直哉機は機体を変型させると、大気圏に突入した
その後ろに一夏と弾、シュンとナナが続いている
『すまんが、俺の機体は大気圏内だとこの形態でしか行動できない。トライアド2、指示は出すからそっちが中心になれ』
『了解!』
直哉の指示を聞いて、一夏は頷いた
赤熱気流を抜けると、眼下の海上ではディビニダドとトビア機が戦っていた
『何故だ! 何故、地球を滅ぼそうとするんだ!』
『儂は、70年掛けて木星を人の住める環境にした!
水を切り詰め、呼吸すら切り詰めて! 長い年月を掛けてな!!』
トビアが問い掛けると、ドゥガチは語りだした
『そして、ようやく人が住めるようになり始めた頃……地球連邦の奴らは、政略結婚を申し込んできおった!! それが、テテニスの母親だ!』
『その人が酷い女性だったから、地球を滅ぼそうというのか!?』
ドゥガチの話を聞いて、トビアがそう問い掛けた
すると、ドゥガチは
『そんな単純ならば、まだ良かった! その女は、素晴らしい女だった! 地球の裕福な家庭で育ちながら、木星の貧しい環境に文句一つ言わず、常に誰かに優しくしていた!』
と更に怒声を上げた
『あの女が居たせいで、儂は惨めに思えた! そして、その怒りをどこに向ければいいのか分からなかった! だから儂は、地球侵攻計画を立案した!』
ドゥガチはそう言うと、トビア機を狙ってビームを撃った
そのビームを、トビアは機体の両手に内蔵されているIフィールドで防いだ
『そんな理由で、アンタは地球を滅ぼそうというのか!?』
『そうだ! 儂は、個人の感情で地球を滅ぼすのだ!!』
ドゥガチはそう言うと、核ミサイルを発射しようと展開した
そのドゥガチの言葉に、誰もが底知れない狂気を感じた
確かに、人が住めなかった木星圏を人が住めるようにしたというのは大きな貢献だ
しかし、個人的な感情で地球侵攻計画を立案し開始した
それは、彼女達には計り知れない狂気だった
そして、核ミサイルが発射されそうになった
その直後、核ミサイルの弾頭部分をトビア機が装備していた大型剣ムラマサブラスターのビーム刃で斬り飛ばした
『ぬっ!? 小僧!!』
『良かったよ、ドゥガチ……あんたは人間だよ! 宇宙人でも何でもない……俺と同じ人間だ!』
トビアはそう言いながら、ムラマサブラスターを突き付けた
それは、以前に行われた問答からだった
『地球人と木星人は違う人種だ。宇宙人だ』
というものだ
その時、トビアはそれに反論することができなかった
しかし今、ようやく返答することが出来た
そこから、トビアはディビニダドに斬りかかった
しかし、ディビニダドは全身の火器でクロスボーンガンダム・X3を迎撃
近づけないようにした
それを、直哉達がただ座して見ている訳がない
『援護する!』
直哉はそう言うと、海面ギリギリをディビニダド目掛けて飛んだ
それは、かなり危険な行為だった
少しでも失敗すれば、機体は海面に叩きつけられて大破する
しかし、直哉は危険を省みずに突き進んだ
ドゥガチはそれに気付いて、トビアと一緒に迎撃しようとした
その時だった
『02、03、ジェミニ隊!』
『了解!!』
直哉が呼ぶと、四機が一斉にディビニダドに殺到した
四機の中で、一撃を入れたのは一夏機だった
一夏機は最低限の回避機動でディビニダドに肉薄すると、右腕を肘の辺りから切り裂いた
その直後、左腕をトビア機が肩から切り裂いた
『その機体は危険過ぎる……だから!』
トビアはそう言うと、更に右腕を肩から切り裂いて
『解体させてもらう!!』
と宣言した
『嘗めるな、小僧!!』
ドゥガチはそう言うと、頭部メガ粒子砲を発射
それによって、トビア機のムラマサブラスターが破壊された
主武装が破壊されたからか、トビアは高度を上げた
その直後、ディビニダドの頭部が変型
その中から、大型メガ粒子砲がトビア機を狙った
この時、直哉達は離れていてすぐにカバーに動けなかった
しかし、トビアは予想外の行動に出た
なんと、その大型メガ粒子砲の砲口に突撃
その状態で、両手のIフィールドを全開にしてコアファイターで離脱した
その直後、ディビニダドがメガ粒子砲を撃ったがIフィールドで拡散されたことにより、ディビニダドは爆発が起きた
その爆発でコアファイターはバランスを崩したが、それは弾機が確保した
すると、ビームシールドで大気圏突入してきたキンケドゥが現れた
その時、ようやく爆発の煙が収まった
ディビニダドは大ダメージを負っていたが、まだ健在
しかし、コクピット内では
『フハハハ……見ろ、地球が燃えている……燃えているぞ』
とドゥガチがうわ言を言っていた
すると、キンケドゥは腰部からスクリューウィップを取り出して
『例え夢だとしても、貴方にその光景を見せるわけにはいかないな』
と言って、コクピットにスクリューウィップを叩き込んだ
その直後、ディビニダドは完全に沈黙
海中に沈んでいった
その頃宇宙でも、逆転劇が起きていた
ドゥガチが最後まで動かないと思っていた各コロニー軍が動いたのだ
それにより、戦力バランスは完全に崩壊
地球圏で戦闘していた木星帝国軍は全滅
こうして、木星戦役は幕を下ろした
しかし、これはまだ序章に過ぎなかったのだ