広い大地の片隅で眠る   作:黒兎可

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P025.星空のBelieve

 

 

 

 

 

「『ガンズ・ゴウ・リュウガ』、ケケケ――――!!!」

「笑うなダリアァ!」

 

「くっ、ツヅリ! 『ドラクエア・イシルド!』」

『むんッ! 片原痛いわァ!』

 

 久々に鬼みたいなお面を出したツヅリが、ベルギムって子の椅子? から放たれる複数の怨霊の弾丸を防ぐ。防ぐたびに怨霊が五角形の盾から飛び出るんだけど、その怨霊はベルギムって子の方に行くと、そのまま周囲でフワフワしててビクトリームの時みたいになったりしない。

 チャーブルの人魂を3つ既に展開してるから、盾は同時に4つ出現してるんだけど、それでも出て来る怨霊たちは、いつものような感じじゃない。

 ツヅリと一緒でベルギムが怨霊使いだから、ってことなのかしら?

 だったら……。

 

「『ギガノ・リュウス』――――ッ!」

「――――『ギガノ・リュウス』!!!」

 

 単純に威力を上げた術を放てば、あっちも同じ術!? ホラー映画とかに出て来るような、ちょっと悪魔に取りつかれてる様な感じの女の人が術を読み上げる。でも同じ術だっていうのなら…………!

 

 ――――そんな私の希望はもろくも打ち砕かれて、ツヅリのギガノ・リュウスはベルギムのギガノ・リュウスに飲み込まれた。

 

「!? ツヅリ!」

『――――――――』

 

 一体どういう事!? 術も一緒だし心の力だって負けてないのに、どうしてベルギムの方の怨霊の方がもっと大きいって言うの!!?

 ツヅリの首根っこを引っ張って、ナゾナゾ博士の方に走る。後ろに庇ってた博士が「いかん、私のことに構わず逃げるんだ!」とか言ってるけど、出来るわけないでしょ!? さっき思いっきり椅子でぶん殴られて! キッド君に強がって不死身だーとか言ってたけど!

 

「わああああああああっ!」

 

 そしてキッド君は、私たちを庇うように前に出て来て――――。

 

 

 

「……痛っ、これ、血?」

 

 倒れて、意識が戻ったら、顔が妙に熱い。手で拭って見ると赤黒くなってて、いや、本当ないわ……。というか、普通にこうやって傷を負わされるのって初めての経験じゃないかしら。

 すごい、痛い。

 ひりひりとかじゃなくって、すごい熱い。

 

 お姉ちゃん、お姉ちゃんって、ツヅリが私の身体を揺さぶってる。

 

「お姉ちゃん……! 死んだら、いやだよ!」

「ツヅリ……? ほ、本は!? …………良かった、燃えてない……」

「お姉ちゃん!?」

 

 あーヤバい、意識が飛んで行っちゃいそう。

 走馬灯じゃないけど、直前までの流れがばーって私の頭の中を駆け巡る。いやまさか、皆で歌って踊ってる時に、ベルギムが舌を噛んだ後怒りのままに襲い掛かってくるとか思わないじゃない? あれ、普通に和解できるコースだと思ったのよ。

 そしたら普通に戦いになっちゃって、キャンチョメ君たちはキッド君と連携して、博士の指示で動いてだまし討ち? したり。それでも耐久は高いし、本当、何なのかしらねあの魔物。

 

 私たちはチャーブルを貯めて隙を伺ってた(フォルスで一気に呼び出すより、チャーブルで一つ一つ力を貯めた方が「心の力」をあんまり消費しない)。だけど椅子から立ち上がって、博士に物理攻撃しかけるのは駄目でしょ。流石に見てられない。

 

『椅子が直接おしおきよ――――!!!』

『「オータル・リュウス」!』

 

 それで、やむなくツヅリにおばけ津波みたいな形で「ざぶーん」ってなる怨霊たちを呼び出して、ベルギムって子の脚をすくって、それで直撃は避けられたと思うんだけど……。

 でもやっぱり、ナゾナゾ博士は高齢なわけで、見てて危なっかしいからカバーに入った。

 

 それでもやっぱり押し負けてるんだから、うん、強いよあのベルギムって子。

 ツヅリもまぁ、白い和服が焦げちゃって。私みたいに額から血が出てるし。可愛い顔が台無しじゃない。お面だって粉々になっちゃってるし。

 

「キャンチョメ! フォルゴレ! 今だよ、口を蹴り上げて、術を暴発させて混乱してる今なら、本を奪えるはず!」

「ああ、任せて!」「私も行くぞ、キャンチョメ!」

 

「ケケ!?」「私の本とダリアに何をするかァー!」

 

 戦況はキッド君が主体となって立て直してる。それを見て、私たちみたいに倒れてるナゾナゾ博士が凄い驚いた顔してる。

 確かに、博士の指示じゃなくって自分の判断でああやって動いているキッド君っていうのは、初めてみるわね。状況がそれを許さないっていうのもあるけど、それでも……。

 

「ライターは壊されたけどまだ! コポルクで、月の石を奪うんだ! ベルギムE・Oはボクがひきつける!」

「う、うん!」

 

「しゃらくせぇ、おしおきだべぇい――――――――!」

 

 ああやって、先頭に立って指示を出して、自分もしっかり動いて。まるでそう、清麿君みたいな。博士も若かったらああいう感じに、格好良く動いているんじゃないかと思わせるような。

 

「――――――――行かなきゃ、私も。『残っちゃった』けど、気張るならここだと思うから」

「ツヅリ?」

 

 すっと。さっきまで泣いていたツヅリの表情が変わる。

 立ち上がって、私に背を向けて。それと同時に、手前に投げ出されたツヅリの本が光る。これって、新しい術が出る時の…………?

 

「少し借りるよ(ヽヽヽヽ)、ツヅリ。……うん、ありがとう。

 じゃあ、お姉ちゃん――――――――」

「ツヅリ――――」

 

 なんでかしら、こっちに振り返る横顔は、ツヅリそのもののはずなのに。

 どこか、妹に。事故の際の後遺症があまりにもひどく、保険治療で無理な最新の技術が「金銭的な理由から」使えず、病床にいなきゃいけなくなってしまったあの子の顔が、重なる。

 

「――――――――またね?」

「――――紅葉(もみじ)?」

 

 私の言葉には答えず、背を向けて走り出すツヅリ。

 いや、流石にそんなオカルトなんてない、わよね? ツヅリがいくら怨霊さんとお友達だからって、そんな、都合よく、妹の魂が乗り移ってるだなんて。

 

 ただ、それでも。それでも、キッド君と一緒に戦いに行くツヅリに、何かしてあげなくちゃいけなくって。

 力が抜けそうになる身体になんとか、無理やり力を入れて、起き上って、本を手に取って。

 

 その『金色に輝いた』ツヅリの本を手に取って。

 

「…………『ディノ・チャーブル・グラポルク』……!」

 

 変化は一瞬。ツヅリの周りに浮かんでいた人魂が、そのままツヅリに結集して。

 それだけで、ツヅリの全身は一気に高校生くらいの姿になって。目の下の線は残ってるけど、顔立ちはタオリちゃんみたいにクールな感じに育ってて。

 

「『エムル・リュウス!』……ケケ」

「外れちまったぜぃ、ダーリア…………!」

 

「わっ! ツヅリ!」

「ダメでしょ、皆で生き残らないと―――――」

 

 囮になってるキッド君だけど、もう全身ボロボロでフラフラしていて。そんなキッド君をすごい勢いで走って、拾い上げるツヅリは。嗚呼、もう、そんな都合が良い事なんてないはずなのに。走ってる時の手の握り方がちょっと変で、それは、陸上部だった紅葉の握り方だった。

 

 ディカ・ポルクって術で、大きなキャンチョメ君の幻影なのかしら? を作り出したフォルゴレさん。もちろんキッド君の指示。「怖いよー!」って言って、無駄にあの幻影に術を打ち込んでるし、それで心の力を浪費させようって作戦だと思う。

 そんなキッド君の頭を撫でて、大きくなったツヅリはキッド君を一度置いて、私の方を見て。

 

「お姉ちゃん」

「――――ッ、こ、『コソルド・リュウス』!」

 

 ツヅリが何の術を求めていたか、わかったわけじゃない。明らかに、身体が不自然に、まるで操られるみたいに、術を使っていた。

 小さなドスみたいに形成された怨霊の刃。ツヅリはそれをもって、腰に構えて走っていく。

 

「エビチャーハン!」

「『エムル・リュウス』――――ケケッ」

「ダリア!? わ、私の本がッ!」

 

 そのまま一直線にダリアさんって人の方に走っていって、本を刺した。 

 

 ページの真ん中から怨霊の刃が出て来て、ぎょっとするダリアさん。あの人、意外とリアクション豊富よね。本当に洗脳されてるのかしら……?

 

「おのれ、こうなったらせめて残りの心の力で、最大級の――――」

「キッド()! ――――お願い!」

「――――ッ! 博士!」

 

 

 

「――――『ミコルオ・マ・ゼガルガ』……!!!」

 

 

 

 そしてツヅリは……、ダリアさんって人を庇いながら、怒りを向けて来るベルギムって子の方を見て。にっこりと微笑んで。

 

 そんな彼女たちに、キッド君から、機械仕掛けの女神様みたいな何か、大きな力が放たれた。

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

 千年前の魔物、パムーンは恐怖に震えていた。

 俺達3つのペア、3体の魔物との戦闘ですら余裕でこなし、スギナの最大術を「あえて」使わせていないことを差し引いても、その実力はあのブラゴを想起させるほどに、強い圧を放っている。

 

「さぁ、この術を破って見せろ! これに勝てねばゾフィスに勝つどころか、王になることすら出来ん!

 ランス!」

「――――――――」

 

「おおおおおお、清麿ぉ!」

「いくぞガッシュ! アイツの恐怖を、乗り越えるんだ!」

 

 そんなパムーンの心に、わずかなりとも俺たちの言葉が届いたのか。その希望を否定するために、最後の一騎打ちとばかりに本を光らせ、最大術を放とうとするパムーン。

 例え届いていなくても俺も、ガッシュもやることは変わらない。遺跡のこの空間で、広々とした空間だからこそ実現可能だろう最大術同士の激突――――。

 

「『ペンダラム・ファルガ』――――」

「――――『バオウ・ザケルガ』ァ!」

 

 

 

『Fa――!』『La――!』『Ma――!』『Da――!』『Ha――!』

『バオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!』

 

 

 

 五つの頭を持つ、精霊のような、あるいは上位天翅のような奇怪な術の生物に、ガッシュから放たれたバオウの雷龍が襲い掛かる。

 負けるな、俺と、俺達の想いを――――!

 

「フン、この程度か! 貴様等の強さは、想いの強さは――――!」

 

『Da――――――!』

 

 バオウが、押し負けた!? いや、それ自体はビクトリームの時にもわかっていたことだ。この勝負、明らかに千年前の魔物たちの中には、バオウを上回る魔物だっているってことを。

 星型の頭を道連れに出来たのは4つ。そして残りの一つが、俺達めがけて襲い掛かってくる。

 

「清麿君!」

「ダメだ、春彦さん! 『リシルド』は今回の作戦の要……、人間だけじゃない、魔物たちの心も助けられるかもしれない!」

「だけどこの状況で……、スギナッ!」

「ほいっと」

 

 スギナが「オージグル・マ・ジュロン」の杖を振り、地面から木の根を生やして盾のようにする。けれど当然、その程度はものともしない術の生物。根本的な魔物としての格の違いのようなものを思い知らされる。

 だが、それでも…………、まるでその術に込められた、パムーンの悲しみを受け止める様に、ガッシュが立ちはだかる。自分の身の丈のはるか十倍はあろう、術の生物のその顔を。

 

「バカな!? ペンダラムを生身で受け止めるだと!!? 死ぬつもりかガッシュ・ベル!」

「ぬぅ、うおおおおおおおおおおおおお!」

「く……、その程度で、止めきれるかぁ!」

「それでも…………、私は、お主の友達になるのだ!」

「――――――――」

 

 さっきの戦闘で、ガッシュはパムーンに語っていた。今まで戦ってきた者たちのために、優しい王様にならなければならない。だから、もう怖がらなくて良いのだと。

 自分も一人だったと。だけど沢山の友達が出来たのだと。例え千年経って、魔界で独りぼっちだとしても、それでもきっと友達になってくれる相手は沢山できる。自分だって友達になる。

 

 石にだって戻らないと、俺も根拠のある説得をしたが、それでもパムーンは恐怖に勝てず敵対して。だけどそんなパムーンは、今のガッシュを見て、段々と…………。

 

 

 

「……お前は強かった。そして、俺は弱かった。許せ、ベルの子(ヽヽヽヽ)よ」

「ヌゥ?」

 

 

 

 ガッシュが術を受けきった。少なくともそう見えるような決着で……、だけど、多分それは、パムーンが自分から術を消したんだ。

 ガッシュの言葉が、想いが、きっと届いたんだ。

 

 パムーンは天井に穴を開け、術で俺達を浮かせると。そのまま「月の石」のところまで連れて行ってくれると言う。

 表に出て、ガッシュや俺達を見つめる目は。さっきまでの張りつめたそれじゃなくて、凄く、優しい目をしていた。

 

「ガッシュ・ベル……、ガッシュ。本当に俺と友達になってくれるか?」

「ウ、ウヌ! もちろんなのだ!」

「……ありがとう。全く、妙な縁だ」

 

「春彦、『来てる』」

「…………まあ、それもそうか」

 

 パムーンは少しだけ妙なことを言う。それを聴きながら、ちらりと春彦さんの方を見れば、スギナが何かを感知して、本を構えていた。

 そしてパムーンは、俺達全員に宣言する。パムーンも一緒に戦うと。パートナーが言うことを聞いてくれるかも、石化の「幻覚」に勝てるかどうか確信もないが、それでも協力してくれると。

 そして。

 

「あなたも馬鹿になったものですねぇ。星の戦士たるパムーンが」

「ッ! 貴様――――」

 

 パムーンが振り返った先、中に浮かぶその声の主は、パムーンではなくランスの方へと手を翳し。

 

「『ラドム』――――」

 

 

 

「――――『ジュオウ・リシルド』ォ!!」

 

 

 

 よし! 流石だ!

 それに対して完璧なタイミングで、スギナと春彦さんは術を合わせた。今のタイミングになったのは完全にアドリブだったけど、でも「ジュオウ・リシルドをぶつける」のは、作戦通りだ。

 

『ジュラララララララ――――ジュラ?』

 

「……ッ!? しょ、初級術に最大術をぶつけてきせますか。しかし防御とは、全く妙な手札の切り方をしますねぇ」

 

 空中で、何とも言えない顔をしているのは、ゾフィス。以前ロードとして俺やガッシュの前に現れた、人の心を弄ぶ魔物。その視線にはこちらを心底小馬鹿にする意志が見えるが。

 

「ですが術の効果を考えれば、そろそろ最大威力ではなくなるはず」

「――――『テオ・ラドム!』」

 

 いきなりこの場に生えた、人面樹の大木。口にさっきの爆発のエネルギーを口で齧りつき、消滅させたそれ目掛けて、今度は大きな爆発のエネルギーが投げられる。

 既に半分くらい消えかかっているその大木。流石にまずいと俺もラシルドの準備をするが――――。

 

「久々だね、『二本目』まで使うのは」

「だな」

 

「えっ?」

 

 構えていた左手と反対の右手を、オージグル・マ・ジュロンの杖を握った手を、左手に並べる様に構えるスギナ。

 それと同時に、ジュオウ・リシルドの背後に「もう一本」ジュオウ・リシルドが生えて来た――――!?

 

「なん、だと?」「メル……!?」

「えっ……?」「ヌゥ!」

「リシルド……、『両手』か」「――――」

 

 俺達のリアクションをよそに、生えて来た二本目のジュオウはそのまま、大きな爆発のエネルギーも当たり前のように口に吸いこんで、噛みつぶして、消滅させた。 

 流石にゾフィスも驚いたのか、空中で中腰になって口をあんぐりさせている。そういう所は妙に子供っぽくて、嗚呼あいつもちゃんと魔物の子なんだと少し複雑な気分だ。

 

「やっぱり来ると思ってたよ。今回はたまたまだったけど、タオリをだました時とかね。ゾフィス」

「貴方は…………、そうですねぇ、名前も聞かない下級魔物だとはいえ、あれ程制御力の高い術を持って居た時点で、多少は警戒をしておくべきでしたかねぇ」

 

「ねぇどんな気持ち? どうせ『私に反逆する時間なんて少しもありませんでしたねぇ』とか煽ろうと思ってたけど完全に潰されて、ねぇ今どんな気持ち?」 

「その妙な小躍りじみたステップを止めなさい、腹立たしい!」 

 

 そしてスギナが、完全に煽る目的で変な踊りを踊り出した。何だろう、初めて見るのに妙にイラっとさせられる。ガッシュも「ウヌゥ……?」と困惑気味で、春彦さんだけ苦笑いだ。

 

「せめて妹と和解させてから返せば、スギナも煽らないってのになぁ。……さて、じゃあゾフィスって言ったっけ? せっかくだから一つナゾナゾを出そう。ナゾナゾ博士がまだ来てないから、博士に代わってね」

「何を?」

 

 春彦さんも、煽る気マンマンだ。そしてそのクイズは多分、俺が昨日レイラと会話した時点で思い至った結論で。

 

「逆らった魔物は石に戻せるはずなのに、パムーン君の本を燃やそうとしたのは、なーんでだ?」

 

「……、つくづく腹立たしい魔物とパートナーですねぇ、このハエが。自分たちがどういう状況にいるか教えてあげましょう。

 ミラコは帰って来ていませんが――――出てきなさい。憂さ晴らしも、遠慮も欠片もいりません。せいぜい『石に戻る』恐怖を抱えたパムーンごと、粉々に砕いてしまいなさい」

 

 ぱちん、と指を弾くゾフィスに合わせて、おそらく城に居る残りの魔物全部が、この場に集まって出て来る。

 だが…………、ゾフィスの指示に反して、魔物たちはこっちに襲い掛かってこなかった。

 

「どうしたのです? 敵はパムーンを除き手負いというのに――――ッ!? な、そんな馬鹿な!!?」

 

 それも、そのはずだ。……パムーンの隣のランスもそうだけど、魔物たちに並び立っていた人間たちは、軒並み膝をつき、頭を抱え、本を取り落としているからだ。

 驚いて人間を介抱する魔物、足蹴にして舌打ちする魔物、気にしない魔物、魔物それぞれに人間への距離感が違うが、一つだけ確かなことがある。

 

 

 

「ねぇどんな気持ち? ねぇ今どんな気持ち?」 

「どっちかというと、自分のパートナーの方を気にした方が良いと思うけどなぁ」

 

「ツ!? ま、まさか――――――――、さっきのあれは、封印系の術だと!?」

 

 

 

 そう叫び、ゾフィスは後方の荒れた大地の方を驚愕して見て。徐々に徐々に、浮かんでいるバランスが崩れ始め。ふらふらとしている自分に驚いた顔をし、俺達の方を睨む。

 

「ジュオウ・リシルドは『空間を制御する』魔物の力を封じ、逃げるために作ったスギナの術。その本質は、魔物の魔力を吸引することによる一時的な能力の制限。

 今のお前の魔力制御は、普段通りとはいかないはず。そして――――」

 

 舌打ちしながらこちらを見るゾフィス。しばらくすると、人間たちは糸が切れたみたいにその場に倒れ。ゾフィスは逆に、飛行が安定する。

 

「――――パートナーすら洗脳している以上『余計な制御に力を裂く余裕はない』はず。清麿君の読み通りだ!」

「嗚呼……! ここからが本番だ、ゾフィス!」「ヌゥ! ウヌ!!」

 

 叫ぶ俺達に、ゾフィスは今までの余裕が嘘のように慌て、そして憎悪の感情を視線に乗せていた。

 

 

 

 

 


・アドリブ全開:

 アニメ版だとほぼ千葉さんということで、本作ではテンションが上がるとそちらのイメージになってる的な解釈です汗。

 

・化野紅葉:

 珠紀とは3歳差。姉に似てスレンダー体型。一応お盆の時期に京都に戻ってきていたのをツヅリに発見され意気投合。以降、時折彼女が出て来て珠紀のフォローをしたり、ツヅリの代わりに戦闘をしたりしていた。

 

・金色の魔本:

 ガッシュのペニ戦に引き続き、終盤の伏線? 的な何か。今回、本に力を与え居たのが珠紀だけではなく、紅葉の心も重なっていたことから、金色になっていた的なイメージです。

 

・パムーン戦総カット:

 作ってはみたけどほぼスギナに見せ場が無かったので、あえなく。基本は原作通りの流れだけど、時折バーロンの星とツタが殴り合ったりして、総数がちょっと減ってるイメージ。

 

・ゾフィスを感知したスギナ:

 魔力隠蔽してるはずのゾフィスだけど、対カルーラ用に遺跡内部に浸透させておいた魔力で味方に仕込んでおいた植物の根伝いに、ゾフィスの息遣いとかを感知してた。仕込みが無駄にならなくて良かったね!

 

・ジュオウ・リシルド:

 術説明には書いてないけど術韻的に、両手を使って樹木の化け物を2体あやつるという隠れ仕様があったという話です。もともとは対ゴーム用の術なので、なんでそうなっているかはそのうち……。

 

・清麿の作戦:

 細かくは多分次回、シェリーが出てから。ただ本題は春彦が言った通りで、つまり「ジュオウ・リシルドでゾフィスの催眠能力を封じる」というようなこと。「月の石」の正体に既に清麿が行きついてるので、当然完全には封じられないだろうけど、それでも制御が乱れたらパートナーとかのみに制御を注力する他ないはず、という発想です。

 

【ここまでで登場した術】

ツヅリ編……

⑩ディノ・チャーブル・グラポルク:

 既に召喚されてるチャーブルを自分と合体させ、身体や精神を一時的に成長させる。

 ツヅリと紅葉の「もっとお姉ちゃんの力になりたい」という願いで発現。化野紅葉の身体スペックに近づけるため、ツヅリの術構成からこういった形の術となった。

 

 

 

・おまけ:泣く泣くカットしたシーン

 

☆「貴様等……、もしかして俺がまだ石に閉じ込められていた時に散々、変なことをしてくれた人間たちか?」

清「あっ」

春「あーあ」

☆「貴様等ァ! あの時の屈辱の――――! ランス!」

ラ「『デーム・ファルガー』!」

ガ「ヌオオオオオ!? 清磨、尋常ではない怒り方なのだぞ!」

ウ「メルメルメ~~~~!!?」

サ「二人とも、あの魔物の石板に一体どんなことを」

清「サンビームさん、今そんな場合じゃないだろ!!?」

サ「いやだって、あの怒りよう――――」

清「このピンチをどうやって乗り越えるか――――」

ス「変な呪文唱えたり落書きして氷に沈めて熱湯かけてブリでびったんびったんしたり奇行してたよね」

清「スギナ――――!?」

春「俺はむしろ助けた側だっての! 落書きだってちゃんと掃除してあげたし!」

清「春彦さん、裏切るのか!!?」

☆「止めなかった時点で同罪だァ――――!」

清「ご、ごもっとも……」

春「ゴメンね!!」

 

 

 

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