広い大地の片隅で眠る   作:黒兎可

23 / 42
ちょっとだけ?RTA気味な清麿


P023.ビギニング

 

 

 

 

 

 サンビームさんとウマゴン、ようやくの参戦。結果についてはスギナも協力したとはいえ、圧倒的と言えたかもしれない。

 ダルモスに焼かれたジュロンの根だったが、スギナが突然「使えるようになった、多分こっちから離れてる」と言ったのをきっかけに、術によって変化したウマゴンの補助を担ったジュロンの根。例えば天井に足場を作り、駆けやすくしたり。あるいはダルモスの足先に出っ張りを作り、少し転ばせたり。時にウマゴンを踏みつけているダルモスの背後から縛り上げ、砂掛けして目つぶしをしたサンビームさんの補助もしたり。

 

 そんなこともあって、サンビームさんも重体にはなっていないが、それはそうとお疲れのようだ。ともに倒れたウマゴンをあやしながら、清麿君や俺に声をかけて来る。

 

「いやー、何とか間に合った感じで一安心っスよ……。ウマゴンが駆けだしたタイミング的にもなぁ」

「春彦さんは、サンビームさんと知り合いなのか?」

「この子の本を初めて手にした後、すぐに出会ってね。魔界の王を決める戦い、とくにガッシュくんの話を聞かせてもらった」

「ガッシュ……、俺達の?」

 

 うん、と頷く俺に、スギナは半眼を向ける。特に理由はないが、それに頭を撫でることで応えつつ、サンビームさんとアイコンタクトして笑った。

 

「ウマゴンがもし戦いに立ち上がるとしたら、それはきっとガッシュが中心になるだろうと思ってな。多分魔界時代の友達だった、って言ったのは清麿君だろ?」

「確かにそうだが……、知っていたなら、それならそうと言ってくれても」

「セオリー、セオリー! それにサンビームさんも同意してくれると思うけど、やっぱりこういうのは、誰が手を貸してくれる状況でもなく、自分で選択しなきゃ成長はしないと思ったからな」

 

 でなければこんな急に「第二の術」まで出てはこないだろう、という俺に、確かに、と納得してくれた清麿君だった。

 

「計算ずくって訳じゃなく、ウマゴンを信じていたってことか。サンビームさんも言っていたけど」

「春彦は漫画の読みすぎだと思うけどね――――痛い」

「スギナ、シャラップ」

 

 軽くデコピンしてやると、サンビームさんがニコニコと微笑んだ。

 まあ、そこまではサンビームさんも割と正気だったんだけど…………。

 

 

 

「あなた達、何をやってるのよ。さっきもそうだったけど」

 

「メ~ル~メ~ル~メ~ル~メ~ル~メ・メ~ルメ♪ メルメル・メ~ル~メ~ル~メ~ル~メ~ル~メ・メ~ル・メルメルメルメル・メ!」

メルメルメルメルメルメル~メ~~ッ(グルグルグルグルグル~ビ~~ッ)!!!! ロックンロ~ルッ!」

「カナカナ・ブンブン・カナ・ブンブン♪」

「ウヌ、私も踊るのだッ!」

 

 

 

 心の会話どうなったんだろうな……、とぼそりと呟く清麿君に苦笑いする俺。ウマゴンことシュナイダーの言っていることがどうしてわかるのか、の話し合いから、気が付いたらジェスチャークイズみたいなことになったり、ちょっと訳が分からないことになった。ついでにスギナも何故か躍り出し、あおられたガッシュも踊り始めたのが現在。何故か体育座りして遠い目をしてる清麿君は、色々とキャパオーバーらしい。

 ついでに、何か取りに上の方にいっていたらしいレイラも困惑。その辺で転がってるビクトリームの腕を踏まないようにちょっと大股で飛び越えながらスカートを押さえてるのが、おしゃまな感じがして可愛い。

 

 あっレイラ! と正気に戻った清麿君が立ち上がると、彼女から何かを受け取る。

 横から覗き見ると、それは砕けた水晶のようなものであり。小瓶から出すと、自ら輝き、俺や清麿君を照らし――――。

 

「力が湧いてくる……? 身体の痛みも楽になって、傷まで!?

 レイラ、これは…………」

「月の光、と呼ばれているわ。私たちを石板から解放したもの」

「……ッ! すまないが、これについて教えてくれ! さっきビクトリームたちより前に戦った魔物から聞いて、気になったんだ」

 

 傷がふさがっていく清麿君と、多少なりともなんとなく「気が楽になった」俺。情報収集は清麿君に任せたまま、俺は他の欠片をレイラから受け取り、ガッシュやスギナ、ウマゴンやサンビームさんの方へと走っていた。

 セオリーから言えばセーブポイント件HP回復場所の水晶とかみたいなありがちなアイテムなのだろう、という雑な判断のまま、「ヌオオオオオ」とか言って回復してるガッシュたちを見つつ聞き耳を立てている。

 

「一番上のお城に、もっと巨大な水晶みたいな形で存在しているの。これは身体を元気にしてくれるし、心の力も回復してくれるわ。

 ただ、これは不可逆のものではない。私たちの石化もこれで元に戻ったけれど……、時間が経てば光の力は失われて、私たちも石に戻る。そう言われているわ。だから皆、良い子も悪い子もこの城に帰って来て、ロードには逆らえないの」

 

「うさんくさっ」

「スギナ、ちょっと」

 

 だってー、と俺の方を見てくるスギナだが、まあ、俺もちょっと話を聞いてて思ったところはあるので、あるがせっかく清麿君が友好的に情報収集しているんだから、もうちょっと自重なさいこのお子様め。うりうり、と頭をわしわししてやる。撫でられるのは好きなスギナだが、こうやって雑に髪をがしゃがしゃされるのは嫌がるのだ。

 

「どういうこと? 胡散臭いといっても、現に回復しているのだし――――」

「いや、多分そっちじゃない。俺も聞いていて少し疑問はある。……この月の光の石、仮にその効果が切れるといっても、それは熱力学第二法則から言って疑問が残る」

「ね、ねつりき……?」

「『状態が変化する際のエネルギーの移動は不可逆だから、その逆の状態への変化を起こすためには外からエネルギーを新たに加えなければならない』、みたいな感じだったか?」

「嗚呼、春彦さんの言う通り。えーっと、魚を凍らせたなら、戻すには外部からその状態以上の熱、つまりエネルギーを加えないといけない、みたいな感じか?

 だから『心の力の補填』や『身体の傷の回復』するのだとすると、その状態から元に戻るためには、むしろそっちの方にエネルギーが必要だってことだ。測ったことがないから、実際のところどうなのかまではわからないけどな。だが『どういう原理で出来ているかわからない』からこそ、レイラの言ってる効果が切れるという条件は、やっぱり違和感が残る」

「違和感?」

「魔物の術といえど…………、ある程度の物理法則からは逃れられない。科学で対処できる場合もあるってことだ」

 

 例えばガッシュのジケルドは、周囲に金属質の物体、磁気を帯びることが出来るものがなければ発動できない。逆に言えば、全身がゴムで出来たような魔物を相手にする場合はおそらく無効化される。

 そう語る清麿君に、レイラは目を真ん丸にして驚いている。どうでもいいけどダウナーな感じの女の子のきょとんとした顔って可愛いと思うんだ。どうしてこんなグッドデザインのキャラクターのことを俺の前世はすっかり忘れていたのか……。

 

「つまり、こう言いたいの? 私たちはもう、ゴーレンの術の効果で石に戻ることは無いと。……でも、私たちは皆見てるわ、ロードに逆らった魔物が石に戻されかけていることを。あの、私やビクトリームよりも強い『流星(スピードスター)』パムーンでさえ怯えているほどなのに…………」

「その怖さを、本当の意味では俺たちは判ってやることは出来ない。だけど……『完全に石に戻っていない』のなら、きっと、それが答えだ」

 

 ロードは、ゾフィスは粛清する際に、本を燃やしているんじゃないか? と。清麿君の言葉に、レイラは視線を伏せ。しかし震える手を押さえながら、首を縦に振った。

 

「……そうね。考えてみればそうかもしれない。ロードのパートナーは、ロードの力で操られているって、パムーンも言っていたもの」

「…………だとしたら、月の石の効果を一番受けている魔物はきっと、ゾフィスだ」

 

 回復したガッシュが「どういうことなのだ?」と清麿君に走っていくが、それと同時にぎしぎしと遺跡が揺れ、怪物の咆哮のような声が聞こえた。

 はっとしたように天井と、テラスの向こう側を見るレイラ。

 

「いけない……!

 あなた達、一度引きなさい。月の光の石が事実どうであれ、そんなことよりさっき、上の方が騒がしくなっていたわ! たぶん今の叫び、フェリウスが1グループ乗せて、あなた達の仲間を探して、襲撃をかけに行ってると思う」

「何だって……!?」

「ウヌゥ!? た、大変なのだ……!」

「メル!」

 

 ウマゴン! と声をかけると同時に、清麿君は俺とサンビームさんの方を見て、少し逡巡する。肩をすくめてスギナの方を見ると、スギナはスギナでビクトリームをじっと見てぶつぶつと何か言っている。

 

「もうちょっと残るよ」

「だ、そうだ。気にせず行きな」

「……ッ、わかった。必ず戻って来てくれ!」

 

「『ゴウ・シュドルク!』」

 

 そしてウマゴンの背に乗る清麿君たちは、どちらにせよ石に戻るのが怖いから、とまだ一歩踏み出せないレイラに、無事でいてくれと声をかけて走り行く。

 そんな清麿君の背中を見送って、少しだけ嬉しそうなレイラと。無表情ながら何も言わず、しかし一歩だけレイラの方へと歩み寄ったアルベール(パートナー)

 

「うーん…………」

 

 さっきの、というか今あっちの方で壁に背を預けてモヒカンを整えている(わりに目が正気じゃない)モヒカン・エースもだけど。この二人のパートナー、ちょっとだけ洗脳が解けかけていやしないだろうか。いや、なんとなく叫ぶ時の声が、特にモヒカン・エースについては凄い力強い感じだったし、こころなしダルモスのパートナーやアルベールの本の輝きよりも強かった気がする。

 

「で、ウチのスギナ君は何で残ったのかな~ …………、って、何してるんだ?」

「喜ぶかなって思って」

 

「…………実際それで喜びそうだから、ビクトリームはおバカなのよね」

 

 そして何か理由があって残ったらしいスギナだったが、それはそうと暇していたらしい彼は気絶したビクトリームを「Ⅴ」の体勢に整えて、そこらへんに飛び散っているメロンの皮の中でもまだ原形が残っているやつを置いて、両手を合わせて拝んでいた。

 何がやりたいんだろうか、ウチのお子様……。いやこれで喜ぶビクトリームもビクトリームなんだろうけどさ。

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

「カルーラって言ったっけ。植物系の魔物の子。その子のせいで僕はここで、上手く植物たちの心を掴めない。だけどその子が今、外に出て戦っているっていうのなら、逆にここを掌握し返すことが出来ると思う」

 

 だから心の力を送ってくれ、とスギナは俺にそう言った。

 残る、と言った真意はどうもこれらしい。この拠点にそのカルーラがいたのかどうかはちょっと判らないが、そのカルーラがいない隙に自分の力で仕込みをしていきたい、ということだ。

 

「流石に『奪われた植物の操作権限』みたいなのを取り返すような、そんな訓練はできないし、そもそも訓練してないしね。僕たち」

「ま、そうだな。術数は妙に多いけど……」

 

 やることとしては「オージグル・マ・ジュロン」を使い、周囲の植物の意識(?)を集め、自分の魔力をなじませておくこと。先に操作をされて魔力を馴染ませられていると、その当人が近くにいる場合、操作権限の優先度のようなものが発生するらしい。ちょっと念の操作系みたいな話になっているが、「ハ〇ハ〇じゃないけどね」とか実際そんなことをスギナ本人も言ってたので、類似点みたいなのは自覚があるんだろう。

 それをこの遺跡の中で行っておくことで、例のカルーラがここに居ても、同じレベルの操作権限で術を使うことが出来るようになることで、操作性の向上が見込める、ということらしい。

 

 そんな訳でレイラを見送った後、崩壊したテラスで杖を振るうスギナ。動きは完全に魚釣りのときの、釣り針を池とかに放つようなスイングである。それと同時に少しだけ、地面の下側がみしみしと音を立てていた。

 

「心の力、足りる?」

「さっきの月の光の石で、少しは回復したかな?」

「ふーん。ま、いいけど。じゃあ……、ちょっとだけさっきの話の続き、聞いてもいいか? 春彦、絶対に清麿君が言ってたゾフィスの受けてる恩恵、何か予想ついてるだろ」

「おおっと?」

 

 杖を使って操作に集中しているらしいスギナは、見た目は完全に釣り堀で釣り竿を握ってぼーっとしているようにしか見えない。見えないが、それとは別に周囲にゆるく木が軋むような音が鳴っているんから、真面目にやってはいるんだろう。

 ただそれはそうとして、現在二人っきりだからこそ聞いておこうと言う話だろう。まあスギナが期待しているのは俺の頭の回転とかじゃなく、要はメタ読み的なアレなんだろうけど。

 

 さっきのビクトリームやダルモス戦での痛さ、辛さを思い出しながら本に意識を集中しつつ、俺は整理しながら口を開く。

 

「まず結論ありきみたいで嫌だけど、アレだろ? 月の光の……、面倒だから月の石って言うけど」

「ギエピ〇!」

「何に反応してるんだ、いやギ〇ピーはピ〇ピとは厳密には違うからピクシ〇じゃなくてミュース〇ーになるアレだが……。まあその月の石をだ。魔物の子たちに『無意識的に』破壊させないようにしてるってことは、破壊されるとゾフィスにとって不都合があるってこと。

 逆に言えば、千年前の魔物の子たちからすれば、回復する以上に厄介なことがゾフィスに対して引き起こされる。魔物の子たちにとって有利になる何かがあるってことだと思う」

 

 うん、こういう場合はその装置というか、封印されしアイテムとかそういう何かしら自体が実は鍵のように見えつつ、諸悪の根源だったりするパターンだろう。例えばウェブダ〇バーなんかでも、当初の予定だとヒロインが敵のラスボスで初期OPをよく見るとその伏線が各所に張られていたり、ガ〇ガ〇ガ〇とかも命姉ちゃんの扱いよ、うん。

 

「とはいえ能力の効果から言えば、魔物というか光を浴びた存在に回復バフを常時浴びせるとか、そんなくらいしか思いつかないが。

 レイラが削ってたのとまたちょっと違って、もっとこう、子機? みたいなのがちゃんとあるとか、そんな感じで」

 

 とはいえ、俺の想像力ではそこまで。メタ読みして単純な事実と事実を並べたところで、それらを関連させて次の形の「答え」につなげることが出来ない。まあ一般人の社会生活でそれ以上を求められることはそうそうないとは思うが(あってたまるか)、そういう意味じゃ俺はあんまりパイオニアとか、そういうの向きではないんだろう。

 

「回復バフか。……それだけでも十分効果があるけど、推測的に弱いよね。何だろう、本当」

「まあ間違いなくぶっ壊した方が良い代物なんだろうとは思うが、間違いなくゾフィスに洗脳というか、催眠されてるよなぁレイラも」

 

 そのあたりは多分、清麿君も同意だろう。スギナもうんうんと頷いている。

 つまり「石になったように」見えるところで終わっており、その後に粛清をする場合は本を燃やしていた、というのが重要なのだ。ゾフィスは魔物をまた石に戻して放置し、恐怖を思い出させたうえで再利用するようなことをしない。それを「しない」と見るか、あるいは「出来ない」と見るかがポイントだが……。

 結局、タオリに関してもすぐさま本を燃やして撤退した、そんな臆病(チキン)な性質から考えれば、むしろ粛清による戦力低下こそを嘆きそうなものだ。だというのにわざわざ本を燃やすと言うのなら、それはもう結論は一つだろう。

 

 千年前の魔物たち全員も、石化からの解放と同時に特定の条件で自らの身体を石になるよう錯覚するように、洗脳されている、と。

 

「大体、アレだろ? そもそもあんまり言いたくはないが、千年前の魔物だって石になった後に魔界に帰れなかったんだろ? そのまま千年放置されて現代まで残ってたってことは。それってどう考えてもイレギュラーじゃん、ルール的に」

「それは、そう……、かも?」

「で、ゾフィスって聞いた感じそんな特殊個体じゃないだろ。ミールさん所のゴームじゃあるまいし」

「というか、ゴームくらい強かったら小細工に頼らないと思う」

「それな」

 

 つまり、ゾフィスの情報は「俺達の視点ですら」考えれば考える程にボロが出て来る。実際に対面して、俺達とは別の情報を持っているはずの清麿君なら、それこそもっと正しい答えすら導き出しているかもしれない。

 そう期待が出来るくらいに、頼りになるんだよなぁあの中学生は。それだけに色々と思う所はあるんだが。あんまり一人で背負うんじゃねーよー、とか。だからといって一緒にその重荷を背負ってやれるほど、頭が回る訳でも頼りにできるわけでもないんだが。

 

 あの非暴力の象徴であるパルコ・フォルゴレすら清麿君を頼っていると言うのが、そのまま彼の異常性を物語っているのだから。

 そして調整が終わったとスギナが立ち上がり、術を解除した直後。

 

 

 

「――成程、つまり我々は本来自由であるということか」

「「う、うわァ、ビクトリーム!?」」

 

 

 

 当たり前のように俺達の横に立ち、ビクトリームが腕を組んでそんなことを言って来ていた。いやちょっと本当いきなりすぎるぞ君!? いや確かに同じ場所というか、君そこでスギナがⅤの字にして寝っ転がらせてたり、モヒカン・エースも部屋に残っていたりしたんだけどさ。

 それはそうと、ビクトリームは腰を抜かしそうな勢いで驚いた俺たちに「ありがとう」とニヤリと笑う。

 

「お陰で『疑念にも』確信が持てた。麗しきベリーメロンに、香子の話もできた。

 今日はいと良き日よ……。栄光のⅤのサインが映えるなぁモヒカン・エース」

「…………」

 

 モヒカン・エースは洗脳されているが故に、話すことは無い。ただその表情は、口元は、少しだけビクトリームのようにニヤリと微笑んでいた。

 

「……あのレイラって子もそうだったけどさ。君たち、ちゃんとパートナーの名前は知ってるんだね。モヒカン・エースって二つ名みたいな感じだけど、ちゃんと本名っぽいのも一緒に言っていたし」

「よく聞いていたな。嗚呼、そうとも。

 大概序盤に石にされた連中は別として、我々に、パムーンに、ベルギム坊やもか? ツァオロンは少々例外だろうが、ミラコはよくわからんなぁ……。復活してからは、ずっと外に行ったっきりだ」

 

 知らない名前もポンポンだしてるビクトリームだが、俺達に聞かせていると言うより、自分で整理しているというだけらしい。

 

「現代の魔物も、残り40を切ると聞いた。ならば判るだろう? この戦いにおけるパートナーの真の重要性というものが。戦いという意味でも、『心』という意味でも」

「それは、うん」

 

 言いながら俺の脚にぎゅっと抱き着くスギナが、なんだかちょっと甘えん坊な感じになってる。……震えてはいないが、何だかちょっとトラウマでも思い出して、消えたくない! と内心思っていそうな挙措だ。

 ビクトリームはそんなスギナに「ふぅん、坊やめ」とだけ言い、にこりと笑い、モヒカン・エースの手を取った。

 

「嗚呼そうとも。我らは再び出会ったのだ。『大きな枷』により心を通わせることは困難だが。しかしそれでも――――我らにも、伝わるものがあるのだ。

 パムーンのランスにも、私のポロ・ペーニョン(モヒカン・エース)にも……、そしてレイラの、アルベールにもな」

 

 術の一つでも新たに「作れば」わかることだ、と。こちらに背を向け「おさらばだッ!」と言って立ち去るビクトリームは、どこか威圧的ではなく清々しい後ろ姿に見えた。

 

 

 

 

 


・シュナイダーネタのカット:

 知ってるから仕方ないね。とはいえノリは良いので、ガッシュの方の練習のためにジェスチャークイズで歌ったり踊ったりする。

 

・空気を読まないスギナと、ほぼ正解に行きつく清麿:

 この時点でスギナの物言いのせいもあり、月の光の石の正体について100%検討はついてしまった。「胡散臭い」から「前提を疑う」というヒントに行きつき、答えが出てしまったと言える。

 

・御神体Ⅴ様:

 ツヅリから聞いていたので、なんとなくノリでお参りするスギナ。多分本人の意識があったら、割と喜ぶ(特に「Ⅴ」の字にしたあたり)。

 

・カルーラとスギナの操作権綱引き:

 いわゆる「操作したい対象が既に他人に操作されている場合は干渉できない」という話みたいな形となっています。完璧に制御できない訳ではなく、魔力の味を覚えて特定の相手にしか反応しない、みたいな状態。なのでカルーラが離れればそれだけスギナが植物を操ることも難しくは無くなる(エサがないので誰のエサでも良い、みたいな)。

 今回やったのは、カルーラが居ない状態でスギナの魔力の味を覚えさせ、どっちの術(魔力)が来ても同じレベルで食いついてくるようにオージグルの杖で調整した形。ずっと居る訳じゃないので、カルーラを封殺出来る訳ではない。

 

・モヒカン・エースの本名:

 本作ではおまけ漫画のサボテン職人だったアレに従っております……と言いつつ今後「ガッシュ2」で掘り下げありそうでちょっと怖かったりします汗

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。