広い大地の片隅で眠る   作:黒兎可

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お 待 た せ し ま し た(コ↑コ↓)。


P028.あんなに一緒だったのに

 

 

 

 

 

「その仮面を含め、くだらない小細工は止めやがれ!」

「くだらない小細工? フフ、この仮面は、月の石の光を増幅させ私の全身を覆うことで、シールドのような効果を発揮します。この程度の戦略、児戯と呼んでいただかなくては――――」

 

「『ロンド・ラドム』――――!」

「――『アイアン・グラビレイ』!」

 

 荒野の山々、グランドキャニオンを思わせる景観。実際、どの程度遺跡から離れたのか、シェリーたちも認識はない。

 ただそれはそうとして、彼女は怒りの力を貯め、しかし冷静にゾフィスの術一つ一つを最小限の威力で捌いていた。 

 

 空中に浮かぶかの魔物を、共に見上げるブラゴは多くを語らず。しかしそれでも自分の意志につきあってくれている感謝の念も込めながら、同時にそれらを殺意と敵意に変えてゾフィスを睨みつける。

 

(少なくとも、あのバリアを突破するには清麿たちがあちらを対処し終わるのを待つしかない。……わざわざココを隠して、こちらが強引に攻め切りバリアごと破壊するのを防いでいるのを考えれば、この一方的に私たちを弱体化させているような状態は、ゾフィスの策)

 

 確認せずとも理解している。ガッシュと清麿、その仲間たちがどういった手段をとったかは理解できないが、ともかくゾフィスの催眠を一時的に乱したのだ。

 そのせいで千年前の魔物とパートナーは、その催眠の縛りを離れた者も多くいる。自分たちを足止めしにかかっていた、あの水晶のような魔物の子も。術数は多くなかったものの、ディオガ級の術を平然と「何度も」扱い、姿形を無限に変える魔物。明らかに千年前の魔物でもトップクラスの一人だろうその「女の子」が、もう何にも縛られていないと言ったのだ。

 

 故にこそ気がかりだったのは、ココ……、ゾフィスのパートナーであるはずの、ゾフィスとその性格から相容れなかったが故に人格から何から何までゆがめられた、あのココのこと。

 独特の鉄仮面越しにこちらを見るゾフィスの目は、明らかに嘲笑を含んでいた。

 

「ええ、わかりますとも。ココの安全を確認できず、今のココがどうなっているか確認できない。となれば、私に使う術も初手ディオガなど出来たものではないでしょう。

 まあこのバリアはディオガ級程度ならば対処できると確認がとれています。禁呪か、それこそ『シン級』でもなければ」

「シン……?」

「ハッ! 慢心もここに極まったな」

 

 鼻で笑うブラゴだが、そんな術韻をシェリーは知らない。いまだブラゴが扱う術に、その韻をもつ術は出てきていない。

 

「フン。…………まぁ良いでしょう。流石に千年前の魔物のコントロールを一度に断ち切られるなど、想定外も良い所でしたが、そろそろ準備が整ったようです」

「準備?」

「再催眠など必要ありません。今のココは下手をすれば『普段以上に』強い心の力を放つことが出来る状態。この心のバランスなど一度のみが限界でしょう。

 だからこそ偶然が味方した、今日、この時、シェリーへの感情が極限までたぎるまで準備してもらったのです――――」

 

(こんな奴に、あんな優しいココをさんざん悪用されて――――ッ)

 

「それに、はらわたが煮えくり返ってるのはこっちの方なんですよ。

 あのスギナとかいう下級魔物とそのパートナーの帽子男への懲罰を後にして、こうしてあなた達をわざわざ離さなければならなかったことまで含めてねぇ。

 ――――数多く従えた手下も何もかも滅茶苦茶にしてくれた落とし前、つけてもらおうじゃねぇかッ!」

「『ディオガ・テオラドム』!!!!」

 

 丁寧で余裕をもっていた雰囲気を崩し、ここだけは怒り心頭のゾフィス。両手を構え、ありったけの力で振り下ろすと同時に落ちてくる巨大な隕石のような爆裂のエネルギー。

 杖を掲げ、それに従いブラゴも足を広げ腕を構え。

 

「『ディオガ・グラビドン!!!!』」

 

 巨大な重力球は内外へのベクトルを問わず、そのまま接触と同時に爆裂のエネルギーをあらん限りの方向へと霧散させ、分散させ、あるいは収束させ「無に帰する」。暴力的な一撃は普段それこそ巨大な質量兵器のようなものであるが、今回はそれを防御のために使用。

 否、防御で済まない。

 

「ぇあああああああああああああああ――――ッ!」

「おおおおおおおおおおおおおおおお――――ッ!」

 

「――――」「ヒッ!?」

 

 シェリーは頭の血管が切れる程に叫ぶ。蓄積された感情を乗せる。

 応じたブラゴもまた重力球の圧に逆らい、強く踏ん張り、より多くの魔力を追加で乗せる。

 

 果たして対消滅どころかそのまま押し勝ち、さらにはゾフィスめがけて上昇を続ける重力球は、ゾフィスのいた座標含め崖の壁面に激突。一瞬情けない悲鳴が聞こえたような気がしたシェリーだが、自分の怒りや憎しみが生んだ「相手への侮蔑の感情」の類、幻聴だろうと判断し、視線を上空含め周囲に向ける。

 

 心の力は「まだまだ有り余っている」。今日この時のために、感情が高ぶっているのは何も「ゾフィスによって操られたココ」だけではないのだ。

 

 崩れ落ちた大岩などにより、砂煙が立つ。視界を遮るそれらのみロッドで勢いよく振り払うシェリーと、一喝で消し飛ばすブラゴ。強者の風格漂う二人のその背後から、声がかけられる。いっそ場違いな程にそれは暖かな感情の燈った……、親友へ向けるような声だった。

 

「――――すごい……、すごい! シェリー、あなたはいつだってそうなのよね! いつだって、私が大変な時に、自分の方が辛くて苦しいはずなのに、もっともっと大きな力で引っ張ってくれて、励ましてくれて……。

 だから、うん、私は今日までこうして、ここに生きてこれたんだわ。だから、シェリー」

 

「――――ッ」

 

 その声は、こんな場で聞くとは思っていなかったはずの声だ。

 嗚呼ありえない。その声は、ゾフィスの手に掛かってからついぞ発したことのない、親友の「ずれた陽気さ」ではない、心の叫びの声。

 

 明確な意思を伴った、どこか辛そうな、その声は。

 

「シェリー。…………ボンジュール、シェリー」

「ココ、なの……?」

 

 服装も見たことのない、ココらしくない身体のラインが出るような、それでいてふわふわした印象もあるもの。おそらくゾフィスの趣味の恰好なのだろうが……。そこに立つ彼女には、その目には、嘲りや陶酔のような感情もない、ずっと離れていた友たる自分だけを見る、その色だけが燈っていた。

 呆然とするシェリーに、しかしブラゴは警戒を止めない。一歩一歩と近づいてくるココを前に手を構え、そしてココもまた「あっ」と声を出して歩みを止める。

 

「うん、そうよね。………………久し、ぶり。元気そうね。

 ……えっと、すごい元気そうね? 前に見た時より身体がちょっとがっしりしてるっていうか、鍛えた?」

「それは、え、ええ。あなたのためですもの。……ココは、痩せたかしら。それに良い恰好してるじゃない」

 

「………… 一応言っておきますが、その恰好は彼女自らが選んだものですよ。断じて私の趣味ではありません。そんなことまで無駄に私に怒りをたぎらせないで頂きたいものですね」

 

 黙りなさい! と上空、再び余裕をもって構えるゾフィスに叫ぶシェリー。

 しかしちらりとココの方を見れば、少しだけばつがわるそうな風にシェリーから目を逸らし、汗を流す笑顔。漫画的にはそれこそちょっとだけ顔芸が入っていそうな雰囲気の彼女に、シェリーは「えっ?」と光らせていた本の力を落とす。

 

「えっと…………、嘘よね? ココ、貴女そんな……」

「わ、私だって! シェリーみたいに可愛かったり、お金があったらもうちょっと色々試したかったってだけだものっ! 可愛いわよね? 可愛いわよね!?」

「それは、えっと……、似合ってはいるけど、その……、下着見えそうじゃないのっ! もっと貞淑になさい!」

「いいじゃないスカートくらい短くしたって! そんなんじゃ、お母さんになった後、子供の気持ちとすれ違ってちょっと面倒くさいことになっちゃうわよ!?」

「ちょっと!? 色々洒落にならないようなことを言わないでもらえるっ!!?」

 

「シェリー、何を動揺している……」

「密かに抱いていたコンプレックスが、タガが外れた結果妙な形で発露した弊害ですかねぇ」

 

 黙りなさい! と今度こそキレ散らかしながら、八つ当たり気味に術を唱えるシェリー。気持ち普段よりも強い威力のギガノ・レイス。流石にそう来ると思ってなかったんか、一瞬目を飛び出させるような顔芸を披露しかけたゾフィスもまた「ココ!?」と叫び、こちらもまた羞恥と色々な感情がないまぜになった混乱した顔のまま術を唱えるココ。気持ち普段より威力が強くなってるテオラドムにより、お互いのそれらが相殺。

 

 ブラゴはわずかに「む?」と違和感のある表情をシェリーに向ける。

 

(心の力が弱くなっている訳でもない。ゾフィスに向ける憎しみはむしろ増大している。にもかかわらず、ゾフィス「程度」に術を相殺された?)

 

 てっきりシェリーの動揺を誘い、ゾフィスの術の威力でも自らの術と張り合えるようにするための作戦だと考えていたブラゴだが。だからこそ、むしろ「ココの持つ本の光」が徐々に徐々に増大しているのを見て、睨んでいた事実が逆であったことを知った。

 

「シェリー、あなた私が本当にゾフィスに心を操られていただけだと思う?」

「そうでしょ、違うとでも言うの?」

「えぇ、そうよ」

 

(即答、しかも肯定するのか……、いや、奴は何を考えているんだ)

 

 ゾフィスの方を睨みながら、ブラゴもブラゴで若干混乱し始めているのか漫画的には若干ギャグ顔になりかけている。

 一方のゾフィスもゾフィスで、若干アホのビンタをお見舞いされたような遠い目になりかかっているので、このあたりゾフィスのマインドコントロールも本調子ではない影響か。

 

「弱い人を傷つけるの何て大っ嫌い。モノや自然を破壊したって何も楽しくない。シェリー、貴女の前であんなに笑ってゾフィスに術を使わせていた私は、絶対、本当の私じゃないの。それだけは真実を伝えたかった」

「だったら何で……、何でゾフィスのために術を唱えているの!」

「そんなの、こんな状態でも『操られたまま』だからよッ!

 『ロンド・ラドム』――――!」

「そんな……!?

 ――――『アム・グラナグル』!」

 

 放たれたムチのような爆発のエネルギーを、シェリーの前に構え殴り打ち上げ、ココに当たらないようわざわざ調整するブラゴ。出来たパートナーのそんな気遣いすら感謝する余裕もなく、驚愕の表情のまま、下を向いて泣き始めたココを見るシェリー。

 そして顔をしかめるブラゴ。徐々に徐々に、速度はそこまで早くはないが明らかにココの持つ本の輝きが、蓄積されたゾフィスへの怒りで染め上げられたシェリーの持つ本のそれ以上のものとなっていく。

 

「シェリー、その女ともう話すな! 今ならまだ倒せる!」

「……ッ、『ディオガ・グラビドン』!」

 

「美しい友情と、パートナーへの愛情ですねぇ。――――だからこそ、今のあなたでは私に勝てません。ココ?」

「――――『ギガラド・シルド』!」

 

 ゾフィスの構えた手の先に展開される爆発エネルギーの壁。そこに激突した巨大な重力球は、しかしけたたましい音を立てて封殺される。威力が低下しているということはない。十全に込められた心の力で作られたディオガ級の術を。

 

「シェリー ……! 私は、あなたのことを本当に親友だって思ってる……! ここに来るまで辛い戦いがあったのだって、全部、全部知ってるもの! 高熱出して大変だったことも、身体を苛め抜いてきたことも、優しい貴女があんな顔をするほどに辛い思いをしてきたことも!

 『オルガ・ラドム』!」

「『オルガ・レイス』!

 ええそうよ、置かれてる立場も、状況も、何もかもが違ったって! あなたは私を助けてくれた! 一緒に歩んできた! 何もかも違う私たちが、それでも一緒に!」

 

 ぶつかり合う術は、果たしてどちらもどういった感情が元になったそれであるのか。

 構えるゾフィスとブラゴすらそっちのけで、絶叫しあう二人。

 

「それでもファッションのことだってそう! 家が恵まれてる貴女に、何もなかった一番低い所にいる私は、絶対に嫉妬しなかったとは言わないわ! コンプレックスがなかったとも言わないわ! 勉強だってあなたに負けないように頑張らないと、習い事だってできないけど何か特別なものがあって欲しかった!

 でもそれは――――あなたが大好きだったから! あなたと一緒にいて、胸を張れる自分でありたかったから!

 出来たことも、出来なかったことも、いっぱいあったけど! それでも一緒に頑張った日々を、嘘だって言いたくない! 絶対言わせない!」

「ココ……ッ!」

 

 彼女がどれほど頑張ってきたかを、シェリーは知っている。貧富の差で言えば極端なほど対極な二人。家庭でも、期待されたものでも、様々なものが入り混じって、しかしそれとて最底辺から見れば贅沢な悩みでしかなくって。

 そんな自覚など、心のどこかにあったのかもしれない。ココだってそう考えていたのかもしれない。

 だけどそれ以上に、二人は親友だった。

 それだけは誰にも否定させないと、涙を流し、あらんかぎりに叫ぶココ。彼女につられ、シェリーの涙もあふれ出す。

 

「だから、駄目なの! 私は、例え操られていたのだとしても、そこに私の心が無かったわけじゃない! 心がおかしくなっていたって、それは、私がやってしまったこと! 私が嬉々としてやってしまっていたこと!

 今だって私の意志があるのに! こんなにも本なんて投げ捨てて、逃げてしまいたいのに! そんなこともできないで、こんなに大好きなあなたを殺そうとしてる、あなたの大事なパートナーを倒そうとしてる!

 ――――そんな過去は消せないの、シェリー」

「――――ッ」

 

 そして、嗚呼だから気づいてしまった。気付けてしまった。今のココの本が、あれほどの光を放っているその原因に。

 だからシェリー、と。胸に手を当て、涙ながらに笑顔を向けるココは。

 

 

 

「私を、殺して? もう私、疲れちゃった――――――――」

  

 

 

 洗脳が解けかけたことが、ある意味最悪の形でこの場に結実したのだ。

 正しく自分の優しい心があるにもかかわらず、シェリーをはじめ多くの魔物や人間に対して振舞ってきた最悪なことを、おそらくシェリーすら把握していないだろう悪事すら、正面から理解してしまったココ。

 そんな彼女は、制御の甘くなったゾフィスの洗脳により、自意識があっても逆らうことが出来ないでいる。呪文だって唱えたくないのに。そしてそのストレスが、心の傷が、シェリーへの思いが、自責の念が、罪悪感が、様々な感情が入り乱れ彼女の精神を苛み続けている。

 

 それこそあなたにしか頼めないと、自分を殺してくれと懇願する程に。

 怒り狂うシェリーを見て、ブラゴですらゾフィスを睨み舌打ちをするが。

 

「私が回復したら、必要のない感情などまた忘れれば良い。貴女はまた『気持ちの良い夢の中で』躍るだけで良いのです、ココ。嗚呼、愛しい私のココ――――あなたの心が崩れる様すら、美しい」

 

 

 

「――――ゾフィィィイイイイイイイイイイスッ!」

 

 

 

 もはや助けてとすら叫べないほどに、傷ついたココをうっとりと愛おし気に撫で、その背後に回り「盾とする」ようなゾフィス。二人まとめてバリアに包まれる。故に容易に手出しは出来ない上にバリア事破壊も出来ない。悪辣、ここまで自分のパートナーを悪辣に利用するか、この魔物の子は。

 

「てめぇ……、調子に乗るのも大概にしろ…………」

 

 自分が目指す王の像など、久しく考えたことも無かった。ただこれだけは言える。ブラゴの心中に、泣きながら自分へと啖呵を切るシェリーの姿が走る。

 

「てめぇみたいな惨めな奴など、王にはさせん」

「――――」

 

 きっと、ブラゴを一瞥して。そしてゾフィスを睨むシェリー。お互い視線を同時に交わしはしなかったが、共に本の輝きは強く、苛烈になっていく。 

 

 戦いは始まったばかりである。……ココにとって、地獄のような戦いは。

 

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

「それで、何でツヅリはこっちに来たのさ。別に全裸になったりしてるわけでもないのに」

「そ、れは…………、体力、つきた。きゅう」

「えっ?」

「えっと、私から説明するわね」

 

 ぱたん、とスギナと話しながら倒れたツヅリ。勢いよくと言うより、本当に力尽きたという感じで、ぐるぐると目を回している。

 そんなツヅリを膝枕して髪をとかしてあげながら、化野先輩が説明をしてくれる。端的に言うと、ツヅリの新しい術「ディノ・チャーブル・グラポルク」は魔物であるツヅリ本人がかなり疲れる術であるらしい。

 

「ツヅリは確か『怨霊さんたちが体を無理やり動かしてくれる』とかいってたかしら? だから身体の限界とか考えないで、ツヅリが動きたいように、思った通りの形で無理やり動くみたいな? そんな感じらしいわ」

「つまりG4システ〇ってことですね」

「もういいだろっ!?」

「じ、じーふぉー……?」

「何か妄言言ってるって言うのはわかるぞ」

 

 困惑する化野先輩と白けた目を向けて来るパムーンはさておいて(AΩ)。いやランスさんも「自己紹介とかした方が良いだろうけど、ちょっと後に回そうか。大変そうだし」と苦笑い。

 ツヅリが言っていたらしいこととしては、無理やり動かされても、身体の疲労はそのまま蓄積するから、既に色々限界に近い状態だったとか。ワンチャン、ティオたちを探しにナゾナゾ博士たちとは別方向に出たということだったらしい。

 

「最悪、スギナ君のチャージオ・ジュモルクでファイト一発! しておくっていうのが、今できる限界かしらって」

「副作用あるよ、本当に限界ギリギリだと」

「えっ、そうなの?」

「うん。そもそもこれって――――ッ!? !!? !!!?」

「スギナ?」

「スギナ君?」「どうした、の……?」

 

 突然、スギナが後ろを振り返り、周囲を見回し、深呼吸する。目を見開いたままガクガク震えながらなので明らかに動揺してるのはわかるが、一体どうした? 電気ショックでも浴びせられたみたいな妙な痙攣みたいになってるぞ。

 そんなことを言うと、スギナは俺の脚に抱き着いて、そのままガタガタ震えている。

 

「怖い…………、ガッシュ大好きパティお嬢様にビョンコ。それに、特殊個体でもないのにかなり圧を感じていたけど、そうじゃない。

 ブラゴ、ぶち切れてる」

 

 きっとパートナーも、と言うスギナに、それはそうだろうなーと返すしかない俺だった。

 スギナも以前、ツヅリのお姉ちゃんのパートナーだったあの子に言っていたけど、人の心を踏みにじるようなことばかりしてきたのだろうし……、メタ的に言えば、その究極のようなことが起こっていたのだろうし、まぁそこは、それなりにね?

 

 とりあえずスギナをあやそうとしていると、こちらはこちらでカツカツと誰か清麿君たちが行った方とは反対側から誰か昇ってくる気配。スギナが使い物にならなくなってるので相手が何かわからず、一応構えようとするツヅリ。

 ただパムーンは「ようやくか」と少しだけ苦笑いをしていて。これはもしかすると……、味方フラグ?

 そして扉というか穴から出てきたのは。

 

「快晴ッ! 今復活の、ベリィ我が美しきこの肉体よ! 見よミラコ!」

『――上への階段とかない。言ってることが違う。結局、こっち表だもの。ビクトリーム、方向音痴ね』

「ベリィ・シィットッ! 」

 

「び、ビクトリーム?」「…………」(※まだ震えてる)

「比丘の鬼さん?」「メロンの人?」

「やはり助けに行ったのはお前だったか、ミラコ」「どうも」

 

 少しだけボディに包帯が巻かれているビクトリームと、水晶のような体をした女の子だった。ミラコと呼ばれた女の子はパムーンの方に無表情のまま手を振る。ちょっとだけレイラとキャラが被ってる気もするが、見た目は大体十四歳くらい? の女の子なので、そこで差別化が図られているようだ(メタ)。気持ちちょっと綾〇レイっぽい。

 そして怯えたままだったスギナの方を見たビクトリームは自分の身体の背後に手を回し。

 

 

 

「良くは判らないが、そんな辛い時ほどベリーメロンをお食べ、はいあ~ん」

「――――はうっ! わ、わたし、やるから! かして! かして! かし、あっ! アッー!?」

 

 

 

 スギナを気遣ってかカットされたメロンっぽいのが入ったタッパーを取り出したビクトリームが、つまようじで怯えるスギナに食べさせようとしたり、そんなビクトリームにツヅリが対抗意識を燃やして動こうとして悲鳴を上げたりとカオスが発生した。

 

 いや、まあ、うん、スギナも「どういう状況?」とツッコミを入れたから、一周回ってちょっと落ち着いたので良いということにしておこうか、うん。

 

 

 

 

 


・月の石シールド:

 細かいネタは一部アニメ準拠なので、こちらでも採用。強度についてはゾフィスが色々大げさに言ってる。多分ディオガはともかく、本気のバベルガだったらヒビくらい入る。

 

・正気なココ:

 お 待 た せ(再会)。スギナのリシルドのせいで催眠誘導に使っていた魔力が解けて、中途半端に洗脳が抜けてるイメージとなっております。ココの原作で語った話については、ゾフィスの催眠が思考誘導を延々と繰り返し刷り込んで、精神の在りようを誤認させて人格を変えるようなタイプであることに準拠(ガッシュカフェ)。根底にあるエピソードや思っていることは、ベクトルがズレている程度の話と解釈します。

 

・アム・グラナグル:

 劇中でこの術が出た時は終盤ゆえにブラゴの練度が相応に高かったからヤベェことになっていたと鑑みて、現時点では普通に重力属性の身体強化として描写しています。

 

・私を、殺して:

 前述の通りなので、原作でゾフィスが語った通りの現象。ビ〇ドの氷室幻〇が味わった地獄がちょっと近い、正気の自分に降りかかる過去の悪事の数々。シェリーに暴言をあんまり吐いてないのでまだマシかもしれないけど、その分「正気のまま」シェリーを殺そうとしている自分に苦しんでるので、どっちもどっち。縋れる先がもうそのシェリーしかいないから、一思いに殺して欲しい。

 こんなココも割と好き好んでいるゾフィス君は、当然終了フラグ。スギナもちょっと恨まれるかもしれない(とばっちり)。

 

・ビクトリーム&ミラコ:

 詳しくは次回……、次回?(未定) やらなかったら次回か次々回おまけにて。ミラコはそもそもラミ〇ルということで、人間形態は〇ヴァつながりから綾〇さんイメージです。(流石にミラコをガッシュ2で再度拾うことは無いだろうとタカを括ってる)

 

 

 

 

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