を掻きながら
「カチュア・リィスとシス・ミットウィル……二人共、スピリッツの一員です」
と説明した
それを聞いて、誰もが絶句した
なにせ二人はどう見ても、10歳ほどにしか見えなかったからだ
「子供が、傭兵部隊!?」
「どうして!?」
「前に説明したと思いますが……スピリッツは、何らかの理由で家族や故郷を失った人達が集まって構成された部隊です……それは、彼女達も然りです」
直哉がそう言うと、殆どのメンバーは口を閉じた
直哉達も、似たような状況だったからだ
「特にこの二人は、戦火で故郷と家族を失っていました……だからか、『もう、誰にも死んでほしくないから』って言って、志願したようです」
直哉がそう語った時、状況が動き出した
弾頭を外した先端にMSを取り付けたクロスボーンバンガード軍
そして、艦艇の側面にブースターのように取り付けたスピリッツ
双方が打ち上げられたのだ
そして大気圏を突破すると、眼前に側面を晒す巨大艦艇
ジュピトリス9が見えた
そして、最初に動き出したのはスピリッツだった
『MS部隊、全機出撃! クロスボーンバンガード軍の道を切り開け!!』
というゼノンの指令の直後、カタパルトから次々とMS部隊が出撃
クロスボーンバンガード軍を足止めしようと展開した木星帝国軍と交戦を開始した
その甲斐あり、トビアとキンケドゥの二人はジュピトリス9の弱点部分に突撃
小型の核爆弾を発射し、ジュピトリス9に大打撃を与えた
『よっしゃあ!!』
『これで!!』
『いや、待て……ドゥガチは諦めてないぞ!?』
一夏と弾は喝采したが、直哉はドゥガチがまだ諦めていないことに気付いた
その時だった
オープンチャンネルで
『こうなったら、儂自ら相手してやろう……このクラックス・ドゥガチがな!!』
とドゥガチの声が聞こえた
その直後、崩壊していくジュピトリス9の中から巨大な機体が姿を現した
木星帝国軍決戦機体
MA、ディビニダドが、全部で7機も
『ハリソン・マディン大尉から、地球連邦軍部隊に通達する! あの機体を撃破しろ! 絶対に、地球に下ろさせるなあ!!』
と言ったのは、地球連邦軍のエースパイロット
ハリソン・マディンだった
そんな彼の命令に従い、次々と連邦軍のMS部隊はディビニダドに向かった
しかし、ビーム砲やフェザーファンネルにより、次々と撃破されていった
『ちくしょうっ!?』
『ガアァァァァ!?』
『せめて……せめて一撃ィ!』
『大尉、後は頼みます!』
口々にそう言いながら、連邦軍MS部隊は撃破されていく
そんな状況を、スピリッツが俯瞰している訳がなかった
『ドゥガチめ! 一体、どれだけの災厄をあの機体に詰め込んだ!?』
『全機、あのMAを最優先! 一機足りとて、地球に行かせるな!!』
マークとゼノンの二人がそう言った直後、スピリッツはディビニダド目掛けて突撃開始した
しかし、ディビニダドからの攻撃も激しく、中々近付けないでいた
ビーム砲やフェザーファンネルだけでなく、ミサイルもあったからだ
『ちいっ!? 小型ミサイルですら、核ミサイルかよ!?』
『迂闊に迎撃したら、味方を巻き込むってのに!』
『回避を最優先にしろ!! 絶対に当たるなよ!?』
スピリッツも回避を優先しながら、ディビニダドに近付いていく
しかし、迂闊に攻撃出来なかった
『こいつ……機体の各所に、核融合枦がある! 下手に攻撃したら、核爆発が起きるぞ!』
『大小合わせて、六基確認した! こいつ一機落ちただけでも、地球は放射能に汚染される!』
『待てよ……七機?』
と首を傾げたのは、直哉だった
それは、地上の連邦軍基地にてスピリッツ本隊及びクロスボーンバンガード軍と合流した時に得た情報から覚えた違和感だった
『確か……ドゥガチはバイオ脳を含めて、九人……一人はイオで死んで……つっ!?』
直哉はそこまで呟くと、周囲を見回した
そのついでと言わんばかりに、一機のペズ・バタラを切り裂きながら
『どうした、トライアド1?』
『何かありましたか?』
と聞いてきたのは、シュンとナナの二人だ
二人は双子らしい連携で、互いの背中を守っていた
『もう一機居るはずだ! そいつは、どこに……居た!!』
直哉が見た先では、燃料タンクに偽装していたらしい降下ポッドで降下していくディビニダド
更には、ディビニダドと相対しているクロスボーンガンダム・X3が居た
『隊長!』
『トライアド隊とジェミニ隊は共に降下! トビアを援護しろ!』
『了解!』
直哉達はマークの指示に従い、大気圏降下を開始した
そして彼等は、一人の男の狂気を垣間見る