戦いは終わった。シェリーもココもボロボロで、何とも酷い有様である。一方魔物の方はと言えば、ブラゴがほぼ無傷であるのに対し、全身に「圧殺されかけた」不自然な裂傷……、肉が上下から潰され内側から裂けたような傷痕が残るゾフィス。
ゾフィスは倒れたまま。ココは、意識はあるものフラフラとシェリーにもたれかかり、お互いに苦笑い。
ブラゴは腕を組んで、震えるゾフィスを見下している。
「ヒ……、ヒヒヒ」
「何を笑っていやがる」
「笑いも、するさ。……てめえらは、本当にオレに勝ったって思ってるんだろ? 確かに本も奪われ、ボロボロになっちまってる。
だがなぁ……、ココはこのままじゃ幸せになんてなれねぇぜ」
ココはゾフィスの方を見て、訝しむ。心に傷はあれど、今の彼女は彼女本来の自分としての自我を、しっかり持ったままこの場に居る。
ただ一方のシェリーは……、心当たりがあるのか、その顔を能面のような無表情に変えた。
「確かにココの心は、あの時からずっとオレが操っていた。ココの心の闇を探して、引っ張り上げ、それを起点とし元の人格を『夢にいざなうように』、自分の何が大事で何を憎むかってものからしっちゃかめっちゃかにした。
オレの造り出したもう一人のココ……、いや、アレもココの一側面さ」
「…………」
「あのスギナとかいう雑魚魔物のせいで、それが中途半端に解かれかけてるのが、今のココの状態だ。普段よりも、心の底に沈めてた願望や憎しみを吐露しやすくなってるのはそのせいだ。
オレの本が燃えれば、そのココの心のバランスは崩れ去り、シェリーを憎み嫉妬する悪感情はまた眠りにつく。元の心優しい『オレの』ココに戻るだろうさ。
だが…………、覆水盆に返らずだ」
何が言いたい、と促すブラゴに「鈍いですねぇ」と、少しだけ余裕を取り戻したようなゾフィス。ニヤニヤと嗤いながら、悪あがきのようにその事実を告げる。
「わからないか?。 ココは自分を取り戻していても、ちゃんと自分が為した悪行の数々が記憶に刻まれている。
そしてそれは…………、ココが本当に元に戻ったところで、消えたりするものじゃない」
「――――――――」
「しぇ、シェリー ……?」
「千年前の魔物のパートナーたちは、そもそも感情など発露させる必要がありませんでしたから、基本的には『夢をみてもらう』だけで済みました。だから縛りとして、心が噛み合う魔物の本が燃えた時、それに引っ張られる形で夢から目覚めるのです。
だがココは違う。私のパートナーとして、共にこの戦いを勝ち上がるために行った特別な精神操作。
貴女が憎むこんな私にすら、嫌悪感を抱かぬほどに、奥底に秘められていた悪感情が乗っているだけで――――ココはココなんですよ。例え誰がどう否定しても、ココ本人が死ぬほど否定したとしても」
だからこそ、犯した数々の悪行は「正常に戻った」ココをさらに苛む、とゾフィスは嗤う。
「殺してくれと言いましたね? そんな貴女を、シェリー嬢は確かに今、救ったとも。
ただそうであったとしても――――心までは救えない。シェリー嬢を傷つけ、家を焼き、金を盗み、多くの人を浚い、操り、魔物の尊厳を傷つけ。今の戦いで自分の意志があったと言うのに、親友シェリーを殺さんと、自分の嘆きすら心の力として戦った事実。
それがの事実を、フラッシュバックしないほどココは無神経じゃない。
過るたびに、ココは死ぬほどの苦しみに叩き込まれる。
それこそ……、衝動的に身を投げても不思議じゃない程の」
「――――ゾフィスッ!」
嗤うゾフィスに詰め寄るシェリー。あまりにも怒りの感情に振り回されたせいか、思わずココ本人を取り落とし、慌て(!)ブラゴがココを受け止め、寝かし直す。「あ、ありがとうね?」と苦笑して言うココに、ブラゴは無言で一瞥するのみ。すぐさまゾフィスを睨みつけた。
シェリーは叫ぶ。その程度は予想で来ていた。だからこそ他の魔物がゾフィスの本を燃やさないよう、手を出すなと宣告していたのだと。
「だから――――ココの記憶を消しなさい!!! あなたと出会ってから今日まで全ての記憶を!」
ゾフィスならそれが出来るはずだと。叫ぶシェリーは、今にもゾフィスを殺さんとばかりに怒りに震えている。
だが……、ゾフィスは肩をすくめるばかりだ。
「消す、というのは正しくありません。『眠らせる』のです。思い出すか出さないかは、彼女自身にかかっているでしょうが、それでも一度傷ついた心は、本当の意味では癒すことは出来ない。
――――ざまあみろです」
「――――ねえ、ゾフィス?」
そっと、叫ぶしかできないシェリーを前に、ココが、彼に這いよる。
シェリーを見てニヤニヤとしていたゾフィスは、しかし「今の」ココを前に、少し表情が引きつった。いや、性格にはその背後のブラゴの目を見てかもしれないが、ともかく、嫌ににっこりと微笑むココの姿に、威圧感を感じているのは事実だろう。
「じゃあ、私を『このまま』にすることって出来る?」
「ココ……?」
「私が良い子過ぎるから、いけないんでしょ? ……シェリーには辛いかもしれないけど、でも、だったら、ちょっとくらい悪い子のままになったら、私はたぶん自殺しないで済むのよね?
シェリーをこれ以上傷つけないのなら……、だいじょうぶ。多分、耐えられる」
何を言っているの、とシェリーが続けるよりも先に、むしろゾフィスの方から困惑の声が上がった。
「…………何を、言うのですか。せっかく元に戻るチャンスだというのに、世迷言を言うのは止めなさい。
せいぜい私がいなくなったことに、後悔して苦しめば良いのです!」
「そんなこと言ってると、もっと『嫌いになっちゃう』わよ?」
「………………」
突如苦い顔をして押し黙ったゾフィスを前に、むしろシェリーの方が困惑し始める。
ココ? と、若干頬が引きつるシェリー。
上半身を起こし、優雅に微笑む彼女は…………、そう、むしろ彼女が自称していた通り、記憶や、足取りを追った際の映像に残っていた、「悪い子」の時のココのようだった。
「気づかないと思った? そんな訳ないでしょ、鈍ちんなシェリーじゃないんだし」
「あ、あなたは、何を言い出すつもりですか……ッ!?」
「ココ……?」
「私に催眠を掛け直したりする時とか、明らかに『そういう』目をしてるんだもの。私だってろくに経験もないけど、色々察っせるくらいには露骨だったと思うけど。
そもそも私に対して特別なことをやってるのとか含めて――――絶対に自分を忘れて欲しくないっていうのが透けて見えちゃうと言うか」
「な……、何を…………」
「恐かったんでしょ? 初めて私と出会った時のこととか……、自分が拒絶されるんじゃないかってことが、怖くて怖くて仕方なかったんでしょ?
――――たった一人、こんな場所で戦う術もなく放り出されることが。」
ちらり、とブラゴを見てウィンクを飛ばす悪い子。
ハッ、と鼻で笑ったブラゴは、納得がいったようにゾフィスを睨む。
「確信がなかった訳じゃないが……、なるほどな。随分情けないツラになったぞ、ゾフィス」
「…………」
「オレがシェリーを見つけ出した時、お前は術をシェリーに向けて放った。オレはその間に入りシェリーを守ったが……、その後お前はどうした?」
「…………ど、どうした、って……」
「オレに気付かず立ち去ったな。だが、考えれば考える程におかしいだろう。
オレは『お前の気配を感じて』、あの場にたどり着いた。ディオガ級に目覚めここまで生き残れたテメェが、それこそガッシュのように落ちこぼれでもなかった勘の鋭い魔物が、あの距離でオレに気付かない訳はない。
ゾフィス。あの時お前………、逃げただろ?」
語るブラゴに、ゾフィスの表情は引きつり。
自らが作り出した小悪魔は、呆然とするシェリーの肩に手を当て、大丈夫だからと何度も繰り返し。
「だって
「――――――――」
あまりにも当然のように吐かれた毒のある一言に、しかし、リアクションをとることは出来なかった。
※ ※ ※
「……よう、何とも酷ぇ有様じゃないか」
「あ、る、ベール……?」
元気か? と手を上げて来るアルベールだが、俺は俺でリアクションがとれない。
ナゾナゾ博士が手配してくれた病室のベッドの上で(なんかナースの中にビッグ・ボインの姐さんが居た気がする……)、俺は身動き取れず、呻くように声をかけることしかできない。
そんなこっちの状況は、スギナから聞いていたんだろう。「術だから大丈夫だと思うが、本当に健康被害ないんだよな……?」と訝し気な目で見ながら、机の近くの椅子に座った。
「終わった後、いきなり倒れたのはちょっとびっくりしたぜ。大事な話があるって皆引き留めた時だったし、レイラの方も困ってたしな」
「あ、あぁぁ……、なんか、悪ぃ」
「いや、まあ仕方ないだろ。相当無茶したのは、実際見てたし。……あっ! あのデモルトのパートナーも、花粉症は治って今朝退院したぜ。
一応、あの拠点周辺に拘束されていたらしくて、悪事らしい悪事は『法的には』ほぼしてなかったみたいだしな。ナゾナゾ博士が調べてた」
「余罪……、ない、のか?」
「まあ捕まえてない訳だし、ないんじゃねぇのか? 悪人に違いはないだろうけどさ」
いまいち喋りが流暢にいかない俺に、アルベールは特に気にせず話しかけてくれる。嗚呼、気安い。なんか普通に友達みたいな距離感だが、実際、俺とアルベールは普通に友達になった。
年も大体一緒だし、どっちも大学生だし。いや、学力はアルベールの方がかなり高く結構離れてるんだが、お互い極限状況に巻き込まれた立場として、年が一緒の同性というのが、上手い具合にお互いハマったらしい。少し雑談したあたりで、なんとなくお互いともにメアドを交換したりして、今に至る。
いや、まあ、そんなことはともかく…………。簡単に言うと、戦いは終わった。月の石を破壊し、デモルトを魔界に返し。ゾフィスは、なんかよくわからないけどブラゴとココ(ゾフィスのパートナーの子)で脅したらしく、ずっと震えたままだった。
ロードを名乗っていたあの偉そうな雰囲気すら欠片もなく、スギナも調子を取り戻して「どんな気持ち? どんな気持ち? ヘイヘイびびってる~?」と煽り始め、しかしそれにすらリアクションがとれないくらい怯えていたのを見て、むしろ同情されていた。
まあ、その後も普通の予想を超えることは無い。順当に、順当に話が進んで、シェリー嬢たちと別れた。
ココって子は今後大変だろうけど……、シェリー嬢が傍についてるなら、多分大丈夫だろう。あの仲の良さ、いわゆる百合っ気のない家族のような深い信頼で結ばれた二人を見て、うんうん頷く俺。うむ、シェリー嬢はともかくココは結構大きいな、ボイン……。
そんな俺のセクハラな心境を察したのか、化野先輩が半眼で「オイコラ」と小突いてきたりという一幕もあったが、それは余談でしかない。
重要なのは、ヘリで彼女たちが去った後……、ビクトリームと、パムーンと、そしてレイラの三人。
残ってしまった、三人の魔物たち。
『みんな、ありがとう。私たち、千年前の魔物の子を代表してお礼を言うわ!』
『パムーンと、特にレイラが世話になったなァ。感謝感激、雨メロンだァ…………、ミラコの奴には、ベリーメロンを渡す暇もなかったが』
『ツヅリに聞いたが、かなり落ち込んでいたらしいからな。……あっちに行ったら慰めないと。いや、それは後で話そう』
「真面目だなぁ、パムーンくふぅんは」
思いっきり話が脱線しかけるビクトリームと、軌道修正できていないパムーンはともかく。
『私たちの本を燃やして……、これが、最後のお願いよ』
やっぱり帰るのね、と大海恵。レイラ、と名前を呼んで、どこか悲しそうな清麿君に、それは当然のことだと微笑むレイラ。今の戦いに関係ない魔物が残る必要はないし、こんなにも「友達」が出来たのだから、今の魔界に帰ることへの恐怖もなくなったと。
自分たちで燃やさないのは、どうやら帰るならみんな一緒にということらしい。
『あなた達がいる魔界なら、千年たっていても楽しく暮らせるわ?
それに、アルも早く学校に戻してあげないと。単位、大丈夫?』
『オレは別に良いんだがな、必修はもう大体取り終わってるし。……独り暮らしだと寂しいのもあるが、学校もまあ退屈だ』
『それでも、国には家族がいるんでしょ? 帰れるなら帰らないと、心配をかけるばかりだわ。ベルギムじゃないけれどね』
レイラの一言に、ぴくりと震えるのはツヅリ。何かあったか? とスギナが問いかけるが、後で、とだけ返した。……何やら葛藤している様子だし、まあ、その魔物(?)との戦いで色々あったんだろう。
『いいのかよ、ビクトリーム』
『これも付き合いだァ……、ま、一人だけというのもな』
『パムーン……』
『気にするな。結局、お前には迷惑をかけただけになったからな』
なんとなくお別れムードで、ガッシュたちもしんみりしている空気の中。後はそのまま本を燃やして終了だろうという、その流れ。「お別れにベリーメロンをワンモアよォ」とか言い出して、踊り始めるビクトリームに、つられてノリノリなガッシュたちと、少し恥じらいながら付き合いの良いパムーンに、かなりノリノリで楽しんでるレイラ。
後はもう「さらば!」で終わりかという、そんな順当に進んでいるだろう物語の流れの結果――――。
「…………ごめんなさい、私、文明の利器には疎いの。というより、よく指が攣らないものね」
「
……そんな適当な会話をしながら、病室の扉を開けて来るお子様二人。
歩きながらゲームでボーイなアドバンスで、ゲームでボーイなカラーのアクションゲームのソフトを入れてピコピコやってるスギナに「危ないわよ?」と注意するレイラ。
絶対に原作じゃあり得なかったろう妙な絵面に、謎の感動をしている俺(※表情はほぼ動かせない)。振り返ったアルベールは「一応、電子機器ここは大丈夫だからいいけど、それはそうと前方不注意だから気を付けな」とスギナに注意してくれる。俺が今、動けないから代わりに言ってくれてる訳で、こういうところはやっぱ普通に違和感なく友達と言う感じだ。
「ちょっと待って、ボス倒したらセーブするから……」
「すぐに終われないっていうのも不便なものね。
……それはそうと、春彦、スギナ。二人ともありがとう。清麿たちにも言ったけど、私とアルを開放してくれて、本当にありがとうっ」
そう言ってアルベールに抱えられながら、俺に目線を合わせたレイラは、こちらに頭を下げて来た。大したことはしていない、清麿君の作戦に従ったまでだと言う俺に対して、スギナは「しょせん、生きぎたない術だしね」といつものように自嘲する。
そんなスギナに苦笑いして、それでもありがとうと、レイラは屈託なく笑った。
そう、順当に進んでいるだろう物語的な流れに、真っ向から逆らう頑固な子供が一人、いた。
決まっている、ウチのスギナである。
俺ですら空気を読んで、おそらく原作の流れ通りに進んでいるんだろうなと他人事のように見てしまっていた、そんな彼女たちの様子を前に。スギナは俺の杖代わりに使っていたオージグルの杖を奪い取り、そのままジュロンで、レイラたちの本を取り上げた。
パートナーから受け取った本それぞれ3札を、一気に取り上げてまとめたスギナ。
『ヌゥ……?』『ちょっと何やってるのよ!』『ワアアアアアアッ!?!?」『メルメルメ~~~~!?』『乱心したかッ!?』『ゲゲゲ、ゲロッパ!!』『ちょっと! ガッシュちゃん混乱してるじゃないの!』『何やりたいのさ、スギナ!!』
動揺する魔物たちの中、ツヅリだけは何故か? あるいはやっぱりか、スギナのやろうとしていることが判ったのか「スギナ……、いこじ」とだけ呟いた。
『レイラは、今の魔界でも楽しく暮らせるとか言ったけど、それだけじゃ駄目だよ。今の人間界だって、もっと楽しく暮らせるはずなんだから。
もっともっと、たくさん人間界で暮らしてから、パートナーと一緒に色々やってから帰るべきだ』
何を言いたいの? という訝し気なレイラの視線にひるむことなく、スギナは言った。
『この際だから言うけど、そーゆー中途半端は駄目だ。もっとちゃんとしてから帰らないと、しこりになる』
『しこり……、とは何だァ?』
『ロボット型だからお前にはないだろう、ビクトリーム』
『パムーン、そういう話ではないと思うのだけれど・・・・・・』
普段ならボケ倒されれば煽るだろうスギナだったが、この時はそうではなく、パートナーたちの方を見ていった。
『本当は三人とも、まだ帰りたくないんだろ? パートナーたちだって、別れたくないんだろ?
だったら残ったって良いじゃん。ゾフィスのせいで、ロクに現代につかることも出来なかったんだろうし。
もっともっと現世を味わいつくして、僕みたいに魔界に帰るのが嫌になるくらい愛着をもって…………、辛い辛いと、涙を流しながら帰っていかないといけない。というか嫌がって、泣いて帰れ』
『最後の発言で台無しよあなた!? 鬼か悪魔なの!!?』
『角が生えているのはレイラだがなぁ……』
『ビクトリーム、あなた……、そう言う所よ』
まあ、そうだな。スギナは大分、今の人間界に適応しつくして涙を流して帰りたくないと言うくらいだしなぁ……。道連れが欲しいっていうのもあるんだろうが、多分それだけじゃない。
要するに、またガ〇グレ〇ブのトラウマが発動してるんだろう。
この場合は、パートナーと魔物の子の心のお互いがお互いを想い合うからこその別れみたいな、そういうのがブラ〇ド〇とハ〇ーに重なってるってところか……。
いかん、なんだか物凄い罪悪感が。
そこからレイラに対しては煽りつつも、自分たちがいることが不当であるというガッシュたちに気遣った主張なレイラと、とにかく納得しないスギナの平行線。
結果的に決め手になったのは、パムーンのパートナーであるランスだった。
望まぬ戦いに巻き込んで、本当なら合わせる顔もないし、示しも付けられない。そう落ち込むパムーンの頭を撫で、ランスは言った。
『このままだと、パムーンは本当にただの不憫な子になっちゃうだろ。石の時の話も含めて』
『ランスッ!?』
思わず噴き出しかけた俺と清麿君はともかくとして。
『俺は、確かに戦いは嫌だが…………、お前のことは嫌いじゃない。少なくとも、数カ月一緒に暮らせと今から言われても、特に気にしないくらいには』
『………………』
『パムーンはちょっとプライドが高くて、弄られ慣れてなくて、折れやすいところはあるが。それでも良い奴だ。洗脳されてた間のことば、夢うつつにだが覚えている』
『最初の方、言う必要があったか……?』
『だから、お前に任せるよ。俺は……、拒否しない。歓迎する』
それを皮切りに、ビクトリームがモヒカン・エースを見やり。
『それなら私は……、香子か晴明の墓参りくらいはしても良いか? タマモも、もう居ないのだろうから、顔を出してやるくらいの義理は、あるしな』
『
『ふぅん、そうでなくてはなぁ!』
なんだか意味不明な単語が聞こえもしたが、……それこそまるで、レイラにも残って良いのだと言うかのように、二人とそのパートナーたちは続けた。
アルベールを見上げたレイラはいまいち納得がいっていなさそうだったが…………。
多分、それだけ責任感が強い子なんだろう。
だからこそ、逆にスギナがムキになってるという確信をしてしまったんだが(ブラ〇ド〇)。
結局「二人が満足するまで付き合ってあげるわ」と、しばらくは残留することを決めたレイラは、こうして今日、アルベールと一緒に見舞いに来てくれたのだった。
内心で何を思っているか迄は定かではないが……、まあ、そこはこれから次第ではあるんだろう。
ちなみのほぼその直後、オージグル・マ・ジュロンの操作に吸われ続けた心の力のせいか、糸が切れたようにぶっ倒れた俺だった。元々チャージオの効果でギリギリだったところにトドメ、清麿君をはじめとして先輩やツヅリすらびっくりしてた。流石にそこまでだとは予想していなかったらしい。で、そのままナゾナゾ博士とアルベールが色々手当したり、病院を手配してくれたりで今に至る。
とにかく身体の傷以外は「過労」以上の診断結果が出なかったので、今日一日はこうして病院生活だ。
清磨君とか先輩たちは、一足先に日本へ帰っていった。保護者に心配かけたりするし、先輩とかサンビームさんとかはお仕事もある。ビクトリームはそんな日本勢についていって、パムーンたちはフォルゴレと一緒の飛行機に乗ったとか何とか。パティたちもそれぞれ帰っていって、もう残っているのはナゾナゾ博士とアルベールくらいだ。
アルベールの方はといえば「せっかくだし、南米ちょっと旅行してから帰るわ!」と、レイラを可愛がりながら笑っている。
まあ何というか……、脱落者が出ないで良かったとは思うのだけれど、明らかに原作の流れをゆがめてる感じもして、これはこれで恐ろしいものがあった。
ただそれはそうと。
「…………」
アルベールに抱っこされてるレイラに、ゲーム機の画面を見せて「すごいじゃない!? というか、えぇ……? ミッション達成率100%って、どうやったら出来るの?」と困惑され、得意げになってるスギナの姿だけは、なんとなく癒されるものがあった。
…………なおその日の深夜に、ミールさんが襲来して思いっきり俺を拉致ってきたりもしたんだが、それはまた別な話。
・アルベールと春彦:
本作的には年も大体一緒なのと、どっちもノリは割と良い方なので意外と意気投合。たぶんペンフレンドとして筆まめ? にメールのやりとりをするようになる。
・ココの状況:
優しい心が目覚めている……けど、それはそうとして本心を吐露できる精神性は催眠によって誘導されたもの。前のおまけでも書きましたが、ココの心の闇は本作では本当に持って居た設定なので、ガッシュカフェの描写を参考にしてこんな塩梅に。
・光と闇のココが合わさり最強に見える:
死にたいメンタルからシェリーによって引き上げられはしたけど、もし元に戻ったらそれこそシェリーを傷つけかねないと理解したので、今の中途半端な精神状況を維持しようと舵を切る。シェリーは元の自分を助けたかったのかもしれないが、それよりもシェリーの心を守るためには自分をどうしても良いという、ある意味似た者同士なイメージです。
多分今後、以前とは別な意味でココに振り回されたりケンカするシェリーを見ることが出来るかもしれない。……同時にフラッシュバックに振り回される姿も。
なお、実はブラゴがこの場にいなかったら、ゾフィスが結構エロい目で自分を見ていた話とかするつもりだった(爆)。言わなかったのは武士の情けじゃなくって、動揺させるより怖がらせて追い詰めた方が効率が良いという判断から。
・皆で涙のベリーメロン:
特別版。多分この世界のアニメだとキャラソンCDに収録されてる。
・残留END:
次章? の関係でビクトリームを残したかったので、結果的にこんな流れになりました。レイラとパムーンは戻るべき派、ビクトリームは友達付き合い。アルベールはレイラに任せるスタンスで、ランスは「戦いに参加できなかった分、せめて楽しい思い出を持って帰ってもらいたい」、モヒカン・エースは……何でしょうかね?
こうして見ると、ランスの影響がかなり大きかったかもしれない。
・ほっぺチューはおあずけ?:
多分、誰も見てないところでアルに「お礼」とか言ってロマンティックあげちゃってる。おませさんなのだ。
・特に伏線もなく現れ拉致してくるタイプのミール:
だいぶイライラが溜まってるのと、一応は心配していたから。次回、果たして…!