これはちょっとしたIFである。
カルデアスタッフがもし聖杯戦争で呼ばれてしまった時の話。
そしてこれは、『限りなく有り得るIF』でもある。
異聞帯攻略を行い、人理の壁を越えて人理を救った後の話……
藤丸は、長く険しい旅を終えて元の生活に戻った。だが魔術師達から狙われる日々を送っている。そんな中彼は聖杯戦争に巻き込まれてしまった。
「はぁ……はぁ……なんとか、逃げきれた…?」
そう言いながらも息を切らしながら移動し続ける藤丸。
その場に立ち止まってしまえばどうなるかを身に染みているが故の行動であった。
「はぁ…はぁ…とにかく……こういう時は、確か、教会に行けば、いいはず……」
目指すは教会。そこに行けば保護してもらえるはず……そう思い教会を目指す藤丸の前に、ランサーのサーヴァントが現れた。
「よう、また会ったな?」
「っ!!」
ランサー、その男は藤丸を狙っているは魔術師によって呼び出されたサーヴァントである。それ故に藤丸を狙うよう命令されて動いているのだ。
「ま、いくらでも逃げていいぜ?……どうせ死ぬのには変わらん」
そう言いながら藤丸をしつこく追いかけるランサー。しばらく逃げ続けるが、とうとう体力もなくなり、自分の家の近くで倒れてしまう。
ランサーが歩きながら槍を構える。
「……じゃあな、坊主。悪く思うなよ?」
そう言い、藤丸の心臓を刺そうとした瞬間、藤丸の前に魔法陣が現れた。
「…なに!?」
その陣から一人の男が現れ瞬く間にランサーを蹴り飛ばした。
「……ぬかったわ。まさかこの土壇場でサーヴァントを召喚するなんてな……まぁいい。構えな、ここでサーヴァント諸共殺してやる」
ランサーは体制を整え再び槍を構える。
だが、藤丸はそんな事より有り得ないことを目にして唖然としてしまっている。
「……」
その風貌も、顔立ちも、服装も、全て彼であった。
かつて共にカルデアで過ごしたサイヤ人と人間のハーフ。時に笑い、時に励まされ、時に悪ふざけをし、いつだってどんな時だって支えてくれた青年。
自分より少し年上の、強く友達として誇らしい存在の男とよく似た男がそこに立っていたのだ。
──……マスター、久しぶりだな?
そして、その声も、また聞き馴染みがあった。
そして藤丸は立ち上がり、ランサーを見ながら、かつてのように身構えた。
その立ち振る舞いは、見るものが見れば歴戦の、数多の戦場をくぐり抜けた者だと理解出来るものであった。
──サーヴァント セイバー。召喚に応じてって訳でもないが、ヤバそうだったから来ちまったぜ。さて、かつてのような戦いよりだいぶこじんまりしてるし、さっさと叩き伏せて日常に戻るとしようぜ?マスター!
「──うん。いこう、セイバー!」
その右手の甲にはかつてのカルデアの令呪と同じ紋様が浮かんでいた。
その日の夜、人知れず聖杯戦争は幕を閉じた。
たった一日でセイバーが召喚されたその日に聖杯戦争が終わった。
藤丸は何事も無かったように生活を再開し、召喚に応じた疑似サーヴァントのような状態であったスタッフもまた日常に戻って行ったのであった。
一日で何があったのかって?聖杯戦争に参加してる魔術師達を抹殺しまくったせいでサーヴァント達が何も出来ずに退去することになっただけよ。
そら何処ぞのアーチャーみたいなセイバーとかでは訳分からんやろしな